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インタビュー

答えのない領域を技術で拓く。動画時代を牽引する“コンテンツテクノロジー企業”のエンジニア組織

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株式会社オープンエイト

次世代通信規格「5G」など大容量かつ高速なデータ通信を可能にする技術開発が進む昨今。企業と顧客のコミュニケーションにおいても、動画やアニメーションなどリッチコンテンツの活用が期待されています。

そうした時代を牽引する企業の一つが株式会社オープンエイトです。同社は、国内でいち早く、AIを搭載した動画編集クラウドを開発。2019年には米Red Herring社が革新的なベンチャー企業に贈る「2019 Red Herring Top 100 Asia Winner」を受賞しています。

「AI×動画」領域で時代の先頭を走る同社では、新しいものへの探究心の尽きないエンジニアが活躍していると言います。事業内容や働く魅力、エンジニア組織の特徴についてCTOの石橋尚武氏に話を伺いました。

石橋 尚武
オープンエイト株式会社 執行役員 兼 CTO
@hisatake

東京大学文化Ⅱ類に入学。在学中に創業期にインターンとしてネットベンチャーに参画したことよりインターネット業界に興味を持ち、大学の専攻をコンピュータサイエンスに変更。大学院に進学後、中退してフリーランスとして活動した後、Webサービス開発やプロトタイピングを行う制作会社THE CLIPを知人と一緒に立ち上げる。2016年にTHE CLIPのオープンエイトへの売却に伴いCTOとしてジョイン。

動画の自動生成ツールで“ユーザーの心動かす体験”を創る

——まずは、オープンエイトの事業内容について教えてください。

動画広告事業と動画メディア事業を通じて培ったノウハウを活かし、AIのサポートで誰でも簡単に動画を編集できるクラウドサービス「Video BRAIN」(ビデオブレイン)を提供するSaaS事業を主軸としています。

——なかでも「Video BRAIN」は国内外で事例も少なく、注目度の高いプロダクトかと思います。どのような経緯で開発にいたったのでしょうか?

創業以来、弊社は一貫して「ユーザーの心を動かす」ための事業を展開してきました。マーケティングプラットフォームは、企業が最適なメディアに広告を出し、ユーザーとより良いコミュニケーションを図るため。動画マガジンはコミュニケーションに必要な動画を制作するノウハウを培うための事業と位置づけています。

2つの事業を通して気づいたのは、「ユーザーの心を動かす」ために動画が大変効果的であること、一方、それらを活用できる企業が大変限られていることでした。動画制作に割けるコストもなければ、社内に動画編集の知識やツールの使い方を知る人もおらず困っている企業が多くいました。

弊社には、メディア事業から得た動画制作の技術やノウハウが蓄積されています。それらを駆使して、動画制作にハードルを感じている企業をサポートできないかと考え、インハウスAI動画編集クラウド「Video BRAIN」を開発しました。

——具体的にどのように「メディア事業から得た技術やノウハウ」が活かされているのでしょうか?

おでかけ動画マガジン「LeTORONC」(ルトロン)では約15,000本の動画コンテンツについて、企画から撮影、編集まで全て社内で制作して配信しました。メディア事業を通じて、どのような素材を投入して、どのようにシーンを切り替えると、ストーリー性のある動画になるかといったデータが大量に溜まっています。これらのデータを元に機械学習モデルを開発し、「Video BRAIN」に実装しています。

また、ユーザーの閲覧データなどに基づいて、「LeTRONC」にストックされている動画を元に、「あなたにおすすめランキング動画」などを自動生成する「LeTRONC AI」も提供しています。その開発で培った技術も活かされています。

正解のない新領域で自ら意思決定をする面白さ

——東京大学の大学院に進みながらも、中退しフリーランス、更には起業する道を選んだのはなぜだったのでしょうか?

自分で意思決定して進んでいくのが好きで、そうした環境に身を置きがちだったんですよね。学部時代から創業期のベンチャー企業でインターンをして、手探りでプログラミングを学んでいました。そこからフリーランスや企業を選んだのも、より自分で決めて探求できる余地が大きいからだと思います。

——「自分で意思決定をするのが好き」だとすると、子会社化に抵抗はありませんでしたか?

ないですね。THE CLIPが子会社化された2016年って、国内だと制作会社が買収される事例がまだまだ珍しかった。なので、すでに数年間に渡り経営して、安定してきた会社を続けるよりも、単純に面白そうだなと思ったんです。

また、オープンエイトにはエンジニアリングやデザイン以外の領域に強みを持つメンバーがいます。彼らと日常的に関わり、視野を広げられる点も魅力でした。

——実際に入社してみて、どのような点にオープンエイトの面白さがあると感じていますか?

