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「勉強会に行ってみたいけれど、自分なんかが行っていいんだろうか」。そう思ったまま、イベントのページを閉じた経験はないでしょうか。
しかも今は、たいていのことはAIが教えてくれます。環境構築でつまずいても、エラーが読めなくても、聞けば答えが返ってくる。人に聞くより気楽で、恥ずかしくもない。それでもわざわざ会場まで出かけていく意味はどこにあるのか。
「PyLadies」は、Pythonが好きな女性をつなぐ国際的なコミュニティです。世界250以上の地域にチャプターがあり、日本には東京・静岡・福岡・京都・沖縄の5つ(京都・沖縄は休止中)。そのうち最初にできたのが、PyLadies Tokyoです。
主な活動は、月に1度のMeetup。ハンズオンもあれば、もくもく会も、LT大会もあります。掲げているのは「初心者/熟練者問いません。Pythonでコードを書いたことがない、という方でも」という一文(※参加は女性のみ)。2014年10月の初回から、ほぼ月に1度のペースが途切れていません。Meetupは通算110回を超え、周年イベントや地方を巡る「PyLadies Caravan」、他コミュニティとの共催まで含めると、connpass上のイベントは190件にも。そして、この10月で丸12年になります。
英語の入門教材を使いたいと思ったら、それをみんなで翻訳する回を開く。そんなふうに、必要になったものをその場でイベントにしてしまうのが、この12年のやり方です。
「自分たちは、運営を頑張らないって決めているんです」
そう話すのは、Meetup #1から参加し、#2からスタッフを続けてきたまーやこと石田 真彩さんです。今回は、まーやさんと、マンスリーイベントの企画・運営を担うyuuukaさん、るかさんの3名に、この12年で教える内容がどう変わってきたのか、そして毎月イベントを切らさないために何を決めてきたのかを伺いました。
入門書の前書きに、このコミュニティの名前があった
―― まず、みなさんのPyLadies Tokyoでの役割と、関わるようになったきっかけを教えてください。
まーやさん:私は、PyLadies Tokyoができて1番最初のMeetup #1をやるタイミングで、当時いた会社の上司が、Python界隈でコミュニティに参加している人だったんです。「女性コミュニティが立ち上がるから行ってこい」「君もPythonをやるのだ」と言って送り出されました。
そのときまだPythonを1ミリも触ったことがなく、ずっとJavaエンジニアだったんですけど(笑)。行けって言われて行って、面白いなとなって、そのままMeetup #2からスタッフになりました。今はスタッフが6、7人いて、各回のメイン担当は毎回違うんです。私自身はここ1、2年、マンスリーのイベントがメインではなくて、他のコミュニティとのつながりやグローバルとの連携などに注力しています。
yuuukaさん:私はスタッフで、マンスリーのイベントの運営を主に担当しています。入ったのは2023年の6月ぐらいなので、まだ3年目ですね。
きっかけはまーやさんで、たまたまばったりお会いした際に「社外のイベントに興味があるんです」という話をしたら、「おいでよ」と言っていただけて。行ってみたらすごく居心地が良くて。対面のイベントに参加したときに「スタッフどう?」と言ってもらえたんです。「え、いいんですか?」という感じで、あれよあれよという間にスタッフになって、今に至ります。
るかさん:私もスタッフとして、主にyuuukaさんと一緒に、マンスリーのイベントの企画や運営をやっています。スタッフになったのは2023年の10月、11月ぐらいですね。
PyLadies Tokyoを知ったのは、Pythonの入門書を買ったのがきっかけでした。その本の前書きに、著者の方が「Pythonはコミュニティ界隈の活動が活発で、PyLadies Tokyoという女性コミュニティもありますよ」と書いてくださっていて。ちょうど1人で勉強するのが寂しくなってきたタイミングだったので、参加してみたんです。
