
Hacobuだからこそ面白い!メガベンチャー出身EM3名が語る、社会課題への挑戦と組織文化
かつてメガベンチャーで辣腕を振るったEM(エンジニアリングマネージャー)たちが、今、物流領域のDXをリードする株式会社Hacobuに集結しています。“運ぶを最適化する”というミッションの下、物流向けクラウドアプリケーション「MOVO(ムーボ)」シリーズを開発する同社で、彼らは何に情熱を燃やし、どのような挑戦をしているのでしょうか。
本記事では、異なるバックグラウンドを持つ3名のEMが、Hacobuを選んだ理由、巨大で複雑な物流領域での挑戦、そしてHacobuならではの組織文化や成長機会について本音で語り合います。
プロフィール

奥野 秀樹さん
テクノロジー本部 エンジニアリングマネージャー
大手SIerでキャリアをスタートし、エンタープライズ向けの開発案件に従事。2018年にSansanへ入社し、WebエンジニアとしてSaaSプロダクト開発に携わった後、EMとして組織のマネジメントを実践。2024年からHacobuに入社し、配車受発注・管理サービス「MOVO Vista」の開発チームのEMを務めている。2025年6月からはVPoE室室長として、開発組織全体の強化を推進する予定。組織とプロダクト開発の両面から、持続可能な成長を実現するための組織づくりに注力している。

大重 俊輔さん
テクノロジー本部 エンジニアリングマネージャー
セーフィー株式会社にてバックエンドエンジニアとして開発に従事し、後にマネージャーも経験。2023年8月、Hacobuに入社。エンジニアとして「MOVO Fleet」の開発に携わり、その後EMに就任。バックエンド技術に強みを持つ。

加來 純一さん
テクノロジー本部 エンジニアリングマネージャー
freee株式会社に初期メンバーとして参画。組織の急成長と共にエンジニアリーダー、EM、開発人事部長など、多岐にわたる役割を歴任。2021年に同社を退職後、約3年間フリーランスとしてエンジニアやアジャイルコーチなどに従事。2025年4月、HacobuにEMとして入社したばかり。「MOVO Berth」を担当予定。
入社の決め手「この人たちと社会課題を解決したい!」
―― 皆さんはメガベンチャーでご活躍されていた経歴をお持ちですが、数ある選択肢の中からHacobuを選ばれた理由が気になります。

奥野:私の場合、転職活動の軸として社会のために何かをしたいという思いが強くありました。Hacobuが取り組む「物流」という社会インフラの課題解決に大きな意義を感じました。
その上で、面接でお会いした方々と一緒に働くイメージが強く湧いたことが最終的な決め手です。Hacobuでは面接の過程で私から「現場のメンバーとも話してみたい」とリクエストして、開発メンバーやVPoPなど、さまざまな立場の方とじっくり話す機会をいただきました。
加來:奥野さんのお話、よくわかります。私もプロダクトが社会的な課題を解決しているかという点は、会社選びの大きなポイントでした。物流という、まさに社会の根幹を支える領域で課題解決に貢献できるのは、エンジニアとして大きな魅力ですよね。
そして、私も最終的には人が良かったという点が大きいです。代表の佐々木(Hacobu代表取締役社長CEO 佐々木太郎氏)やCTOの戸井田(Hacobu取締役CTO 戸井田裕貴氏)と会食する機会もあり、「この人たちと一緒に働きたい!」と。
言葉だけでなく肌でHRT(Humility・Respect・Trust)の精神を感じられました。これはHacobuが大切にしている“7 Values”の「敬意を持って、接しよう」とも共通する部分です。
大重:お二人と同じで、私も転職活動では社会課題の解決に取り組んでいる企業を軸にしていました。Hacobuの「MOVO(ムーボ)」シリーズが、まさにその解決に直結していると感じましたね。

その上で、私にとってはHacobuがプロダクトごとにチームを編成している点も大きな魅力でした。以前には職能別の組織体制を経験していたこともあり、プロダクトに深く関わり、開発から運用まで一貫して携われる環境は理想的だと感じていました。
―― 社会課題への想いに加え、それぞれに惹かれるポイントがあったのですね。
大重:あとは会社のフェーズや技術面も重視しました。当時Hacobuは100名規模で、まさに成長期。技術スタックとしてGo言語を採用している点や、技術カンファレンス等にも積極的にスポンサーとして参加している点などからも、エンジニアが集まりやすく、共に成長していける環境だと感じました。
加來:会社のフェーズは私も意識しました。Hacobuの現在の社員数は約170名(2025年4月時点)ですが、この規模だからこそ感じられる手触り感は大きな魅力です。私自身、freeeがまだ十数人だった頃から関わってきた経験があり、「自分たちの手で組織やプロダクトを育てていく」という実感は、大規模な組織ではなかなか得られないものだと感じています。
物流という巨大インフラに立ち向かう。その難しさと面白さ
―― 皆さんが向き合っている物流領域。Hacobuに入社される前はどのようなイメージをお持ちでしたか?

