本日は「スタートアップというだけでエンジニアに人気の時代は終わったという話」について書きたいと思います。最近、「ハイスキルなエンジニアのプレミアム転職Findy」を通してユーザーにインタビューを重ねる中で、 以前ほどエンジニアとってスタートアップの人気がないと強く感じています。スタートアップの経営者にはショックな話ですが、事実です。
※なお、本記事では調達規模数億以下でフルタイムも30人以下程度の企業を想定してスタートアップとしています。
目次
5~10年前はスタートアップがプロダクト開発の聖地だった
数年前は「スタートアップ」こそがエンジニアにとって自社プロダクトに向き合える最も最適な場ではないかとされていた時代がありました。
実際に、スタートアップ以外でプロダクトの開発を自由にできる環境というところがあまり多くありませんでした。具体的には人気のIT企業といえば、大手SIerが中心で、クライアント企業の業務ツールを開発する企業が中心でした。
そのためか、大企業で働くよりはスタートアップに行ってプロダクトを開発した方がある種クールであるという風潮すらあったのではないでしょうか。
そういった意味でプロダクトにコミットしたいエンジニアもしくはマーケターなどが大手の SI、あるいは通常のビジネスの世界からスタートアップへと移っていきました。
スタートアップにとっての採用競合も少なかった
もう一つの大きな理由として5年~10年ほど前はエンジニアを採用する際の競合も少なかったのというのがあります。
もちろん、ソーシャルゲーム業界での採用競争などはありましたが、まだまだ一部に限られていました。しかしながら、最近では、このプロダクトの内製化が大手製造業から金融機関で始まった結果、そうした大企業がメガベンチャー、スタートアップ等と同じ土壌に参入し採用合戦を始めています。
また、最近では外資系企業も開発拠点を日本に置くというケースが増えてきています。これは欧米の先進国や中国と比較して、残念ながらですが日本の給与の上昇水準が低く、それらの国にとって開発拠点としてリーズナブルという意思決定があるからではないでしょうか。
最近ではAmazon が話題になっています。
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またハードウェアが中心になるかもしれませんが中国企業も進出を開始しています。
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大企業やメガベンチャーもスタートアップ的な開発組織を持っている
最近では大企業あるいはメガベンチャーもスタートアップに近い組織形態を作ってプロダクトの開発を推進する傾向になってきています。
メルカリ(ソウゾウ)やマネーフォワード(MF KESSAI)などの上場ベンチャーも創業後の早いうちから子会社を立ち上げ自由にプロダクトにコミットできる環境も同時に作っています。
また、面白い動きとしては、大手の戦略子会社も自由度のある組織をつくり始めています。
MUFGグループのJapan Digital Design 株式会社やオムロンの「オムロンサイニックエックス株式会社」等は面白い存在ですね
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こうした環境整備の結果、「スタートアップこそがプロダクトにコミットしやすい場所」というイメージが薄れてきたというのが大きな理由になっています。
子育て世代を迎えた新卒エンジニア層の増加と給与問題
また、新卒から Web エンジニアを目指すというカルチャーを率先して作ってきたのがグリーや DeNA といった大手ベンチャーではないでしょうか。
そうしたベンチャー企業に新卒あるいは第二新卒として入社した若手・中堅エンジニア層がすでに子育て世代に入っているということが大きな要因にもなっています。
最近ではスタートアップの給与水準も昔に比べるとかなり改善してきていますが、まだまだ大手企業やメガベンチャーと比較すると高くない水準であることが多いのではないでしょうか。
やはり、家族ができたことで、共働きであるかどうかといった各家庭の要素も大きく影響してきますが、以前より思い切ってスタートアップに飛び込むということがしにくくなっている方も増えてきています。
実際にユーザーと会って話しているとスタートアップには興味があるけれどもなかなか家族の理解を得にくい、という方は意外と多い印象です。共働きの家庭でも最低これくらいの年収は稼いでほしいと言った、最低限の年収に関する合意事項を持つ家庭も増えています。
データ量こそが「面白さ」の一つの基準の時代へ
最後に、大きな要素としてデータ量こそがプロダクト開発の「面白さ」の大きな基準になっているというのも見逃せない点です。
数年前はまだまだデータの蓄積がこれからという時代だったので、どちらかというと UI/UXやモバイル化という文脈の中で新しいサービスを開発していくというところが一つの大きな面白さでした。
しかしながら、最近ではデータ量やデータの種類、マシン性能も含めてのデータ解析環境も会社選びの大きな要素になってきています。
特に、機械学習やデータを解析するということが競争力の強化につながるサービスが増える中で、フロントエンドエンジニアやサーバーサイドエンジニア等含めても、FinTechやゲームなど元々大きなデータを持っているというのは開発者にとっては大きな魅力の一つになっています。広告などもそういったデータ量と相性が良いサービスですね。
また、大企業の場合はこれまでデータは溜まっていたけれども、なかなか活用ができていなかったデータも持っています。
例えば、最近ではトヨタやホンダ、日産等といった自動車メーカー或いはファナックやキーエンスといったロボットメーカーに転職するソフトウェアエンジニアも徐々に増えてきました。彼らしか持ち得ないデータを使って、新しいサービスを開発するというのは何事にも代え難い楽しみになる可能性があるのではないでしょうか。
では、こうしたエンジニア採用難の時代におけるスタートアップの採用はどうやって取り組めばよいのでしょうか
これまで何度もブログでも発信していますが一番可能性のある方法としてはプロジェクトベースでエンジニアに関わってもらうことです。Findyでは以下のような構成で開発しており、実はフルタイムのエンジニアは2名のみでCTOも事業によってきているため、実質1.3人くらいのイメージです。
例えば副業やフリーランスから関わってもらい、本当にその事業に興味を持ったもらったタイミングで正社員/フルタイムとして、参画してもらうというのは、今後増えていくのではないでしょうか。また、そのタイミングで給与に加えて、スタートアップとしての魅力であるストックオプションの提示等も重要かと思います。
Findyでもエンジニアの正社員第一号は副業からですし、現在でも7人のエンジニアが副業・フリーランスとしてジョインしてくれています。
しかも、某メガベンチャーや数十億円以上調達しているベンチャー企業に所属している方など、ハイスキルで経験値も高い方ばかりです。そんなフリーランス・副業のエンジニアと働きたい方はこちらからです 。
読んで頂きありがとうございました! 宜しければ、エンジニアの皆様はFindyでご自身のスキル偏差値を測定してみてください。
[正社員の方]
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同志社大学経済学部卒業後、三菱重工業、ボストン コンサルティング グループを経て2010年、創業期のレアジョブ入社。レアジョブでは執行役員として人事、マーケティング、ブラジル事業、三井物産との資本業務提携等を担当。その後、ファインディ株式会社を創業。求人票の解析とアルゴリズムづくりが趣味。