当時はまったく違う、翻訳の業界で働いていました。PyLadiesでいろいろなイベントに参加して、プログラミングが楽しくなったのがきっかけで、エンジニアに転職もしています。いろんな人の熱意が好奇心を刺激してくれるので、1人では見つけられなかった自分の興味に出会える。そういうきっかけをいただいた場所です。
超入門は、AIが担うようになった
―― 12年の間で、扱うテーマに変化はありましたか。
まーやさん:やっぱりありますね。最初の頃は、すでにPythonが書ける人たちが集まっていて、その人たちを中心に回っていました。初めて来る人たちに向けたハンズオンをつくろうとか、自分たちで手づくりのコンテンツもやっていましたし、自分が喋りたいことがいっぱいあるスタッフが多かった。「これ喋りたいんや」「他の人も喋ったらいいよ、どんどん来い」みたいに、みんな前のめりでしたね(笑)。
だんだん年月を越えていくにつれて、Pythonを使える人も、興味がある人も増えてきた。途中でデータサイエンスがめちゃめちゃ流行ったりだとか、今となってはAIが流行ったりというのがあるので、データ系のコンテンツやAI系のコンテンツは、ここ最近すごく需要があるかなと思っています。
ただ、Webをやりたいとなったとき、入口がPythonだったという方も結構いらっしゃるので。「Pythonはデータに強いらしいけど、GUIをつくりたい」「Webサイトをつくりたい」となったときに、DjangoとかFastAPIみたいなところにみんな手を出し始める。広がりは出てきていますね。
―― 逆に、「もう教えなくてよくなった」ことはありますか。
まーやさん:超初心者向けのセッションは、あんまりやらなくなったかもしれません。いわゆる数値型とは何か、文字列型とは何かみたいな。コンピュータサイエンスの入り口のようなものを、Pythonで書いたらどうなりますか、という内容ですね。ああいうセッションの需要は、だいぶ減ってきたのかなと思っていて。
おそらくAIのおかげだったり、オンラインの講師の人たちがいろんなコンテンツを出してくれているのもあると思うんですけど、みんなある程度そういうので勉強して、興味を持ってからコミュニティに来るということが増えたのかな、と。基礎的なところは、ある程度底上げされているかなという感じはします。
―― 一方で、新しく増えている要望はありますか。
るかさん:直近の、先週末のイベントでいただいたのは、AIでいろいろできちゃうからこそ、言語そのものの深いところを知りたい、という声でした。もう書けちゃうから、逆になぜそう書くのか、こう書く理由みたいなところをもう少し知りたいと。
AIにプロンプトで指示を出すだけでもモノが出てきてしまうので、手応えがないのかもしれないですね。自分はこういう意図を持ってつくったんだ、という感覚が持ちにくい。だからこそ、もう少し詳しく入り込んで知りたい、という意見をいただきました。
企画している2カ月のあいだに、話題が次へ移っていた
―― 各回のテーマは、どうやって決まっているんでしょう。
yuuukaさん:前は、スタッフが集まったタイミングで直近半年分をまとめて決めていました。最近はなかなか全員が集まれないので、チャットで「これやりたい」「あれやりたい」を蓄積しておいて、一般参加の方からの意見も踏まえて、「この日これできそうだから、やろう」と決めていく感じですね。
直近のAI系のハンズオンだと、参加者から「やりたい」という声をもらったり、他の方から「講師できるので一緒にやりませんか」とお声がけいただいたり。私たちのほうでも「AIやりたいね」となっていたので、そういうところから決まっていきました。
―― 興味があるものを題材にすることの、良さと難しさはどんなところでしょう。
るかさん:パッと、良いことしか思いつかなかったんですけど(笑)。誰かが気になっていることって、やっぱり他の人も知りたいことだったりするんですよね。だからテーマに乗ってくれる人が多いし、たくさん来てくれる。しかも同じ関心を持った人同士が集まるので、「どういうことしてるの」と話も弾む。そこはいいところだなと思います。
yuuukaさん:難しいで言うと、講師できる人を探すところですね。ハンズオンとか講師がいるものになると、それができる人と、あらかじめコンテンツをつくらないといけないというのがあるので。そこが固まっていないと、少し難易度が上がりますね。
―― 印象に残っている回はありますか。