加來:入社前にHacobuの社員インタビュー記事で「“物流業界”というものは存在しない」という一文を読んだのが印象に残っています。あまりに関連する企業やビジネスが多岐にわたるので、物流を軸に多様な領域がつながっている、というお話でした。
大重:私は正直なところ、入社前は物流領域についてあまりよく分かっていなかったというのが本音です。漠然と、多くの会社が関わっている広大な領域なのだろうな、という程度の認識でしたね。
―― 実際に入られてみて、そのイメージに変化はありましたか?
加來:まさにそのとおりでした。一口に「物流」と言っても、荷主、元請けの会社、実際に運ぶ運送会社、倉庫、そしてドライバーの方々といった多様なプレイヤーがいらっしゃいます。
そして、例えば「MOVO Berth(ムーボ・バース)」のような我々のバース(※1)予約受付システムが対象とする荷待ち(※2)・荷役(※3)の問題ひとつとっても、その背景には本当に複雑な商習慣や現場ごとのオペレーションがあります。
Hacobuに入って、「物流とはこういうものだ」と一言で語れない、細分化されたポイントの集合体なのだと改めて感じました。だからこそ、より細かく、深くドメインを理解していく必要があると日々痛感しています。
(※1)バース:トラックの荷物の積み下ろしをする場所
(※2)荷待ち:荷物の積み込みや積み降ろしのために待機する時間
(※3)荷役:荷物を輸送機関へ積み込んだり降ろしたりする作業全般

大重:よくわかります。関わる会社が多いだけでなく、それぞれの専門領域が細かく分かれていて、ある種の「棲み分け」のようなものが自然と出来上がっている。
だからこそ、Hacobuの提供する「MOVO」のようなプラットフォームが、それらを繋ぎ、情報共有を円滑にしたり、業務を効率化したりする価値が生まれるのだと、今は理解しています。
―― その複雑な物流ドメインで開発に携わる中で、特に「これはHacobuならではの挑戦だ」と感じる点はありますか?
加來:それはやはり、私たちのサービスが止められない社会インフラであるという点ですね。
Hacobuのシステム、例えば先ほど挙げた「MOVO Berth」や案件管理の「MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)」などが停止すれば、日本の物流の一部が本当に滞ってしまう可能性がある。この責任感は、前職のfreee(会計ソフト)で経験したものとはまた異なる、独特の緊張感があります。
freeeでも計画停止はありましたが、Hacobuでは基本的にそれが許されません。というのも、深夜であってもトラックは走り続け、倉庫も稼働しているからです。

大重:ユーザーの課題感が非常に強いことも、このドメインならではの特徴だと強く感じています。
以前関わっていたサービスでは、もしかしたら「なくてもなんとかなる」という方もいらっしゃったかもしれません。しかし、物流領域の方々にとっては、我々のサービスが日々の業務効率化や課題解決に直結している。
だからこそ、新機能一つひとつに対する期待も大きいですし、「明確な課題があって、その解決のためにHacobuを選んでくれている」という手応えを日々感じています。
奥野:物流領域は法改正への対応も非常に重要です。
例えば、近年話題になっていた「物流の2024年問題」は、ドライバーの働き方改革関連法によって、2024年4月1日からトラックドライバーの時間外労働の上限が年間960時間に制限されることなどで発生し得る、輸送能力の低下や運賃上昇といったさまざまな問題の総称のことです。
また、これ以外にも元請け企業に対して実運送体制の管理・把握を求める「実運送体制管理簿」の作成・保存が義務化されるといった動きもありました。
Hacobuでは、こうした法改正の動きをいち早くキャッチアップし、先手を打って対応機能の開発・提供に取り組むことを心がけています。お客様が「まだ先の話だろう」と考えている段階でも、私たちはすでに準備を整えておくのです。
―― 先を見越した開発は、お客様にとっても心強いですね。
奥野:そうですね。以前、実運送体制管理簿の作成を支援する機能をリリースしたのですが、施行までまだ猶予期間があったため、社内でも「正直、すぐには使われないだろうな」と思われていました。
ところが、施行が近づくにつれて徐々に利用が始まり、お客様から「Hacobuのおかげでスムーズに対応できた」「助かった」という声を直接いただいた時は、「ああ、早めに準備していて本当に良かったな、使ってくれたんだ」と、非常に嬉しかったですね。

