「仕事は執筆ネタの宝庫」uhyoさん |私がアウトプットを続ける理由のトップ画像

「仕事は執筆ネタの宝庫」uhyoさん |私がアウトプットを続ける理由

投稿日時:
ファインディ編集部のアイコン

ファインディ編集部

Xアカウントリンク

Findyスキル偏差値や発信力レベルの上位者に、日々のアウトプットで得られた経験や継続のコツを尋ねる連載企画。スキル偏差値「TypeScript 69.8」「Rust 70.3」、発信ランキング「7位」のuhyoさんです!

『プロを目指す人のためのTypeScript入門』(技術評論社)の著者であり、豊富な執筆実績を持つuhyoさんへ、始めた頃のエピソードや記事のクオリティを高めるコツを聞きました。

匿名掲示板で出会った“プログラミングの師匠”

― まずはアウトプット活動を始めたきっかけを教えてください。

uhyo:小学生からインターネットの世界に関心があった私は、独学でプログラミングを学び、自分のサイトを立ち上げました。その頃に参考にしていたのが「TAG index」というサイトの匿名掲示板でした。

その掲示板に1人だけ、私の質問に対して的確かつ体系的に解説してくれた人がいたんです。匿名なので、どこの誰かも分かりませんが、私はその人を“プログラミングの師匠”だと思って慕っていました。

あの頃は今に比べて情報量が非常に少なく、正確性も不十分だったのですが、師匠だけは違いました。豊富な知見で、私の視点を一段高めてくれたのは、いつも師匠でした。

感謝すると同時に、思ったんです。今あるプログラミング解説記事は全体的に質が低いのではないか、と。だったら、自分が質の高い発信者になろう。そんな気持ちで、高校生くらいから個人サイトで記事を書き始めました。

― 当時はどのような発信をしていたんですか?

uhyo:JavaScriptのプログラミング講座です。記事の内容としては、まだ世の中にない新しい情報を取り上げるか、または既存記事よりもわかりやすく解説することにこだわっていました。

今でも記事を公開する時には、新しい情報を正しく届けることを意識しているのですが、それはこうした原体験が大きく影響していると思います。

my-output-story-uhyo-2.png
当時制作したJavaScript講座に追記を重ねている。現在も閲覧可能(引用:https://uhyohyo.net/javascript/より)

書籍出版の始まりは、大学のカフェテリア

― uhyoさんと言えば『プロを目指す人のためのTypeScript入門』の著者として知られています。どのような経緯で出版に至ったのでしょうか?

uhyo:大学院在学中、Qiitaで頻繁に記事を公開していたのですが、それを見た技術評論社の編集者さんから、DMをいただいたことがきっかけです。最初は『SoftWare Design』の特集への寄稿から始まり、何度か寄稿を繰り返すうちに、書籍出版のお話につながりました。

― DMを受け取った時の心境はいかがでしたか?

uhyo:正直、嬉しかったです。編集者さんとの初めての打ち合わせは、キャンパス内のカフェで行ったのですが、ワクワクして向かったことを覚えています。

自分の記事が載った雑誌を手にした時はとても感動しましたが、それ以上に嬉しかったのは、次の依頼をもらえた時です。その時に初めて、自分が書いた記事が出版社の目からも評価された、という実感が持てました。

my-output-story-uhyo-3.png
単著『プロを目指す人のためのTypeScript入門』、共著『JavaScript/TypeScript実力強化書 ―⁠―関数・非同期処理・型システム完全攻略

― 技術書を書き終えての感想を教えてください。

uhyo:まずは、高校生の時から考えていた「質の良い技術情報を出したい」という気持ちが、こうして報われたことが、何より嬉しいです。

また月並みですが、改めて本という媒体のすごさを実感しました。著者が1つのテーマを体系立てて抜け漏れなく解説することで、読者はその人の考えを一貫して学ぶことができます。それがWebの技術記事とは違う、技術書の価値だと強く感じました。

アカデミックライティングの習得でスキルアップ

― 執筆者としてのスキルはどのように磨かれましたか?

uhyo:大学及び大学院でアカデミックライティングを厳しく指導されたことが、大きく影響していると感じています。特に今でも強く意識しているのは、1つの段落に1つのトピックしか置かない(One Paragraph, One Idea)という原則です。この原則を知った時に、書き方次第で読者の理解度が大きく変わると気づき、ハッとしました。

― 論文作成で学ぶことが多かったんですね。学生時代の印象的なエピソードはありますか?

uhyo:大学院在学中に国際会議で論文を発表したのですが、その論文作成で初めて、指導教員から原稿が真っ赤になるほどの添削を受けました。その論文は卒論を元にしているのですが、卒論の時点ではほぼ指摘がなかったのにも関わらず、です。国際会議という正式な発表に向けた、先生の本気を感じました。

自分なりに何度も読み返して完璧だと思っても、まだ改善の余地があるんですよね。この経験から以前にも増して、読み手に配慮した論理展開や文章設計を追求するようになりました。

my-output-story-uhyo-4.png
国際会議で発表した論文『Streett Automata Model Checking of Higher-Order Recursion Schemes

