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フロントエンドの未来を、福岡で語り合う。Frontend Conference Fukuoka 2026 現地レポート

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ファインディ編集部

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2026年9月12日、九州産業大学 12号館にて「Frontend Conference Fukuoka 2026」が開催されました。コロナ禍を経て7年ぶりの再開となる今回のコンセプトは「未来のフロントエンドと徹底的に向き合う」。3つのRoomで合計18のセッションが行われ、登壇者・スタッフを含む320名が現地参加しました。

ファインディ(Findy Media)はメディアサポーターとして同カンファレンスに協賛しました。本記事では、セッションの内容に加え、ブースやAsk the Speaker、アフターパーティーで交わされた会話にも目を向けながら、当日の熱気をお伝えします。

「2026」のバルーンを持ったスタッフと参加者による会場での集合写真

Frontend Conference Fukuoka 2026について

開催のきっかけの1つには、2025年9月に開かれた「フロントエンドカンファレンス東京」の懇親会での会話があったといいます。そこから準備が重ねられ、7年ぶりの開催が実現しました。

オープニングで「ENJOY!」のスライドが映り、拍手する満席の会場

当日の参加者は320名。特別サポーターとしてW3Cが名を連ねたほか、23法人がスポンサーとして開催を支えました。

3トラック並行で各60分のセッションが6コマ続く構成で、参加者からは「どれを聴くか悩ましいほど豪華だった」といった声も聞かれました。セッションのテーマは、Web Standards、FE Ecosystem/Tooling、Testing、Architecture、Design Engineeringと、フロントエンドの領域を表した構成です。

大学会場だからこその雰囲気

会場となったのは、九州産業大学の教室です。セッション中、時折鳴るチャイムの音には、「チャイムも鳴りましたので」と登壇者が触れるなど、会場に笑いが起こる場面もありました。

会場ネットワークは九州産業大学と福岡女子大学の学生チームが担当し、300名を超える接続環境を終日支えていました。

短い休憩の合間にも、教室の外では参加者同士の会話やブースでのやりとりが生まれていました。

ブースで生まれた会話と参加型企画

ブースエリアでは、参加者が少人数でじっくり話し込む光景が一日を通して見られました。

各社が用意した問いや体験型の企画をきっかけに、参加者と担当者、あるいは参加者同士の会話が自然に生まれていました。

ここでは、編集部がお話を聞いたブースの一部を紹介します。

PR TIMES、サイボウズなどのスポンサーブースが並び、参加者でにぎわうブースエリア

Ubie株式会社「改善幅ランキング」

Ubieさんのブースのお題は「『良いUIとは何か』を言葉にしてください」。

ユビーのブース企画の画面。「良いUIとは何か」を言葉にし、AIがその基準でコードを改善してスコアを競う

修正箇所を指示するのではなく、何を良しとするかの基準だけを書く。AIはその基準で自己評価をしながら、7分間コードの改善を繰り返します。参加者はそれぞれ悩みながらプロンプトを書いており、具体的に指示する人もいれば、そうでない人も。何を重視するかによって、プロンプトの書き方にも違いが表れていました。

この日の終盤、ある参加者が熟考してプロンプトを書き上げました。結果が出るまでの数分、上位者のプロンプトと改善後の画面を見比べながら待ち、「2位」という結果が表示された瞬間、その場にいた全員から拍手が起こりました。

ユビーのブースで、AIによるコード改善幅のランキング画面を指さす参加者

AIをテーマにした企画でありながら、盛り上がっていたのは「どう指示するか」だけではありません。参加者同士が画面を見比べながら、何をもって良いUIとするのかを話し合う場にもなっていました。

サイボウズ株式会社「何でも話します」

サイボウズさんのブースでは、話せるテーマを付箋で貼り出し、参加者が気になるものを選んで会話を始める形式が取られていました。

開発の進め方やデザインシステムといった技術的な話題から、評価制度やカルチャーの話まで、入口が幅広く用意されています。

担当者の方に話を聞くと、AI関連に興味が偏るかと思いきや、参加者の関心は幅広いテーマに分かれていたそうです。人気を集めていたテーマの1つは「おもしろい社内行事」。技術ではWeb標準に関する会話が多かったといいます。

サイボウズのブースで、「何でも話します!!」と書かれた付箋ボードを前に参加者とブースのスタッフが話している様子

株式会社カオナビ「新卒に戻ったら何から勉強する?」

カオナビさんのブースでは、「新卒に戻ったら何から勉強する?」という問いに対して、参加者が付箋で回答し、他の参加者が共感のシールを貼っていく企画が行われていました。