加來:本当に、このドメインは知れば知るほど奥が深くて、正直なところ「(物流は)もう全部難しい!」と感じることもあります(笑)。どこまで把握すれば全体を理解したと言えるのか、いまだに分からないくらいです。
でも、その難題に技術でどうアプローチし、解決していくかをチームで考え抜き、実際に形にしていくプロセスは、エンジニアとして大きなやりがいを感じますね。
Hacobu流ものづくりの現場は「正・反・合」
―― Hacobuの開発チームにはどんな特徴がありますか?
奥野:Hacobuの7 Valuesの一つに、「“正・反・合”で、対話しよう」という言葉があります。「賛成」を表す「正」と、「反対」の「反」、そして「最善解」を表す「合」です。
何か提案があった時に、ただ賛成するだけでなく、あえて異なる視点や反対意見を出し合って議論を深め、最終的により良い「合」に至ろうという考え方です。
この「反」を歓迎する雰囲気があるので、しっかりとした意見のキャッチボールが自然と行われています。
加來:それは私も入社してすぐに感じました。健全な議論ができる土壌がありますよね。
奥野:あと、私のチームは特にそうなのですが、表現するなら“わちゃわちゃ”している感じです(笑)。
バックエンドエンジニア、フロントエンドエンジニア、QAエンジニア、デザイナー、PdM、スクラムマスター、そしてEMといった多様な職種のメンバーが、文字通り職種の垣根を越えて一緒に物事を進めています。
一般的に、プロダクト開発においてはPdMが「Why(なぜつくるのか)」「何をつくるか(What)」を決めた後、エンジニアが「How(どうつくるか)」を考えるという役割分担がなされることが多いです。ですが、Hacobuではエンジニアが「What(何をつくるか)」の段階から積極的に関与し、「Why(なぜつくるのか)」という根幹の部分についてもその目的や背景を深く理解するためにPdMと対話を重ねることを重視しています。
大重:私のチームも、プロダクトに対してはみんな積極的に意見を出しますね。技術選定に関しても、何か物流領域特有の制約があるというよりは、純粋に課題解決のために技術として一番良さそうなものを選ぶというスタンスです。

例えば、現在バックエンドではGo言語、フロントエンドではReact、モバイルではFlutterなどを採用していますが、常に最適な技術は何かという議論は活発に行われています。
加來:Hacobuは「とにかく新しい技術を試したい」という技術ドリブンな会社というよりは、私たちが向き合っている本質的な課題解決に、その技術をどう生かせるか、という視点を非常に重視していますよね。新しい技術への関心や探求心はもちろん大切ですが、それが目的化していないというか。
―― エンジニアの皆さんも、現場に足を運ぶ機会は多いのでしょうか?
大重:はい、Hacobuではエンジニアも積極的に現場に行くことが推奨されています。
もちろん強制ではありませんが、例えばカスタマーサクセス(CS)チームから「お客様がこういう状況で困っているので、一緒に話を聞きに行きませんか?」と誘われることもありますね。
加來:私も入社してまだ日が浅いですが、先日、PdMに同行してお客様を訪問しました。実際のオペレーションや、現場が抱えるリアルな課題を目の当たりにできたのは大きな収穫でした。

