「学研グループが目指すDX成功の鍵はエンジニア採用〜過去の失敗を乗り越えエンジニアを迎え入れる会社に〜」 株式会社Gakken LEAP様

創業75年以上の歴史を持つ学研グループで、EdTechの新たなサービスをプロデュースする株式会社Gakken LEAPでは、エンジニア採用において「Findy」を活用いただいています。

今回は、Gakken LEAPにてCTOを務める山内さんと、人事を務める星野さんにインタビュー。これまでにぶつかったエンジニア採用における課題や、エンジニア採用で「Findy」を活用するメリットなどについて、お話を伺っていきます。

プロフィール

山内秀樹 / 株式会社Gakken LEAP 取締役CTO・株式会社学研ホールディングス デジタル戦略室長

2000年日本経済新聞社入社し、デジタル分野でのメディア立ち上げや運営に従事。2010年には「日経電子版」創刊を担当。同時に日経電子版の会員基盤である「日経ID」の企画・開発やデータ活用に携わる。2021年からは学研ホールディングスで、GakkenIDや開発内製化などを柱としたDX戦略の推進を担当。

星野絵里子 / 株式会社Gakken LEAP 人事担当

SIer、ITコンサル企業での人事担当を経て、2013年に学研グループにジョイン。
2回の産育休取得後、2022年よりGakken LEAPへ。

過去の失敗を乗り越え、エンジニアを迎え入れる会社に

──まず最初に、Gakken LEAPがどのような会社なのか教えてください。

山内:Gakken LEAPは、2021年12月に学研ホールディングスの子会社として設立されました。教育の領域では、業界全体でなかなかデジタル化が進んでこなかった背景があり、学研グループもあまりデジタルに積極投資はしてきていませんでした。

これがコロナ禍で一気に状況が変わり、生徒全員に端末を配るなど学校のICT化も進んできました。こうした大きな変化のなかで、学研グループとしてもデジタルに力を入れていくことになったんです。

学研グループには、全体で2万人の社員がいて、50社くらいの会社があります。しかし、そのなかでDXを推進できる人はほとんどいませんでした。当然、その状況でデジタルサービスを展開していくのは難しいですから、推進していく人材が必要です。ところが、エンジニアに安心して来てもらえるような環境が、当時の学研グループにはありませんでした。

そこで、今までのやり方を全部取り払って、Gakken LEAPという会社をつくったんです。いわゆる大企業的な体制ではなく、エンジニアのための人事制度を設けて、エンジニアが自由に端末やツールを選べるような環境をつくりました。今までに失敗してきた過去を踏まえ、反省のもとにつくられた組織でもあります。

──過去の失敗というのは、どういうものだったのでしょうか?

山内:プロダクトづくりとエンジニア採用の2つです。学研グループには、教育や福祉のエキスパートがたくさんいますから、その人たちを中心にプロダクトづくりを進めようとしたんです。しかし、その人たちはデジタルケイパビリティを持っているわけではないので、様々な課題が顕在化する状況になりました。

基本的な進め方としては、つくりたいものをSIerに伝えて発注することになります。その際に相見積もりを取るのですが、要件を十分に理解できていないから安い見積もりのところに発注してしまう、というようなことが起きるわけですね。こうなると当然、自分たちが求めているクオリティのものが出来上がってきません。

さらに、デジタルサービスは常にアップデートが必要ですが、そういったところもあまり理解されていなかったので、1回つくって終わりと考えてしまいます。あとから継続してアップデートしていこうと考えても、最初にSIerに依頼したときと同じ金額をかけ続けるのは難しい。そういったところで壁にぶつかってしまいました。

こうして、従来のやり方では無理だとわかって、エンジニアを採用しようとしたんです。ところが、環境が整っていないのでエンジニアが採用できない。マネジメントレイヤーのエンジニアをピンポイントで採用できましたが、それだけでは状況は変わりません。こうした失敗から、一気にモデルチェンジすることになったという経緯があります。

従来の年功序列から脱却した、Gakken LEAPの人事制度

──Gakken LEAPは、エンジニア組織が中心となっている会社なのでしょうか?

山内:はい、そうです。DX戦略会社なので、デジタルケイパビリティを持っている人材を幅広く採用していますし、最終的にはEdTechの事業をつくるところが主眼にあるので、事業人材も多いです。

元コンサルタントやBizDev、カスタマーサクセスなど、そういった人たちも積極的に採用しています。ですが、やはり学研グループにいなかった存在で、かつGakken LEAPで中心になっているのはエンジニアです。

──エンジニア採用を始めるにあたって、ほかにも苦労されたポイントはありますか?

