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「エンジニア採用が難しい」ということは多くの経営者、人事の方が思っていることだと思います。しかし、エンジニア採用の「何が」難しいのか?この部分が正しく理解されていることが少ないと感じます。そして、この「何が」難しいのか?という問題の「解像度」を高めることが、目の前のエンジニア採用を上手くいくため、そして事業発展のために必要なアクションです。また、世の中に出ているエンジニア採用のtipsは部分部分をフォーカスしたものであることが多く、企業様によっては、課題とフィットしていない方法を実行されているケースも多いです。
そこで今回は、数百社以上の企業様のエンジニア採用についてヒアリングしてきた経験から、エンジニア採用課題の全体像をまとめてみました。※各フェーズの詳細は次週以降、公開できればと思います。
目次
エンジニア採用課題の全体像
まず、以下にエンジニア採用課題の全体像をまとめてみました。
これはあくまで簡素化した1つの例ですが、一番大事なことは自社で取り組んでいる採用活動をステップ毎に分解して、現状何が課題になっているかを明らかにすることです。
そして、一部の例外を除き、左側の課題をクリアすることで次のステップに移ることができるというのがポイントになってきます。
各フェーズにおける課題と打ち手の整理
主には6つの「課題」に分けることができるかと思います。
(1)前提知識=エンジニア採用市場をマクロに捉えるの難しい問題
(2)要件定義=自社の採用したい人物像を明確にするの難しい問題
(3)認知=自社のことを知ってもらうの難しい問題
(4)運用~応募=工数問題
(5)面接=カジュアル面談、技術判断難しい問題
(6)社内協業=社内のエンジニアに協力してもらうの難しい問題
前提知識=エンジニア採用市場をマクロに捉えるの難しい問題
ここでは、エンジニア採用に必要な前提知識を身に着けることを目的とします。
・そもそも市場に何人エンジニアがいるのか?
・雇用形態ごとの特徴はあるのか?
自分たちが採用活動を行う中で、採用市場はどうなっていているのかマクロを理解し、適切な「戦略」を考えるようにします。
市場にどれくらいのエンジニアがいるのか?
IT人材白書2019<https://www.ipa.go.jp/jinzai/jigyou/about.html>によると
938,000人がIT企業(IT提供側)のIT人材推計となっており、その内訳は下記
業種細分類名称 | IT人材推計 |
---|---|
受託開発ソフトウェア業 | 655,780人 |
パッケージソフトウェア業 | 50,290人 |
組み込みソフトウェア業 | 34,918人 |
情報処理サービス業 | 125,476人 |
電子計算機製造業 | 7,341人 |
情報記録物製造業 | 4,164人 |
電子機器器具卸売業 | 60,031人 |
合計 | 938,000人 |
Web系企業=情報処理サービス業と考え、全ての人がコードを書いているかというとそうではないので、Webエンジニアは約10万人いると想定できそうです。
ちなみに日本の労働人口は約6700万人なので、労働人口に締めるWebエンジニアの割合は、なんと約0.15%
求人倍率はどれくらいか?
dodaによる求人倍率レポート<https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu/>によると2019年11月現在のIT/通信業種の求人倍率は7.05倍。単純に、1人のエンジニアに対して7つの企業(求人)でアプローチしている状況です。
もう少し深ぼると、厚生労働省が出している平成30年雇用動向調査結果の概要によると
情報通信業の入職率:14.4%なので、おおよそ1年間に約10万人×14.4%=1.4万人の方が転職をしているという形になると推測できそうです。
あなたの会社の求人はこの7つの求人のうちの1つとして選ばれることができるでしょうか?
雇用形態ごとの特徴があるのか?
採用活動がうまくいっている企業様の特徴として、正社員だけでなくフリーランス/副業エンジニアを柔軟に受け入れていることが上げられます。
その背景には下記のようなトレンドがあります。
(1)ハイスキルな方ほど正社員ではなくフリーランス化している現状
(2)業務委託で企業に参画して、正社員化する「グラデーション転職」が増えてきた
弊社でも正社員転職のFindyと業務委託エンジニア向けのFindyFreelanceの2つをサービス展開しておりますが、FindyFreelanceでご紹介した方が、正社員化する事例が増えています。
足元の開発スピードを上げる、そして、採用の可能性を上げるための接点づくりとして業務委託エンジニアにお仕事をお願いすることを検討してみてはいかがでしょうか?
