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「次は事業会社」と思っていた6年目SEが、“技術に向き合える時間”を選ぶまで

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ファインディ編集部

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「どこかで事業会社へ行ったほうがいいのだろうか」──。SIerでキャリアを積む中で、そう考えたことはありませんか。

2025年9月、新卒で入社した金融系SIerから、シンプレクス株式会社へ転職した吉良拓也さん。「本質的な課題解決のために、もっと技術にコミットしたい」と考え、当初は自社プロダクトを持つメガベンチャーなどを志望していました。

しかし、転職活動を進める中で見えてきたのは、会社の業態よりも「自分がどんな時間を過ごし、どんなスキルを身に付けたいのか」という軸でした。本記事では、前職でのギャップや転職活動中の気づきを通して、“技術に向き合える時間”を選び直したプロセスを紹介します。

できる挑戦はした。それでもぬぐえなかったキャリアの違和感

― 転職活動を始めたきっかけは何でしたか。当時、違和感を持っていたことがあれば教えてください。

2024年11月頃、社会人6年目を迎えるタイミングで、自分のキャリアを見つめ直すようになりました。前職で期待されていたのは、ビジネスパートナー(BP)の方々の管理やスケジュール調整といった役割でした。一方で私は、「上流の視点を持ちつつ、顧客の課題解決のために技術を“ツール”として使いこなしたい」と考えており、会社が求める方向性との間にズレを感じていました。

新卒入社後に担当した海外支社向け勘定系パッケージの導入プロジェクトでは、開発は現地ベンダーが担い、私はレビューやコード分析が中心でした。その後、社内公募で内製開発部門へ異動し、設計や実装にも関わりましたが、技術の意思決定に踏み込める機会は限られており、より主体的に関われる環境を求めて転職を決意しました。

― 自力で可能な範囲の挑戦はした上で、改めてギャップを感じたのですね。

そうですね。前職で経験できることはやり切った感覚があります。社内公募に手を挙げたり、プロジェクトを推進する経験を積んだりと、自分なりにスキルセットを広げてきた自負があります。

その中で、「このタイミングで転職しなければ、もう二度とできないのでは……」という危機感がありました。私は技術を「どこへ行っても通用する共通言語」のように捉えており、その共通言語に触れないまま年次を重ねていくと、身動きが取れなくなってしまうのではないかと感じていたんです。

転職活動で感じた壁。Findyコンサルタントとの対話で見つけた、真のニーズ

― 転職活動を始めた頃は、どのような企業を志望していましたか。

当初は、自社プロダクトを持っているメガベンチャーを中心に見ていました。「プロダクトの在り方を定義した上で、開発に落とし込んでいく働き方がしたい」という思いがあったんです。しかし実際に選考を受けていく中で、「今何ができるのか」をかなり具体的に問われる場面が多くありました。面接で技術理解について質問を受ける中で、自分の経験や強みがどこにあるのかを改めて考えるようになったんです。

振り返ってみると、自分の強みは「顧客の課題や要望を整理し、それを技術的な設計に落とし込むこと」だと気づきました。その経験を生かしながら、より技術に向き合える環境のほうが自分には合っているのではないかと感じるようになりました。

その結果、自分が本当に求めていたのは「自社プロダクトを持っていること」そのものではなく、「技術を軸に本質的な課題解決に向き合えること」だったのではないかと気づいたんです。

― その中で、Findyのコンサルタントとの面談はどのように活用されていましたか。

担当コンサルタントの方とは、月1回のペースで面談をしていました。一般的に、転職エージェントとのやりとりは求人紹介や面接調整が中心になることも多いと思いますが、Findyの面談は、進捗状況の共有だけでなく、自分の考えを整理する機会になっていました。

先にお話しした転職活動中の気づきも、コンサルタントの方との対話がきっかけの一つです。自分ではうまく言語化できていなかった考えを整理してもらったり、別の視点を提示してもらったりと、壁打ち相手のような存在でした。一人で考えると視野が狭くなりがちですが、対話を通してキャリアの選択肢が広がった感覚があります。

「どれだけ書いたか」ではなく「どう向き合ってきたか」をアピール

― 面接では、どのようなことをアピールしていましたか。

設計や実装という点では、自分よりも深く携わってきた方はたくさんいるという自覚がありました。だからこそ、「自分の頭で考え、提案してきた姿勢」を中心に伝えるようにしていました。

お客さまの要望を言われたまま実装するのではなく、「なぜそれが必要なのか」「そういう背景であれば、このやり方のほうが効果的だと思う」と背景や目的を確認した上で提案していたので、その点をアピールしていました。

