【hey×Kyash×Findy】エンジニアの高年収化にどう対応していくのか?|エンジニア採用大反省会2021 ウェビナーレポート・後編

2021年12月27日(月)、Findyが主催するエンジニア採用人事向けイベント「【hey×Kyash×Findy】エンジニア採用大反省会2021」がオンライン上にて開催されました。

コロナが広まってから1年が経過して迎えた2021年。2020年は転職市場も様子見の傾向ではあったものの、2021年はリモートワークの浸透やオンライン面談の活発化も影響して転職市場も一定の盛り上がりが見えました。
一方で採用手法や面接内容のノウハウもコロナ以前と比較すると変化があり、採用活動を行う企業にも明暗が別れたように思われます。

本イベントはエンジニア採用担当として活躍している、Kyash岡田氏とhey近藤氏をお招きし、2021年のエンジニア採用活動を振り返り、2022年の採用活動にどう活かしていくのかディスカッションをしていただきました。その内容を、前編と後編の二部構成でお届けします。

後編ではエンジニアの年収高すぎ問題、競合強すぎ問題についてやポジションごとの採用で競ったときに辞退理由をどのように回収しているかなどについて伺いました。
前編はこちら→https://findy-code.io/enterprise-service/heyxkyashxfindy_webinerreport_01/

登壇者プロフィール

岡田 真由美/株式会社Kyash/採用担当[@mayuyu_desuyo]

MEMO

都内の女子大卒業後、数社経て、2011年株式会社JADE入社(現:株式会社ロコンド )カスタマーサポート→経理→社長秘書兼総務を経験する。株式会社メルカリコーポレートプランニンググループにて総務を担当。
2016年9月より株式会社 Timersに採用アシスタントとして入社。2017年5月~2019年3月まで産休・育休を取得後、2019年4月より復職。Kyashの事業に大きな将来性を感じ、2019年11月より現職。
最近は叶姉妹のPodcastにハマっている。

近藤 愛/ヘイ株式会社/エンジニア採用担当[@_mkondo]

MEMO

自動車の営業を経て、2017年11月に株式会社ブラケット(現 ヘイ株式会社)に入社。Talent Acquisitionチームに在籍し、主にエンジニア採用に取り組む。採用オペレーションの設計、および候補者体験の向上に注力している。 最近ハマっていることは、観葉植物集め。

モデレーター

松岡 佑馬/ファインディ株式会社/マーケティング[@ym0815_fineday]

MEMO

ブルースロックが好きなHRテックフリーク。ソウルドアウト(株)2014年新卒入社。SMB領域のクリエイティブ制作とマーケティング支援に従事。新規事業で人材系企業立ち上げを経て、2019年4月よりファインディ株式会社へジョイン。 セールス・B2Bマーケティング・CSを経験。
現在はマーケティング全般を担当。

年収高すぎ問題、競合強すぎ問題

次のテーマ「年収高すぎ問題、採用競合強すぎ問題」に移りたいと思います。皆さんこれが一番聞きたいことだと思います。岡田さんお願いします。

Findy 松岡

Kyash 岡田

そうですね。特にモバイルエンジニアは最早絶滅危惧種なんじゃないかと思っています。実際にあった話なのですが、弊社からAndroidエンジニアとしてオファーを出した方がいたのですが、別の企業さんからプラス200万円高いオファーがあったそうです。ただ、Kyashはマーケットからすると決して安いわけではないんですよね。ぶっちゃけ私も含めて世間が高額年収に踊らされている気がします。もちろんお金も大事なのですが、そこだけじゃないよってところもしっかりアトラクトしていく必要があると思っています。

Kyash 岡田

弊社の競合は、医療系メガベンチャー・スタートアップとSaaS系メガベンチャー・スタートアップです。特に2021年は医療系がトレンドだったなと思います。
ありがとうございます。続いて、近藤さんお願いします。

Findy 松岡

hey 近藤

私も年々エンジニアの年収が上がっていることは感じているし理解しているのですが、どこまで会社として対応していくかが、大事な問いだと思っています。需要が上がるからと言って、むやみやたらに上げていいのかといったらそうでもないかなと。会社なのでその辺の秩序が乱れてしまうデメリットもあると思っています。

hey 近藤

それに対しての弊社の取り組みとしては、社内で評価制度を構築しています。弊社ではそれを「ロールサイズ」と呼んでいて、そこに期待役割をセットでつけています。まだ構築段階ではあるのですが、それに照らし合わせながらなるべく選考中に能力なども見極めさせていただきながら客観的に測っていくことにも取り組んでいます。あとは構造化面接で質を担保していくことにも取り組んでいます。
「構造化面接の取り組みについて聞きたいです」という質問がきています。

Findy 松岡

hey 近藤

構造化面接については2021年の頭くらいから取り組んでいて、未だにブラッシュアップをしているのですが、めちゃくちゃ難しいです。私が入るというよりも、エンジニア組織全体の運営をしているCTO室のメンバーがミッションとして採用を持っているので、その方が現場のエンジニアと一緒に週に一回30分くらいミーティングを重ねて言語化をしています。

