2025年は様々なAIコーディングツールやエージェントが登場するとともに、モデルやエディタの進化も見られ、開発を取り巻く環境に変化が見え始めた一年でした。一方で、次々と現れるエージェントやアップデート、関連する議論やコンテンツを追い続けるのは、なかなか大変です。
本記事では、Findyが2025年に開催したAI関連のイベントのうち、今年のリリースやアップデートなどで特に話題になったものをピックアップし、アーカイブ動画としてご紹介します。反響が大きかった8本を時系列でまとめていますので、年末年始のひとときにご覧ください。
2月:Devin使ってみてどうだった? ~活用事例と導入時のポイント~
Cognition AIは2024年3月に自律型AIエージェント「Devin」を発表し、同年12月に一般提供を開始。イベントでは、Devinをいち早く取り入れたエンジニアの方々の事例をパネルディスカッション形式でお届けしました。
Devinは、タスクの計画から実行までを自律的に進めるAIエージェントとして注目を集める一方、開発組織の中でどのような役割を担わせるべきかが議論されるようになりました。
4月:Mastraで変わるAIエージェント開発 — 1時間で最前線を知る
3月に公開され、反響を呼んでいたZennの書籍『Mastraで作るAIエージェント入門』の著者・芹川葵さんをお招きし、AIエージェントフレームワーク「Mastra」の基本的な考え方から他のフレームワークとの違い、最新の活用事例までを解説いただきました。
TypeScriptベースのオープンソースAIエージェントフレームワークであるMastraは、2024年にプロジェクトが始まり、2025年初頭にはベータ版が公開。既存のAIツールを使うだけでなく、自分でエージェントを設計・構築したいエンジニアの選択肢として注目を集めました。
4月:MCPでLLMはどう進化する? 〜からあげさんに学ぶ、AI開発の最前線〜
Anthropicは2024年11月、LLMと外部ツールをつなぐための共通プロトコル「MCP」(Model Context Protocol)を発表。注目が集まる一方、多くのエンジニアにとって活用のハードルが高かった中、松尾研究所 データサイエンティストのからあげさんにMCPの概要や、実際にMCPサーバを開発した際のリアルな知見、今後の活用方法などを共有いただきました。
参加者の方々からは、「MCPに興味はあったものの、なかなか踏み出せなかったので、実際に使っている方のお話を聞けてよかった」「例え話を交えて説明していただき、大変分かりやすかった。MCPは今後の標準になりそうなので、これを機にたくさん勉強したい」など、大きな反響がありました。
6月:Clineの実力と使いどころ〜 現場から見る!スピード開発実践事例〜
「Cline」を実際に活用しているMonotaROとDMM.comが登壇し、スピード開発を実現するための工夫や設定、活用のポイントを事例とともに紹介しました。
ClineはVS Code向けのAIコーディングツールとして注目を集め、エディタ上でAIを活用したスピード開発を実現する選択肢として認識されるようになりました。導入はしやすいとされる一方、どこまで任せるべきか、どのように使い分けるべきかといった点は、各現場で試行錯誤が続いていました。
7月:Claude Code Meetup
Anthropicは2月にClaude Codeを発表し、5月に正式リリース。ハイブリッドイベントでは、AIコーディングエージェント「Claude Code」を活用し、最新情報を発信しているエンジニアの方々と公募LTへの参加者に活用状況をお話しいただきました。参加者の方々からは、「実際に現場で使い込んでいる方々の試行錯誤を知ることができた」といった声が挙がっていました。
8月:Kiro使ってみてどうだった? ~試してわかった活用のヒント~
AWSは7月、AIコードエディタ「Kiro」をプレビュー公開。イベントでは、いち早くKiroを試したエンジニア3名が登壇し、試した内容や良かった/気になった点をパネルディスカッション形式で共有しました。参加者の方々からは「Kiroは目下情報収集中なので、大変助かった」「有識者の雑談感があって、非常に勉強になった」といった声が寄せられました。
9月:Kiro Meetup Japan #1
Kiroの技術的な魅力や、現場での具体的な活用方法、開発体験について掘り下げるハイブリッドイベントも開催。アマゾンウェブサービスジャパン シニアデベロッパーアドボケイトの山口能迪さんをはじめ、Kiroを活用する6名が登壇。さらに、AWSでKiroの製品開発を主導するソフトウェアデベロップメントマネージャのNathan Jonesさんも急遽Q&Aセッションに参加しました。
Q&Aセッションでは、70件近くの質問が寄せられ、大きな盛り上がりを見せました。質疑応答の様子は、Findy Media記事「Kiro開発責任者 Nathan Jones氏に聞く Spec駆動で変わる開発――Kiroの現在地とこれから」でもまとめています。
10月:Codex使ってみてどうだった?AIコーディングエージェント最前線Lunch Talk
AIコーディングツール「Codex」を活用しているエンジニアの方々が登壇し、Codex CLIの設定Tipsや他ツールとの使い分け、活用事例を共有いただきました。
OpenAIは5月、Codexのクラウド実行型を発表。ローカル環境での補助だけでなく、バックグラウンドでのタスク実行も意識され、他のAIコーディングツールとの使い分けにも関心が集まっていました。
11月:仕様駆動開発〜新たな開発手法の可能性と実践〜
AIコーディングエージェントによる開発速度の向上に伴い、実行可能かつ持続可能な開発の課題が浮かび上がる中、新しいソフトウェア開発スタイル「仕様駆動開発(Spec Driven Development)」が注目を集めるようになりました。
イベントでは、KiroやSpec Kit、cc-sddを通していち早く仕様駆動開発を実践している方々に、仕様駆動開発によって解決が期待される課題やどういったシーンで活用しているかなどの知見を共有していただきました。
11月:ClaudeCodeはじめてガイド -1時間で学べるAI駆動開発の基本と実践-
Claude Codeの活用と情報発信で著名なOikonさんをお招きし、基礎的な仕様理解から応用的なチームでの活用実践までをお話しいただきました。Findy Mediaでは「Claude Code イベント 未回答Q&A特集:Oikonさんによる回答まとめ」も併せて公開しました。
Claude Codeは9月に2.0が登場、10月にWeb版が提供開始され、個人のエディタ操作にとどまらず、開発プロセス全体での活用が意識されるようになりました。
2025年を通じて、AIコーディングツールやエージェントは「試すもの」から「選択肢として前提に置くもの」へ変わってきました。その一方で、生成されたコードのレビューや人材育成、常にAIと向き合うことによる「AI疲れ」など、現場ならではの課題も見え始めました。
こうした変化に対し、Findyでは2026年も最新ツールや活用事例を引き続きイベント/メディアの両面で紹介していきます。
