アジャイル/DevOpsやテスト自動化、AI活用の進展により、ソフトウェア開発はかつてないスピードで進化しています。それと同時に、品質がユーザー体験や事業成長を左右する場面が増え、QAの重要性はこれまで以上に高まっています。こうした変化のなかで、QAを起点としたキャリアの選択肢も着実に広がりつつあります。
今回取材したのは、豊富な第三者検証の実績を持つProVisionでQMO(Quality Management Office)という新たな役割に挑戦する山本 舞さんと、組織づくりと人の成長を支えるマネジメントを担う安食 瞬さんです。
QAキャリアの分岐点で、山本さんはなぜプロジェクト専門職の道を選んだのか。また、まだ正解のない新しいポジションに挑戦するメンバーを、安食さんはどのように支え、育てているのか。2人の選択からこれからのQAキャリアを描くヒントを探ります。
プロフィール
クオリティマネジメント事業部 QMO/山本 舞さん
飲食店運営やテーマパーク勤務を経て、2020年に入社。QAエンジニアとして経験を積んだ後、自ら志願して2025年7月からQAコンサルにキャリアアップ。現在はQMOとして、自治体向け業務システムにおける品質マネジメントを担当。
クオリティマネジメント事業部 係長/安食 瞬さん
第三者検証機関で約3年間ソフトウェアやロボットなど多様なQA経験を経て、2019年に入社。現在は組織管理職として4チーム・計36名のメンバー管理を行う。
品質管理の常識が変わる時代。私が変わらないと!
― まずは御社で目指せるキャリアロールの全体観と、QAコンサル・QMOの役割を教えてください。
安食:当社ではテスター・テストエンジニアの次のステップとして、①組織管理職、②プロジェクト管理職/専門職、③技術貢献、と大きく3つのキャリアロールを用意しています。山本さんが担当されているQAコンサルやQMOというポジションは、②プロジェクト管理/専門職に該当します。
それぞれの主な役割をご紹介すると、QAコンサルは顧客の品質課題に対して分析を行い、解決策をご提案することが主務になります。直面する課題をどう解決していくかを考え、開発やステークホルダーと合意を取りながら進めていきます。
一方QMOは、中長期的な時間軸で品質向上を支援します。テスト結果などのプロジェクト成果物を比較・分析し、それをもとに施策を実施します。施策結果は都度確認し、妥当性を判断して、適切な施策に取り組んでいきます。

ProVisionにおけるテストエンジニアのキャリアラダー概略(画像提供:ProVision)
― 山本さんはテストエンジニアからQAコンサルにキャリアアップされ、現在はQMOに挑戦中だと伺っております。さまざまなキャリアの選択肢がある中で、なぜプロジェクト専門職の道を選択されたのですか?
山本:これが一番、自分の強みを活かせると思ったからです。
転職して6年。業務に楽しさを見出していたものの、この先エンジニアリングに特化したキャリアを歩むことに少し不安を抱いていました。技術に軸足を置いた仕事では、これまで自分の強みとしてきた「人と関わりながら仕事を進める機会」が次第に減っていくのではないかと感じていたからです。
そんな時に、顧客へ小さな提案をする機会がありました。自分の考えを伝えながら合意形成や調整業務を行ううちに、自分が目指すべき方向性は折衝や提案スキルを磨くことなんだろうなと、しっくりきたんです。定例で行っている上長との1on1で、この気づきとキャリアの展望を話したところ、QMOやQAコンサルへのステップアップを勧められて、今に至ります。
― 上長の後押しがあったとのことですが、挑戦に踏み切った決め手はなんでしたか?
山本:昨年は生成AI活用やテスト自動化の流れが顕著でしたが、当社においても最先端技術を取り入れた新しいQAのあり方を目指す、定量的な目標が設定されました。四半期に1度行われる全社会議で語られるメッセージを聞くにつれ、「私自身が変わらなきゃ!」と鼓舞されたんです。
役職者ではなく、いちメンバーである私がQMOにステップアップできたら、同じように挑戦してみたいと思う人が出てくるかもしれない。そう考えて、自分の殻を破ってみようと思いました。
安食:経営層や組織管理職がやっきになっているだけでは、会社は変わりません。山本さんのようにメンバー自らが手を挙げてくれることは何より嬉しいですし、彼女の存在は間違いなく社内のロールモデルになっていると思います。
ステップアップを全社で応援!身近な経験者から学ぶ

