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インタビュー

フルリモート導入やモダン技術の採用。メンバーの声を反映しながら、成長と成果を追い求める『弥生』開発組織の魅力に迫る

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弥生株式会社

登録ユーザー数250万を超える『弥生シリーズ』で知られる弥生株式会社。

デスクトップアプリ『弥生会計』やクラウドアプリ『弥生会計 オンライン』、クラウド確定申告ソフト『やよいの青色申告 オンライン』などに加え、事業・業務支援サービスの『起業・開業ナビ』『資金調達ナビ』『事業継承ナビ』といった複数のサービスを展開しています。

2019年からは行政や業界も巻き込み、社会全体のDX推進に取り組む団体の立ち上げと推進にも注力。起業・資金調達支援から業務効率化、事業承継支援まで、会計ソフトの枠を超え、スモールビジネスをワンストップで支援する「事業コンシェルジュ」へと進化を遂げています。

その変容を技術で支えるエンジニアはどのような環境で働いているのでしょうか。同社執行役員 開発本部長の橋本武志さんに、弥生のエンジニア組織の働き方や制度、カルチャー、技術的な面白さについて伺いました。

■プロフィール
橋本 武志
弥生株式会社 執行役員 開発本部 本部長

証券会社で営業、金融系のベンチャーシステム会社でプログラマーやプロジェクトマネジメントを経験。その後、前職の複数メンバーと金融系システム会社を起業、プロジェクトマネジャーを務める。弥生入社後、自社初となるクラウドサービスの新規事業のプロジェクトマネジャーに就任。以降、さまざまなプロダクトのプロジェクトマネージャーを歴任した後にシステム開発部部長を経て現職。趣味は海外旅行(印象的だったのはイスラエル、チベット)。

山田裕一朗
ファインディ株式会社 代表取締役

同志社大学経済学部卒業後、三菱重工業、ボストン コンサルティング グループを経て2010年、創業期のレアジョブ入社。 レアジョブでは執行役員として人事、マーケティング、ブラジル事業、三井物産との資本業務提携等を担当。 その後、ファインディ株式会社を創業し、AI求人票採点サービス「Findy(ファインディ)」をリリース。

事業コンシェルジュとしてスモールビジネスのデジタル化、業務効率化を推進

──初めに弥生のミッション・ビジョンや事業内容について教えてください。

弥生が目指すのはスモールビジネスの「事業コンシェルジュ」です。日本における事業者の9割以上を占める中小企業・小規模事業者の事業成長、ひいては日本経済全体の発展に貢献したいと考えています。

そのために『弥生会計』の扱う会計領域に閉じるのではなく、起業・開業計画の支援や会社設立の手続き、会計以外も含むバックオフィス業務、税理士や会計士とのやりとり、資金調達など、あらゆる活動の効率化を支援しています。

効率化のためには、単に紙の書類や手続きを電子化するだけではなく、業務のあり方から見直していくという意味での「デジタル化」が不可欠ですが、一社で進めるには限界があります。新しい業務のあり方として、2019年12月に、弥生が発起人となって社会的システム・デジタル化研究会を立ち上げました。
社会的システムのデジタル化を通じ、社会全体としての効率を抜本的に向上させ、社会的コストの最小化を図ることを目指しています。
2020年7月には電子インボイス推進協議会(代表幹事法人:弥生株式会社)を発足し、2022年6月に会の名称を「デジタルインボイス推進協議会」に変更しました。日本全体の商取引において、単純に紙を「電子化(Digitization)」 するだけではなく、デジタルを前提として業務のあり方も見直す「デジタル化(Digitalization)」を進めていきます。

参考URL
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000136.000015865.html

──なるほど。橋本さんは弥生でどのような業務に携わってきたのでしょうか?

