2020年7月15日、Zoomにてウェビナー「CTOと非エンジニア人事が協力してテック採用を進める方法とは?」が開催されました。
本ウェビナーでは、オンライン面接ツールを手がける株式会社スタジアムのCTO武田慎之介さんと、同社の非エンジニア人事である布施明日香さんをお招きして、テック人材採用のチームビルディングについてお話いただきました。
「人事はどんな勉強をすべき?」など、5つのテーマに沿ったディスカッションで進行された、本ウェビナー後編のトーク内容をお届けします。
前編はこちらから
https://findy-code.io/enterprise-service/studium_webiner_report01/
目次
登壇者プロフィール
株式会社スタジアム CTO 執行役員 武田 慎之介
武田 慎之介
筑波大院コンピュータサイエンス専攻修了。在学中よりWeb開発企業を友人と創業。 クックパッドに移り、新規事業の立上げや有料会員事業、広告配信基盤の開発。その後、THEO(お金のデザイン)社のテックリード、400FのCTOを経て現職。 情報処理安全確保支援士。
株式会社スタジアム 人事 布施 明日香
布施 明日香
2016年4月株式会社コナカに新卒で入社。SUIT SELECT大阪・東京2店舗経験後、本社管理本部人事部採用担当として主に新卒採用に従事。2020年1月株式会社スタジアム入社。
ファインディ株式会社 カスタマーサクセス チームリーダー 扇谷 勇多
扇谷 勇多
マイナビ、OfferBoxにてセールス、マネジメント、新規事業立ち上げの経験を経て、2018年2月に4人目の社員としてFindyにジョイン。現在はCSチームの立ち上げ、仕組み化に従事し、IT/Web業界を中心に150社以上のエンジニア採用を支援中。サウナとビールが好き。
Q3:求人票やスカウトメールの作成はどう進めている?
続いて、やや実務的な話題になりますが、「求人票やスカウトメールの作成はどう進めている?」というテーマです。スタジアムさんでは、実際にどう進められていますか?
扇谷 勇多
布施 明日香
求人票とスカウトメールに関しては、弊社の場合は武田に作ってもらっています。
すごいですね。武田さんお忙しい中で、時間を作るのが大変じゃないですか?
扇谷 勇多
武田 慎之介
それくらい採用の優先度が高いということですね。
CTOの方が採用の実務的なところまでしっかり入られているというのは、珍しいケースだと思います。今後も引き続き武田さんが進められていくのか、将来的には人事の方に引き継いでいくのか、この辺りはいかがですか?
扇谷 勇多
武田 慎之介
引き継げたらいいなとは思っていますね。ただ、試し試しかなとは思っていまして。我々はまだ、エンジニアの中ではそれほど知名度がない会社なので、スカウトを送るにしても、普通に「スキルが合いそうなので、良かったら」くらいでは全然刺さらないんですよね。
武田 慎之介
なので、相手の経験やスキルを見て、具体的に「こういうところが我々とマッチする」と1歩踏み込むとか、相手のTwitterで最近話していた技術要素を絡めて話すとか、少しでも印象に残さないと見てすらもらえないんです。そうなってくると、技術的な知識がないと厳しい。なので、しばらくは維持かなと思いますね。
武田 慎之介
知名度が上がって、人事からスカウトを送っても「聞いたことがある会社だな」くらいになれば、少しは反応もらえるかなと思いますけど、我々のフェーズだったら一通一通を丁寧に、深掘りして送る必要があると思っています。
これは私がスタジアムさんを担当しているのでわかることなんですが、武田さんのスカウトメールは、他社と比較してものすごくカスタマイズされた文章の量が多いんですよね。10行あったら9行はカスタマイズしているんじゃないかというくらい。そこは圧倒的に差別化のポイントになっていると思います。
扇谷 勇多
ただ、他の会社さんだとそこまでできていないことが多く、人事の方からするとなかなかCTOに依頼しにくいとか、あまり返信率が高くならないとか、悩みを持っていらっしゃる方も多いと思います。どんな風にCTOにコミュニケーションを取っていけばいいか、武田さん目線で何かありますか?
扇谷 勇多
武田 慎之介
先ほどの話と少し被るんですが、布施がマメに返信をしたりして、先にお膳立てしてくれているんですよね。それをやってもらっているのに、僕らが何もしないのは失礼だなと。
武田 慎之介
細かく頻繁にリマインドももらっていて、「ちょっと今忙しいんだけどな」という時も正直ありますけど、記憶に残っているだけでも全然違います。結局は、そこの関係性かなと思いますね。「リマインド送りすぎて邪魔になるかな」と考えすぎて送れなかったら、誰も幸せになりません。
武田 慎之介
採用というのは、会社にとって優先度が高い仕事であることは間違いないわけで、CTOがどんなに忙しくても、結局はやらなきゃいけないんですよ。なので、どんどんリマインドするのは必要なことで、それが最終的にちゃんと採用の成果に繋がればいいんじゃないかなと思いますね。
気を使いすぎないと言いますか、あえて壁を作りすぎないようにして、CTOに対しても人事の方からコミュニケーションを取りにいくことが大事だと。
扇谷 勇多
武田 慎之介
そう思います。最終的に「採用したい」というゴールは同じなので。そこさえズレていなければ、嫌がられても言い続ければいいと思いますね。
でも、それでいうと布施さんはメンタルやられたりしないですか(笑)?
