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インタビュー

一緒に働くメンバーにとっても”本物に会える場所”を ― コレクション投稿SNSと製品ミュージアムに特化したSaaSサービスを運営するミューゼオが目指す組織

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ミューゼオ株式会社

自分のコレクションで世界に1つだけのミュージアムを作れるコレクション投稿/管理SNS「MUUSEO(ミューゼオ)」を運営する、株式会社ミューゼオ。

「モノへの好奇心を深め、大切なモノとの生活を楽しむ」ことを掲げるミューゼオは、どのような組織を目指しているのか。代表取締役CEOの成松淳さん、社外取締役の広木大地さんにお話を伺いました。


代表取締役CEO 成松 淳

有限責任監査法人トーマツ勤務、東京証券取引所出向などを経て、2007年1月より初代のクックパッド株式会社の取締役CFO(委員会設置会社移行後には執行役CFO)に就任し、同社の草創期において従業員10名弱の時代から経営陣として成長の一翼を担う。同社の東証市場一部昇格を機に2012年執行役CFOを退任、身の回りの大切なモノとの生活をもっと楽しみにすることを次のミッションにしてミューゼオ株式会社を設立し現在に至る。また、WantedlyやFiNCなどの社外取締役に就任するなど技術をベースにしたベンチャー企業のガバナンス・支援にも取り組む。
幼少期からモノへの好奇心を糧に育ち、いまも変わらず、革靴やジャケット、アンティークシルバーやミニチュアなど様々な魅力的なモノたちに惹かれ続け、気づけば靴のコレクションは300足以上の数になっているが、大切な思い入れがある。


社外取締役 広木大地

2008年、新卒第1期として株式会社ミクシィに入社。サービスのアーキテクチャ設計からデータ解析チームの立ち上げ、技術教育、技術戦略の策定などを遂行。モバイルシフトと開発組織の効率化を急速に進めるため、同社メディア開発部長、サービス本部長執行役員を務める。また、事業多角化や急速にスケールするゲーム事業に対応するため、技術部長を歴任。2015年同社を退職。
これまでに得た知見を技術ノウハウサイトQiitaで公開。2016年現在、サイト内で最も多くの支持を集めている。株式会社Social Surfers 取締役および株式会社Good Moneyger CTO。技術とビジネスを繋げる形の経営・プロダクト開発支援を行なっている。

「育てよう、モノへの好奇心」「楽しもう、大切なモノとの生活」

――まず最初に、ミューゼオの掲げるミッションや、それに込めた思いについて教えてください。

成松:
僕の世代は、本や面白い店舗などリアルがすごく身近にあって、例えば街にある本屋にフラッと入れば、そこに新しい世界が広がっていて自身の好奇心がどんどん拡張されていきました。Webの発展によって、それがもっと広がっていくのかと思ったら、意外に想定していたものとは違って。スマートフォンを開くとマス向けの情報ばかりで、ユニークなものに通じる道がむしろ閉じているように感じたんです。

ファッションや自動車、革製品やおもちゃにしても「凝ったモノ」は、いろいろ理解して初めて面白さや深み、豊かさが伝わってくる。ユニークなものというのは、理解するために学習が必要なものなんですよね。

でも、現状のインターネットは積極的に探しにいかないと凝った情報は見つからず、放っておくと誰かがビジネスとして与えたい情報としか出会えなくなっている気がしていて。そういうものではなく、自分で探す力と学ぶ力を大事にしたいなと。

そういった背景から、ミューゼオのミッションの1つに「育てよう、モノへの好奇心」を掲げています。人にとって人生や感覚を豊かにし、さらに本物と呼ばれる豊かな存在になっていくためには、自身の好奇心を起爆剤にしてインプットとアウトプットを継続していくことが欠かせません。それはどんな対象でも良いとは思うのですが、その中でもミューゼオでは、さまざまな心惹かれる”モノ”を対象として扱っています。

また、今シェアリングサービスやミニマリストが注目されたりと、人とモノの関係がどんどん変化していますよね。そういうモノを持たなくても良くなった時代だからこそ、持つべきモノには、むしろこだわるべきだと思っているんです。例えば良い靴を履けばずっと歩きたくなるし、良いジャケットを着れば外に出たくなる。大好きなカップで飲むコーヒーは、ちょっとした時間をとびきりの時間に変えるといった意味で、もう1つのミッション「楽しもう、大切なモノとの生活」を掲げています。

