【エンジニア採用の最前線Vol.2〜後編】HERP×Findy「Kyashとカラクリが語る!エンジニアを巻き込む採用オペレーション」ウェビナーレポート

2020年6月11日、HERPとFindyが共催するウェビナー「Kyashとカラクリが語る!エンジニアを巻き込む採用オペレーション」がZoomにて開催されました。

ゲストにお招きしたのは、エンジニアとの協力体制を構築することによってエンジニア採用を成功に導いている、カラクリ株式会社の小金井美輝さんと株式会社Kyashの岡田真由美さん。それぞれの会社で人事を担当するお二人に、エンジニア採用の成功事例やその裏側についてお話いただきました。

お二人によるプレゼンテーションを中心として、参加者からのコメントによる質疑応答タイムを含めて進行された本ウェビナーのトーク内容をお届けします。

前編はこちらから→https://findy-code.io/enterprise-service/webiner_report_karakuri/

登壇者プロフィール

小金井 美輝・カラクリ株式会社 People Operations

小金井 美輝

新卒で大手人材系企業に入社。その後、ソーシャルゲームを開発する会社で人事として、中途採用を経験。エンジニア採用においては、技術広報などのイベント企画も行う。
2018年11月に現職、カラクリ株式会社の目指す世界観に共感し、一人目の人事として入社。中途採用をメインに人事全般を担当。趣味は、コーヒーと音楽とゴルフ。

岡田 真由美・株式会社Kyash 人事採用

岡田 真由美

都内の女子大卒業後、数社経て、2011年株式会社JADE入社(現:株式会社ロコンド )カスタマーサポート→経理→社長秘書兼総務を経験する。株式会社メルカリコーポレートプランニンググループにて総務を担当。
2016年9月より株式会社 Timersに採用アシスタントとして入社。2017年5月~2019年3月まで産休・育休を取得後、2019年4月より復職。Kyashの事業に大きな将来性を感じ、2019年11月より現職。趣味は大相撲観戦。推し力士は玉鷲。

黒子に徹してエンジニアを採用に巻き込む採用体制の組み方

――続きまして、Kyashの人事を担当されている岡田さんから発表いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

岡田:
本日は、「黒子に徹してエンジニアを採用に巻き込む採用体制の組み方」というタイトルでお話させていただきます。

Kyashについて簡単に説明させていただくと、今年で創業6年目になり、現在80名ほどの規模になる会社です。今年の3月には大型の資金調達をしました。「Kyash」というウォレットアプリを展開しておりまして、アプリの中で決済や送金ができるサービスになっています。

Kyashのエンジニア採用オペレーション3つの特徴

弊社の採用オペレーションについて説明させていただくと、主な特徴として下記の3つがあります。

・その1:採用にコミットするつよつよエンジニアが多数在籍
・その2:選考フローにおいて役割を明確に
・その3:最終面接の前は候補者さまごとに事前にSyncという共有会を行う

その1について、Kyashでは主に上のエンジニア4名が中心となって採用活動を行っています。中でも、エンジニアリングマネージャーのkonifarは、Twitterやブログで知っているという方も多いかもしれません。この4名以外にも、何名かのエンジニアが面接に出たりしています。

その2の選考フローにおける役割に関しては、カジュアル面談や面接に先ほどのエンジニア4名は基本的に誰でもアサインできるようにしています。そして、ポジションごとにHiringマネージャーを置き、その役割もきちんと明言しています。Hiringマネージャーの主な役割としては、この5つです。

・現場で決めた採用要件と実際の状況とのすり合わせ
・ヘッドカウント(採用目標数)の数字コントロール
・候補者への期待値のすり合わせ
・内定承諾~入社オンボーディングまで見届ける
・現場メンバーおよび採用チームとの各種相談

それから、選考フローチャートを作って、ポジションごとに”誰が・どこで”担当するかを明記し、いつでも見られる状態にしています。こうしてどこにボールがあるかを明確にしておくことで、迷わず円滑に進められるようになります。必要に応じて、適宜メンテナンスも行っています。