「全社的にお話好きな人が多いです。12月にチーム異動をしたばかりですが、ここでも温かく迎えてもらいました」(山本さん)
― QMOの挑戦にあたり、どのようなサポートがありましたか?
山本:まずQMOの経験がない状態で挑戦する機会をいただくこと自体が、既存顧客が多い当社だからこそできる、ありがたいサポートだと感じています。(取引実績 約600社、リピート率 90%以上 ※2025年12月時点)
また案件に参画するまでに準備期間が設けられており、その間にQMO職の社員に1on1を依頼し、QMOの仕事とは何か、どんなことに注力して取り組むべきかをヒアリングして回りました。
遠回りに感じるかもしれませんが、業務だけではなくランチや雑談などでも改善の種を見つけられることや、多角的な視点を持つためにも特定の人だけではなく、さまざまな立場の人から話を聞くようにとアドバイスをもらいました。
― 御社では山本さんのように上流工程へ挑戦する人も多いと思います。安食さんは組織管理職としてご自身の部下へどのようなアドバイスをしていますか?
安食:まさに山本さんが行ったように、社内の経験者にヒアリングすることを推奨しています。身近な経験者の生の声を聞くことは、本やWebで集める標準的な情報に比べより実践的で役立つ情報だからです。
少し先を走る先輩社員の言葉から、当社だからできる支援について学び、自分はどんなQMOになりたいのか、そのために何をするべきなのかを具体的にイメージすることが、QMOになる第一歩だと考えています。
またQMOの道を選択するか否かは別として、個人のスキルアップの指標として資格取得も推奨しています。まずはJSTQB認定テスト技術者資格のFoundation Level、次にAdvanced Levelの資格取得を目指してほしいです。資格取得支援制度では、受験料補助や合格お祝い金の他、月々の給与に上乗せされる資格手当もありますので、大いに活用してほしいと話しています。

「前職から、品質文化の浸透に力を入れています。同じ気持ちで各現場で活躍してくれる専門職が増えることが実現の近道になると考え、組織管理職になりました」(安食さん)
― 参画後は難しい課題に直面することもあると思いますが、組織管理職としてどのようにサポートしていますか?
安食:現場の進捗や課題については適時報告を受けていますが、その相談に対して私の考えを押し付けないように注意しています。
経験に差があると、どうしても私が発した答えが「正」として扱われてしまいがちですが、そうとは言い切れないんですよね。むしろ製品の特性や現場の様子など、正解に近づくヒントを一番知っているのは参画している本人です。
本人が納得して自信を持って顧客へ提案できる答えを一緒に見つけることが、私が行うべきサポートの形だと思います。
― そのように考えるきっかけはありましたか?
安食:さまざまなシーンで感じてきたことですが、特に印象に残っているのが、飲食店向けオーダーシステムのQA案件での出来事です。
決定ボタンのUIに関して、社内の複数名で議論をしていたのですが、見ている視点や価値観は人によって大きく異なりました。ある人は「店員が使用するデバイスはiPadが一般的で、それも横向きで使われる」と前提条件に立ち戻る意見を発したり、ある人は「高齢の利用者にとって、このサイズでは小さい」と指摘。それに対して「若年層向けには、デザイン性を優先してこのサイズが良い」という意見があったり…。
当社の案件は1つとして同じものはなく、その都度オーダーメイドで最適な品質を考えています。だからこそ様々な視点や意見の中から「これが最善だ」と確信できるアイディアを見つけることが大切なんです。この確信が自信となり、顧客への説得力につながっていると思います。
― 山本さんにとって、ProVisionのサポートで心強かったものはありますか?
山本:上記のような組織管理職の伴走ももちろんですが、チームメンバーと頻繁に情報共有ができることも私にとっては大きな励みになっています。私は客先オフィスへ出社することが多いのですが、週1ペースで自社オフィスに出社し、チームメンバーと集まる機会を設けています。
日頃抱える疑問点を雑談ベースで相談しあえる関係性も心地よいですし、なにより「私もわからないから、ごめん」と突き放す人がいないんですよね。互いに知恵を出しあって、解決策を提示する姿勢が、お客様から支持されている理由なんだろうなと思います。

