【エンジニア採用の最前線Vol.4】HERP×Findy「メルペイとスマートキャンプが語る!採用につなげるテックブログ運営の秘訣」イベントレポート

2020年12月16日(水)、株式会社HERPとファインディ株式会社が共催するオンラインイベント「エンジニア採用の最前線 Vol.4 メルペイとスマートキャンプが語る!採用につなげるテックブログ運営の秘訣」が開催されました。
難易度の高いエンジニア採用で、母集団形成・候補者への魅力づけの手段として挙げられるテックブログ。しかし、実際には立ち上げや継続発信に苦労している企業が多く、採用へ繋げるに至らないケースも多くあります。

そこで今回、テックブログを高いレベルで継続発信している、株式会社メルペイとスマートキャンプ株式会社のブログ担当者をお招きし、継続発信の体制づくりやモチベーション維持など、テックブログ運営の秘訣を語っていただきました。

登壇者

安藤 喜子 / 株式会社メルペイ / Engineering Office Team / Project Manager, Tech PR

安藤 喜子

2018年にメルカリへ入社。2019年よりメルペイ Engineering Office Team 所属。エンジニア向け Twitter の運用、ブログの推進、技術イベントの企画運営をしつつ、エンジニアリング部門の予算管理なども担当している。
「今回は、直近のメルカリエンジニアリングブログに関する施策の裏側について話す予定です。」

中川 眞誠 / スマートキャンプ株式会社 / プロダクト事業本部 ソフトウェアエンジニア

2019年からスマートキャンプにジョイン。入社直後からソフトウェアエンジニアとして新規事業のインサイドセールス管理システム『BALES CLOUD』を開発。フロントエンド、バックエンドを横断して担当する。正式リリースを経た現在も保守運営と並行し開発を続ける。
さらに上記主務と兼務する形でテックブログの運営も行っている。

中川 眞誠

モデレーター

冨田 真吾 / 株式会社HERP / レベニューマネージャー

冨田 真吾

京都大学人間環境学研究科修了。株式会社ビービットに入社。デジタルサービスのUXコンサルティングに従事したのち、SaaS型の分析クラウド「USERGRAM」のインサイドセールスチームの立ち上げ、プライシング戦略の立案などに従事。HERPに参画後は、レベニューマネージャーとしてマーケティングからカスタマーサクセスまでビジネスサイド全般を管轄。

松岡 佑馬 / ファインディ株式会社 / マーケティング

ブルースロックが好きなHRテックフリーク。ソウルドアウト(株)2014年新卒入社。SMB領域のクリエイティブ制作とマーケティング支援に従事。新規事業で人材系企業立ち上げを経て、2019年4月よりファインディ株式会社へジョイン。 セールス・B2Bマーケティング・CSを経験。
現在はマーケティング全般を担当。

松岡 佑馬

テックブログ担当者2名の自己紹介からスタート

司会を担当するHERPの富田と申します。本日はよろしくお願いいたします。まずは、ご登壇者のお二人から自己紹介をお願いできますでしょうか。

冨田 真吾

安藤 喜子

株式会社メルペイのエンジニアリングオフィスというチームに所属している、安藤喜子と申します。メルカリグループには2018年の4月に入社しまして、社歴は2年半ほど。メルペイには、ちょうど1年前頃に異動しました。

安藤 喜子

エンジニアリングオフィスチームで主に行っているのは、メルペイエンジニアの社外発信や露出の強化。その他には、エンジニア組織の課題があれば、都度プロジェクト化してそれを推進したりしています。弊社は「社外発信によって業界の発展に貢献する」と明言していて、社外発信は正だという雰囲気がとても好きです。

弊社では今、エンジニアと私が所属するチームのメンバーを募集しているので、興味がある方はぜひ一緒に働きませんか、という宣伝を挟んでおきます。よろしくお願いします。

スマートキャンプでエンジニアをしております、中川眞誠と申します。経歴としては、大学卒業後に独立系のSIerに入社し、受託開発のエンジニアとして案件に携わった後、2019年からスマートキャンプにジョインしました。現在は、インサイドセールス管理システム「BALES CLOUD」の開発や保守運営をしています。