――人生や感覚を豊かにする、ということに重きを置かれているんですね。

成松:
これ以上何かを便利にしたり、お金だけを儲けたりすることには、それほど惹かれないことにある時気づきました。もちろん利益を出さなければサービスは続けられませんから、ここからはしっかりと事業収益を出すことに注力するフェーズだと考えています。でも、目指すべきゴールは、利益を出すことではなく、ましてや上場することでもなく、”社会を構成する個人がより豊かな存在になるためのサポートをする”ことだなと。

広木:
コスパという言葉がありますよね。特に若い人なんかは、コスパを追い求めることが良いことだと考えがちだと思うんです。でも、本当にコスパを追い求め続けたら、量産されたものを着て、量産されたものを食べて……と、すごく人間として豊かではない生活をしていくことになると思うんですよ。

たくさんの選択肢から、自分が好きでこだわりを持ったものに時間を投じられるって、とても豊かなことじゃないですか。例えば、機械式の時計なんかも、クォーツにすれば精確な時計が作れるのに、いまだに狂気的とも言える機械式で作っているからこそ、高い価値がありますよね。

そういう、”コスパが良くないこと”をやり続けた結果として生まれる、ユニークなものに価値があるんじゃないかと。それを集めて共有し合う、あるいはそれに対して価値を認め合うコミュニティをつくっていくことは、人間の豊かさそのものなのではないかと思っています。

成松:
まさに、そういった”ユニークさの追求”という言葉に集約されるかもしれないですね。良いモノというのは、新しい世界に導いてくれる一番身近な存在だと思うんです。先ほども少し話に出ましたが、大好きな自転車を持てばをどこまでも走りたくなるし、良い服を着たら人前に背筋を伸ばして出たくなる。そういう、人に新しいことをもたらすモノが、”それぞれの個人がより豊かな存在になること”に繋がると思っています。

コレクション投稿/管理SNSを中心に4つのサービスを展開

――ミューゼオではどのようなサービスを展開しているか教えてください。

成松:
まず、一般ユーザー向けに提供しているサービスが2つあります。1つは、自分のコレクションを登録して、オンライン上に自分だけの博物館をつくり、同じ好奇心を持つ人々と繋がれるコレクション投稿/管理SNS「MUUSEO(ミューゼオ)」を運営しています。

集めたモノを並べて見ると楽しいということに気づいたのがきっかけでこのサービスの構想をスタートさせ、並べることは好奇心を可視化することだと考えてオンラインミュージアムというコンセプトを思いつきました。さらに趣味の世界は、一部の人を除けば意外にこれまでは一人で楽しむものだったりします。世界中の同じ好奇心を持つ人とつながることでより豊かな人生が開けるはずだし、人とのつながりの中でも「共通の好奇心を持つ」というのはすごく強いと思うんですよね。

さらにユニークな好奇心やモノの楽しみ方を編集力を活かして図書館のように可視化・アーカイブしていくメディア「ミューゼオ・スクエア」をつくりました。今は”愛用品が見つかるウェブ・マガジン”というコンセプトで運営しています。

それから、BtoBのサービスも展開しています。かつては趣味に特化した本もたくさん出版されていましたが、最近では徐々に廃刊になっている背景があり、そうしたユニークな分野の製品のマーケティングがしにくくなっているジャンルもあります。そういった企業のマーケティングを支援するために、オンライン上に製品ミュージアムがつくれる「クラウド・ミュージアム」というSaaSサービスを提供をスタートしたところです。

その他にも、「CaM by Muuseo(キャム・バイ・ミューゼオ)」という現代アートファン向けのクローズドSNSを準備したりしていて、そちらも間もなくリリースする予定です。

また今期中にはアーカイブなどを主な対象にした限定生産型のECなどにも取り組んでいきたいと思っています。

”長い視点で価値を産み出し続ける”組織に

――ミューゼオの3~5年後の事業イメージについて教えてください。

成松:
クックパッドにいた頃、短期間で一気に会社が大きくなることによるベンチャービジネスならではの厳しさも体験しました。だからこそ、次は短期的な成長を目指すよりも、ヨーロッパのように長い視点で長期にわたり価値を生み出し続ける組織を、いかにつくることができるかにチャレンジしています。また世界にはぜひチャレンジしていきたいと思います。

そして安定した収益を出しながら、社内のメンバーがさまざまな素晴らしいモノに触れつつ成長し、そしてお客様にもそれを提供できる仕組みをつくっていきたいと考えています。

――そのために、どんな組織をづくりをしていこうと考えられていますか?

