Findyスキル偏差値や発信力レベルの上位者に、日々のアウトプットで得られた経験や継続のコツを尋ねる連載企画。初回のゲストは発信力「レベル9」のことみんさんです!精力的に登壇やコミュニティ活動を続ける理由を聞きました。
ありたい姿を目指したら、エンジニア人生が楽しくなった
― ことみんさんといえば、24新卒向け『エンジニア基礎』研修資料のバズが印象的です。
ありがとうございます。2024年春に公開したこの資料が、私のエンジニア人生の転換期になったと思います。SpeakerDeckで総閲覧数が220Kを超えるほど、多くの人の目に届いたのは、それまでも定期的に発信を続けてきて、“登壇活動をしている人”という認知があったからかな、と思います。
内容としては、私が入社してから丸3年間の経験や学びを凝縮して、エンジニアとしての成長に欠かせない、マインドやスタンスについてお話ししたものです。多くの人に届いたこともそうですが、「内容がいい」と言ってもらえたことが、すごくうれしかったです!
― コミュニティ活動を始めたきっかけを教えてください。
高専3年生の時に、友達に誘われて「オープンソースカンファレンス北海道」に参加したのが始まりです。技術コミュニティ「LOCAL学生部」に所属していた大学生や他の高校・高専の学生と話したらすごく楽しくて、そのままコミュニティに入りました。
― これまで多くの講演やLTを聞いてきたと思いますが、最も印象的な発表はありますか?
「BIT VALLEY 2019」の澤円さんの講演です。「すごい、かっこよ!」って、澤さんのプレゼン力に圧倒されました。自分の経験を伝えて人の心を動かす力があること、そしてそれを仕事にしていること、そんな澤さんの姿に憧れました。ちょうど就活の時期だったので、自分のBeing(どうありたいか)を考えるきっかけにもなっています。
「3:4の画面比率が懐かしいですねw」(ことみんさん)
― 活動を続けるモチベーションは?
一言で言えば、「技術コミュニティが好きだし、楽しいから参加している」。これに尽きます。
コミュニティやカンファレンスは、参加者・スピーカー・運営スタッフ・スポンサーがいてこそ継続することができています。
自分の学びを共有したいときはスピーカーとして参加しますし、コミュニティにより深く関われる運営スタッフとして参加することも、好きでやっています。技術コミュニティがずっとあることは当たり前ではないので、自分が参加したり、他の人を誘って参加したりすることが、この場所を守ることにもつながると思っています。
ただ、一時期は詰め込みすぎた時もありました。毎週末カンファレンスに参加して、さらに平日は週2〜3で勉強会にも参加して……ってやってたら、さすがに疲れました!w コロナ禍明けで色々なカンファレンスや勉強会がオフライン開催を復活した時期で楽しくなってしまい、興味のあるイベントに全部参加して気づいたらこうなっていました。「楽しいけど体力的にしんどい!」と学びました。今は月1回カンファレンス、たまに平日の勉強会も行くくらいがちょうどいいですね。これでも多い方だと思いますがw
伝える力がUP & 憧れの人が身近な人に
「PHPカンファレンス名古屋」登壇の様子(画像提供:ことみんさん)
― 登壇を続けたことで身についたスキルはありますか?
人に伝える力は確実に高まりました。何をどう伝えるか、相手がどう受け取るかを考えて、言語化する能力が磨かれたのは、登壇を続けてきたからだと思います。
― 登壇やコミュニティ活動をしていてよかったことは?
いくつかありますが、まず「ことみんさん知ってます」と言われることが増えました!
あと、憧れの人に実際に会えたことも! 例えば私が学生の頃から登壇や発信を見ていた、ちょまど(@chomado)さんは、最近ではカンファレンス等で会ったときにお話できたり、私の活動を応援してくれているので、うれしいなと思っています。
他にも技術コミュニティがきっかけで話したことがある人でいうと、たぶん1,000人は超えていると思います。同年代のエンジニア同士で仲良くなったり、他社のCTOやEMなど、普段なら話せないような人たちに相談できたり、「頑張ってね」って背中を押してもらえたりするのも、コミュニティ活動なくしてはありえません。
そしてなにより、Developers Summit(以下、デブサミ) での登壇の機会をいただけたことは、夢のようでした!
憧れのデブサミで登壇。ベストスピーカーに!
「Developers Summit 2025」登壇の様子(画像提供:ことみんさん)
― デブサミでの発表はいかがでしたか?
デブサミはエンジニアの憧れの場ですし、伝統ある雅叙園という会場も相まって、めちゃくちゃ緊張しました!運営元の翔泳社さんから『エンジニア基礎』研修資料をご評価いただいての登壇のお誘いだったので、この資料をさらに深掘りして入社4年間の実体験をお話しすることにしました。
一番広い会場ではないのですが、ありがたいことに満席で立ち見まで出るほどの盛況で、上位10名が選出される「ベストスピーカー賞」の10位に滑り込めました!