テックブログについては、入社してすぐの頃に運営をしないかという話をもらい、執筆者兼運用担当者という形で今に至ります。よろしくお願いします。

中川 眞誠

テックブログ立ち上げ背景と社内での位置づけ

冨田 真吾

では、ディスカッションテーマの1つ目に入りたいと思います。まずは、テックブログの立ち上げ時期や背景、社内でどういった位置づけにあるのかについて。安藤さんからお伺いしてもよろしいでしょうか。
メルカリのテックブログは、私が入社する前からありました。立ち上げた人は、当時のCTOの柄沢聡太郎さん。時期としては2015年頃ですね。

聡太郎さんが立ち上げたテックブログとしては、3つ目にあたります。1つ目がグリーのテックブログ、次のクロコスでも同じく聡太郎さん立ち上げで、メルカリが3つ目。自身で「やろうぜ」と音頭をとって、立ち上げられたという感じでした。

安藤 喜子

冨田 真吾

立ち上げ時と現在では、テックブログを続けている理由も変わってくる部分があるかと思うのですが、その辺りはいかがですか?
それで言うと、ベースは変わっていません。もちろん技術力あるつよつよなアウトプットも良いのですが、聡太郎さんとしては、内容よりも発信することそのものが正義というスタンスだったんですね。

そういうカルチャーを作ろうと取り組んできたので、聡太郎さんが退職された後も、そのカルチャーは残っていて。アウトプットすると自分たちの学びにもなるし、世の中のためにもなるよね、という考え方は今でも浸透しています。

安藤 喜子

冨田 真吾

採用に繋げることについては、どれくらい意識されていますか?
自分がテックブログ担当になった時、実際どれくらい採用に意味があるんだろうと思って、直近半年くらいに入社した人に「弊社のテックブログを見ましたか?」というアンケートを取ったんです。そしたら、全員が見ていたんですよ。「すごい読んでました」とか「ためになりました」というポジティブなコメントをもらいました。

安藤 喜子

一方で、最近までマシンラーニングについてアウトプットをしていなかったので、そのタイミングで入社した人からは、「マシンラーニングのタグがなくて甘いなと思った」というコメントもありました。なので、採用候補者に対するアトラクトの意味はあるのかなと思っています。

安藤 喜子

冨田 真吾

なるほど。採用でいうと、アトラクトの部分が大きいということですね。
そうですね。透明度が高くなるので、あまり飾っていなければ入社後のギャップも少なくなると思います。「他社さんと比べて情報が多くて、働くイメージがわきました」と言って、最終的に決めてくれた人もいました。

安藤 喜子

冨田 真吾

続いて、中川さんからもテックブログの立ち上げ背景などについて、お話いただけますでしょうか。
僕も立ち上げからではなく、引き継いで運営している形になるので、前任者から回答をもらってきました。テックブログが立ち上がったのは、2年ほど前になります。

中川 眞誠

立ち上げ当時の担当者としては、テックブログをやっている会社は技術に理解があったり、エンジニアが活躍していたりするイメージがあって、テックブログを始めることに憧れがあったそうです。もともと社内のエンジニアに個人で発信ができている人も少なく、業務の時間を使って皆で取り組めば、価値が出せるのではないかと考えたことが1つ。

中川 眞誠

それから、当時は採用に苦戦していて、選考が進んだ末に「他社の方が技術的に成長できそうだから」といった理由で、辞退される方が結構いたという背景がありました。

中川 眞誠

事業領域がtoBなので社外へ発信する機会が少なく、なかなかエンジニアにアプローチできるきっかけもなくて。社内には技術が好きなメンバーも多いし、やっていることも面白いのに伝えきれていない。そこを伝えるためにやってみよう、というのがもう1つの理由です。