扇谷 勇多
一同:
(笑)
僕だったら、2~3回送って返事が来なかったりすると、「全然返ってこない」とか「嫌われてるんじゃないか」とか、思ってしまいそうですが……。
扇谷 勇多
布施 明日香
全然ないですね。……と言ったら、逆に「この人大丈夫?」と思われるかもしれないですけど(笑)。武田に対しては、自分の通知がリマインダーだと思ってもらえていればそれでいい、という感覚でやっているので。ちゃんと「見ます」と返事をもらえたりして、忙しいながらも確認してもらえている安心感もありますし、全然大丈夫です。
なるほど。それが結果的に、武田さんからの信頼にも採用にも繋がっているということですよね。皆さん、ぜひ布施さんのような鋼のメンタルを手に入れて、バンバンCTOにリマインドを送っていただけたらと思います(笑)。
扇谷 勇多
Q4:本当はやりたいけど、なかなかできていない施策は?
4つ目のテーマは、「本当はやりたいけど、なかなかできていない施策は?」です。エンジニア採用に関する施策でいうと、いかがでしょうか?
扇谷 勇多
武田 慎之介
我々は技術ブログを出せていないんですよね。そうしたエンジニアの中での知名度を上げるための施策ができていないところは、課題を感じています。
武田 慎之介
採用も手法としては、マーケティングとあまり変わらないと思っていまして。まずマスマーケティングのように広く認知を取って、少しでも認知してもらった上で、例えばスカウトが来た時に「なんか聞いたことある会社だ」という状況を作ると、変わると思っています。
武田 慎之介
その最初に認知を取る方法として、例えば技術ブログをたくさん書くとか、技術系のイベントやカンファレンスにスポンサーするとか。「あのロゴ見たことあるな」という状況を作っておくことを、本当はもっとやりたいと思っていますね。
人事の方からも、エンジニアに特化した採用広報やブランディングについて、「何をすればいいですか?」といったご相談をいただきます。武田さん目線で、ハイスキルなエンジニアを採用するには、何が最も効果がありそうだと感じますか?
扇谷 勇多
武田 慎之介
やっぱり1つには技術ブログだと思います。技術ブログを書くというのは、この会社でどういう技術を使っているかを見せることだと思っていて。その会社に入って、実際にどういう技術を使うかイメージがつかないと、応募も来ないんですよね。
武田 慎之介
だから、技術ブログで「こういう技術を使ってます」とか「今こんな課題があって、こうやって対策してます」といったことも正直に書いておけば、カジュアル面談での話も進みやすいと思います。特にハイスキルのエンジニアは、キャッチアップ力があるので、そういう記事をちゃんと読んでくれていたりしますね。
技術ブログをやろうとする時、実際に書かれるのは現場のエンジニアの方だったりすると思うのですが、人事の方はどのように推進していくのが良いでしょうか。なかなか時間対効果が見えづらいところでもありますよね。
扇谷 勇多
武田 慎之介
そうなんです。書くのも時間がかかるんですよね。たまに、技術ブログでチュートリアル的な入門記事しか書かないケースがありますが、それだと「この会社ってこの程度のことしかしないんだ」と思われてしまう。それは意味がないどころか、むしろマイナスなので、ちゃんと時間をかけて書く必要があります。逆に、例えば丸1日かかるけど、その会社でしか書けないような知見だったら、絶対に書くべきだと思いますね。
ちなみに、そういった技術ブログの運用は、どの立場の方が責任を持って進めることが多いんでしょうか?