そして、その3の最終面接前のSync会について。主な参加者はCTOとCEO、担当エンジニアリングマネージャー、そして採用担当です。採用担当はファシリテートを行います。

Sync会では、ATSの評価履歴を使いながら、注意して見極めて欲しい点や懸念事項、どんなことを中心にアトラクトして欲しいか、といったことを話します。

エンジニア職の最終面接は、最初にCTOが45分出て次にCEOが30分、というセットが基本内容です。Kyashの採用は「全員野球で取りに行く」というのが基本姿勢なので、そのための事前共有会という位置づけですね。

「裏方は全部まかせて」エンジニア採用初心者が行ったこと

続いては、「エンジニア採用担当初心者が行ったこと」です。私は前職で採用アシスタントをしていたんですが、日程調整や会食のセッティングなど、オペレーションだけを切り取ってやっていました。なので、きちんとポジションを持って採用活動を行うのは、Kyashが初めてだったんです。

そんな、エンジニア採用について右も左もよくわからなかった私が、既にできあがったチームに入るために行ったことをまとめたので、ご紹介していきます。

1つ目は、「まゆゆ」社内ブランディングです。「まゆゆ」って何だよって話なんですが(笑)。前職の習わしでついたあだ名で、本当はKyashでは封印したかったんですけど、名字で「岡田さん」と呼ぶよりも覚えやすく、親しみやすいだろうと思ったんですね。

結果的には、CEOの鷹取まで私のことを「まゆゆ」と呼ぶようになり、社内ブランディングは成功したといっても過言ではない、ということで載せております(笑)。

そして2つ目は、「とりあえず裏方の役割は全部私に任せて!」ということで、煩雑な仕事はまるっと請け負いました。まずは基本的なところで言うと、日程調整や評価入力のリマインド、評価入力フォーマットの改善、RPOの壁打ち相手、ヘッドカウントの定期的な確認、求人票のメンテナンスなどですね。

それから、スカウトリストの作成も。教えてもらった要件に沿って、あらかじめリストを作ります。週に1回およそ45分のスカウトタイムを設けて、今はオンラインでリストを画面共有し、その場でフィードバックをもらいながら目線を合わせていきます。

スカウト送信に関しては、スカウトタイムの際に評価点やスカウト理由をヒアリングしておきます。あと、スカウトのメッセージは、チャネルのユーザー層に合わせてカスタマイズしています。例えば、ビズリーチさんであればハイクラスの転職チャネルとして、世界観を壊さない文章を作るとかですね。

そして、泥臭いことは何でも請け負います。例えば、迷っている候補者さまとの密なコミュニケーションなどは採用担当で行うようにしています。選考フェーズごとのフィードバックや期待値を伝えたり、懸念点や不安点を「何でも正直にお聞かせください」といって聞き出したり。

また、希望があれば、納得のいくまで2回でも3回でもカジュアル面談をします。実際に、ファーストコンタクトから約9ヶ月かけて入社されたエンジニアの方もいまして、その方も3回ほどカジュアル面談をしていました。

本当に伝えたいことは「エンジニア〇〇〇〇懐柔術」!?

さて、いろいろお話させていただいたんですが、ここからが今日の本題です。冒頭の「黒子に徹してエンジニアを採用に巻き込む採用体制の組み方」というのは表向きのタイトルでして、本当に伝えたいことは「Kyashエンジニア〇〇〇〇懐柔術」です。

このご時世、言葉が独り歩きしてしまいますので、伏せ字のところはウェビナーに参加された方の中だけで留めておいてください(笑)。

ポイントその1は、「打ち合わせは開始1-2分アイスブレイクで懐に入るべし」です。例えば、エンジニアさんが面白いTシャツを着ていたら、「今日のTシャツかわいいですね」と、何か1つ突っ込んでみたりとか。

エンジニアの方々には、すごく忙しい中で一緒に採用活動をしていただいているので、ちょっとでも和んだ気持ちでやっていただけるようにしています。

その2は、「迷ったら導くべし」です。スカウトリストを一緒に作っている時などに、もし候補者さまのレジュメを見ながら悩んでいたら、「ポジティブじゃない迷いなら、今回はやめたほうがいいですよ」とか「ちょっとでも可能性があるなら声を掛けましょう!」と導くようにします。