yuuukaさん:最近だと、「生成AI使ってやったことを発表する会」というLT会をやったんです。そこでCrewAIについて話題に出て、ちょうど発表されていた方が講師できるということだったので、「はじめてのCrewAI ハンズオン」に派生しました。

Python入学式イベント内ハンズオン中の様子
るかさん:あのハンズオンは、すごい楽しかったなと思いますね。ちょうどCrewAIが話題だったのと、AIを使ってこれから開発していくことになるだろうな、みたいなのが盛り上がっていたタイミングだったので。会場にも熱がありました。「それなんでですか」と質問が飛び交って、「今後自分はこういうふうに活用していくだろう」という持論まで出てくる。すごく印象的な回でしたね。
それでさらに面白かったのが、企画している間にどんどんいろんなAIが発展して、発表する2カ月後には、もう話題の中心が別のところに移ってしまっていたっていう(笑)。AIの発展の速さが感じられて、2度おいしい感じでした。
―― 日本語の入門教材がまだない題材を、初心者向けに落とし込むときの工夫はありますか。
yuuukaさん:参加者として出たときに「こういう解説が欲しいな」と思ったことを、そのまま教材にしたことは何度かあります。
ルールは3つ。「毎月やる」「頑張らない」「いなくなるなら宣言する」
―― 各回のメイン担当が入れ替わるという話がありました。複数人で回していくうえで、ルールにしていることはありますか。
まーやさん:毎月イベントをやる、頑張らない、お休みするときは連絡する。この3つが私たちのルールです。
まず、毎月必ずやる。人がいなくてスタッフだけになっちゃったら、スタッフミーティングでもいいから、何かしら毎月ミートアップをやるようにしています。
2つ目は、頑張らない。運営の負担ってやっぱりそれなりにあるんですよね。会場を探して、人を見つけて。仕事で忙しくなって急に抜けるとかもあるので、「メインでやっていた人がいなくなったぞ」というのも当然あるわけです。それをなるべく減らすために、できる範囲でしかやらない。自分がやりたいと思った企画でも、今の状況だと負担が大きいなと思ったら別の月に回す。他のスタッフが企画しているものでも、みんなの稼働状況を見て難しそうなら、今はやめておきましょう、と言える。
3つ目は、いなくなるなら宣言する。忙しくて運営のチャットに参加できなくなりそうなときは、必ず宣言してから消えよう、ということになっています。いつまでいなくなるのかだけお伝えしてから去っていきましょう、と。そこだけ守れていればOKです。
―― そのルールでいうと、まーやさんご自身も今はマンスリーの運営から少し離れられたと伺いました。
まーやさん:私の場合は、2024年にPyLadies Awardというグローバルのアワードをいただいて。それをきっかけに、グローバルのPyLadiesとの連携だとか、日本の東京以外の地域でPyLaiesイベントを開催するPyLadies Caravanを通じていろんなチャプターも立ち上がってきたので、そこをつないだりというところに興味が向いたんです。普段のイベントと両方やっていると自分の時間がなくなってしまうので、「グローバルや日本のチャプター連携に重きを置かせてもらって、普段のイベントはできるときに手伝うね」という形にさせてもらいました。
やりたいことがちょっとずれてきたとか、こっちをやってみたいというのがあったら、「こうしたいから、こういうふうにするね」ってみんなに相談して、やらせてもらう。そういう雰囲気があるんです。
コンテンツが欲しくなったら、とりあえずみんな集まれ
―― 毎月やると決めつつ、頑張らない。両立させる工夫はあるんでしょうか。
yuuukaさん:スタッフの負荷をなるべく下げるために、スタッフがコンテンツをつくるというのは、なるべく避けているんです。他の講師ができる方を呼んだり、みんなで分担したり。あとは、新しくゼロイチでコンテンツをつくるのではなくて、過去のハンズオンの内容をちょっと流用というか、工夫して使ったりという形にしています。
みんな仕事もありますし、コミュニティ以外のこともいろいろあるので。限られた時間をなるべくうまく使えるように、というのは結構考えていますね。