成松:
ミューゼオの大きな特徴の1つに、技術だけではなく、マーケティングやデザイン、ファッションといった各分野の非常に充実したアドバイザー陣を迎えているところがあります。当社のWebサイト(https://muuseo.com/company)を見ていただければ載っていますので、ぜひご覧いただければと。

それから、当社サービスが対象とするいろいろな素晴らしいモノやカルチャーを若い人にも楽しんでもらいたいという思いがあるので、社内は、徹底して若い世代のメンバーたちが主導していくということにもこだわりたいとも考えています。実際にメディアや事業開発は20代の人材が主導していたりします。

広木:
僕が新卒でミクシィに入った時、いろんなトップクラスの企業から来ている先輩方が多かったんです。それによって、今までのビジネスの知見が1か所に集まるような場所になっていました。当時のメガベンチャーに若くして入社して、たくさんの価値観を吸収できる環境で育った人たちって、ビジネスの次の常識をつくれる人になっていくなと思っていて。

これだけさまざまなアドバイザーが揃った中に飛び込むというのは、それを再現することに近いのかなと感じています。1人のスペシャリストをアドバイザーとするのではなく、あらゆる知見が混交する場所をつくることで、より成長できる環境になっていると感じますね。

成松:
当社の組織において、コアになるのはサービス開発力、そしてコンテンツ生成力の2つで、その掛け合わせが重要だと考えています。エンジニアだけがまとまって、完全にエンジニアドリブンだけで進めていくというよりは、エンジニアとさまざまな外部の人たちが組み合わさって、新しいモノを作っていく。

そうして、僕らのビジョンである「表現と技術を磨き、生活に美しさと楽しさを提供し続ける」ことを実現していきたい。そういう意味で、この組織にとって重要な存在となるのは、素直でいつまでも学習を継続し、自分を柔軟に変化させて時代にフィットできるエンジニアだと考えています。

”本物を知る”ことを大切する会社で、サービスをつくっていける

――エンジニアにとって、御社の魅力とはどんなところでしょうか?

広木:
ゼロイチのベンチャーならではの面白さと、さまざまな分野のスペシャリストに出会えるという、その2つがあると思います。

そして、なによりミューゼオは”本物を知る”ことを大事にしていて、一緒に働くメンバーにとっても本物に会える場所であり続けようとしています。自身の成長にしても、これから先のキャリアを描くにしても、そういう環境でサービスをつくっていけることで、何を目線に考えれば良いのかが見えてくるのではないかなと。

モノもずらっと並べてみると、初めて気づくことがあるんですよ。「あぁ、良い靴ってあるんだな」とか。例えば、ファストフードの牛丼も十分に美味しいじゃないですか。でも、高級なステーキを食べると、「これは!」となりますよね。そういう感動を知っているかどうかで、その後の人生の豊かさやその人の目線が変わると思っていて。

それは、サービスをつくっていくことに関しても同じで、本物に出会える場所であろうとしている。そういうところが魅力なんじゃないかと思います。

成松:
当社には広木さんに加えて、前職のクックパッドでさまざまな経験を積んだエンジニアも複数人、支援してくれています。

ゼロイチのベンチャーでこうした優秀なエンジニアのアドバイスをもらいながら自らサービスを育てていける。そして一緒に会社自体を育てていける。人々の生活をより豊かにしていくためのサービスとコミュニティーを作っていける。これが一番だと思います。

あとは、優秀な人々とフラットに本気で議論しながら調整ではなく最適値を生み出していける。自身の経験でも初期のクックパッドで揉まれた経験が今の自分の人生を作っています。そうやって自分だけのオリジナルで豊かな人生を作っていける場所に居られるというのが、手前味噌ですが当社の魅力だと考えていますし、今後もその魅力は一層高めていきたいと思っています。