そうすると、だいたい「ここが引っかかった」「ここがいいなと思って」など理由を言ってもらえるので、すかさずメモを取ります。

逆に、「声を掛けてみたいけど、ハイスペック過ぎてどうかな……」とモジモジしている場合は、背中を押します。そうすると、「やっぱりそう思う?」なんて言って、声を掛けることになったりするんですね。

その3は、「悩みや困ったことがあったら打ち明けてみるべし」です。これは逆に、こちらが困ったら助けてもらうということですね。

実際に、「スカウトの返信なかなかなくて困っている」と伝えたら、一緒にスカウト文を考えてもらえたり。すると、今まで全然返ってこなかった返事が、一気に返ってきたなんてこともありました。

他にも、求人票のいいタイトルが思いつかなかった時、「知恵を貸してください」とSlackで聞いてみたら、10分も経たないうちに爆速でアイデアやアドバイスが返ってきたこともありました。

採用は「One Team」で。何でも話せる関係が大事

それでは、まとめに入ります。期待されていた方がいたら申し訳ないのですが、大したことは特別やっていないんです。採用担当は、採用プロジェクトを動かすプロジェクトマネージャーだという気持ちでやっています。

採用担当というと、こうやってイベントに登壇したり、Twitterでフォロワーが何千人もいたり、みたいな方もいると思うんですけど、華やかに見えて実はかなり地味なことをやっているんだなと思います。

Kyashには3つのバリューがあって、その1つが「One Team」なんですが、特に採用においては「One Teamで行うべし」と思っています。やはり何でも話せる関係値を作ることが大事だなと。

採用担当だけではいろいろと限界がありますし、エンジニアメンバーも採用は自分事だと思うことで、一緒に働く人を見極めることができるというメリットもあると思っています。

最後に、芸能界のまゆゆは引退してしまいましたが、スタートアップ界のまゆゆはまだまだ現役でやっていきたいと思いますので、皆さま引き続きどうぞよろしくお願いいたします!

――ありがとうございました!Slackに「まゆゆ」スタンプがあるんですね(笑)。それでは、参加者の方からいただいた質問をピックアップしていきたいと思います。

求人票メンテナンスとは、どのようなことを行っているのですか?スカウトの返信が来ない時、内容はどのように工夫されたのですか?

参加者

岡田 真由美

特に抜本的なことではないんですが、求人票に関しては「ちょっとここが長いから削った方がいいよね」とか「ここの文言は変えた方がいいよね」とかですね。あとは、そもそも要件が変わったら修正しなければならないので、そういったことは反映しています。

スカウトの返信については、求人票と同様なんですけど、情報量が多かったので必要最低限の内容にしたり、細かな言葉のニュアンスを修正したりしました。例えば、最初はスカウト文に「資金調達いくら」みたいなことを載せていたんですが、お金のことなので思い切って削ってみたりとか。あとはkonifarさんが書いたブログを載せたりもしました。

カジュアル面談は週に何回くらいしていますか?

参加者

岡田 真由美

最近は、1日1回は必ず入っています。
エンジニアの方に採用を自分事として捉えてもらうために、どのようなコミュニケーションを取っていきましたか?

参加者

岡田 真由美

もともとコミットする気持ちが高いメンバーが多いというのもあるんですけど、なんだろう……。ちょっと元気ないなって思ったりしたら、DMで「元気?」って聞いたりしてます(笑)。

――先に懐に入っておく、みたいな感じですね(笑)。先ほどカラクリさんはOKRに採用に関する目標が含まれているというお話がありましたが、KyashさんはHiringマネージャーの方が採用の目標数字を持っているという形なんでしょうか?

岡田 真由美

はい、そうです。さっき写真を載せていた4人のエンジニアがHiringマネージャーで、それぞれ目標数字を持っているという感じです。

――それでは、お時間となりましたので本日はこちらで終了となります。ご参加いただき、ありがとうございました!