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SRE本第2版、MySQL 26.7、gVisorのCNCF寄贈── クラウド/インフラ話題8選

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株式会社X-Tech5 / 取締役CTO

馬場 俊彰

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「あの人も読んでる」略して「も読」。さまざまな寄稿者が最近気になった情報や話題をシェアする企画です。他のテックな人たちがどんな情報を追っているのか、ちょっと覗いてみませんか?


こんにちは。馬場(netmarkjp:Bluesky/X)です。

わたしは「#ばばさん通信ダイジェスト」として、BlueskyやThreadsに毎日少しずつ、賛否を問わず話題になった/なりそうなものを共有しています(Bluesky検索)。

これらをベースに、特にクラウド/インフラ/SRE/オブザーバビリティ/運用等のキーワードに関する話題を中心にお届けします。

初版から10年、SRE本の第2版が刊行されました

Google Cloudが書籍『Site Reliability Engineering』の第2版の刊行を発表しました。

通称「SRE本」として親しまれているあの厚い本です。オライリーの販売サイトによると英語版で796ページで、今回もまた厚い。

初版から10年。全面改訂とのことでとても楽しみです。

現代のSREとしては、話題として外せないのがAIですよね。multiplier / amplifierであるAIをどう活かしていくのか、このあたりも注目です。

日本語版については、わたしは存じ上げないのですが、日本語版の改訂も期待しています。

OpenAIにおけるストレージプラットフォームの進化

OpenAIがテックブログで、内製オンラインストレージプラットフォーム「Habitat」の進化と最適化について解説しています。

Habitatは週間利用者数が10億人を超えるプロダクトを支える、毎秒7,000万超のリクエスト、総容量500PB超を支えるオンラインストレージです。

Pythonライブラリーから始まり、サービスとして独立させ、最終的にRustに移行するまでのチューニングやトラブルシューティングについて語られています。SDK→サービス化→全体最適化はAI以前から定番の段取りですが、これがAIの力でスムーズに、省力に実現できるようになったのが現代ですね。

Rustへの書き換えというと、以前AnthropicがbunをZigからRustに書き換えた話を紹介しました。

最近の似た話として、GitHubがCopilotエージェントランタイムをTypeScriptからRustに書き換えました。

こちらはbunのような一括書き換えではなく、コンポーネント単位で差し替えていく段階的な切り替えを行ったとのこと。全体の開発を止めずに、ひとりのエンジニアが数カ月かけて実施したそうです。

AIによって現実的に取れる選択肢が格段に広くなり、「やるかやらないか」の意思決定がより重要になってきているのを感じます。

Terraformモジュールの活用幅が広がり、ほどよい付き合い方の悩みが増えるかも

HashiCorpが自社ブログで、Terraform 1.16における新機能について解説しています。

わたしの実用範囲で特に影響が大きいのは子モジュールでimportが使えるようになったことです。整理しすぎる誘惑に打ち勝つのが難しいという課題はありますが、とはいえ2段階くらいはimportできるといいのになと思うことがよくあったので、助かるシーンが多そうです。

やりすぎないようにうまく使っていきましょう。

KubernetesでPodの集約率を高める選択肢が増えました

Kubernetesのブログで、Node Swapを活用したKubernetesワークロードのスケール方法について解説されています。

Node Swapは、ノードとノードを入れ替えるわけではなく、メインメモリーの拡張領域としてディスクを使うアレのことです。ノードにつけた高速なローカルSSDをメインメモリーのスワップ領域として活用することで、ポッドの集約率を高めた事例が紹介されています。

AIエージェントのような常駐型だけれどもアクティビティがそこまででもないワークロードや、gVisorやKata Containersのような高セキュリティランタイムのメモリーオーバーヘッドへの対処がユースケースとしていい感じにはまるようです。

もちろん高速なローカルSSDとはいえ、メインメモリーと比べると遥かに低速です。用法用量を守って、リーズナブルな範囲で適切に利用しましょう。

スワップは昔からある技術ですが、いまでも有用な選択肢です。わたしの自宅サーバーはzramとスワップでがんばって集約率を高めています。

gVisorのCNCF寄贈で安全なコンテナーランタイムがより身近になるかも

gVisorのブログで、gVisorをCNCF(Cloud Native Computing Foundation)へ寄贈することが発表されました。

gVisorはGoogle発のコンテナーランタイムで、コンテナーのゲストとホストをより強力に隔離するしくみになっています。gVisorはKata Containersと並ぶ「セキュリティ強化型のコンテナーランタイム」の代表格です。

