
今こそ聞きたいソフトウェア設計 #3 AI駆動開発ライフサイクル(AI-DLC)に見る、人が担う設計判断
本記事では、2026年10月16日に開催されたオンラインイベント「今こそ聞きたいソフトウェア設計 #3 AI駆動開発ライフサイクル(AI-DLC)に見る、人が担う設計判断」の内容をお届けします。
AIコーディングエージェントの普及で、「コードを書くこと」自体の相対的な価値は変わりつつあります。一方で、何をどう設計し、どう判断するかという設計力の重要性は、むしろ高まっています。AIが生成したコードの品質や変更容易性、事業への適合性を最終的に担保するのは、人間の設計判断だからです。
本シリーズは、「ソフトウェア設計をこれから学びたい」「改めて学び直したい」というエンジニアに向けて、設計の基本原則や実践知を、第一線で活躍するエンジニアとともに紐解いていく企画です。
第3回となる今回は、アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 シニアデベロッパースペシャリスト ソリューションアーキテクトの福井 厚(@afukui)さんと、同社アプリ開発コンサルタントのしょぼちむ(@syobochim)さんが登壇。AIが要件定義から実装までを進める時代に、人は何を見て、何を判断すべきなのか。AWSが提唱するAI駆動開発ライフサイクル(AI-DLC)を手がかりに語り合いました。ぜひ本編のアーカイブ動画とあわせてご覧ください。
福井:アマゾンウェブサービスジャパンの福井です。今日は、AI駆動開発ライフサイクル(AI-DLC)をベースにした設計についてお話しします。冒頭15分ほどでAI-DLCとはそもそもどういうものかを簡単にご紹介し、そのあとディスカッションに入ります。
「AI-ASSISTED」と「AI-MANAGED」のあいだにあるもの
ソフトウェア開発でのAI活用は、みなさんすでに十分されていると思います。これを「人間のオーナーシップ」と「人間の重労働の削減」という2つの軸で考えてみると、いま大きく2つのパターンがあります。
1つは、私たちが「AI-ASSISTED」と呼んでいるものです。ベテランのエンジニアがよくやるパターンで、要件定義から設計まではエンジニアが行い、コード補完やユニットテストの作成、小さな関数の生成などをAIに任せるやり方です。
もう1つは「AI-MANAGED」です。ビルダーが抽象的な指示をAIに出し、コードは一切見ずに実装を進めていく。いわゆるバイブコーディングですね。
ただ、どちらのやり方も、AIの能力をフルに引き出せていなかったり、人間の意図を正しく反映できていなかったりする場合があります。バイブコーディングは週末の趣味の開発には向いていても、ビジネスアプリケーションや大規模開発とのあいだには大きなギャップがあり、意図を正しく反映するのは難しいのが現実です。
そこで私たちが提唱しているのが、AI駆動開発ライフサイクル(AI-DLC:AI-Driven Development Life Cycle)です。要件定義から設計、実装とテスト、運用まで、より広い範囲のタスクをAIと進めるのがAI-DLCの考え方です。
