
コードを書き続けたかった。──マネジメント一択じゃない、外資出身エンジニアが選んだ自分らしい転職
プロフィール
豊田 優貴
技術本部Bill One Engineering Unit
シンプレクス株式会社に新卒入社し、その後株式会社サイバーエージェント、マップボックス・ジャパン合同会社に勤務。主には広告配信プロダクトの開発に携わる。2024年5月にSansan株式会社に入社し、現在はBill One Engineering UnitのPurchasing Groupのアーキテクトを務める。
笹川 裕人
執行役員 CTO
大学院でコンピュータサイエンスの博士の学位を取得後、株式会社リクルートを経て、2018年4月にエムスリー株式会社へ入社。AI・機械学習チーム、SREチームなど複数チームを自らも手を動かしつつリード。2023年4月にSansan株式会社へ入社し、現在はSansan Engineering Unit、研究開発部、Platform Engineering Unitの部長としてサービス開発の強化を担う。2025年6月よりCTOに就任。
エンジニアとして10年以上のキャリアを歩んできた豊田さん。新卒で入社した金融系ベンダーからキャリアをスタートし、その後はサイバーエージェント、外資企業であるMapboxと環境を変えながら経験を積み重ねてきました。そんな豊田さんが次の環境として選んだのはSansanでした。
想定外から始まった、エンジニアとしての第一歩
──豊田さんのこれまでのキャリアについて教えてください。
豊田:新卒ではシンプレクスという金融系ベンダーに入社しました。最初は正直開発に興味があったわけではなく。コンサル志望で入社したのに配属されたのは開発100%の部署でした。正直IT研修も嫌いだったんです(笑)。配属後当初は、ただ目の前にあるコードにただ向き合う日々が続いていました。
不思議なもので、やっていくうちにだんだん面白くなってきて。気づけば自然と手を動かすことが楽しくなっていたんですよね。今は違うんですが、当時の会社ではキャリアが上がるにつれて、コードを書くよりマネジメントや上流工程にシフトしていくのが当たり前の流れでした。もっとコードを書く仕事に携わりたいと感じ3年目のタイミングで転職をしました。
次に選んだのは、サイバーエージェントでリファラルを通じて入社し、広告配信まわりのプロダクトを5年ほど担当しました。広告配信という世界を見ても有数のトラフィック量を誇る、高い性能が求められるプロダクトに携わることができ、非常に良い経験を積むことができました。同僚にも恵まれ、技術的にも多くのことに挑戦できる環境で、正直辞める理由はありませんでした。
でも、ずっと「いつかアメリカの企業で働いてみたい」と思っていて。SNS経由でお声がけいただき、Mapboxという会社への転職を決めました。
──実際に外資の企業で働かれる中で、転職を考えたきっかけはなんだったんでしょうか?
豊田:入社当時は日本の地図広告の部門に入っていたんですが、戦略上の理由から日本拠点の部門を閉じることになりました。その後アメリカ側のチームに参画し、地図上に電気自動車(EV)の充電ステーションを投影するプロダクトの開発に携わりました。技術的には非常にチャレンジングな環境で恵まれていたのですが、アメリカのプロダクトだったこともあり携わっていたプロジェクトに心からの熱量を持てなくなっていたんです。
やっぱりプロダクトに対する興味や熱意が自分にとっては重要だと感じ、転職活動を始めました。
外資企業からの転職でぶつかった“自分に合う求人”の壁
──実際転職活動を始めてみて苦労した点や難しかった点はありますか?
豊田:転職を進める中で最初にぶつかったのは年収レンジの壁でした。正直、求人票を見ても当時の年収とポジションが見つからず苦労しました。例えばですが、日系の企業ではどうしても年収が上がるにつれ大きな組織のマネジメントの経験が重視されやすいと感じています。私は大規模な組織のマネジメントというよりも、小規模なチームをテックリードとして推進してきた部分が大きかったため、現年収に対し中々合うポジションを見つけられませんでした。そんな時に、Findyのユーザー面談担当の方からスカウトいただきキャリア面談に行きました。
──実際に面談に行ってみていかがでしたか?
豊田:面談では様々な求人を紹介いただきました。正直外資企業でないと難しいかなと思っていたんですが、想定外の企業や自分が知らなかった企業など様々な求人を紹介いただきました。実際Sansanもそこで紹介いただいたんですが、ちゃんと自分の経験を評価してくれる企業があるんだと知り、そこで外資だけに拘らず日系企業も検討を始めました。
──おっしゃる通り一定のレイヤーになるとどうしてもマネジメント経験を求められることが多いように感じるのですが、豊田さんにお声がけされたSansan社として笹川さんはどのように考えられてますか?
笹川:個人的にはマネジメント経験だけではなく、「どこかに尖った強みがあること」を重視しています。能力をレーダーチャートで描くとしたら、自分を基準にしてどこか一つでも自分より突出してるところがある、そんな集団にしていきたいんです。
それに私たちは専門職なので、年収を上げていくにはマネージャーでないといけないみたいなことはないと思っています。実際にSansanではマネジメント経験と同じくらい技術や専門性としてのスキルも評価するような評価制度を作っています。

マネジメントじゃなくても評価される。尖った技術が武器になる場所
──実際にSansan社の選考に進んだ理由について伺えますか?
