Findyでエンジニア向けに転職ノウハウを紹介するイベントを開催しました。
転職を検討しているエンジニアの皆様に参考にしていただける情報を提供したいという目的で開催されたもので、全3回の開催のうち最後のイベントです。
1・2回目のイベントレポートは下記の記事をご覧ください。
第3回では自分に合う企業を見つけるためのカジュアル面談ノウハウをご紹介。
ファインディ株式会社のVPoE神谷との対談内容の一部をレポートします。
ファインディ株式会社 VPoE
株式会社ドリコム、株式会社ZOZOなどで勤務後、ファインディにジョインしVPoEを務める。ファインディで実施するカジュアル面談の大半も担当。
ファインディ株式会社 転職事業部 マーケティング担当
エンジニア転職マーケットレポートの企画・制作を行い、エンジニア採用の市場感に精通
近年増加傾向にある「カジュアル面談」とは?
竹内)
まずは「そもそもカジュアル面談とは何か」について簡単にご紹介します。
カジュアル面談は、企業と求職者がお互いに情報交換をしながら本選考に進むかどうかを擦り合わせる面談のことです。
スカウトサービスなどのダイレクトリクルーティングの普及の影響もあり、近年本選考に入る前のプロセスとして定着してきました。
Findyが実施した調査では、転職活動でカジュアル面談を経験した人の割合は7割以上という結果も出ています。
またカジュアル面談を経験する場合、一人当たり平均4.2社のカジュアル面談を受けており、人によっては10社以上受けているケースもあります。
自社エンジニア採用のカジュアル面談を担当している神谷さんからみてもカジュアル面談の実施数は増えているのでしょうか?
神谷)
そうですね、近年カジュアル面談はかなり浸透してきていると思います。
ちなみに、私が2019年に転職した際は、10社以上のカジュアル面談に臨んで、実際に選考に進んだのはその中から半分ほどでした。先ほどの調査データの平均よりかなり多い数を受けたことになりますね。
私の場合、カジュアル面談に行くことで、自分のやりたいことの絞り込みに必要な情報が得られたので、視野を拡げるためにあえて数多くの企業とお話ししました。
竹内)
かなり多くの面談を受けられたんですね!
Findyでは、以前にエンジニア366人を対象に”カジュアル面談で得られるプラスの体験”についての調査を行っており、その結果をスライドにまとめました。
大きく分類すると、「知見が広げられる」「自分の市場価値を把握できる」「今後の転職活動の準備のため」の3つの回答が多くみられました。
回答内容を見ると、必ずしも転職活動をしていなくてもプラスの価値を感じている方もいるようです。
求職者側のニーズによってカジュアル面談で話す内容が変わる?
竹内)
次に、カジュアル面談で会話する内容についてお話ししていきたいと思います。
神谷さんは、ファインディのVPoEとして転職を希望されるエンジニアの方とカジュアル面談をされていますが、面談では具体的にどのようなお話しをされることが多いのでしょうか?
神谷)
大きく2パターンに分かれます。
1つは「会社説明資料やHPを見ながら事業内容や会社紹介をする」パターン、そしてもう1つは「会社説明資料などに書かれていない詳細内容を話す」パターンです。
カジュアル面談を受けてくださる方の会社やサービスの理解度やニーズによって、どちらかを選択するようにしています。
竹内)
なるほど。カジュアル面談開始時に相手の理解度やニーズを汲み取り、そのニーズに応じて話す内容が変わってくるんですね。
エンジニアにも「カジュアル面談でどんなことを知りたいですか?」という質問をしてみたところ、「実際のコードやプルリク、Slackなどを見てみたい」「技術選定のプロセスやコーディングルールについて知りたい」という回答がありました。
神谷)
Findyではエンジニアリング組織の生産性可視化SaaSの「Findy Team+」を開発・提供していることもあって、特に開発生産性に関する質問はかなりの確率で聞かれますね。
例えば「リファクタリングなど技術的負債の解消に関する意思決定をどうやっているか?」など、現場のリアルを知っている人だからこそ聞いてみたい質問をぶつけてみるのはアリだと思います。
竹内)
ちなみに神谷さん自身が転職をされた際は、カジュアル面談でどのようなことを質問されていましたか?