前提知識編のまとめ
・エンジニア採用市場全体でWebエンジニアはざっくり10万人
・その中で転職する人数は1.4万人
・エンジニアの求人倍率は7.05倍
・雇用形態の柔軟性含めて、どのように自社は選ばれる必要があるのか?
要件定義=自社の採用したい人物像を明確にするの難しい問題
前提知識を理解した上で次に、まずは、どんな人が欲しいかの人材要件定義ができていないと、その後の応募や内定の数、自社とマッチ度に大きく響きます。なんとなく、「なんらかのWeb開発経験3年以上」や「フルスタックエンジニア」ではなく、以下を採用案件毎に整理することをオススメします。
仕事内容:どんな仕事を任せる予定か
必須スキル:どんなスキルが必須か
歓迎スキル:どんなスキルがあると採用されやすいか
求める人物像:どんなキャラクター、人物の人に応募して欲しいか
この仕事の魅力:この仕事にはどんな魅力があるか
開発言語・環境:開発に使う言語や環境は何か
これらを採用部門と人事部門の間で、言語化して確認することは、採用活動の効率化だけではなく入社後の活躍まで見据えて非常に効果的です。逆にここが間違っているとあらゆる採用活動が無駄になってしまうことがあります。
技術・職種理解
基本的な職種の違いや言語やフレームワークの特徴を把握する必要があります。
ここでのポイントは細かい技術の部分まで理解しようとしないことが大事です。
最低限学んでおきたい項目は下記です。
・職種
・言語とフレームワーク
求人票の作成
↑で定義した人材が応募したい!と思ってもらえるように求人票を作成します。
ここでのポイントは2つ「職種の解像度」と「時間軸」
求人票についてはnoteで詳細をまとめてあるのでぜひご覧ください。
要件定義編のまとめ
・前提知識を理解した上で、自社の採用したい人物像を定義する必要がある
・職種、言語、フレームワークの基本的な理解が必要
・採用したい人物像を「求人票」に落とし込み、応募したい!と思われる求人票を作成する必要がある
認知=自社のことを知ってもらうの難しい問題
要件定義編で考えた自分たちが採用した人材に対して、自社が採用していることを「認知」してもらうフェーズです。
自社の魅力を整理する
ざっくり魅力ポイントをカテゴリ分けすると以下のようになりそうです。
技術:Go言語、機械学習(自然言語処理)、最先端の技術を使う
プロダクト:ブランド名がある場合、トラフィック数、ユーザー数
トレンドワード:Fintech、IoT、VR、自動運転
働き方:完全リモート、サテライトオフィス
募集ポジション:CTO、テックリード候補、実務未経験可
適切な採用手法を選定する
・ダイレクトリクルーティング
・人材紹介
・求人媒体
・SNS採用
・リファラル採用
など手法によってメリットデメリットが異なります。自社の採用したターゲットがどこに多くいるのか?自社で採用工数をどこまで取れるのかによって、適した手法が異なってきます。
採用ブランディングを行う
次に魅力を伝えるための採用ブランディングフェーズです。
Wantedly、はてなブログ、Qiita、自社テックブログなど掲載する媒体も複数あり、ミートアップ/勉強会などのオフラインイベントも重要です。MECEに考えるためには3C(Code,Contents,Commyunity)がポイントです!
Code:ソースコードの公開
会社としても自社のコードをオープンソース化することが珍しくなくなってきました。とある東証一部上場の企業様は採用広報観点で会社の公式GitHubアカウントを作成したようです。
Contents:メディアに情報を公開
Wantedly、はてなブログ、Qiita、自社テックブログ、など媒体の特性とその目的に沿って掲載場所まで考えるべき
Commyunity:コミュニティ形成
ミートアップ、勉強会の開催、社外の技術カンファレンスに自社社員が積極的に参加できるように促すなど、オフラインのイベント含めてどんどん発信して行くことを考える
認知編のまとめ
・自社の魅力を整理する
・自社の取りたい採用ターゲット、自社工数を考慮して、適切な採用手法を選択する
・採用ブランディングを3Cで実施する
運用~応募=工数問題
ダイレクトリクルーティング、人材紹介、求人媒体など導入した後、ちゃんと運用し、応募までのフェーズです。導入されたけど、まったく運用できずパターンが大いにあります。
人材紹介エージェントから推薦上がってこない問題
エージェントによって得意、不得意分野があります。そしてエージェントは何十社を1人で担当しています。そのエージェントに気持ちよく紹介いただけるようにコミュニケーション取れてますでしょうか?