豊田:自分も評価してもらえるようなポジションがあるということもあるのですが、一番は伸びているプロダクトというのがありました。やはり伸びているプロダクトや組織の中では色んな課題が落ちてくると思っていて、想像もつかないような課題で壁にぶつかることもあると思うんですが、どんな課題が落ちてくるかわからないこそ色んなチャレンジができると思っています。
個人的にはBill Oneというサービスも知っていましたし、すごく成長しているプロダクトだと思ったので選考を受けてみようと思いました。
──実際に選考で印象に残っている出来事はありますか?
豊田:Sansanの選考で印象的だったのが現CTOの笹川さんとの面接でした。正直、「とてもきれる人が出てきたな」と思いました(笑)。
笹川:そんな感じでした?
豊田:はい(笑)。実際話してもらったらわかると思うんですけど、エンジニアとしての経験だけではなく、思考や議論を大事にされている方という、それまでお会いしていたエンジニアの方々とは少し違った印象でした。
──具体的には、どんなところで感じたのでしょうか?
豊田:あまり詳細にはお伝えできないのですが、開発や技術に関する経験の質問に加え、ケーススタディのような「こんな課題があった時どうしますか?」というような質問がかなり印象的でした。
笹川:確かに、そういう質問はよくしますね。選考の中での質問に対し正解を回答してほしいというよりは、どんな思考プロセスで考えているのか、また普段考える行為をしているのかを知りたいと思っています。豊田さんが入社前にイメージされていた通り、事業拡大していく中で様々な課題や見たことのない問題に当たることは往々にして起こると思います。そういった見たことのない問題に当たった時に、どう向き合うかが見たいと思っていて。ちなみに豊田さんはその場で考えるという意味ですごくスムーズで、普段から”考える”という行為をされている方なんだなという印象でした。
──その他に笹川さんから見て、豊田さんの選考で印象に残っていることはありますか?
笹川:私は、常にその人の得意なところを面接で聞くようにしています。苦手な部分は掘り下げてもあまり話が深まらないことが多いですが、得意なことだと皆さん熱心に話してくれるので、深いところまで話を聞くことができます。これが最初に話した制度の話に近いんですが、皆がそれぞれに尖った組織にしたいという思いもあり、その人がどんなところに尖り(強み)を持っているのか聞くようにしています。
豊田さんは、広告システムのキャッシュの話が印象的でした。キャッシュは色んな方がされてると思うんですが、それをサイジング等これだけやれば十分というところを、それ以上にしっかり対策されていて。説明の仕方で大体わかるじゃないですか、この人はやらされたのか自分で考えてしていたのか。豊田さんは自分で考えて動かれていたんだなと感じて、そこがすごく良いなと思ったのを覚えています。 あとはシンプルに得意なところを話している時は、皆さんたくさん話してくれるんですよね。豊田さんもその時すごく楽しそうに話をされていたのが印象的でした。
──実際Sansan社に入社してみてギャップや感想はいかがですか?
豊田:やはりプロダクトが多く組織が成長している分、色んな人が入社していて多様な人に出会えるのは楽しいなと思っています。今回の転職活動でリファラルを使わなかった理由にもつながりますが、社内に知り合いがいないからこそ新しい出会いがあり、そこでまた成長できると思っています。なので今回は、社内に知り合いがいる状態ではなく、あえて誰も知らない場所に飛び込むと決めていました。私が入社した後も新しい方がたくさん入社されていて、色んな方々に出会える環境がとても楽しいです。

一方で、拡大期の組織に飛び込んだならではの苦しみも経験しました。特に、最初の3ヵ月は現場から離れた横断組織で働いていたのですが、それだと現場部門でどういう開発をされているかなどの機微を掴むのが非常に難しかったです。現在は事業部の開発現場にポジションを移したので、Bill Oneの開発に関する解像度が上がり、その上で自分が思い描く開発もだいぶ出来るようになってきました。技術的にも、マッチング技術や新しい言語など、キャッチアップしていきたいテーマに沢山出会えているので、働いていてすごく刺激を受けていますね。
──とても素敵ですね、ありがとうございます。それでは笹川さんから今後豊田さんに期待することがあれば教えてください。
笹川:今担っていただいている領域はSansanの中でもかなり重要な部分の開発です。短期としてはそこのリリースに注力してほしいなと思っています。中長期としては、引き続きSansanで大きなインパクトを出してほしいと思っています。成果の出し方は一通りではないと思うので、所属している組織の外部に出ていくことが全てではないし、内部でどんどんやっていくのも良いと思います。成果が出ていれば自然と仕事が楽しくなると思うので。豊田さんについて周りの人が「あ、あれを開発した人だね」というように知られるようになってほしいと思っています。
──ありがとうございます。それでは最後に豊田さんが今後取り組みたいことや目指していることを教えてください。
豊田:先ほど笹川さんがおっしゃってたように、直近大きなプロジェクトを担当してるのでそれをリリースし、マーケットに大きなインパクトを出せるようにしたいと思っています。転職時から事業やプロダクトの成長を重視してきましたが、個人的にはSansanはやりきり力がすごいと思っているのでセールスの方々に武器を渡せばきっとうまく事業を成長させてくれると思っています。自分がプロダクトを成長させることで事業全体が成長するようなそんな役割が担えればと思っています。
──笹川さん、豊田さんありがとうございました。