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「使える」データ基盤を作る技術選定の秘訣

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CARTA HOLDINGS / 事業部 VP of Data

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本記事では、2025年5月14日に開催されたオンラインイベント「【技術選定を突き詰める】Online Conferenc​​e 2025」内のセッション「使えるデータ基盤を作る技術選定の秘訣」の内容をお届けします。同セッションでは、CARTA HOLDINGS / 事業部 VP of Dataのpeiさんに事業におけるデータ基盤の価値からツール導入のポイント、そして導入後の活用についてお話しいただきました。ぜひ本編のアーカイブ動画とあわせてご覧ください。


pei:CARTA MARKETING FIRMのpei(@pei0804)です。 本日は「使えるデータ基盤を作る 技術選定の秘訣」というタイトルでお話しします。

現在、CARTA HOLDINGS傘下のCARTA MARKETING FIRMという会社でVP of Dataを務め、データ戦略からエンジニアリング、組織づくりまで幅広く担当しています。Snowflakeを得意としており、2024年、2025年と2年連続でData Superheroesに選出されています。

「便利そう」で選ぶ技術選定は、なぜ失敗するのか

データ界隈は日々無数の技術が登場しますが、個別ツールの紹介はすぐに陳腐化してしまいます。そこで本日は、その中から本当に必要なものを見つけ出すために、私が普段考えていることを共有します。というのも、「データ基盤やツールを導入したのに、なかなか活用されない」という相談を本当によく受けるからです。こうした失敗には共通点があり、本日はそのアンサーとなるお話です。

話を聞くと、導入理由が「便利そうだったから」というケースが非常に多いのですが、これは大抵の場合、失敗します。よくありがちな罠として、管理者目線での「便利そう」は、現場では基本的に流行らないと私は思っています。

例えばモダンなツールを入れても、利用者からすれば「このデータがない、このグラフがない」という課題が挙がり、結局「じゃあスプレッドシートでやろう」となる。管理者は「またスプレッドシートでやってるよ、みんな勉強してよ」と嘆くことになります。高度な技術を導入しただけでは、ラストワンマイルを解決してくれる表計算ソフトに負け続けるんです。

解決策はシンプルで、「本当の痛み」を解けば人は動きます。実際にデータを使って価値を出す利用者が本当に欲しいものを選定し、提供すること。これが今日いちばん伝えたいことです。

事業におけるデータ基盤の価値とは

技術選定に入る前に、まず事業におけるデータ基盤の価値について目線合わせをさせてください。もしデータ基盤が1日止まったら、どれくらい困るでしょうか?すぐに問い合わせが殺到するか、あるいは翌日になっても誰も気づかないか。それだけでも、価値の大きさはある程度測れます。

データ基盤がなくても事業が回ることは、実は少なくありません。これは、データ基盤が事業のスケールに伴って後から付加価値として生まれるものだからです。100行のデータなら人間が見ればいいですが、1億行は無理ですよね。特に歴史ある事業はデータ基盤なしで成功してきたため、「本当に必要なのか?」と思われがちです。

だからこそ、事業に不可欠な存在になるには戦略的な活用が必須です。場当たり的な施策ではコストばかりかかっていると思われ、私の感覚では2〜3年で「価値が出ていない」と判断され、頓挫してしまいます。この「なくても事業が回る」という構造的な課題こそが、技術選定の出発点です。

では、価値ある状態とは何でしょうか。「データ基盤の利用者に日々使われていること」、これが何よりも重要だと思います。データ基盤が使われている状態は、人の営み自体に影響していく動きを意味します。そのため、「便利そう」という理由だけでツールを導入しても誰も使いません。「これなら明確に使える」というストーリーが非常に大事です。そのストーリーを作れる技術なのかをベースに技術選定をします。

大局を知る:無数のツールとどう向き合うか

技術選定をする前に、我々が置かれている大局を捉えましょう。ご存知の通り、モダンデータスタックの登場でデータ基盤の構築はかなり民主化が進んでいます。無数のツールの中から選べば“それっぽいもの”は作れます。今日の話は、まさにこのツール群とどう向き合うかです。

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