中川 眞誠

冨田 真吾

安藤さんのお話とも通じますが、まさにアトラクトの部分での狙いが大きかったということですね。
そうなります。認知も欲しかったのですが、アトラクトの面でプラスになってほしいという思いがあったことが経緯になっています。

中川 眞誠

役割分担やフローなど、気になる両社の運用体制

冨田 真吾

続いてのテーマは、役割分担や記事発信までのフローなどの運用体制についてです。安藤さんからお伺いしてもよろしいでしょうか。
運用体制としては役割が大きく4つあって、テックブログのサイト開発構築をする担当と推進担当、そしてレビュアーと書き手というのがブログに関わる人たちです。

安藤 喜子

弊社はWordPressを使っているのですが、書き手が使いにくいところなどを開発担当が改善していきます。そして、推進担当の自分が、1年から1クォーター単位で記事の執筆頻度や、アウトプットされている技術領域などを確認しています。少ないところがあれば、直接マネージャーに「何かネタないですか?」と伝えたり。あとは、アドベントカレンダーなど、書くきっかけになる特集をリードしたりしています。

安藤 喜子

レビュアーは、記事の質を高めるために必要な存在だと思っていて。書き手のチームメンバーや、社外発信に積極的なメンバーが有志でレビュアーをしてくれています。

安藤 喜子

冨田 真吾

書き手のアサインの仕方や、締め切りの区切り方なども気になります。
通常記事は基本的に期限を設けていませんが、例えば「今期中にこの技術領域から1本公開したい」というのがあれば、今期中にみたいな。でも、やっぱり本業が優先なので、今週中にとかはなくて1ヶ月くらい待ちますね。

安藤 喜子

アドベントカレンダーは10月くらいから準備を始めて、10月末くらいに書き手リストと執筆ガイドラインを作成。レビュー依頼の仕方や、貼ってほしい採用のリンクなどをまとめて、社内で応募をかけます。アドベントカレンダーの書き手のスプレッドシートが手元にあるので、それをお見せしますね。

安藤 喜子

中川 眞誠

これめちゃくちゃ有用なやつですね。貴重な資料だ。
本当ですか? じゃあ、テックブログでこの運用について書くと良いかな(笑)。

安藤 喜子

冨田 真吾

ちなみに、はてなブログやnoteもある中で、WordPressを選定された理由を教えていただけますか?
今年の7月くらいまでは、はてなブログを使っていました。そこからWordPressに移行した理由は、テックブログだけではなく、技術スタックやエンジニアカルチャーなどを扱うWebサイトの1つのコンテンツにしたかったからですね。

安藤 喜子

あとは、記事の更新のしやすさなどを諸々考えると、はてなブログは少し機能が足りなかったので。CMSにして、他のページの更新もブログの更新もできる状態にしました。

安藤 喜子

冨田 真吾

続いて、スマートキャンプさんの運用体制について教えていただけますでしょうか。
役割分担で言うと、弊社はエンジニアやPdMがテックブログに投稿していて、総勢12名ほど。なので、だいたい3ヶ月に1本くらいを持ち回りで担当しています。運営は、僕を含め2名で回している形です。

中川 眞誠

載せているサイトははてなブログなので、特に自前で構築したりはしていません。はてなブログにした理由はちょっとわからないのですが、はてなブログでテックブログを書いている人が多いので、そのイメージが強かったのかなと思います。

中川 眞誠

冨田 真吾

コメントで「運営2名のうち専任の方はいますか」と質問いただきました。技術広報をミッションとする方がいるのかというご質問だと思いますが、いかがでしょうか。
いえ、運営は2人ともエンジニアで兼務で回しています。

中川 眞誠

冨田 真吾

この辺りはメルペイさんと対照的で面白いですね。
そうですね。うちはかなりスモールめなのかなと思っています。アドベントカレンダーも昨年挑戦したのですが、12人だと1人あたり月に3記事くらい書かなければならず、それより記事の質を上げようという話になりました。スモールチームならではの悩みもあるかなと思います。