CNCFへの寄贈によって開発がよりオープンになり、Macで動くようになるような可能性が拓かれることが期待されます。これからのますますの発展が期待できそうです。

特にAIエージェントなどの用途で、セキュリティ強化型のコンテナーランタイムは利用ニーズが顕在化しています。安全性の高い技術がより身近になるのはうれしいですね。

MySQLのバージョニング規則が変わりました

Perconaのブログで、MySQLの最新のバージョン表記について解説されています。

MySQLバージョンは5.x→8.x→9.x→26.7.0となりました。9.xは9.7までで、その次が26.7.0です。

この26.7.0はいわゆるカレンダーバージョンで、「年.月.パッチ」です。26.7.0は、2026年7月バージョンのパッチ0ということです。

リリースサイクルは変わらないようで、3カ月ごとのイノベーションリリースと2年ごとのLTSリリースは変わらないようです。いまのLTSは9.x最新の9.7ですから、次のLTSは2年後の2028年4月(28.4.x)の予定です。

表記はセマンティックバージョニングと同じに見えますが、セマンティックバージョニングのルールに則るわけではなさそうなのでご注意ください。

AWSでの新たなウェブホスティングの選択肢が増えました

AWSのブログで、AWS Lambda Web Functionsが発表されました。

全世界が待ち望んでいた(!?)、シンプルにHTTPを使うことができる、ゼロスケールするFaaSです。いまのところサポートされているのはNode.jsランタイムのみですが、今後の拡張に期待しています。

CloudFrontとはOrigin Access Controlで接続できるので、CloudFrontでの接続元制限や認証など多段階の防御が実現できそうなのがうれしいところです。便利に使っていきましょう。

campus.sre #0 が開催されました

2026年10月5日に「campus.sre #0 in 千葉工大」が開催されました。

学生向けのSREイベントのお試し第0回でした。わたしは登壇機会をいただいたので、自分のキャリアを振り返りつつお話してきました。

参加者のみなさんの年齢よりもわたしの業界歴のほうが長いので、相応にギャップがあったかと思います。しかしそれゆえにわたしが何度か経験している業界の変化を、いまのAIによる変化に照らして、どう捉えることができるかお話できたと思います。

参加者との距離が非常に近く、参加者のみなさんと本当に距離感なく対話できたのはすごく良かったです。

SRE NEXTスタッフブログにも記載がありますが、自分の大学でもやってみたい、サークルや研究室の仲間にSREを紹介したいと思った方はぜひお声掛けください。

注目・期待の書籍

『Site Reliability Engineering, 2nd Edition』

Google pioneered the discipline of Site Reliability Engineering (SRE), applying reliability to the entire user journey for consumer, enterprise, and infrastructure systems. In the years since, many organizations have followed suit, guided by the tenets laid out in the best-selling first edition of this practical book. Now, a fully revised edition brings Site Reliability Engineering up-to-date with fresh insights on engineering techniques, organizational processes, and case studies that will help you promote and implement greater reliability throughout the engineering lifecycle.

In this edition, key members of Google's SRE team explore the company's current SRE practices and explain how they've evolved in the decade since the book's initial publication. Updates cover the value of reliability, cloud reliability, and the impact of AI. You'll learn the principles and practices that can make your organization's systems scalable, reliable, and efficient.

・Train new Site Reliability Engineers based on the latest practices in the field
・Develop engineering organizations that support reliability as a feature
・Build online services that incorporate reliability principles
・Start to use emerging AI capabilities to improve SRE across the organization and optimize critical areas such as automation and incident detection


『図解即戦力 Web技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書[改訂2版] | 技術評論社』

本書は、Web開発やインフラ運用における基本、かつ重要なテーマをわかりやすくまとめた書籍の改訂版です。サーバー、ネットワーク、プロトコル、フォーマット、セキュリティなどWebの必須技術の他、急速に普及が進んでいるAI技術も追加し、今後のWebの全体像が理解できるようになっています。また一目で理解できる解説図を豊富に掲載しているので、専門学校や大学、新入社員研修の教科書としても最適な1冊です。