山内:たくさんあります。まず、そもそもマインドや考え方が浸透していないなかで採用を始めようとすると、人材要件が決まらないんです。社内の人たちは、エンジニアというと、フルスタックでかつPM、データサイエンティストもできるというような、何でもできる魔法使いみたいな人のことを思い浮かべるんですよ。でも、そんな人はいませんよね(笑)

ただ「エンジニア募集」とだけ言って、来てくれる人はいませんから、具体的なポジションや期待することを細分化していかなければなりません。そういう状況で、どうアトラクトしていけばいいかもわからないところからスタートしたので、苦労しましたね。

──エンジニアの処遇について、具体的にはどのような制度を設けられたのでしょうか?

星野:Gakken LEAPの人事制度は役割や成果に応じて報酬が決定されるシンプルな制度で、おそらくIT業界の方やエンジニアの方が見たら、一般的な内容に感じると思います。ですが、これまで学研グループでは、毎年少しずつ昇給し、勤続年数に応じて昇格していくような年功序列に近い形の人事制度が中心だったため、そうした従来の制度から脱却したところが最も大きいです。

Gakken LEAPの人事制度では、役割の種類を表すロールと、役割の大きさを表す等級を設けています。ロールごとの等級には、どういったことが求められるかを示すレベル定義があり、上の等級に行くにつれてコントロールする範囲も広く複雑になっていきます。

エンジニアはキャリアパスが分かれていて、PMやPdMなどのマネジメント側に進む道もあれば、テックリードやスペシャリストとして専門分野を突き詰めていく道もあります。レベル定義はすべてのロール・等級のものが公開されているので、
自分がひとつ上に行こうと思ったらどんなスキルや実績が必要か、といったことも容易に知
ることができます。このように、エンジニアが自身のキャリアを描きやすい人事制度を用意しました。

成果を上げれば若い人でも給与がアップしますし、短い期間でもどんどん上を目指せる制度になっています。最近はこれに加えて、よりエンジニアの方に生き生きと働いていただけるように、資格取得の奨励金制度、研修や書籍の費用負担制度、社員紹介のリファラル制度なども新たに設けています。

──大手企業では、ビジネス側との整合性などの部分で難しさがあることも多いようですが、そこはGakken LEAP独自のものとして進められたのでしょうか?

山内:そうですね。完全に独自の組織をつくることを標榜して、それに向けて進めてきました。むしろ、ホールディングスの経営陣からは、「モデルをつくってほしい」と後押しをもらっている状況でしたので、ドラスティックに変えています。

例えば、一般的な日本の会社では、30代でシニアマネージャーになって年収が千何百万、という人はなかなかいないと思います。学研グループを見渡しても、そういう人はほとんどいません。ですが、Gakken LEAPでは、年功序列ではなく実績やスキルで評価していますから、実際に30代半ばで部長級としてお迎えした人が複数出てきています。

星野:ビジネス側との整合性という面では、人事制度においては、給与レンジの幅を持たせてあったりなど、整合性を取りやすくしている部分もあります。また、すごくシンプルな人事制度にしてあるので、GakkenLEAPの成長フェーズに合わせて柔軟に人を採用したり、幅広いキャリアやご経験の方を受け入れるということがしやすくなっています。

「Findy」なら、求める人をピンポイントで見つけられる

──「Findy」を導入いただいた、きっかけについて教えていただけますか?

山内:人事部門がお願いしていた採用コンサルタントの方に、どの媒体を使うべきか聞いたところ、「Findy」さんの名前が挙がったのがきっかけです。僕自身が前職で「Findy」さんを使っていて、よく知っていたこともあり、実際に導入することになりました。

──「Findy」の導入前には、エンジニア採用においてどのような課題がありましたか?