中川 眞誠

冨田 真吾

スマートキャンプさんは、持ち回りで全員がテックブログに参加されているんですね。
はい。もともとは持ち回りではなかったのですが、どうしても書く人に偏りが出てしまって。テクニカルライティングの基礎能力は書かないと上がらない部分もありますし、書きたがらない人がいつまでも書く側にならないというのがあって、持ち回りになりました。

中川 眞誠

冨田 真吾

なるほど、やはり一定の強制力も必要になりますよね。コメントで「どうやってハードルを下げるか」といったご質問もいただいています。
今、少しでもハードルを低くできる仕組みはないかと模索しています。直近は、運営メンバーのWebミーティングに執筆者の方を招待して、書きたいテーマを聞いたり書いてほしいテーマを伝えたりして、アウトラインまでその場で作ったりしています。これをやっておくと、結構良い取っ掛かりになるという実感がありますね。

中川 眞誠

冨田 真吾

ちなみに、メルペイさんはエンジニアの何割くらいがブログを書いたことがあるのでしょうか?
弊社の場合は、2~3割だと思います。

安藤 喜子

テックブログは、実際どう採用に繋がっているか

冨田 真吾

続いてのテーマは、採用への貢献についてです。先ほどアトラクトに効くという話が出ていましたが、それ以外にも採用に貢献しているところがあれば教えていただけますでしょうか。中川さんからお願いします。
自分は採用に関わっていないので、採用担当者からヒアリングした内容をお伝えします。テックブログからどれだけ成果が出たか、定量的にはわかりづらい面もあるのですが、採用における認知向上は、テックブログを始めてから明らかに、担当者の方が実感するレベルで新卒・中途ともに上がったと聞いています。中途の方では、テックブログで弊社のことを知って応募したというケースもあったようです。

中川 眞誠

それから、2年前に始めたテックブログを、ペースを維持しながら今まで途切れずに更新しているので、特に中途の方からは、そういうことができる組織自体を評価していただいていたりもします。当初の課題だった、技術面が理由で辞退されてしまうという悩みも解消されてきているので、良かったなと思っています

中川 眞誠

冨田 真吾

内容だけでなく、発信し続けていること自体に意味があるということですね。安藤さんも採用に関するところ、改めていかがでしょうか。
mercanというオウンドメディアは、ジョブディスクリプションへの流入を見ているのですが、テックブログは見ていなくて。ただ、ジョブディスクリプションに、技術やポジションに関係あるちょっとバズった記事を載せておくと、候補者の方が見て理解を深めてきてくれることがよくあります。なので、採用担当から「良い記事ないですか?」と聞かれたりしますね。

安藤 喜子

どうしても募集要項は定型的な羅列になりやすく、技術的な深いところまで書きにくい。でも、エンジニアの方は気になりますよね。なので、技術やエンジニアカルチャーが伝わるものが欲しいと採用担当から言われていて、そういう意味では採用への貢献になるのかなと思います。

安藤 喜子

冨田 真吾

ジョブディスクリプションの他に、スカウトの文面にリンクを入れるケースもありますよね。
そうですね、入れています。これは弊社のケースですが、スカウトを打つ時に「イベントをやるので来ませんか?」と送っていて。そのイベントの登壇者を「このブログを書いた人です」と紹介するので、それが良いブログだとイベントに来てもらえる。イベントに来てもらえると、タレントプールや母集団形成に繋がっていくというのがありますね。

安藤 喜子

冨田 真吾

松岡さんもお客様と接する中で、テックブログに関する相談を受けることがあるかと思うのですが、いかがですか?
かなりありますね。ここまでのお話を聞いていて僕も同じ考えなんですけど、アトラクトを目的とした方が良いと思っています。「テックブログを開設したけど、応募数が増えなかったから辞めてしまった」という声をよく聞くのですが、そもそも応募者の集客を増やすためにやるものではないかなと。集客をちゃんとやった上で、テックブログもやるとより効率的になる、と考えるのが良いと思いますね。

松岡 佑馬

継続して発信するためのモチベーション維持は?