採用競合との差をつけるための魅力をどのように考えているか

次のテーマに移ります。「採用競合との差をつけるための魅力をどのように考えているか」です。岡田さんお願いします。

Findy 松岡

Kyash 岡田

Kyashは2022年で8期目に入るのですが、正直スタートアップとしての話題性は弱くなってきた気がします。FinTech業界自体も2018年頃に盛り上がりましたが、今はそのブームも落ち着いてきたかなと感じていますね。一方でKyashが技術、プロダクト、サービスとしてチャレンジしてきたこと、そして今からチャレンジしていくこともたくさんあります。このイベントに登壇するにあたって、魅力を考えてみたのですが3つあるかなと思います。

Kyash 岡田

1つ目はKyashはプロダクト・テックカンパニーであることが大きな魅力の一つだと思います。12月25日に弊社のアドベントカレンダー(https://blog.kyash.co/entry/2021/12/25/235918)で代表もブログに書いているのですが、開発、デザインは貴重な経営資源だということを強く言っています。2つ目はデザイン、テクノロジー、ビジネスの三位一体でプロダクト開発をしていることです。どのチームもKyashのサービス成長には欠かせない存在という考えのもと、日々取り組んでいます。最後3つ目は、これまでFinTechのパイオニアとして切り拓いてきましたし、今後も切り拓いていこうぜというモチベーションです。前払式の譲渡(送金)や、リアルタイム通知、2%ポイント還元などを率先してKyashがやってきた、というところが非常に大きな魅力だと思っています。
近藤さんはいかがですか。

Findy 松岡

hey 近藤

たくさん課題はあるのですが、まずは認知、知ってもらうことを色々とやっています。そのために、カンファレンスのスポンサー10件、hey note(オープン社内報)を16本、Tech Blogを66本、hey Talk(Techイベント)を9回開催するなど様々な場所にアクションを増やしていったことが魅力づけのために考えている施策です。
これらを何人で回していたのでしょうか。

Findy 松岡

hey 近藤

色んな方に手伝ってもらっているのですが、メインはCTO室のメンバーと私がサポーターで入るみたいな感じです。

ポジションごとの採用難易度

続いてのテーマ「ポジションごとの採用難易度」ですね。岡田さんお願いします。

Findy 松岡

Kyash 岡田

思いの丈をぶちまけると「全部だよ!!!」と言いたいところですが、やはりモバイルエンジニアとくにAndroidは本当にどこにいるの?という感じですね。そもそもタレントプールを探すときにAndroidエンジニアの母数が少ないということと、テックリードクラスになるとパイがものすごく小さくなってしまいます。
弊社で出したウェブエンジニアの人口が20万人、30万人だろうと言われています。さらにそこからテックリードと考えると何%いるんだろうって感じですね。そう考えると今後は採用も頑張りつつ、しっかりと社内で教育していくほうがいいかもしれないですね。

Findy 松岡

Kyash 岡田

そうですね。そういうやり方も考えないとですね。
近藤さんはいかがでしょうか。

Findy 松岡

hey 近藤

私も「全ポジションだよ!!!」って大声で言いたいのですが、もうちょっと具体的に言うと今年はSREの採用でめちゃくちゃ苦労した年でした。それに対するノウハウの共有ができればよかったのですが、正直今年はそこまで手を回す余裕がありませんでした。とりあえず、アクション数を増やして、スカウトだったり媒体求人のアップデートを頻繁にやったりしていました。

hey 近藤

あとは、社員紹介の啓蒙活動っていうところでリファラルを頑張っていこうねみたいな話を全社会で話し続けるなどそういったアクションをしていました。

採用で競ったときに辞退理由をどのように回収しているか

次のテーマは「採用で競ったときに辞退理由をどのように回収しているか」です。皆さん悩まれると思うのですが、岡田さんどうですか。

Findy 松岡

Kyash 岡田

2021年の夏から候補者と並走する採用活動を心がけてきました。なにをやっているかというと、全部の選考のあとに必ず人事面談を挟むようにしています。細かくヒアリングを行いつつ、時には私もアトラクトに入るということもやっています。そのため、感覚値ではあるのですが、候補者の方と信頼関係を築くことができているという手応えを感じています。

Kyash 岡田

あとは地道に選考辞退の理由をメールでヒアリングしています。これを分析して感じたことなのですが、実は蓋を開けてみるとオファー額はそんなに大きな理由にならなさそうだなということがわかりました。Kyashの事業内容だったり、メンバー、働く環境や開発環境だったりはとてもポジティブに感じてもらえているようです。

Kyash 岡田

一方で、アトラクトと人事面談の設計に課題があるのではないかと思っています。候補者の志向とKyashが提供できることをきちんと擦り合わせているか、期待値をちゃんと伝えられているか、Kyashで働くメリットを伝えられているか、この3つがまだまだ詰めが甘いと感じています。
「選考後の人事面談はどの程度話されているんですか?」という質問が来ています。