だいぶ前にはなるんですけど、まーやさんのつながりで、Pythonの海外のコミュニティで活発に活動されている方から教えていただいた「Humble Data」という英語の入門教材があって。それをみんなで日本語に翻訳して、教材として使うというのもありましたよね。
まーやさん:しかも、その翻訳さえもイベントにしていました。Meetupとしてやったんです。みんなで手分けして訳して、1人だけ翻訳しない人を置いて、その人が振り分けとマージの作業をひたすらやる。何でもイベントにすればいいと、我々は思っています(笑)。
集まって、「なんだよこれ」って言い合っているのもネットワーキングのひとつなので、いいかなっていう。運営が全部やらなくちゃ、と誰も思っていないのは、ちょっと特徴かもしれないですね。自分たちがコンテンツ欲しいと思ったら、とりあえずみんな集まれ、としています。
―― ほかにも、準備の負担を下げる工夫はありますか。
まーやさん:私たちは、もくもく会、もしくはグループ研究会というコンテンツの形を持っていて。準備が大変でどうにもならないときは、これをやります。
特にグループ研究会は、当日まで、みんな何も準備をしてこないんです。その場でテーマを渡されて、初めましての人たちでグルーピングされる。3、4人のグループを組んで、その人たちの中で1個のテーマについて勉強するという回をやっています。たとえば「requests について調べる」とか「pandasについて調べる」みたいなのが、各チームごとに全然違うテーマで渡されていて。
初めて触る人は「何それ」から始まりますし、知っている人は「それを動かしたときのエラーは、こうやって見るんだよ」ってまわりに教える。できる人とできない人、初めて触る人を組み合わせて、グループでわちゃわちゃしてもらい、最後にプレゼンテーション発表をするという回です。

グループ研究会の様子
こういう、事前の準備がいらないコンテンツは、運営として大変楽ちんなんですよ。毎月続けるというところに、執念を持っているので(笑)。
―― グループはどうやって分けるんですか。
まーやさん:割と適当に組んで、なんとかなりますね。スタッフを散らしておけば大丈夫、みたいな。「よし、場を回しとけ」って。
るかさん:来ている方も意欲が高いので、それで成立している部分もあると思います。粛々とやって終わるというよりは、そこから話が広がって、「今日は新しい知識を1つ覚えたぞ」という感じになるんです。
―― この形式は、他のPyLadiesにもあるものなんでしょうか。
まーやさん:グループ研究会は、海外のPyLadiesからも興味を持たれますね。「いやね、大したことしてないんだけどさ」という話をして、広めたりはしています。
そのほかにも、PyLadies Caravanは、チャプターのない地域にこちらから出向いて、1日のイベントをやって帰ってくるというものなのですが。本当に日本だけの独自の動きなので、珍しがられます。「それ、どうやってお金集めてるの」とか。私がよく聞かれるのは、この2つですね。

PyLadies Caravan 福岡2ndでの集合写真。このとき福岡チャプターの立ち上げが決まり、10月下旬に1st meetupを開催予定
「やっちゃいなよ」で、人はスタッフになる
―― yuuukaさんとるかさんが運営に入ろうと思った節目は、どんなところにありましたか。
yuuukaさん:私の場合は、合宿に参加して、スタッフの人たちとその合宿のときに初めて対面でお会いしたんです。そこで空気感が良かったのと、楽しかったので、最後終わった後にスタッフの人たちと感想を話していたときに「運営スタッフ、どう?」みたいに言ってもらえて。「え、いいんですか」という感じでした。対面で話せたタイミングだったかなという気がします。
るかさん:yuuukaさんと同じで、運営との距離がすごく近いんですよね。1回行っただけでも、結構居場所を感じます。一方的に話を聞くというよりも、「何をやってる人なの」とか「どうしてPythonに興味を持ったの」とか、話を聞いてもらえて。2回目に行ったら顔を見て「あ」って言われる。技術者としての付き合いというよりも、同じものが好きな友達が集まっているみたいな雰囲気に近いので、行きやすいし馴染みやすい。それが何回も行くきっかけになったところです。
運営になろうと思ったのは、なんとなく話が弾むように、自分の聞きたいこともさらっと聞ける距離感になれた人が増えてきたタイミングで、まーやさんに「やっちゃいなよ」と言われて。