「Video BRAIN」はブラウザ上で、音声の重ね合わせなど負荷の高い処理を短時間で行うことができるツールです。これを実現できているツールは世界的に見ても稀です。

動画×AIという新しい領域で、正解のないなかで開発を進める。その試行錯誤は技術に興味のある人なら絶対に面白いと思います。

——なかでも特にこの分野が面白いなどはありますか?

より具体的な例を一つ挙げると、「Video BRAIN」のレンダリングエンジンの開発など、フロントエンドエンジニア周りの技術的なチャレンジですね。

そのなかで、いかにレンダリングの負荷をどう分散していくか、動画の書き出しやジョブ管理含め、ゼロからエンジンを開発していくのは、フロントエンドエンジニアにとって貴重な経験になると思います。

新しい技術への探究心溢れるエンジニア組織

——技術的なチャレンジに事欠かない環境なのですね。そんなオープンエイトに所属するエンジニア組織の構成について教えてください。

今は社員全体が100人ほど、そのうちエンジニアが30、40人くらいですね。平均年齢は32歳前後ですが、新卒の20代前半からシニアな40代まで幅広いメンバーが所属しています。

——石橋さんはCTOとして組織を率いる立場にいるかと思います。オープンエイトとしてどういったエンジニア組織を目指してきたのでしょうか?

先ほど述べた通り、オープンエイトはこれまでにないプロダクトを開発しています。なので、失敗を恐れずトライする組織でありたい。そのための取り組みは積極的に行なってきました。

例えば、短期間で何度もやり直しやすいようアーキテクチャを設計しておくなど、不確実性を前提として開発環境を整えています。

あとは振り返りの徹底ですね。失敗は次に活かせる限り失敗ではありません。各プロジェクトで毎週あるいは隔週で振り返りの場を設け、失敗を成功の糧にできるようなアクションに繋げています。

——トライしやすい環境と振り返る機会をしっかり設けて、不確実な領域でのチャレンジを後押ししているんですね。

そうですね。不確実性に対応するという点では、日々新しい技術に触れることも大切にしています。新しいアイディアを取り入れなければ突破口は見えてきません。

そのために、メンバー同士で学び合う自発的な取り組みは頻繁に行われています。社内勉強会やモブプログラミングなど、リモートワークに移行してから、より頻度が上がりましたね。

また、Slackで面白そうな書籍を共有したり、誰かが面白いチャレンジをしていたらで「ナイステック」という絵文字をつけたり、学び合うカルチャーがありますね。

レールから外れ、失敗と探求を楽しめる人求む

——自発的に学ぶメンバーが揃っているのですね。そんなエンジニア組織として今後より注力していきたいことはありますか?

まずは開発チームの数や体制の強化ですね。やりたいことは無数にありますから、仲間探しは積極的に進めていく予定です。

また、Video BRAINは将来的にグローバルで展開できるプロダクトだと思っています。その意味では今後よりバックグラウンドも多様なメンバーを迎えていきたいですね。

——オープンエイト全体としては今後どのような取り組みをしていく予定なのでしょうか?

短期的には「Video BRAIN」の導入企業を増やすことに注力していきます。動画を制作したくてもできずに困っている企業を一社でも多く支えていきたい。

次のステージとしては動画のパーソナライズも検討できればと思っています。企業の持つ素材や動画を活用し、クラスターや個人ごとに最適な動画を生成できれば、よりユーザーの心を動かす体験に近づけるはずです。

また、今は動画の編集にフォーカスしてプロダクトを開発していますが、将来的には動画の企画や配信、分析といった動画活用のプロセス全体において、ハードルを下げられたらと考えています。それらを総合的にサポートする「コンテンツテクノロジー企業」になるのが中長期的な目標です。

——そうした目標を達成してくうえで、一人ひとりのエンジニアが担う役割は大きいかと思います。最後に、これからどのような人と一緒に働きたいかを教えてください。

職人的に技術を追求するだけでなく、プロダクトや会社にも関心を持てる人。会社の成長と自身の成長を重ね合わせ、仕事に向き合えるような人と働けたら嬉しいですね。

そして何より、用意されたレールに乗って何かを作るより、未開拓の場所で失敗しながら作っていきたい人。新しい技術へのチャレンジを「楽しい」「面白い」と思えるなら、オープンエイトは最高の環境だと思います。

——ありがとうございました!