― 最終的に同社への転職を決めた理由は何でしたか。

私が転職活動で一番大事にしていた点は、「技術を軸に本質的な課題解決に向き合えるか」です。選考過程でシンプレクスの方々とお話しする中で「技術力を中心に、キャリアを積める環境だな」と感じました。

また、シンプレクスはもともと金融領域でソリューションを展開してきた会社ですが、近年は金融以外の領域にも力を入れていると聞き、前職と異なる分野にも挑戦したいという自分の方向性とも重なっていました。技術を主軸にしながら、幅広い領域で経験を積めることが、最終的な決め手になりました。

日々の業務に向き合う中で、技術理解が深まっていく

― 現在はどのような業務を担当しているのでしょうか。

現在は、中古車オークション業界の基幹業務システム刷新に参画しています。プロジェクトのフェーズに応じて役割も変わりますが、設計や実装、検証といった工程に携わっています。

入社して印象的だったのは、年次に関係なく発言が求められる文化です。若手でも振り返りの場では積極的に意見を出しているため、私も前のめりに発言するようになりました。

上司や先輩も年次ではなく意見の中身で判断している印象です。フラットゆえの厳しさもあるかもしれませんが、私はそうした環境を求めていたので働きやすさを感じています。

― 「顧客の課題解決のために技術をツールとして使いこなしたい」とお話しされていましたが、入社してそうしたスキルを得られている実感はありますか。

はい。日々の業務で設計や実装に深く関わる機会が増え、技術理解が着実に積み上がっていると感じています。また、プロジェクトのフェーズに応じて扱う技術も変わるため、幅広い技術に触れられます。

もともと、言語やコーディングスタイルは根本を理解していれば付け替えが可能だと考えており、だからこそ技術の原理や設計思想といった“幹”を育てたいと思っていました。現職で様々な技術に触れる中で、その幹の部分が少しずつ見えてきている感覚があります。

― 入社前には想定していなかったけれど、実際に働く中で身に付いた視点はありますか。

アサインされているプロジェクトでは、ClaudeやCodexなどのコーディングツールを積極的に活用しています。そうした環境で開発する中で、「AIを前提とした働き方」を自然と意識するようになりました。AIを使うからこそ、「これからエンジニアはどんな価値を出していくべきか」を考える機会が増えたと感じています。

― 現職での短期的な目標と長期的な目標をそれぞれ教えてください。

短期的には、まず目の前のタスクに向き合いながら、技術理解を深めていくことです。特定の技術に依存しないエンジニアになりたいとは思っていますが、その「共通する幹の部分」を見抜く力は、個々の技術を深く理解することでこそ身に付くと考えています。今取り組んでいるプロジェクトの中で、一つひとつの技術を自分のものにしたいです。

長期的には、そうやって培った知識や経験を基に、より上流の意思決定に関わりたいです。単に実装するだけでなく、「どういう方針で進めるべきか」「どの選択が最適か」を判断し、お客さまに提案できる立場になりたいですね。

「漠然とした不安」は具体化してみる。そしたら案外怖くない

― Findyに登録しているものの、挑戦するか現職にとどまるか迷っている方も多いと思います。そうした方へ伝えたいことはありますか。

正直に言うと、内定を頂いた時は迷いました。転職活動中は「シンプレクスで働きたい」と思っていたのに、いざ現実になると「変わること」への不安が一気に押し寄せてきたんです。

前職でも耐えられないほどのつらさを感じていたわけではなく、一緒に働く人々にも恵まれていました。だからこそ、「この環境を手放してまで挑戦すべきなのか」と考え、「新しい環境に自分はついていけるのか」「1~2カ月でドロップアウトしたらどうしよう」といった不安も生まれました。

ただ、その時に意識したのは「今の会社を基準に考えない」ということでした。もしどこにも所属していない状態で、フラットに2社から内定をもらったとしたら、自分はどちらを選ぶのかを考えると、おのずと答えが見えてきたんです。

短期離職への不安についても、「もしそうなったら何が困るのか」を具体的に考えました。自分の場合はお金でしたが、生活を立て直すまでの費用を試算すると、貯金で対応できる範囲だとわかり、過度に恐れる必要はないと納得できました。

「わからないから余計に怖い」ということもあると思います。「よく考えたらそこまで困らない」ということも多いですし、本当に困るのであればその対処法を考えておけば、あまり怖くなくなると思います。

― 吉良さん、お話ありがとうございました。

そのモヤモヤ、言葉にしてみませんか

自分のキャリアについて「このままでいいのか」と悩むこともあるかもしれません。まずは今の気持ちを言葉にしてみませんか。

転職するかどうかの結論は、急ぐ必要はありません。Findyのコンサルタントによる面談では、経験の棚卸しと真のニーズの整理を通して、「次の選択肢」を一緒に考えます。



取材・執筆:大場みのり