まーやさん:すぐそういうこと言っちゃうので(笑)。
るかさん:「登壇しちゃいなよ」とかも、よく言われるんですけど、とにかくやってみよう、で挑戦できる雰囲気があるんですよね。たとえ大失敗しても「よし頑張ったな!」と受け止めてもらえる。未熟でもチャレンジを応援してくれる安心感があったからこそ、スタッフにも挑戦してみたいと思えたのだと思います。
―― 運営側として、参加者の方に対して気をつけていることはありますか。
yuuukaさん:なるべく孤立してしまう人が出ないように、というところは気をつけています。できる限りみんなで話す時間をつくるようにしていて。参加してほとんど何も喋らずに帰っちゃった、という人がいないようにしています。
るかさん:誰でも話の輪に入れるように、きっかけはこまめにつくっています。あとは、かしこまりすぎないように。アイスブレイクのタイミングも、たくさん設けている気がします。
まーやさん:特にこういう女性コミュニティって、Pythonの勉強をするだけがゴールじゃないコミュニティが多いんですよね。自分がやりたい言語の勉強はするんだけど、それをきっかけに、同じ業界にいる人や、これから入りたいと思っている人とつながる。そういう場所としての意味合いが、結構強いんです。仲間をつくる、会社では出会わないような人たちと出会う。そこが1番重要視されているんです。
つながることが目的だとすると、話す中身は最悪Pythonじゃなくてもいいんですよね。もちろんPythonという軸があるから最初は入りやすいんですけど、仲良くなってきたら、AWSでもAzureでも、いきなりRustの話を始めてもいい。登山部とかダイビング部をつくって、「いつ行く」みたいな話をしている人たちもいます。それで友達ができるのならいいのかなと。オフラインのコミュニティだからできることかなと思っています。
―― 実際、PyLadiesから別のコミュニティを立ち上げた方もいらっしゃるとか。
まーやさん:いますよ。PyLadiesをやっていたのに、いつの間にか「Rustやりたくて」と言って、Rustのコミュニティを立ち上げている人とか。
るかさん:一気に2つぐらい立ち上げていましたね。私自身は、立ち上げまではいかないですけど、楽しいからこの場をなんとか維持したくて、会社で会場提供を頑張って取ったりしています。本当は一発では取れなかったんですけど、なんとか頑張るという。この場を続けたいから、というのがモチベーションになりますね。
居心地がいいから。飽きるまでは、続けていていい
―― グローバルのPyLadiesとは、どのような関係なんでしょう。
まーやさん:本部のほうは、PyLadiesというコミュニティ自体をもっと広げていこう、という動きをしています。ただ、各チャプターは、それぞれの地域固有の問題にフィットして動いているので、活動の中身は全然バラバラなんですよ。国によっては、性別による扱いの差にいまも向き合っているところもある。
日本の場合は、まずネットワーキングをつなげるというのと、Pythonが好きな人が集まってきて、ガールズトークのノリでPythonの話をするみたいな。「このライブラリやばくね?」みたいな話ができる、謎のコミュニティ。それが居心地いいよね、という感じですね。
―― この12年間で、コミュニティの役割そのものも変わってきたのでしょうか。
まーやさん:1番最初にPyLadies Tokyoが立ち上がったときは、「もっと女性エンジニアが増えたらいい」ということを言っていたんです。ただ、今年のPyCon JPとかを見ていても、女性の数はだいぶ増えているというのが体感としてあって。だから、もし女性エンジニアを増やすことだけがミッションなのだとしたら、その役目はある程度果たせてきたんじゃないかな、と思っています。
でも、私たちが続けている理由は、実はそこじゃないんです。他にはない雰囲気で、自分たちが居心地いい場所がここにあった。だから続けているし、名前もまだ残っている。そういう感覚に近いです。
自分1人のためのコミュニティなら、自分のペースでやればいいと思うんです。ただ、我々はグローバルのPyLadiesというグループの一員という形になっているので、始め方も、続け方も、少し違うのかもしれないなと思っていて。サポートを受けている分、自分たちがやらなきゃいけないこともある。それは日本にPyLadiesの場をちゃんと継続して残していく、ということですね。