冨田 真吾

続いてのテーマは、継続発信のためのモチベーション維持についてです。先ほど、中川さんからも継続の重要性に関連するお話がありましたが、改めてお伺いできればと思います。
継続発信は本当に重要ですが、とても大変だと思っています(笑)。弊社はまず、技術広報をなぜやるのかについて、CTOやVPoEが自社なりのドキュメントを作成しています。あと、社外発信を評価対象に入れることも明言していますね。

安藤 喜子

冨田 真吾

スマートキャンプさんでも、社外発信は評価に紐づいていますか?
はい。社外発信自体が評価に入るので、テックブログもその一部として含まれます

中川 眞誠

冨田 真吾

社外発信がしっかり評価にも紐付いてるのは、すごいことですね。
個人ブログで書いて個人が有名になるのもいいですけど、それをわざわざ会社のブログで書いているわけですから、誰が得するって会社が得していますよね。そこはメリットがないと、書き手も書く気にならないのかなと。

安藤 喜子

あと、1年に何度か新入社員がいるので、定期的にトップから「技術発信は正だ」という思いを、エンジニア全員が参加するミーティングで伝えたりもしていますね。そして、そう言っているからには、トップもブログを書きます。

安藤 喜子

それから、実際にテックブログを書いている人に、書いたことによるメリットを社内プレゼンしてもらったり。私としては、クォーター単位で誰がどんな発信をしたか、その効用を定性・定量でフィードバックしたり、書いた人にアンケートを取って、モチベーションが何かを見たりもしています。

安藤 喜子

冨田 真吾

アンケートで傾向として現れていたことはありましたか?
傾向としては、「○○さんに書いたらと勧められた」とか「このネタで誰か書こうよ」といった、他薦がきっかけで書く方が多かったですね。自分から書きたいと言って書く人って、弊社でも2~3名いるかどうかなので。いかに声を掛けていくかとか、書くことは良いことだという雰囲気を作っていくかを意識しています

安藤 喜子

冨田 真吾

テクニカルなことしか書けない人もいるかと思うんですが、どう対応するのでしょうか?
書くこと自体が大事で、良い記事を書こうとする必要はないんですよね。マサカリ投げられそうで不安だという人もいるんですけど、それは公開する前に社内でちゃんとレビューするから大丈夫ですよと。炎上したり本人が傷つくようなことになったりしないように、しっかりフォローしますよということを伝えています。

安藤 喜子

冨田 真吾

マサカリというのは、炎上するとか否定的なことを言われるとか、そういった理解であっていますか?
だいたいそういった理解であっていると思います(笑)。結構キツめの言葉が飛んで来たり、みたいなことですね。

中川 眞誠

冨田 真吾

継続的に発信していくことに関して、中川さんはいかがでしょうか?
継続発信については、一部のメンバーに負担がかかることを解消したかったので、仕組み化に注力していて。モチベーションを高める解決法というよりは、モチベーションに左右されないような仕組み化に注力しています。

中川 眞誠

冨田 真吾

コメントで「法務部門のチェックがつらい」とか「何度もレビューしないように気をつけているポイントはありますか?」というご質問もいただいています。この辺りで意識されていることはありますか?
弊社はそもそも、そんなに厳しい法務チェックが入ることがないので、安藤さんの方が詳しいかなと思うんですが、どうですか?

中川 眞誠

安藤 喜子

レビューについては、本来は社外に出るものは基本PRレビューを入れる必要があるのですが、テックブログはPRチェックを入れなくても良いということにしています。

安藤 喜子

アドベントカレンダーなどの連続投稿企画の時は、知財メンバーに見てもらっていますが、エンジニアの技術のことだけフォーカスして、知財にクリティカルじゃなければ基本的には大丈夫という形になっていますね。
もう1つコメントで「メルペイさんも業務時間を使って書いて良いルールになっているのでしょうか?」というご質問をいただいています。

冨田 真吾

安藤 喜子

その通りです。ブログを含め、社外発信はすべからく業務時間ですね。インプットもアウトプットありきであれば業務時間になるので、イベントやカンファレンス参加も業務時間になったりします。
「技術広報からのプレッシャーが強くて開発が進まない」みたいな、そういうことは起きたりしませんか?