ひときわ共感を集めていたのは、「人としての基礎」という回答でした。技術だけでなく、仕事の進め方や周囲との関わり方も、学び直したいテーマとして捉えられていたようです。技術系では「ネットワークの基礎」、フロントエンド関連では「Web標準」や「CSS」に共感が集まっていました。

担当者の方によると、フロントエンドを主領域とする参加者ほど、他の技術領域を挙げる傾向があったそうです。対応できる幅を広げておきたい、という理由が多かったといいます。

「自分が新卒に戻ったら何から勉強する?」と問いかける付箋ボードを囲み、ブースで談笑する参加者

見せ方は各社それぞれでしたが、ブースで交わされていた言葉には重なりがありました。Web標準、ネットワークの基礎、CSS。フロントエンドを支える土台となる領域に、関心が集まっているようでした。

そうした関心は、セッションのテーマにも通じていました。

フロントエンドの現在地を映すセッション

18のセッションから、編集部が注目したものを一部紹介します。

30年分のWebをたどる

「とほほのWWW入門」を運営する杜甫々さんのセッションは、1996年の開設から30周年を迎えたサイトの歩みとともに、Web技術の変遷をたどる内容でした。

スポンサーロゴのバックパネルの前で、マイクを持って話す杜甫々さん
杜甫々さん

中心となったのは、Web標準とCSSの歴史です。SGMLからW3Cの設立、HTML 3.2、HTML 4.0、XHTML、HTML5、Living Standardへ。当時の掲示板で<font>タグの廃止をめぐって論争が起きたことなど、リアルタイムで見てきた杜甫々さんならではの視点が随所に挟まれます。

AIによるプログラミングについても、突然現れた断絶ではなく、アセンブラから高級言語へと抽象度が上がってきた延長線上にあるものとして語られました。高級言語から自然言語へ。Webの歴史を振り返るセッションの中で、これからの開発のあり方もまた、長い技術変化の流れの中に位置づけられていたのが印象的でした。

とほほ氏の基調講演スライド「AIはプログラマーの仕事を奪っていく?」。アセンブラ、高級言語、自然言語へとプログラミングが移り変わる図

そしてセッションの最後、30年続けてきた秘訣として挙げられたのは、「好きこそ物の上手なれ」という言葉でした。

「変更しやすさ」をどう設計するか

lacolacoさんの「なぜテストを書くか?」は、ソフトウェア開発の主目的を「変更しやすいコードを設計すること」に置き、変更容易性を2つの軸に分解するセッションでした。

開放閉鎖原則(OCP)について解説するlacolaco氏のセッション。マイクを持ち身振りを交えて話す登壇者
lacolacoさん

1つは心理的変更容易性。コードを変えることへの恐怖や認知負荷の度合いです。もう1つは物理的変更容易性で、変更に必要な労力やコストを指します。

そのうえで示されたのが、開放閉鎖原則を満たす構造へ段階的に近づけていく実践です。事前にすべての変更を予見することはできないからこそ、実際に変更したときに生じる摩擦をフィードバックとして使う。テスト駆動開発のサイクルを通じて構造を育てていく手法が提示されました。

フロントエンド開発が大規模化し、長く運用されるものになっているからこそ、「どう作るか」だけでなく「どう変え続けるか」が問われていることを感じさせるセッションでした。

AI時代のフレームワークはどこへ行くのか

Yusuke Wada(yusukebe)さんのセッションは、AIエージェント向けの開発者体験「Agent DX」を提唱する内容でした。


Yusuke Wadaさんのセッション中の様子

人間にとって快適な開発サーバーが、AIエージェントにとっては必ずしもそうではない。この気づきを起点に、CLIの改良とその効果が検証されていきます。

このセッションでは、発表全体が音声読み上げと字幕を組み合わせた形式で進行しました。

当日は声を出すのが難しい状況だったというyusukebeさんは、生成AIを活用して読み上げソフトを用意し、発表に臨んだそうです。

開始前の読み上げテストの時点で、会場からは笑いや驚きの声が上がりました。スライドには字幕が表示され、身振り手振りを交えながら発表が進んでいきます。スライドが切り替わるたびに、参加者から「おお」「すごい」と声が上がる場面もありました。

AI時代の開発者体験を語るセッションでありながら、その発表形式自体もまた、AIやツールをどう使いこなすかを体現しているようでした。

ツールチェーンから見た新JS仕様

翠さんの「ツールチェーンから見た新JS仕様の難所」は、Linter、Bundler、Transpilerといった開発ツール群が互いにどう依存し合っているかを体系化したうえで、新しい仕様提案を性質ごとに分類する内容でした。