アウトプットの価値は「いいね」の数ではない

― 現在に至るまでに、アウトプット活動を行うモチベーションに変化はありますか?

uhyo:「質の良い情報を提供したい」という思いや、「情報の新規性と正確性を大切にする」という基本方針は変わっていません。ただ自分が満足するポイントは、少しずつ変化してきました。

個人ブログを書いていた頃は、湧き上がる情熱のまま、アウトプットすること自体に喜びを覚えていましたが、Qiitaで記事を書き始めてからは「いいね」の数を気にするようになりました。少しでも反響が悪いと「いいね平均が下がっちゃったな」と、気落ちしていたことも事実です。

しかしそれから数年後、Zennなど新しい技術プラットフォームが生まれたことで、Qiitaのユーザー属性が変化しました。すると、以前の成果と正確な比較ができなくなったので、これまでのように「いいね」の数に一喜一憂する意味が薄くなったと感じました。

それと同時に、気づいたんです。自分が本当に発信したい記事と、いいねを稼げる記事は、必ずしも一致しない、と。それからは大勢から反響をもらうことより、自分の知っている人や尊敬する人が感想をツイートしてくれたり、高評価をつけてくれたりすることに、嬉しさや満足を見いだすようになりました。

― 気持ちの変化があったようですが、これまでを振り返って、発信する立場になってよかったと思うことはなんですか?

uhyo:自分が考えたことを発信し、それが認められた瞬間の喜びは、発信者にしか得られることのできない体験です。技術的な意見を発信することは簡単なことではありませんが、わかりやすく伝えることで、共感や同意を得られる可能性が高まるということを身をもって経験してきました。

このように気づくことができたのも、これまで地道に発信を続け、読んでくださる方との信頼を積み上げてきたからこそだとも感じています。

― 継続したからこそのお話ですね。読者からの信頼を得るために、自分に課してきたマイルールはありますか?

uhyo:強く意識しているのは、誠実であることです。

技術に関しては様々な考え方があるので、自分の意見を発信した時に、反対意見を持つ人がいることは避けられません。私は全ての意見を真摯に受け止め、その指摘が的を射ていると思ったら、議論をしますし、必要であれば記事の内容を書き換えることもあります。

意見を出す以上、議論の姿勢を持つということが、私が心がけているスタンスです。

きっとあなたも、新しい知見を持っている

my-output-story-uhyo-5.png
TSKaigi Hokuriku 2025 基調講演 登壇の様子。スピーカーとしても実績と信頼を積み上げている

― これからアウトプットを始める人に対して、アドバイスはありますか?

uhyo:まずは身の回りのことを発信してみて、徐々に自分の意見を出すようにステップアップしてはいかがでしょうか。

ただし厳しいことを言うと、世の中にある記事の内容を繰り返しても、新しい気づきを提供できたとは言えません。そこでおすすめしたいのは、仕事で苦労した経験をネタにすることです。

たくさん調べて、試行錯誤して、やっと解決できた課題は、検索結果に適切な答えがヒットしなかったということです。だから次に同じように苦労する人のために、参考にした記事をまとめておくことは、とても意味があると思います。

こうした経験は誰にでもあるのではないでしょうか。自分の経験を振り返って、ニッチなところまで掘り下げると、意外とあなたも新しい知見を持っているかもしれませんよ。というのが、私からの激励のメッセージですね。

― 前向きなアドバイスですね! 次のハードルは継続することだと思います。継続するためのコツはありますか?

uhyo:一番大変なのはアイディアを生み出すことですが、先ほどのアドバイスと同様に、実は私も仕事から着想を得ることが多いです。

現在は株式会社カオナビでフロントエンドのイネーブリングを担当しており、技術的に難しい案件を担当する機会が多くあります。ちょうど先日、入社から1年半をかけてようやく解決した案件がありましたが、こうした案件が私にとって苦労した経験であり、格好の執筆ネタになります。

カオナビに転職を決めたのは、技術的なスキルを活かして、組織全体の開発効率を向上させるなど、プロダクトの土台を支えるような仕事内容に魅力を感じたからです。仕事としてのやりがいもありますし、“新しい知見を見つける” という、私のライフワークにも直結しています。

― 仕事とアウトプット活動が、一貫したライフワークになっているんですね! 最後に今後の意気込みをお願いします。

uhyo:これからも、“新しい知見を生み出し、提供すること” を意識して努力していきたいです。AIの台頭によって既存の知見を活用することは容易になりましたが、新しいやり方やテクニックを生み出すことは、今のところ人間にしかできません。だからこそ、その価値はますます高まっていくと感じています。

特に最近では、Reactの脆弱性が指摘され話題になりましたが、それらとの向き合い方は人によって異なり、まだ見ぬ知見やできることがあるはずです。私がそれを見つけ出して、世の中に提供していきたい。こうした発信活動こそ、私が一番楽しいと思える発信ですし、皆さんの期待にお応えすることにもなると思います。

― uhyoさん、ありがとうございました!

output#4_uhyo_end.png


あなたもOSSやコミュニティ貢献など、アウトプット活動を共有してみませんか?

まずは、あなたの「スキル偏差値」&「発信力ランキング」スコアを確認してみましょう!(ご利用にはFindyへのログインが必要です)