2012年に入社し、店舗経営にまつわるサービスのプロジェクトマネジメントを担った後、『やよいの青色申告 オンライン』『やよいの白色申告 オンライン』など、弥生にとって初となるクラウドサービス群の立ち上げに奔走しました。クラウドアプリ開発に対してネガティブな意見もありましたが、「やってみようよ」と一緒にチャレンジしてくれるメンバーもいて、大いに支えられましたね。

その後、クラウド製品とデスクトップ製品をまとめるシステム開発部の部長を経て、2020年に執行役員 開発本部長に就任しました。

現在は開発本部のメンバーが働きやすく、かつ成長して成果を出せる環境や制度、仕組みづくりに関わっています。直近ではフルリモートへの移行や給与テーブルの改定などを行いました。

市場価値の高いエンジニア”を育てるための環境・制度づくり

──フルリモートへの移行について詳しく伺いたいです。

もともと2020年の東京オリンピックの開催に向けて、リモートワークへの移行準備を進めていました。それが新型コロナウイルス感染症の影響で数ヶ月早まったのです。

移行前は不安もありましたが、リモートワークの目的や制度、FAQなどをドキュメントに整理し、課題が起きた場合には新たな制度を導入するなど改善を重ねてきました。

具体例をあげると、初期に浮上した課題はコミュニケーションの量と質の低下です。オフィスと違って気軽な挨拶や声かけが起こりづらくなりました。出社していれば隣のチームの様子を見て「大変そうだな」と状態の変化に気づき、声を掛けることもできます。しかし、リモートワークではそういったことは難しいですよね。

そこで、オンラインの1on1やチーム会を設けるほか、メンバーが決まったZoomに入室して接続したまま作業をする仕組みを導入しました。また、毎週決まった曜日に職種横断でチームを分け、Zoomで交流したり一緒に作業したりする時間を設けています。普段は製品別のチームで仕事をしていますので、職種横断の交流を促すことで、情報のサイロ化を防ぐことができるのではないかと考えました。メンバーからは「他チームの取り組みがわかって良い」「横の関係ができた」「作業に集中できる」と好評です。

──給与テーブルの改定は、どのような背景で進められたのでしょうか?

リモートワークに移行したこともあり、一人ひとりの職務のミッションや成果は何なのか、どのような知識やスキルを発揮すべきなのかなど、より明瞭に整理する必要性を感じていたのです。ジョブごとにどこまで昇進するのか、キャリアの道筋や育成のための取り組みの効果も見えるようにしたいと考えていました。

何よりやるべきことをやった人が正しく評価され、正しく報酬が支払われる状態に近づけたいという思いもありました。それはエンジニアだけでなく、会社のための取り組みを推進してくれているメンバーも含めてです。社員総会の企画や人事系の施策の推進も、直接プロダクトを開発する仕事と同じくらい大切なことですから。

現在は、エンジニアやTechL・PL、セキュリティエンジニア、CTO・CTL、QA、QL、PM、UXデザイナーと、8つの職種、10段階のジョブグレード(等級)ごとに求められる知識やスキルを整理した職務記述書があり、それを基準に給料を決定しています。記述書の作成に合わせて給料テーブルも改定し、全体的に給料のベースが上がりました。

まだ導入して半年ですので評価はこれからですが、すでに採用においてポジティブな影響を感じています。

──働く環境づくりや制度設計に取り組むにあたって、橋本さんが特に大切にしていることはありますか?

エンジニアがモノづくりで力を発揮し、成長するためには、組織の心理的安全性を高め、自己組織化できる状態をつくることが何より大切だと思います。メンバーが自律的に動きやすいよう、任せる部分は任せる、支援が必要な部分は支援する、といったバランスを意識しています。

また、エンジニア一人ひとりが外部イベントの登壇時などで「優秀ですね」と評価されるような組織にしたいと考えていて、市場価値のあるエンジニアを育てる、という観点で教育プランやシステムなどを設計してきました。

──具体的にはどのような教育プラン、システムを用意しているのでしょうか?

技術面については、インフラやCI/CD、SREなどの知識を底上げするため、AWSと協力して『AWS DevAx Academy MONOLITHS TO MICROSERVICES』と呼ばれる研修を実施しました。8日間にわたる終日もので、2年目社員からベテラン社員まで、社内のエンジニアメンバー150人のうち8割の社員が自主的に参加してくれました。

わからない部分はベテラン社員が教えたり、最後は混合チームでゲームを作ったり。技術的なインプット機会としてはもちろん、職種やチームの異なるエンジニア同士の交流機会としても機能したと感じています。

他にもマーケティング本部や顧客サービス本部のメンバーも一緒にAWSの『データイノベーションプログラム』に参加し、データを活用して新しいビジネス・サービスを企画する技能を学ぶトレーニングも行いました。

技術以外のヒューマンスキルについては『SLII®(世界的に有名なリーダーシップ研修プログラム)』や『DiSC®(行動特性に基づくコミュニケーションツール)』の研修なども実施しています。

それ以外にも取得したい資格がある場合、業務指示の場合は費用の100%、業務に関連するものであれば費用の80%を補助します。知見を持ち帰ってもらう前提ではありますが、外部の勉強会参加にかかる費用を支援することも珍しくありません。

CCoEを目指して移行を検討。エンジニアがチャレンジできる弥生の開発組織

──今後どのようなエンジニア組織を目指していきたいですか?