冨田 真吾

安藤 喜子

今のところないですね。本業に影響がないように、すごく気をつけています。アドベントカレンダーに参加する人には事前に「難しければ代打の人を探すので、言ってもらえれば全然大丈夫ですよ」と伝えているし、厳しそうだという連絡があったら、「じゃあ今回はやめておきましょう」と言います。決して無理強いはしないように意識しています。
もう1つコメントでいただいているのが、「1記事にどれぐらい時間を使っていますか?」というご質問です。安藤さんいかがですか?

冨田 真吾

安藤 喜子

ブログにかけてる時間は1記事あたり、1日(8時間)程度じゃないでしょうか。下書きを書いてレビューを依頼して、反映させて公開まで…が、書き手のタスクです。人にもよりますが、期間で言うと1週間くらいの中で、1日分の稼働があるんじゃないかと思います。
中川さんはいかがですか?

冨田 真吾

中川 眞誠

うちもだいたいギュッと圧縮すると、丸1日分くらいだと思っています。レビューでどれだけ手戻りが発生するかもあるので、一概には言えませんが。だいたい平均5000文字前後で、丸1日ぐらいで仕上げてくれる方が多いです。

テックブログを”なぜやるのか”を定めることが大切

それでは最後に、これからブログを始める方に向けて、”テックブログ運営の秘訣”を改めてまとめていきたいと思います。安藤さんからお願いできますでしょうか。

冨田 真吾

安藤 喜子

まずは、自社なりのブログをやる意味や目的を決めること。それから、トップを含め会社として「テックブログやりたいよね」という状態になっていることが重要かなと思います。

安藤 喜子

ある程度の余裕がないとできない施策だと思うので、例えば採用も中長期的なところを見越してやりたいと思い始めた時に、自社のメンバーにどういう位置付けでブログをやるかを言えるようにまとめておくことが大切ですね。

安藤 喜子

そして、もしいち担当者がやりたいと言うなら、上部とちゃんと握っておくこと。上部がやりたいと言うなら、ちゃんと社内に伝えることは重要だと思います。それができていないと、更新されなくて苦しいだけになってしまうので、やめた方がいいと思います。
ありがとうございます。中川さんもお願いいたします。

冨田 真吾

中川 眞誠

僕も安藤さんとかなり同じ内容で、なぜやるのかを明確にすることが一番かなと思っています。やり始めると結構大変ですし、もし継続できなければ、放置されたテックブログが出来上がってしまうリスクを抱えているんですよね。

中川 眞誠

それがマイナスプロモーションに繋がることに気をつけなければならない。「とりあえずやってみよう」と見切り発車すると、リスクがあるということはお伝えしておきたいです。
何ヶ月以上更新がなかったら閉じるとか、最初に決めて始めるのがいいかもしれません。とはいえ、ネット上に残るものなので、魚拓を取られたら「この会社こういうブログ書いてたけど、今はないよね」みたいなことが起こってしまうので(笑)。やっぱり「やるぞ」という意志を持った人がいないと難しいですね。

安藤 喜子

冨田 真吾

他の施策であれば「まずやってみて検証しましょう」と背中を押すことが多いのですが、テックブログに関しては相応の覚悟が必要ですね。
そうですね。オウンドメディアとかであれば、編集者の方に任せることができますが、テックブログは社員が書かなければならないので、他のメディアよりも難易度が高いんじゃないかなと。でも、やりがいも社会的な意義もあると思うので、もっと業界全体的にテックブログが盛り上がっていくといいなと思います。

安藤 喜子

冨田 真吾

安藤さん、中川さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!