神谷)
私はコーディングルールを確かめるために、「RuboCopの設定ファイル見せてもらえますか?」という質問をしていました。
プルリクなどは業務ロジックも含まれていて見せてもらうハードルが高いのですが、設定ファイルであれば面談中に見せてもらいやすいです。
「ここのルールこんな感じなんですね」という会話から、実際の仕事の仕方を聞き出せるのが利点です。
聞きにくい質問は背景や実現したいこともセットで伝える
竹内)
なるほど、プルリクなど興味はあってもセキュリティの観点で見せられないものもありますよね。
他にも”気にはなるが聞いてもいいかわからない”という質問って多いと思うんです。給与とか、リモートできるかとか。
そのあたりは聞いてもよいのか、聞くとしたらどのように聞くべきなのか、教えてもらえますか?
神谷)
働く条件や働き方が合わないとお互いに不幸になってしまうので、聞きにくいことでも重要なことは思い切って質問した方がいいですね。
とはいえ、心理的ハードルが高いと感じられる方もいると思います。そういう時は、質問の目的や「実現したいこと」を明示した状態で先方に質問するのがおすすめです。
例えば、いきなり「休憩時間を増やすことはできますか?」と聞いてしまうと、「できません」と回答されてしまうことがあります。
一方で「急な事情があった場合に子供の対応をしたいのですが、休み時間を柔軟に調整することはできますか?」と聞けば、承諾してもらえたり、別の解決策を提示してくれたりすることもあります。
竹内)
実現したいことを伝えるのは確かに大事ですね。
一方で、カジュアル面談で聞かないほうがいい質問もありますか?
神谷)
聞いてはいけないというわけではありませんが、企業側が意図的に非公開にしている内容を質問するのは控えたほうがいいかもしれません。
例えば、売上や利益の額についてご質問いただくことがあるのですが、特に未上場企業の場合、そうした情報を外部に公開できないケースが多いです。
そうするとせっかく質問いただいても何もお答えできない、というケースが生じやすいです。
カジュアル面談のミスマッチを防ぐポイント
竹内)
カジュアル面談の実施がどのような影響を及ぼすのかを調べるために、カジュアル面談後に企業へのイメージがよくなった・悪くなった体験について、それぞれエンジニアに回答してもらったコメントをまとめたスライドをご紹介します。
まず、企業イメージが良くなったという体験の共通点に、「職場の雰囲気や人柄のよさが伝わった」「社内のダメな部分も教えてくれる」など、企業側の誠実な姿勢に対する意見が目立ちました。
一方で企業のイメージが悪くなったという意見には「技術の話をしたいのに技術の話がわからない人事がカジュアル面談に出てきた」「会社説明を一方的にされて終わってしまう」など、企業担当者と面談者のニーズを事前に擦り合わせられなかった内容が多く挙げられました。
カジュアル面談で技術の話ができない人事が出てくる理由は?
竹内)
まず「人事が窓口で技術の話ができなかった」というケースについて、そもそもカジュアル面談を人事が担当する企業はどのような背景があるのでしょうか?
神谷)
人事がカジュアル面談を担当する背景の一つに、配属先が決まっていないため、カジュアル面談でどのチームに配属するかを判断したいという場合があります。
弊社(ファインディ)はVPoEである私がカジュアル面談の大半を担当していますが、会社によってはVPoEのポジションがなかったり、エンジニアメンバーのリソースを採用にかける余裕がなかったりします。
竹内)
なるほど、エンジニアの人数によっては採用に時間をかけられないという場合もありますよね。
カジュアル面談でエンジニアと技術の話をしたいという場合、どのような対応をするとよさそうでしょうか?
神谷)
背景も合わせて「エンジニアの方と話したいです」ということを事前に伝えておくといいと思います。
もちろん、全ての企業で要望が通るわけではありませんが、面談担当を変えてくれることもあります。
カジュアル面談で得たいことを事前に伝えるとミスマッチが減らせる
竹内)
ありがとうございます。
次に「会社紹介を一方的にされた」というケースについて、こうしたミスマッチを防ぐためにはどうすればいいでしょうか?
神谷)
カジュアル面談で何を得たいかを事前に伝えられるとよさそうです。
面談をする側からすると、候補者の会社や事業の理解度やカジュアル面談への期待を推しはかるのが難しいんですよね。
そのため、面談に来てくださった方から「どういう情報まで持っていて、何を知りたいのか」を最初に伝えてもらえると助かります。
例えば「会社HPを読んできたので、HPに書いていないことを知りたいです」と言ってもらえれば、さらに詳細の内容について話すことができます。
竹内)
事前にニーズを擦り合わせる行動、とても大事ですね。
ところで、神谷さんはご自身が転職活動をされていた際、カジュアル面談を有効活用するために意識していたことはありますか?