扇谷 勇多
武田 慎之介
会社によりますね。CTOが責任を持って、CTOが書いている会社もありますし、エンジニアリングマネージャーに委譲しているところもあります。あと、これは賛否両論ありますが、全員が1年に1回は書くというノルマがある会社もあったりします。
武田 慎之介
あとは、技術ブログを書くことにインセンティブを出している会社もありますね。1記事いくらとか、PVに応じていくらとか。ただ、この場合はチュートリアル的な記事を書けばそれでお金になる、とならないように設計する必要があると思います。
技術ブログに関しては、インパクトは大きいけれど工数がかかるので、なかなか実行しづらいという感じですよね。すぐに実践できそうな、もう少しライトに認知を取りにいく施策でいうと、武田さんの中で何かありますか? 例えば、CTOがTwitterをやるとか。
扇谷 勇多
武田 慎之介
Twitterをやるのは大きいと思いますね。CTOやメンバーのことであったり、使っている技術であったり、それがある程度インターネット上で見えるというのは、技術ブログをやる目的と似た効果が得られますから。ただ、会社によっては、そもそもSNSを禁止にしているケースもあると思うんですよ。
ありますね。
扇谷 勇多
武田 慎之介
それはマイナスですね。むしろ積極的に発信してもらった方がいいと思います。エンジニアがやっている技術の内容というのはコモディティ化しているので、どういうコードを書いて、どういう技術を使っているかというのは、ほとんどの場合そこまで競争力はないんです。
武田 慎之介
であれば、Qiitaでも個人ブログでもバンバン公開していって、会社のことをまわりに知ってもらう方がメリット大きい。皆さんが思ってる以上に、秘密にすべきことはないと思います。
今エンジニアから人気の会社も、例えば株式会社SmartHRさんや株式会社プレイドさんとか、トップの方がすごくオープンに発信されている会社なので。そういったところは、エンジニアのカルチャーを踏まえて方針を考えてみてもいいかもしれないですね。
扇谷 勇多
Q5:意思疎通が上手くいっていないことはありますか?
5つ目のテーマは、「意思疎通が上手くいっていないことはありますか?」です。もしあればという感じなんですが、まずは布施さんからいかがでしょうか?
扇谷 勇多
布施 明日香
私はエンジニア採用が初めてなので、武田から「わかってないな」と思われることの方が多いんじゃないかなと思います。
武田さんから見て、何かあったりしますか?
扇谷 勇多
武田 慎之介
あれば言うだけなので、今困っていることはないですね。今までだと、僕らが合格・不合格と判定しているような感じで、エンジニアとコミュニケーションを取ると良くないよ、みたいな話はありました。
最近だと最初から選考というよりは、まず話を聞いてお互いに同意した上で進めましょう、というケースが増えていますよね。ただ、そういうカジュアル面談の後に、「お見送りです」みたいな、ジャッジメント要素の強いメッセージを送ってしまう人事の方がいて。
扇谷 勇多
武田 慎之介
それはNGですね。「カジュアル面談のつもりなのに履歴書を求められた」みたいなのが、やっぱりマイナスになってしまうんですよ。その辺りの温度感は、最初に調整する必要があるなという認識はありました。
参加者からの質問:エンジニアに嫌がられることは?
最後に参加者の方からの質問で、「エンジニアに嫌がられることは、他にどんなことがありますか?」といただいています。これについていかがでしょうか?
扇谷 勇多
武田 慎之介
電話とかですね。うかつにかけない方がいいです。
電話番号を聞いたりとかも。
扇谷 勇多
武田 慎之介
はい、あまり良くないですね(笑)。そういう相手の時間を強引に奪いにいくツールは、みんな嫌がるので。その辺は慎重になった方がいいですね。
弊社もそこは考えていて、Findyに登録するタイミングで電話番号は不要になっています。ただ、マッチングした後に「電話番号を教えてください」と送ってしまうと返事が返ってこない、みたいな。
扇谷 勇多
武田 慎之介
それはあると思いますね。「なんでやねん」ってなりますからね(笑)。あと、GitHubにメールアドレスが載っていたりするんですけど、それをクローリングしてスカウトメールを直接送るとかもNGなので、やめた方がいいです。
武田 慎之介
エンジニアって個人情報の取り扱いとか、そういうところを普通の人よりも気にしていると思うんですよね。逆に言うと、他の人ももう少し気にした方がいいかなと僕は思っているんですけど。インターネット上にある情報を使って、一律でメールを送ったりすると、「このアドレスどこから入手したんですか?」と聞かれたりします。
なるほど。
扇谷 勇多
武田 慎之介
そういうのは最悪の場合、SNSに晒されたりします。実際に見るので、本当に気をつけた方がいいですね。SNSに載せなくとも、エンジニアコミュニティの中で共有されていたりとか。「このアドレス、GitHubにしか登録してないのに」みたいな。正確に言うと、そういうのは個人情報保護法上は不正取得になるので、法律上も良くないですね。
武田 慎之介
そういうことがあると、面接を受けてもらえないどころか、他のエンジニアにまで悪評が広まるので、絶対に避けるべきです。あと、会社に直接ヘッドハンティングの手紙を送るケースも結構あるんですけど、それもあまりいいイメージを持たれないですね。ちゃんと採用のためのツールを使ってコミュニケーションを取るべきだと思います。
TwitterでDMを送るのもNGですか?
扇谷 勇多
武田 慎之介
基本NGですね。よほど仲良くならないと。Facebookも同じです。よくメッセージ来ますけど、皆だいたい無視しますね。
適切なツールを使って連絡を取りましょうということですね。それでは、お時間になりましたので、ここで締めさせていただきます。
扇谷 勇多
ーーこれにて本ウェビナーを終了とさせていただきます。皆さま、本日は最後までご参加いただきありがとうございました!