スカウトメッセージ難しい問題
技術の深い部分まで理解してスカウトメッセージを送るのが難しいです。ここでの解決策は2つで、人事が技術理解を深めるor自社のエンジニアにお願いするのどちらかです。
面接=カジュアル面談、技術判断難しい問題
やっと応募の意思が取れて、カジュアル面談フェーズです。冒頭でも書きましたが1人のエンジニアに対して7社がアプローチしています。ここで興味を持ってもらえないと試合終了です。
カジュアル面談難しい問題
みなさんカジュアル面談をどのように定義していますか?採用がうまい会社様ほどカジュアル面談で何を話すか?候補者様の何についてヒアリングするのか?全体は何分でどういった方法で行うのか?体系化されています。
面談担当者どうするのか問題
カジュアル面談には誰が出席されていますか?採用が強い企業様ほど初回面談でCTOやリーダークラスが面談をしており、開発チームがスクラムを組んで、一緒に働きたい人を取りに行っています。
面接編のまとめ
1人のエンジニアに対して7社がアプローチされているのに対して
・カジュアル面談での意向上げを徹底できてますか?
・CTOやテックリードなど開発チームがスクラムを組んで、一緒に働きたい人を取りに行けてますか?
CX(Candidate Experience)
直近採用界隈で徐々に浸透してきているCX(Candidate Experience)候補者の体験に関してです。
1人のエンジニアに対して7社がアプローチされているのに対して、面談などの体験で、その企業を受けてみたいのか?それとも受けないという判断をするのか?決まります。
・カジュアル面談でCTOが出てきて、会社のビジョンを語り、技術の話もできる
・技術のことがあまりわからない人事がカジュアル面談を実施する
どちらが候補者体験として良いでしょうか??考えるまでもないですよね。。
また、オファーのフェーズでも単純にオファーレターを出すのではなくて、
・あなたの何を評価して
・どういったことを期待しているのか?
まで丁寧に候補者に説明している企業も増えてきました。
社内協業=社内のエンジニアに協力してもらうの難しい問題
元も子もない話をするようですが、エンジニア採用がうまくいっている企業様ほど
人事とエンジニアの関係性が良いです。
基本的な職種理解などは人事はやったほうがいいですが、細かい技術のジャッジメントなどは
社内のエンジニアに協力していただく方が、効果は出ます。
採用が苦戦している企業のあるあるパターン
エンジニア採用が苦戦している企業様は下記のように分類できるのでは?と思っています。
みなさんの会社ではどこが課題になってますか?
(1)そもそも自分たちが採用したい人が明確でないので、苦戦するパターン
(起きうる事象)自社にぴったりの人からの応募が来ない、
(課題点)前提知識、要件定義
(2)取りたいターゲットは明確で採用手法をたくさん使っているが、運用できずに苦戦するパターン
(起きうる事象)スカウト送れない、応募はくるけど対応が後手に回る
(課題点)運用、社内協業、工数問題
(3)取りたいターゲットも明確、採用手法も適切に使っているが、面談以降で苦戦するパターン
(起きうる事象)選考途中で辞退が発生する
(課題点)CX(Candidate Experience)
まとめ
長くなりましたが、エンジニア採用課題の全体感をフェーズごとでまとめてみました。
全体感をみた上で、自分たちの会社はどこに課題があり、どこを優先順位高く、実行していくべきなのかイメージできましたでしょうか?来週以降は各フェーズの詳細、他社事例等まとめていきたいと思います!ぜひFindyのこと聞いてみたいという方ぜひ下記よりお問い合わせお待ちしております!
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慶應義塾大学経済学部卒業後、パーソルキャリア株式会社にて大手製造業向けの採用コンサルティングに従事、2019年4月にFindyへジョイン。セールス・B2Bマーケティング・カスタマーサクセスを担当。その他、エンジニア求人票を3000件読み込んだ経験から求人票博士として重要性を発信しています。