奥野:お客様の現場を知ることは、本当に重要ですよね。以前、Hacobuが展示会に出展した際には、私たちエンジニアメンバーも説明員として参加し、ブースでビラ配りなども経験しましたね。
その時、来場者の方から直接「MOVO使ってるよ!」と声をかけていただいたんです。自分が開発に携わっているサービスが、実際に誰かの役に立っていると実感できた瞬間は、本当に嬉しかったですね。
―― そういった顧客の声は、普段の開発プロセスにも生かされているのですか?
奥野:はい。CSチームや営業チームのメンバーが、お客様からいただく「こういう機能が欲しい」「ここが改善されると嬉しい」といった具体的な要望や、逆に「この機能のおかげで業務が本当に楽になった」といった感謝の声を、SlackやNotionを通じて開発チームに共有してくれています。
私たちはそれらの情報を日々確認したり、CSチームとの定例ミーティングで詳細をヒアリングしたりしながら、日々の開発の優先順位付けや改善に繋げています。
オープンでフラット。キーワードは「持続可能な組織づくり」
―― Hacobuの組織運営についてはどのように感じていますか?
大重:私が入社前に抱いていたイメージよりも、かなり組織化が進んでいるという印象です。もう少しベンチャーらしい、ごちゃごちゃ感のある組織を想像していたのですが、実際にはマネジメント体制もしっかりしていて、ちゃんと組織を作っていこうという明確な意思を感じます。
加來:同感です。会社の規模やフェーズを考えると、驚くほど成熟しているのがHacobuの特徴だと思います。特に開発組織では、今後の組織拡大を見据えた役割分担や権限移譲が進められていますよね。
奥野:特定の個人に業務が集中したり、依存したりしないような持続可能な組織づくりを目指しているんです。
具体的な取り組みとしては、私たちEMの定例会議の議事録共有があります。人事情報など一部クローズドな内容も扱いますが、それ以外は全体共有用に議事録を編集して公開しています。
「どういう経緯で、何が議論され、どういう決定がなされたのか」というプロセスをできる限り透明化することで、メンバーの納得感を高め、マネジメント層への過度な期待や不信感を生まないように工夫しているんです。それによって、マネージャーがマネジメントしやすい環境づくりにもつながりますし。
―― 経営陣との距離感や、全社的なコミュニケーションについてはいかがでしょうか?

奥野:経営陣との距離は非常に近いと感じています。
例えば、各プロダクトの重要な意思決定を行う会議には代表の佐々木も普通に参加しますし、そこでエンジニアの視点から「この機能は現実的に可能か」「もしつくるならどれくらいの期間が必要か」といった意見を直接求められることもあります。
技術的な観点が経営判断にしっかり反映される土壌があるのは大きいですね。
また、CTOの戸井田とは日常的にSlackで気軽にコミュニケーションを取れますし、何か問題提起をすれば「ああ、それならすぐに対応しよう」といった感じで、意思決定のスピードも非常に速いです。
加來:全社的なコミュニケーションで特徴的なのは、やはり月に一度開催される全社会議でしょうか。
奥野:そうですね、現在は約170名(2025年4月時点)を超える全社員がオフラインで一堂に会します。
経営陣からの業績報告などももちろんありますが、私が特に良いと感じているのは、部署や役職に関係なくランダムにグループ分けされたテーブルで、ワークショップやゲームを通じて交流する時間が設けられていることです。
これによって、普段業務で直接関わらないメンバーとも顔見知りになれますし、「この件なら、あの人に相談してみよう」といったトランザクティブメモリー(誰が何を知っているかという組織内の知のネットワーク)が自然と形成されていく。
最初は少し戸惑うかもしれませんが(笑)、回を重ねるごとに「また会いましたね!」といった会話も生まれ、組織の一体感を高める上で非常に効果的だと感じています。
挑戦の尽きない環境がHacobuにはある

―― 皆さんはどんな仲間と一緒に働きたいですか?
加來:物流ドメインの知識は入社してからキャッチアップできます。それよりも、社会課題の解決や、成し遂げたいことを軸に仕事を選びたい方にぜひ来ていただきたいです。
奥野:自分の領域に閉じこもらず、チーム全体でプロダクトの「Why」から一緒に考え、さまざまな意見を交わしながら進めていくことを楽しめる方は大歓迎です。
大重:単に「つくる」だけでなく、どうすればユーザーにとって価値あるものになるかを主体的に考え、プロダクトをより良くしていくことに情熱を持てる方と一緒に働きたいですね。
―― 今、このフェーズのHacobuだからこその魅力とは何でしょうか?
加來:エンジニア組織が約50名という規模だからこそ、組織やプロダクトを自分たちの手で大きくしていくダイナミズムを日々感じられます。
奥野:そして、物流領域もHacobu自身も課題は山ほどある(笑)。だからこそ、技術的なチャレンジも組織的なチャレンジも尽きません。
―― 最後に、これからHacobuの仲間になるかもしれないエンジニアの皆さんに向けてメッセージをお願いします。
奥野:Hacobuは、物流という社会インフラの課題解決に本気で取り組んでいます。そこには数えきれないほどの挑戦があり、大きなやりがいがあります。この想いに共感してくださる方、ぜひ一度お話ししましょう!カジュアル面談でお待ちしています!
加來・大重:お待ちしています!