Findyでは、2022年2月から半年に1回ペースで『エンジニア転職マーケットレポート(2022年9月までの名称は『ITエンジニア転職動向調査』)』をリリースしています。
レポートを制作・発信している背景としては、もともと経済的要因など外部環境の変化を受けやすい転職市場の中で、技術の移り変わりが激しいIT/WEB領域においては特にトレンドが推移しやすいため、定期的な市場動向調査によって旬の情報をお届けし、エンジニアの皆様のキャリア形成や転職活動に役立てていただくことを目的としています。
今回、2023年9月調査分の最新版『エンジニア転職マーケットレポート』が完成いたしましたので、最新レポート内容を一部ピックアップしながら、ご注目いただきたい調査データを本記事でご紹介していきます。
なお、レポート全体に関しては、下記バナーをクリックしてFindyマイページ上からご覧いただけますと幸いです。
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調査概要
【概要】
- 調査期間:2023年8月31日〜9月7日
- 調査方法:Webアンケート
- 調査目的:エンジニアの転職と働き方に関する意識調査
- 分析対象回答数:305件
- 調査主体:ファインディ株式会社
エンジニアの平均年収は引き続き上昇トレンドを維持
まずは、分析対象となった305名のエンジニアの年収に関する調査データをご紹介します。「現在の年収(本業のみの収入)について教えてください」という設問で年収分布を調査しました。
最も回答数の多かった年収帯(最頻値)は「600万円以上〜650万円未満」、中央値も同じく「600万円以上〜650万円未満」となり、各選択肢ごとに想定年収を設定した加重平均にて算出した平均年収は682.8万円という結果になりました。
これまでの過去3回分の調査においても同様に算出した平均年収の推移をグラフ化すると、2022年2月から今回調査にかけて平均年収が83.8万円UPしました。
なお、調査はFindyユーザーを対象としているため回答者属性がWeb系スタートアップ企業所属のエンジニアが半数程度を占めている点、全4回の調査それぞれで回答者が完全に同一ではない点を加味すると、調査結果にある程度のばらつきは生じてしまいます。それでも平均年収が上昇し続けているという結果は注目できるものだと思います。
実際に、新卒採用においてエンジニア職の初任給をアップしたという企業のニュースや、中途採用においてもオファー年収を上げないと優秀なエンジニアを採用できないといったケースを聞く機会が増えてきており、各社の動きを見ても上記の年収上昇トレンドが反映されているものだと考えられます。
ひとつ注意点として挙げられるのは「エンジニア職全員の年収が上昇している」わけではなく「優秀なエンジニアには高い報酬を出す」という見解が正しい見立てに近いのではないかということです。
例を挙げると、Sansan社では新卒採用における採用競争力を高めることを目的に、総合職・デザイナー職、エンジニア職・研究開発職ともに初任給をアップすると発表しています。エンジニア職・研究開発職のみ「※月給40万円、想定年収560万円はエンジニア・研究開発職の新卒初任給の最低金額となっており、経験やプログラミング能力に応じて個別に対応します。」という注釈が付け加えられており、“能力・スキルが高い場合はさらに評価する”という意図が汲み取れます。
年収以外の転職の決め手では「働き方」が重要視されるが…
能力・スキルに応じた高い報酬が前提となってくると、エンジニア転職市場においてはオファー金額を上げられる、いわゆる資本力に余裕がある企業が採用競争に勝つという未来を想像された方もいるのではないでしょうか。
そこで、「複数企業から同額のオファー年収で内定が出ている場合、転職の決め手となる要素として最も重要視するものを教えてください」という設問を用意しました。
上記スライド内、オレンジで囲った枠にある「リモートやフレックスなどの働き方が理想にあう」が27.2%で最も票を集めています。この結果から、同じ金額でオファーをもらっている場合、やはり依然としてリモートワークやフレックスの有無が意思決定に大きなウェイトを占めている状況は変わっていないのではないでしょうか。
ただ、採用競争力や生産性を重視してエンジニアの働き方をリモートワークにしている企業が多数存在する現況において、もはや“リモートやフレックスなどの働き方”だけでは差別化できない状態になっているのが現在のエンジニア転職市場の実情です。
そこで、注目すべきは次点で23.0%の票を集めている「事業やプロダクトの将来性がある」です。他選択肢と比較しても2倍以上のポイント差があるため、転職の決め手としては働き方と同等レベルで重要視されていると捉えてもよいでしょう。
この背景にあるのは、昨今のSaaS市場の成長性が一つの要因になっていると考えられます。総務省による令和4年通信利用動向調査レポートでは「クラウドコンピューティングサービス(以下クラウドサービス)を利用する企業は増加傾向にあり、約7割の企業がクラウドサービスを利用している」という結果が出ています。
クラウドサービスひいてはSaaSの普及が進んでいく過程において、競合プロダクトが登場することは当然のように考えられますし、競合に勝って市場シェアを伸ばすプロダクトとして成長していくには、やはりテクノロジーの力が必要不可欠になります。
となると、転職を考えるエンジニア視点では「この企業のプロダクトは市場での勝ち筋を見い出しているのか?」「マネタイズがきちんとしていて売上・利益が立っており、サービス終了になるリスクは高くないか?」といった“事業やプロダクトの将来性”に重きを置いて候補先をジャッジしたい気持ちにも合点がいきます。
エンジニアが「技術力が高いと思う企業」「働いてみたい企業」は?
ここまで、エンジニアの平均年収が上がっている話から、年収や働き方以外で差別化されるポイントとしては事業やプロダクトの将来性であるという話に触れてきました。
では、実際にいまエンジニアが注目している企業や技術力が高いと考えている企業、そして働いてみたいと思っている企業には、どのような企業の名前が挙がるのでしょうか?
過去3回のレポートでは「働いてみたい企業」の上位20社ほどをレポートにまとめてご紹介しておりましたが、今回は「働いてみたい企業22選」「技術力が高いと思う企業22選」「注目している企業20選」を調査し、レポート内でご紹介しています。
(※上記22選という数字になった背景は、20選を選出する過程で票数が同率の企業があったため)
上記は、働いてみたい企業22選のスライドに一部マスク処理をしたものです。(レポート本編ではもちろんマスク処理なしで閲覧できます!)
GAFAMを代表とする誰もが憧れるテック企業の名前もあれば、もちろん日本の企業でテクノロジーに強みを持っている人気企業の名前も挙げられています。
一方で「技術力が高いと思う企業22選」では、今年話題を席巻したChatGPTの開発元であるOpenAI社がランクインしていました。働いてみたい企業でランクインしていた企業が多数選出される中、この設問でのみ登場する企業もあり、市場のトレンドを反映したなかなか面白い結果になっています。
同様に「注目している企業20選」についても、レポート内で企業名を公開していますので、気になる方はぜひ下記よりレポート全体をご覧いただけますと幸いです。
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