エンジニア職社員と営業職社員の談笑シーン。ProVisionでは部署の垣根を超えた交流がある(画像提供:ProVision)
理想の姿から逆算を。個人の主体性がキャリアをつくる
― 安食さんは組織管理職として、メンバーのキャリア相談も行っていらっしゃると思います。その際、心がけていることはありますか?
安食:本人が理想とする姿から逆算ができると、有意義なキャリア相談になると感じています。
ただ、理想の姿が想像できない、つまり自分が何をしたいのかわからないという方も意外と多いんです。そんな方には「まずは自社の取り組みを学びましょう」と伝えています。
当社は東証プライム上場企業システナの戦略的子会社であり、ソフトウェアテストの専門会社として設立しましたが、現在ではテスト・QAで培ったノウハウを活かしてシステム開発やDX支援などにも事業領域を広げています。
社員が選択できるキャリアの幅は、テスト・QA事業に絞っても実に豊富です。今回は山本さんからQMOやQAコンサルタントの話がありましたが、QAの役割はそれだけではありません。
また、市場の変化がこれだけ速い中で、その変化に合わせて新しいキャリアを描いていけることも当社の強みだと考えています。こうした多様な可能性を知ることで、きっと理想とする将来像が見えてくると思います。
― 組織管理職の手厚い支援があるとはいえ、本人の努力があってこその挑戦だと思います。山本さんは、ご自身がキャリアアップのチャンスを掴めた理由はなんだと思いますか?
山本:自分の成長過程を、上長に細かく報告していたからかと思います。
当社は第三者検証としての客先常駐が多く、同じ現場に上長がいないことも少なくありません。日々の取り組みを自然と見てもらえる環境ではないので、業務の進捗報告だけではなく、自分の取り組みや成果を細かく報告するまでが仕事だと思って取り組んできました。
QMOへのキャリアアップにつながったのも、顧客提案の過程にまつわる話ができていたからです。
安食:こうした山本さんの動きは、当社で活躍する人を象徴していると感じます。
「夢と理想の実現に本気で取り組む会社」というビジョンの通り、当社は社員の主体性を尊重しています。自分が何を行い、どのように考え、今後どうしたいのか。自分の意思を相談してもらえれば、組織管理職はその夢につながるアクションを進めてくれます。
― 安食さんは何人ものキャリアアップを見届けてきたと思いますが、そのなかでも印象的だった人はいますか?
安食:山本さんと真逆のエピソードになりますが、8年ほど同じ現場を継続していたQAメンバーを、半ば強引に別の案件に異動させたことがあります。
僕の思いとしては、1つの現場で学べる知見は十分に蓄えたので、次のステップではQMOとして違う現場を学んでほしいという願いでした。参画後に見事にQMOとして活躍している姿を見て、適切な時期に適切な環境にいることは個人の成長にとても重要だと、改めて感じました。
当社のコアバリューには「BREAKTHROUGH(維持は衰退、常に現状を打破し突破する)」とあるように、新しい環境へのチャレンジが個人の成長を大きく加速させるということを、一番身近で見させてもらいましたね。
ProVisionの強みはホスピタリティ。業界の第一線で活躍しよう

― ProVisionだから提供できる価値や、企業としての強みはなんだと思いますか?
山本:当社の強みは、ホスピタリティ溢れる社員が集っているところだと思います。顧客の課題解決のため、部署や役職の垣根を超えてチーム一丸となって知恵を出し合いながら、顧客に真摯に向き合い続けています。
安食:山本さんが話したように社内もそうですが、お客様も含めてチーム一丸となっているところがあると思います。私たちは第三者検証ではありますが、顧客との距離感も近く、常に風通しの良い雰囲気をつくれることが当社のホスピタリティを象徴していると思います。
経営理念の「明るく元気に前向きにひたむきに貢献することで笑顔の花を咲かせます」の通り、顧客からは私たちの明るく前向きな姿勢を一番に評価していただいています。
― QAとその関連職種を募集中だと伺っています。新しい仲間を迎えて、どんなことをしていきたいですか?
安食:冒頭にもお話ししたように、ProVisionでは生成AIや自動化の技術を取り入れ、ソフトウェアにおける品質管理の第一線を走る組織でありたいと考えています。
そのためにも、一人ひとりが専門性の高い知識を吸収し、各現場に適用させていくことが求められています。新しい品質管理のあり方をつくっていきたい方に、ぴったりな環境だと思います。
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取材・執筆・撮影/松本ゆりか
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