Findy 松岡

Kyash 岡田

15分程度ですね。ヒアリング項目については、あらかじめフォーマットをつくっておいて、それに沿ってお話をさせていただいています。
続いて近藤さんお願いします。

Findy 松岡

hey 近藤

辞退理由については個別対応でメールや、オンライン会議などで話して地道に集めています。少し話はずれますが、なるべく候補者の方の志向を早めに知りたいなと思っていて、2021年の11月頃からトライアルとして初回接触した人、カジュアル面談もしくは一次面接したタイミングでアンケートを実施しています。そのときに転職の軸や今回の面接の満足度、選考意思決定をどうやって行いますかなどをフォーマット化して聞いています。同じように辞退の理由もフォーマット化できるように試行錯誤しています。

採用媒体の選定基準

最後に「採用媒体の選定基準」ですが、岡田さんはいかがでしょうか。

Findy 松岡

Kyash 岡田

一番大事なことは、その媒体を使いこなせるかどうかだと思っています。あとは運用コストですね。どの媒体さんも運用コストが低いってことは絶対にないと思うのですが、その運用方法がどれだけチームで時間を割けるかどうかだったり、相性がいいかみたいなところをきちんと見極めることが大切だと思っています。あとは、CSさんとの相性ですね。単に仲良しこよしで相性がいいだけじゃなくて、ちゃんと自社をこちらから売り込むことも非常に大事です。Findyの扇谷さんと平山さんにはいつもお世話になっていまして、本当に親身に相談に乗っていただいているので、Findyなくして採用活動はできないという感じですね。

Kyash 岡田

あとはトレンドに踊らされすぎないことも非常に大事なんじゃないかなと思っています。次から次へといろんなものがでてきて、情報のキャッチをすることは大事なのですが、一方で流行りものに飛びついてしまって既存のものをちゃんと動かせていないということが起きがちです。今あるものにちゃんと向き合っていくことが大事ですね。
僕もそれが大事だと思っています。今ある採用媒体はどれも採用できる媒体なので、この媒体ダメだったから別の媒体にしようと言う前にもうちょっと使ったほうがいいですよね。では、近藤さんお願いします。

Findy 松岡

hey 近藤

弊社では、基本的にはまずやってみようというスタンスです。流行りものや気になるものがあればリクルーターの経験にもなるので進めることが多いです。ただ会社の大切なお金を使うのでこのスライドに書いてある項目を自分なりに見立てて予算をもらっています。

hey 近藤

だいたい、数ヶ月から半年の期限を設けて、それに対してPDCAを回して結果どうだったのかをテキストに落とし込んでチームで共有しています。

質疑応答

それでは質疑応答に移りたいと思います。「対面の面接はどのように取り入れていますか?」という質問が来ています。

Findy 松岡

Kyash 岡田

弊社はわりと最終面接とかオファー面談は「対面でいかがですか」と提案させていただいています。

hey 近藤

弊社もどちらでも、候補者さんの希望する方法で会っていますが、オファー面談に関してはなるべく「オフラインで会いましょう」といったコミュニケーションをしていますね。
続いての質問。「非エンジニアの採用担当なのですが、どの程度技術を理解したほうがよいのでしょうか?」

Findy 松岡

Kyash 岡田

求人票に書いてあることが自分でわかる程度かなと思っています。極端な話ですけど、KyashはGoを使っていますと求人票に記載があったときに、Goってどういう言語かとかどういう特性があるかみたいなことをわかっていると良いかなと思っています。
「回答できる範囲で問題ないのですがFindy経由で年何人くらい内定者が取れましたか?」というエグい質問もありますね。

Findy 松岡

hey 近藤

2021年は2人採用できました。

Kyash 岡田

2020年までは結構実績を出していたのですが、2021年は「シーン……」っていう感じです(笑)。2名オファーを出しましたが、振られてしまいました。
「評価制度のお話は一度上がりましたが、エージェントからくるデータだと全国規模だったりして、詳しい金額が不明瞭なときがあります。募集している候補者に対して適正な市場価格の調査は具体的にどのようにしているのでしょうか?」という質問も届いています。

Findy 松岡

hey 近藤

評価制度は構築している途中なのですが、給与に関してはお金を払って外部コンサルに頼ることを検討しています。自分たちでっていうよりも専門の会社にお願いして市場調査してもらうっていう感じですね。
僕のお客さんとかは色んな媒体からデータ収集をしていますよ。

Findy 松岡

hey 近藤

やっぱり作って終わりじゃないというか、一年ごとに見直していかないと、どんどん市場も変化していきます。他社とギャップがあると「どうしてなんだろう」と疑問に思われてしまいますよね。
岡田さんは「他社だと年収が200万円高かった」という情報を本人から聞き出しているのでしょうか。

Findy 松岡

Kyash 岡田

そうですね。人事面談で必ず経済条件の擦り合わせはしていて、他社さんでオファーが出ているかどうかも必ず聞くようにしています。
イベントは以上で終了です。本日はどうもありがとうございました。

Findy 松岡