PyCon JP 2026 懇親会にて。 PyLadies Tokyo、Fukuoka、HongKong、Seoulのメンバーと一緒に
―― 東京で活動を続けることは、他の地域にとっても意味がありそうですね。
まーやさん:他の地域にチャプターがなくても、オンラインイベントにすれば、そこの方が参加してくれるんですよね。地域を超えたコミュニティ活動ができるのは、結構ひとつの強みかなと思っていて。
運営の人数をこれだけ集められる地域って、日本だと限られるんですよ。人は入れ替わっていくので、そのたびに次をやってくれる人が出てくるかどうかは、正直、運みたいなところがあって。だから運営の人数がいる間は、我々が飽きるまでは続けていていいんじゃないかなと思います。
―― 今後、やってみたいことはありますか。
まーやさん:私がやりたいのは、アジアのPyLadiesで合同のLT大会をやることですね。同じタイムゾーンなので時間を合わせやすいですし、せっかくチャプターでアジアのオーガナイザーたちと仲良しなので、複数の拠点をつないでできないかな、とずっと考えているところです。まずは日本の中で試してみようとしていて、うまくいったら、韓国、台湾ぐらいまでは行けるかなと思っています。
yuuukaさん:もうちょっと中級・上級者向けの、Pythonのハンズオンコンテンツをやってみたいですね。データサイエンスでもAIでも、実用的でレベルが一段上のものを。
るかさん:個人的には、AIアンチではないんですけど、まだ自分の手で書きたいという気持ちが強くて。だから、AIが出したものをみんなでレビューする回ができないかな、と思っているんです。「これが良くない」「ここが気に食わない」みたいな話って、自分のこだわりとか、ここまでの経験則が1番出るところな気がするので、おいしいんじゃないかなと。
―― 先ほど、Rustのコミュニティを立ち上げた方の話がありました。これから場をつくってみたい方に、アドバイスはありますか。
まーやさん:立ち上げたいと思っているなら、ぜひ立ち上げてみてください。そのときに、自分の中にマイルールを1個でいいからつくることをおすすめします。
最初は自分1人のもくもく会だったかもしれないけど、「毎月この時間にもくもく会やってます」ってアナウンスするだけで人が集まってきて、そこがいつの間にか居場所になっていたりするので。継続は力なりって、コミュニティ運営では本当にその通りだと思うんです。だからこそ、頑張らない程度に、自分が続けられる体制を組んでみるのがいいんじゃないでしょうか。
るかさん:誰かに背中を一押ししてもらって「いけるよ」と言ってもらうのも、大事な気がします。
―― 最後に、これから参加を考えている方へメッセージをお願いします。
yuuukaさん:社外の、しかも有志が運営しているコミュニティは参加1回目のハードルがとても高いと思います。特に技術コミュニティは男性が多いですし、しかもコミュニティが出来上がっていそうですし、行って楽しめるのかなという不安もあるかもしれません。でもPyLadies Tokyoは毎回ちょうど良い人数と程よい距離感なので、ハードルを意識せずに一歩を踏み出してもらえたらなと思っています。
るかさん:私自身、Pythonのことも本当に何も知らない、ターミナルすら開いたことがないような状態で行ったんです。それでもすごく楽しめる雰囲気と、サポート体制がありました。興味があるのに来ないというのは、もったいない気がします。また、経験を積んだ方も、ぜひ来て、どんなコンテンツをやりたいのかを聞かせてほしいです。そういう回も用意していきたいので。
まーやさん:1回来ていただけたら、みんなもう友達みたいな雰囲気があるので。それに、PyLadiesという名前を持っていると、他のカンファレンスに行ったときに「PyLadiesの人なんですよ」というところから話が広がったりもするんです。ファーストコンタクトのネタにでもどうぞ、という気持ちでいます。ぜひ、世界中飛び回ってPythonに慣れ親しんでいただければと。ご参加、お待ちしています!
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