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いまさら聞けない『AI駆動開発入門』~AIで変わる、開発プロセスとスキル~

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ファインディ編集部

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2026年3月26日に開催されたオンラインイベント「いまさら聞けない『AI駆動開発入門』~AIで変わる、開発プロセス・スキル・現場活用〜」。

本イベントでは、AI駆動開発コンソーシアム 座長/クリエーションライン株式会社 取締役兼CTOの荒井 康宏氏がAI駆動開発の概要や開発プロセス/組織の変化について、ULSコンサルティング株式会社 AI駆動開発推進室 シニアコンサルタントの堀切 瞭平氏が基幹システム刷新におけるAI駆動開発の事例について紹介しました。

生成AIを日常的に使う機会は増えた一方、「AI駆動開発という言葉は聞くけれど、全体像は理解しきれていない」「自分の開発業務にどう取り入れればいいかイメージできない」と感じるエンジニアも少なくありません。

前編となる本記事では、荒井氏が語った内容を基に、AI駆動開発の主要な開発アプローチや、求められる開発プロセス/組織、エンジニアの役割やスキルの変化を紹介します。

「Vibe Coding」だけではないAI駆動開発。各種手法の特徴

荒井氏は、AI駆動開発について「ソフトウェア/システム開発のプロセス全体において、AIを中心にしながら開発を進める手法」と紹介する。特徴は、プロダクト企画から開発、リリースまでのサイクルを統合し、開発効率の向上と品質の統一、プロダクトのリリースタイムの高速化を行う点だ。

AI駆動開発は、一度実践して終わりではなく、技術の進化を前提として継続的にアップデートすることが重要となる。併せて、開発プロセスや組織も再定義する必要があるという。

AI駆動開発は「Vibe Coding」と同一視されるケースも少なくない。しかし荒井氏は、AI駆動開発にはVibe Coding以外にも複数のアプローチが存在し、「どれか1つが正解というわけではありません」と説明する。

Vibe Codingは、AIと対話しながらコードを生成し、開発を進めていくスタイルだ。狭義では「AIが生成したコードの中身は検証せず、基本的にそのまま受け入れて進める手法」を指し、広義では「実装(コーディング)をAIに委ね、人間は指示と言語によるナビゲーションとチェックに徹する開発スタイル」を含むという。

しかし、Vibe Codingには課題もある。仕様を固める前に対話ベースで開発を進めるため、開発者の経験と感性に依存しやすく、チーム開発における再現性の確保は難しい。

別の手法として要件定義や設計などをAIと共に行い、仕様を明確化した上で実装を進める「Spec Driven Development(仕様駆動開発)」もある。荒井氏は「仕様を起点に開発することで再現性を高められます」と説明する。一方で、初期段階で仕様と設計を作成する負荷が大きく、要件が曖昧な段階では導入しづらい側面もあるという。

また、自律型のAIエージェントを活用する「Agentic Coding」も注目を集めている。これはAIエージェントを使いこなしながら開発を進めるスタイルで、GitHubやGitLabのチケットをベースに開発を進める「Issue Driven Development」も、この領域に含まれるという。

ただし、Agentic Codingにも課題がある。AIの出力にはランダム性があり、期待通りに動く場合もあれば、不要な箇所まで変更したり、別の箇所で不具合が生まれたりするケースもある。そのため、エージェントを適切に制御するノウハウや、継続的に改善するための試行錯誤が求められる。

そのため開発現場では、単一の手法に寄せるのではなく、複数のアプローチを組み合わせるケースが必要になってくるという。荒井氏が取締役兼CTOを務めるクリエーションラインでは、まずVibe Codingでプロトタイプを作成し、顧客と実際に画面を見て議論しながら、要件や機能イメージを固めていく。その後、内容を仕様へ落とし込み、チケットベースで実装を進める形(Issue Driven)を採用している。

「どれか1つを前提とするのではなく、つくりたいもの、チーム構成、開発プロセスに応じて組み合わせることが重要です」(荒井氏)

さらに荒井氏は、AI駆動開発のトレンドとして、AWSが提唱する「AI-DLC(AI-Driven Development Lifecycle:AI駆動開発ライフサイクル)」にも触れた。これは、要件定義から設計、実装、テスト、改善までの開発工程全体に生成AIを組み込み、AIが計画・実行を主導し、人間が必要な情報の提供と監督・承認を担う開発アプローチだ。