『AI×アーキテクト 〜『複雑性・不確実性』を構造で受け止める⁠〜 | 技術評論社』

AIにコードを書かせる。文章を書かせる。設計図を描かせる。作ることのスピードは、この数年で桁違いに上がりました。しかし、できあがったものが正しいかどうかを確かめる人間の時間は、1秒も縮まっていません。生成されたものが積み上がる一方で、確認は追いつかない。一つひとつは問題なさそうなのに、つなげると全体が噛み合わない。多くの現場で起きているこの状況は、努力や能力の不足ではなく、「作る力」と「確かめる力」の釣り合いが崩れたことで必然的に生じる、構造的な問題です。

本書『AI × アーキテクト』は、この「生成と検証の非対称」を出発点に、無数の生成物を一つひとつ手で直すのではなく、それらを律する構造と制約を設計する人、すなわちアーキテクトの役割を描き直した一冊です。全12章を5つの部に分け、個人の思考の型からシステムの設計、開発プロセス、エージェントの技術基盤、組織と事業、そして経済・社会まで、人とAIの境界線をどこに引くかを一貫して論じます。主な特徴は、以下の3点にあります。

1つ目は「道具が入れ替わっても古びない『型』を手渡す」点です。新しいモデルやツールは半年で入れ替わりますが、確実性と不確実性、具体と抽象、発散と収束といった思考の型や、戦力の癖を見て配置する布陣の型は変わりません。さらに、レイヤードやマイクロサービスなど古典的な8つのアーキテクチャスタイルを、AIエージェントを部品として扱う時代の共通言語として読み替えます。ツールの乗り換え合戦に追い立てられるのではなく、変化に動じない土台を先に作るという順序を提示します。

2つ目は「要求定義から運用までの各工程に、人とAIの境界線を引く」点です。従来のウォーターフォールやアジャイルとAI駆動開発は何が同じで何が違うのか。要件定義、設計、実装、デリバリ・運用のそれぞれで、AIに委ねられる作業と人間が手放してはならない判断を具体的に切り分けます。評価を先頭に据える新規開発の進め方と、自社サービス・受託・社内システム・SESという既存開発の4つの文脈それぞれで、制約をAIに渡す文脈という資産に変える実践を解説します。

3つ目は「一体のエージェントから群れ、組織、社会までを同じ視点で貫く」点です。自律性に制約というハンドルを取り付けるエージェントアーキテクチャ、無数のAIを律するスウォーム技術、確率的に揺らぐAIを支え続ける運用とデータ基盤を解説したうえで、人の持ち場を決める職務設計と育成、金融や取引へのAI組み込み、法人としてすでに社会に根づいているAGIの現実まで、視野を一気に広げます。システムを設計する発想が、組織や社会を設計する発想とつながっていることが見えてきます。

特定のツールの使い方を教える本ではありません。何をAIに委ね、何を決して手放さないのか。その線を自分の言葉で引けるようになるための、AI時代のアーキテクトの教科書です。

おわりに

直近の話題から、わたしが気になったものを中心にお送りしました。

Blameless&Keep Constructiveで、Humility Respect Trust溢れるご意見・ご感想、誤りの指摘などいただけると幸いです。

さて、最近はこのコーナーで毎回トラコン(ICTSC: ICTトラブルシューティングコンテスト)の情報を紹介しています。

ICTSCはネットワーク・サーバー・ミドルウェア等の情報通信インフラを主な対象領域としたトラブルシューティングのコンテストです。参加はチーム戦で、本戦ではチームごとに論理的な演習環境と物理機器がアサインされ、物理機器を含めたトラブルシューティングも出題されます。

このICTSCは参加者が学生、運営も学生という珍しいイベントです。運営する学生たちを社会人の実行委員が支える形で10年以上運営してきています。最近は一次予選・二次予選・本戦があり、本戦では予選を勝ち上がった学生たちと運営でおよそ100名の「情報通信インフラに興味があり、行動力と相応の技術力を持つ」学生が集います。

本年度のICTトラブルシューティングコンテスト2026では2026年9月19日に一次予選が開催され、一次予選の得点上位30位までのチームが二次予選に進出しました。二次予選は2026年12月12日(土)に実施予定です。一次予選の各問題は後日解説が公開される予定なので、楽しみにお待ちください。

ICTSCは完全ボランティアの任意団体でして、今年度からわたしが会長を務めることになったので、一生懸命宣伝しています。若者や入門者を育て裾野を広げることは、業界の持続に不可欠だと思って続けております。

また協賛は引き続き募集しています。賛同いただける方・ご協力いただける方はぜひお声掛けくださいませ。

お問合せ – ICTSC

ではでは。

執筆者へのお便り

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