山内:まずは、機会の拡大が必要だったということが1つあります。それから、エンジニアと一括りに言っても、スキルセットはさまざまなので、エージェントさんから紹介を受けても、スタックが合わないことが多くありました。

僕たちもだんだん人数が増えてくるなかで、「今はこれができる人を採用したい」と具体的に考えています。今までは想像でスカウトを送っていた部分がありましたが、「Findy」では何がどれくらいできる人なのかが可視化されていて、必要とする人をピンポイントで探すことができるので課題の解消につながりました。

──「Findy」を使って良かったポイントについて教えてください。

星野:「Findy」では、得意とする言語やこれまでの職歴などに加えて、自分がどんなことをやっていきたいかや、どんな環境を望んでいるかといったことまで、シンプルに表示されるのでとても見やすいです。我々はポジションだけでなく、求める人物像もいくつかの軸を定めていますので、それと合う人を探しやすいと感じます。

──「Findy」で表示されるスコアは、実感と合っていると感じますか?

山内:フリーランスの人は、自分で書いたコードをフルで公開できるので、少しスコアが高く出る傾向があるかなと思います。ただ、少なくとも何ができる人なのか、例えばRubyで開発できるとか、AWSに理解があるとか、そういったところは外れない印象です。

履歴書だと、少し触れたことがある程度のものでも、経験したスタックとして書く人が多いですよね。でも、実際にコードを書いていないとスコアには出ないので、そういった点で信頼できます。

星野:自己PRなども、皆さん結構カジュアルに本音を書いてくださっていると思います。そこで「この人はRubyを極めていきたいんだな」とか、「今はバックエンドだけどフロントエンドをやっていきたいんだな」といった志向を把握したうえで、それがスコアで裏付けされていると、より信頼感を持ってスカウトできます。

つい最近「Findy」からご入社いただいた方がいて、どんな内容を登録していたか見返したのですが、「Findy」から想像した方と実際の人物像にほとんど相違がありませんでした。「Findy」では、実際にお会いしたらイメージと違ったということが基本的になく、人物像を想定したうえでお会いできるので、そこも魅力の1つだと思います。

エンジニア採用を支えるカスタマーサクセスのサポート

──そのほかにも、「Findy」ならではのメリットを感じられた部分があれば教えてください。

星野:カスタマーサクセスの方々のサポートには、とても助けられています。採用のために割ける時間など、こちらの状況をしっかりと把握したうえで、きちんとフォローアップする体制を敷いてくださっています。

悩みを聞いてくださったり、ときには「この部分は、週にこれくらいの時間を取ってくださいね」と後押ししてくださったりと、手厚く対応いただいています。最近の採用に関する情報や、エンジニア採用のコツなども教えていただけて、非常にありがたいです。

少子化が進み、“短期決戦”が求められる教育のDXに挑む

──最後に、御社の今後の展開について教えてください。

山内:少しずつ仲間が増えてきて、今やっと30人を超えるくらいの組織になってきました。ただ、学研グループ全体では50社もありますから、グループ全体でデジタル化を推進していこうと考えると、まだ全然足りません。なので、当面は100人くらいの採用を目指して、引き続き採用をしていきたいと思っています。

デジタル人材を増やすことで、事業としては教育のDX、医療福祉のDXをより進めていきたいと考えています。特に教育に関しては、少子化の影響を大きく受けます。僕らの世代はひと学年に180万人もいましたが、今は出生数が80万人を切っていますから、半分以下になります。そうなると、今までのようにさまざまなバリエーションでサービスを提供していくことが、難しくなる可能性があります。

私たちは、公教育(学校での教育)以外にもバラエティに富んだ「学び」の充実こそ、子どもの人生を豊かにすると考えています。実際に、学校の外で出会った興味・関心が子どもの個性を伸ばすきっかけにもなります。次世代の子どもたちを育んでいくために、教育のコンテンツやサービスのバリエーションを維持していくのは、80年近く「学び」のサービスを提供し続けてきた企業としての務めだと思っています。そのために、デジタル人材を採用して、今までのサービスを生まれ変わらせたり、利益率を上げたり、デジタルで提供する新しいコンテンツを作ったりしなければなりません。今がまさに転換期です。

それから今、学びは生涯続けていくものに変わってきています。なので、大人向けの教育でも、一石を投じるようなサービスを作るために、今いくつか新しいサービスのトライを始めています。今まであまりバリエーションがなかった大人の学びに、多様性のあるサービスを作っていくこともミッションの1つだと考えています。

これから少子化はものすごい勢いで進んでいきますから、教育のDXは短期決戦です。まさに社会課題の解決そのものだと思うので、そういったところに価値を感じて、一緒にやってみたいという方が来てくれることを期待しています。

──山内さん、星野さん、ありがとうございました!