AIエージェントの再現性を高める「ハーネスエンジニアリング」

また、AIエージェントの再現性や品質を高める考え方として、「ハーネスエンジニアリング」も紹介。ハーネスエンジニアリングとは、AIエージェントが適切に動作するための土台を整備し、継続的に改善していく手法だ。プロンプトを工夫するだけでなく、レビューや品質チェック、セキュリティ確認なども含め、AIを再現性高く運用するための仕組みづくりまで含めて考える。

荒井氏は「重要なのは、AIエージェントを安全に動作させ、再現性を高めること」と強調する。その上で、今後は組織固有の知識・ナレッジやセキュリティポリシーなどを蓄積した「AI駆動開発プラットフォーム」のようなものが重要になると語る。これにより、AIエージェントを使うと、組織固有の方針に基づいたソフトウェアが出力されると期待される。

こうした変化の中で、エンジニアの役割も変わりつつあるという。「コードを書くだけでなく、ハーネスエンジニアリングのようにAIエージェントが組織にとって有効に機能するための基盤やルールを整備することが、新しい時代のエンジニアに求められる役割になっていきます」と荒井氏は語る。

画面を見ながら要件を整理。顧客の「イメージと違う」を防ぐ

セッションでは、BoltやCursor、Claude Codeを用いたデモも実施された。

荒井氏は、社員食堂向けの弁当注文アプリを題材に、Boltを用いてプロトタイプを高速に作成する流れを紹介。その後、Cursorを使ってコード修正や多言語対応を行い、さらにClaude Codeでは、AIとの対話を通じて要件定義や機能分割を進める様子も披露した。AIが質問を重ねながら仕様を整理し、必要な機能や実装単位を段階的に明確化していく点が特徴だ。

荒井氏は、顧客と画面を見ながら要件や仕様を整理していくことで、双方のイメージのずれを減らしながら開発を進めやすくなると説明した。また、AIが生成したコードやテストをそのまま受け入れるのではなく、適切なポイントでの人間によるレビューも重要であるとも語った。

開発組織とエンジニアの役割も変わる。「AI駆動」が前提に

荒井氏は、AI駆動開発によって開発組織の在り方そのものが変わり始めていると語る。従来のアジャイル開発やスクラム開発では、開発タスクがIssueボードに積み上がっていったが、AI駆動開発では、実装速度が大幅に向上した結果、これまでとは異なるボトルネックが生まれているという。

「今は、Issueボードがあっという間に空になってしまいます。むしろユーザーストーリーの整理や要件定義などを行うプロダクトオーナー側がボトルネックになる状況が起きています」(荒井氏)

こうした変化を受け、荒井氏は「Tiny Team」への変化が始まっていると説明する。AIを前提に開発を進めるTiny Teamでは、少数精鋭のメンバーがAIを活用しながら高速に開発を進める。

従来はフロントエンドやバックエンドなど役割ごとに分業していたが、AI駆動開発では、少人数のチームがAIを活用しながら領域横断的に開発を進めるケースが増えている。荒井氏は、プロダクトオーナー1人、開発者1~2人程度の体制でも、高い生産性を発揮できるようになると説明する。開発者が企画や要件レビューにも関与しながら、AI-DLCを用いて開発することで、生産性が大きく上がるという。

荒井氏は、AI駆動開発を「生成AIを前提にしたプロダクトライフサイクルの再定義」だと表現する。目的は、プロダクトをより高品質かつ高速に開発・提供することだ。だからこそ、企画や要件定義、設計、実装といったあらゆるフェーズでAIの活用を前提とする、AI駆動が重要になるという。

こうした変化に伴い、「開発組織やエンジニアの役割、人材育成の在り方も大きく変わっていきます」と荒井氏は語る。

同氏は、ヘンリー・フォードの「速い馬と自動車」の例を挙げながら、「AI駆動開発は『今までのやり方をAIで速くする』と捉えられがちですが、そうではなくAIが中心となって開発し、人間が環境を整えていくという考え方が重要になります」と述べる。

一方で荒井氏は、まずは実際にAIツールを導入してみることも重要だとも語る。使っていく中で様々な課題が見えてくるため、その後に開発プロセスや組織、エンジニアに求められる役割やスキルを見直していくきっかけになるという。

AI時代の「自分の在り方」を整理してみませんか

今回のイベントでは、AI駆動開発は単なるツール活用ではなく、開発プロセスや組織の前提そのものを変える考え方であり、エンジニアに求められる役割やスキルも変化していくことが語られました。

こうした変化の中、Findyでは「自分にはどんなスキルや経験が必要か」「どんなキャリアを描きたいか」を整理する壁打ちの場として、専任コンサルタントとのユーザーサクセス面談を提供しています。

まずは、自分の強みや不安、やってみたいことを言葉にするところから始めてみませんか。



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