CCoE(Cloud Center of Excellence)と呼ばれる、クラウド活用に特化した横断型組織を目指しています。AWS含めさまざまな組織の事例がありますので、参考にしながら移行を検討しています。

今の弥生は開発本部とマーケティング本部、顧客サービス本部、そして管理本部と大きく4つの部署に分かれていますが、今後新しいプロダクトを作る際は、新規事業開発の部署を新設することもあり得ます。あるいは、各部署からメンバーを選抜し、独立して自由に動けるチームを組成するのも面白いかもしれませんね。

私自身、10年前にクラウドアプリ開発を推進する際には、大いにチャレンジをさせてもらった経験があります。大きな痛手は避けなければいけませんが、可能な限り失敗を糧に成長できる環境・体制を整えたいと考えています。

──橋本さんにとって弥生の面白さはどのような点なのでしょうか?

チャレンジする機会が多いことですね。「あれやっていいですか?」と手を挙げた人の声を聞き、任せてくれる環境です。もちろんセキュリティや金銭面はしっかり検討しますが、提案の内容を聞かずに「ダメです」と言う人はいません。提案内容に不足があった場合は「こう変えたら、いいんじゃない?」と代案を挙げて、チャレンジを促します。

仮に失敗してもちゃんと糧にして、次に繋げてもらえたらいいですしね。ただ、同じ失敗をしないようにする必要はあります。

また、弥生は新規/既存どちらのサービスにも携われる環境です。特に後者はお客様の数も多く、責任を感じながら仕事ができると思います。一人ひとりの意見をそのまま取り入れるのではなく、お客様が言語化できていない本質的な要求を見出し、パッケージソフトを作るのは面白い経験になるはずです。発注されたものを作るのではなく、自ら思考し、作り、評価を受け、改善に向けてまた思考する。そのサイクルをスケールの大きいプロダクトで体感できます。

──技術的な面白さについてもお話いただけますか。

特に新しいプロダクトでは、技術的な意思決定に関われる余地は大きいかと思います。例をあげると、2022年5月にリリースした
証憑管理サービスのベータ版は、ゼロから新たに生み出したサービスです。開発のアーキテクチャやプロセス、開発言語は現場メンバーと相談しながら決めたのですよ。

──どういうマインド、技術を持ったエンジニアと一緒に働きたいですか?

挑戦とものづくりを楽しめる、想いがあって行動できる人ですね。弥生はお客様の業務を熟知した上で、技術系の会社として成長していきたいと思っています。「技術で様々な課題を解決したい」「お客様に良い製品を届けたい」と考えて行動できる人と働けると嬉しいですね。

プロダクトも、組織も、エンジニア一人ひとりが新しく変えていける

──最後に、転職を検討している人にメッセージをお願いします。

「弥生」の印象を聞くと「真面目」や「昔ながらの企業」といったイメージがあるかもしれません。しかし、最新の技術やアーキテクチャを取り入れていますし、内製でプロダクト開発をしている。思う存分ものづくりを楽しめる環境だと思います。また、misocaが傘下に加わってから、アジャイルやフルリモートなど、新たな働き方や制度も積極的に取り入れています。

会社のカルチャーや仕事の進め方の違いを乗り越え、共創していく方法については試行錯誤を続けていますし、組織として未熟な面も少なくありません。逆にいうと、その分変えていける部分も大きいのです。

特に働き方に関しては、トップダウンで決めるよりも、現場の意見を取り入れた方が必ず成果につながると考えています。実際にリモートワークの手当や補助金、時間休などの制度は、メンバーの声を聞いて取り入れてきたものです。これからも弥生のValue(弥生の価値基準/行動指針)にある“チーム弥生として”、メンバーと一緒により働きやすく成果を出せる環境をつくっていきたいと考えています。