神谷)
2019年に転職活動をしたときは、「この転職で何を実現したいか」を事前にエージェントとたくさん会話しました。
転職で成し遂げたいことを明確にした上で、「どの企業に行ったら実現できるのか」をカジュアル面談で確かめていました。
カジュアル面談を複数実施すれば、自ずと転職軸の解像度が上がってくることもありますが、そのやり方だと最初のほうにカジュアル面談をした企業が転職軸に沿っているかわかりません。
よってカジュアル面談を始める前に転職軸を明確にしたことはよかったなと振り返っています。
竹内)
ありがとうございます。
カジュアル面談の事前準備が大切であるという話をしてきましたが、一方でどれだけ事前準備をしてもミスマッチが起こってしまうことはあると思います。
もしミスマッチが起きてしまった場合はどうすればいいのでしょうか?
神谷)
私も自身の転職活動でカジュアル面談を受けた際、面談の場でミスマッチを感じてしまった経験がありますが、ある程度のミスマッチは仕方がないとも言えます。
もし面談開始後に「この企業とは合わないな」と感じた場合は、その会社で働く前提ではなく、会社を知ると言うスタンスでカジュアル面談をするといいと思います。
どんな業務内容なのか、組織体制はどうしているのか、課題は何かなどを聞いて、今後の参考にするイメージです。
「面談で話すのが苦手…」「事前準備はどのくらいする?」カジュアル面談の疑問に回答
竹内)
ここからはカジュアル面談についてイベント参加者からいただいた質問に回答していきたいと思います。
コミュニケーションに不安がある場合はどうすればいい?
まず、「面談や面接などのコミュニケーションに苦手意識があるのですがどうすればいいでしょうか?」という質問です。
こちら、神谷さんいかがでしょう?
神谷)
カジュアル面談の場合は、これまでにお話しした「事前に質問する内容や目的を考えておく」ことでコミュニケーションが苦手でもやりやすくなるはずです。
本選考の場合は、もし技術力に自信があるならコーディングテストを一番最初に実施している企業を受けてみてもいいかもしれません。
エンジニアの方の中には「コミュニケーションは苦手だけど、コードを書く能力は自信ある」という方もいるため、強みを活かして選考を進めるのも一つの手です。
ちなみにFindyでは面談や面接に不安をお持ちの方向けにユーザーサクセス面談を実施しています。
ユーザーサクセス面談では、キャリアビジョンの整理や選考対策をサポートしており、面談・面接のアドバイスもできます。
またユーザーサクセス面談を通して、「コミュニケーションは弱みですが、逆にこういう強みもありますよね」という強みの発見にもつながる可能性もあるため、ぜひ一度ご利用いただけると嬉しいです。
カジュアル面談の準備はどのくらいすればいい?
竹内)
続いて、「カジュアル面談の準備はどのくらいすればいいのか?」という質問もきています。
こちらはいかがでしょう?
神谷)
企業への志望度や実施するカジュアル面談数によって、準備度合いを変えてもいいと思っています。
例えばすごく働きたい会社であれば、時間をかけて事業内容や大事にしていることなどを調べたほうが有意義な時間を過ごせます。
一方で複数社のカジュアル面談を実施する場合、1社1社に多くの時間をかけることは物理的に難しいため、準備はそこそこにして「会社のことを1から教えてください」とお願いしてもいいと思います。
私がファインディで面談をしていても、「何も知らないので1から教えてください」という方もいれば、すごく詳細まで調べてくれている方もいます。
繰り返しになりますが、「どういう情報をもっていて、どんな情報が欲しいのか」を事前に伝えてもらうことが大切です。
まとめ
以上、イベント内容の一部をご紹介しました。
参加されたエンジニアの方々からは、下記のような感想をいただいております。
「カジュアル面談に担当者・候補者の双方が何を求めているか、アンケートをベースに知ることができてよかったです。 また、自分が何を実現したいのかが不明確な状態だったので、そこから始めたいと思います。」
「カジュアル面談の中でどんな会話がされているのかすらよく知らなかったので、ユーザー側と企業側両方の視点から参加の目的を知ることができてよかったです。」
Findyのユーザーサクセス面談では、キャリアビジョンの整理や職務経歴書作成の代行など、転職検討初期のお困りごとの解決から、希望や条件に合った求人のご紹介まで幅広くサポートしています。
この記事を読んで、ユーザーサクセス面談を受けてみたいと思った方は、ぜひ下記よりご応募ください。
Findyのユーザーサクセス面談の詳細はこちら
【参考】
今回レポートで取り上げたイベント内でご紹介した各種データは、Findy調査のレポートから引用しています。定期的に調査テーマを変えてレポートを更新していますので、ご興味のある方はぜひチェックしてみてください!