私の弱さや挫折も含めて話すのは勇気がいりましたが、逆にそれが響いたのかなと思います。メインターゲットは新卒ですが、若手育成を担当するマネージャー層からも反響をもらえたことが、とてもうれしかったです。
― 登壇はハードルが高いと感じる方もいると思いますが、なにかアドバイスはありますか?
まずは社内や小さめの勉強会で、身近なテーマで話してみることをおすすめします。社内で話した内容を少しブラッシュアップして、社外で話すのも、一度話した内容なのでハードルが下がって良いと思います。
よく「話すネタがない」という相談をされますが、みんな平日8時間、頑張って働いているんだから、ネタは絶対にあります。「話したいけれど内容が初歩的すぎて誰の参考にもならない」と思うかもしれないけど、そういうことじゃない! 自分の経験を、自分の言葉で話すことが価値になるんです。
私は「自分が通ってきた道を後から通る人は必ずいる」という言葉に、何回も背中を押されて登壇しています。いつか自分と同じ道を通る人たちのために、一歩踏み出してみてほしいと思います。
― これからも登壇は続けていきたいですか?
はい。もちろんです。私には人生でいつか「大きいカンファレンスの基調講演に呼ばれたい」という野望があります。今、私が感じているように「あの人が出るならこのイベントに行こう!」って思われる存在になれたら最高ですね。そういう人になるためにも技術的な専門性を高めたり、エンジニアとしてもっと成長するために頑張っていきたいです。
私たちにしかできない、特別なカンファレンスをつくりたい
「PHPカンファレンス北海道2024」コアスタッフを経験(画像提供:ことみんさん)
― 「WAYACON」の実行委員長をされるそうですね。カンファレンスの概要を教えてください。
「WAYACON(@wayacon)」は、PHPカンファレンス北海道、フロントエンドカンファレンス北海道、JAWS-UG札幌(AWS)の3つのコミュニティ合同で、来年6月6日に札幌で開催する技術カンファレンスです。現在は20名ほどのコアスタッフが集まっていて、どんなカンファレンスにするか議論しているところです。
― どのような経緯で実行委員長に就任されたのですか?
「PHPカンファレンス北海道2024」のコアスタッフを経験して、次は実行委員長をやりたいと手を挙げました。これまでも多くのPHPコミュニティのカンファレンスに参加していたこと、北海道出身だったこと、北海道の技術コミュニティに支えられてきたことが後押しになり、やりたいと思いました。
2026年に「PHPカンファレンス北海道」をやろうという話が進む中、今年の春に開催されたカンファレンスの懇親会で、みんなで「PHP・フロントエンド・AWSの3コミュニティ合同にしたら面白いのでは?」という会話をきっかけに構想が広がり、「WAYACON」として開催することになりました。
― どのようなカンファレンスにしていきたいですか?
とにかく、みんなが楽しめるものにしたいです。参加者だけじゃなく、スタッフも登壇者もスポンサーさんも全員が「楽しかったね」って言えるイベントにしたい。どこかのカンファレンスの真似ではなく、コアスタッフとして集まった私たちにしかつくれない、3コミュニティ合同主催だからこそできる会になったらいいなと思っています。
それとこれは私の個人的な強い思い入れなのですが、なにかしら学生支援をしたいと思ってます。私は学生時代にたまたま技術コミュニティに参加したのがきっかけで、他のイベントにも参加するようになったから、今があります。技術カンファレンス・コミュニティが楽しいと知って、学生のうちから経験できたことは私にとって幸運だったと思います。だから学生のみなさんにも、同じようなきっかけの場になったらうれしいですし、シンプルに当日来て楽しんでほしいと思っています。
― 最後に、カンファレンスの参加にハードルを感じている人もいると思います。なにかアドバイスはありますか?
カンファレンスや懇親会はハードルを高く感じがちですが、実は全然そんなことありません。話しかけるのが苦手な人は、登壇者へ直接質問ができる「Ask the Speaker」というコーナーを設けているカンファレンスも多いので、そこに行って感想を伝えるとかはオススメです。
登壇者にとっては、自分の登壇を聞いてもらって、さらに話しかけてくれることは、とてもうれしいんですよ! それは、どんなに有名な人でも、初めて登壇した人でも変わりません。
1人で行くのが緊張するなら最初は知り合いに一緒に行ってもらえばいいし、とにかく「行っただけで100点、誰かと話せたら120点」という気持ちが一番だと思います。
― ことみんさん、ありがとうございました!
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