翠氏のセッション。JavaScriptのツールとその依存関係を図示したスライドを背に話す登壇者
翠さん

新しいJavaScript仕様は、開発者にとっては便利な機能として見えます。しかし、それが日々の開発環境で当たり前に使えるようになるまでには、LinterやBundler、Transpilerなど、多くのツールが対応しなければなりません。

既存の機能でポリフィルできるものか、内部挙動を伴う変更か、新しい構文の追加か。同じ「新機能」でも、その性質によってツールチェーン側が背負う負担はまったく異なります。

普段何気なく使っている機能の裏側で何が起きているのかが見える、FE Ecosystem/Toolingの現在地を考えるうえで印象的なセッションでした。

速さを追い求めたら、HTMLになった

菅原 孝則さん(STUDIO株式会社)のセッションは、ノーコードWeb制作ツール「STUDIO」のレンダリングエンジンを2年半かけて再構築したプロジェクトの記録です。

20万規模の稼働サイトを抱えるなか、世界最高速を目指してSPAからMPAへの転換が決断されます。選ばれた手段は、外部ライブラリやフレームワークを排除し、JSONからHTMLへの変換処理を純粋関数として手書きすることでした。

STUDIO 菅原氏のセッション。「JSONをHTMLにするだけなんやが」と題したスライドの前で話す登壇者
菅原 孝則さん

Vue.jsに密結合していたスタイル適用はCSS Variablesのオーバーライドで静的に表現し、カルーセルのような複雑な動的要素はカスタムエレメント化する。速さを突き詰めた先にたどり着いたのが、HTMLとCSSの素の力を使い切る設計でした。

派手な新技術ではなく、Webの基盤に立ち返ることで課題を解いていく姿勢は、この日の複数のセッションやブースで見られた「土台への関心」とも重なります。

Ask the Speakerで生まれた輪

開室時間が書かれた「Ask the Speakersルーム」の案内ボードと、室内で話す参加者たち

セッション終了後には、登壇を終えたスピーカーに直接質問できるAsk the Speakerの時間が設けられていました。会場では、数名の参加者が登壇者を囲み、輪になって話す光景が多く見られました。

話題は、セッション中に気になった点への質問にとどまりません。関連する事例の共有や、いま業務でつまずいている箇所について意見を求める場面もありました。

印象的だったのは、質問者以外の参加者も自然に会話へ入っていくことでした。「それ大変ですよね」「まさにうちでも」といった相づちから、参加者同士、さらには登壇者同士の会話が始まっていきます。

セッションで投げかけられた問いは、発表の時間だけで完結していませんでした。登壇者を囲む輪の中で、参加者それぞれの現場や課題に引き寄せられながら、議論が続きました。

Ask the Speakersルームで、登壇者を囲んで参加者が立ち話をしている様子

クロージング、そしてアフターパーティーへ

18時からのクロージングでは、当日の実績が共有されました。参加者が300名を超えたことが発表されると、会場から大きな拍手が起こります。

クロージングで、登壇者たちの写真をまとめたスライドを映しながら実行委員長のsakuさんが挨拶する会場の様子
クロージングで話す実行委員長のsakuさん

18名の登壇者、20名の運営スタッフ、23法人のスポンサー、6名の個人スポンサー、そして会場ネットワークを支えた学生チーム。7年ぶりの開催を形にした人たちの存在が改めて示されました。

集合写真の撮影を終えると、参加者はキャンパス内の中央会館で開かれたアフターパーティーへ。セッションやAsk the Speakerで生まれた問いは、場所を移しても途切れることなく、食事を囲みながらの会話へと続いていきました。

セッション中には聞ききれなかったことを登壇者に尋ねる人、ブースでの会話の続きをする人、初対面同士で互いの開発環境や関心領域について話す人。日中のプログラムが濃密だったからこそ、公式プログラム後の時間にも、会場の熱が残っていたように感じます。

「THANK YOU!!」のスライドが映る、閉会後の誰もいない会場

まとめ

Frontend Conference Fukuoka 2026で語られていたのは、まさしくフロントエンドの未来でした。

AI時代の開発が注目される一方で、この日繰り返し立ち上がっていたのは、フロントエンドを支える基盤をどう理解し、どう使いこなし、どう変え続けていくのかという問いだったように思います。

「未来のフロントエンドと徹底的に向き合う」というコンセプトのもと、参加者は話を聞くだけでなく、議論し、ブースで対話し、アフターパーティーでも普段思っていることを語り続けていました。

7年ぶりに再開したFEC Fukuokaが、次にどのような議論の場を生み出していくのか。福岡から広がるフロントエンドコミュニティのこれからにも注目です。

アーカイブ動画

当日の各セッションは、以下のリンクからご覧いただけます。

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