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後悔しないための技術選定とアーキテクチャ設計 ~不確実性を乗りこなすための原則~

投稿日時:
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株式会社レクター / 代表取締役

広木 大地

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本記事では、2025年5月14日に開催されたオンラインイベント「【技術選定を突き詰める】Online Conferenc​​e 2025」内のセッション「後悔しないための技術選定とアーキテクチャ設計 ~不確実性を乗りこなすための原則~」の内容をお届けします。同セッションでは、株式会社レクターの広木大地(@hiroki_daichi)さんに、技術選定の前提となるアーキテクチャという概念をはじめ、技術選定・アーキテクチャ設計におけるポイントをお話しいただきました。ぜひ本編のアーカイブ動画とあわせてご覧ください。


広木:それでは始めさせていただきます。「後悔しないための技術選定とアーキテクチャ設計」と題しまして株式会社レクターの広木が発表させていただきます。

まず初めに自己紹介です。新卒1期で株式会社MIXIに入り、サービス執行役員本部長を務めたのち退社、株式会社レクターで技術と経営を繋ぐアドバイザリーとしていろんな会社の支援をしております。また『エンジニアリング組織論への招待』という本を書かせていただいております。

今回お話しするのは技術選定の前提となるアーキテクチャという概念の理解、技術的負債とかは何か、そしてそこを繋ぐ大きな権力の流れみたいなことを皆さんと考えていき、少し回りくどい話も含めながら説明できればと思っています。

「アーキテクチャ」という概念を理解する

そもそもアーキテクチャという言葉は何なのか。この根本理解が技術選定を考える上でも重要なポイントになると僕は思っています。アーキテクチャという言葉に対する一般的なイメージといえば、インフラの設計図のような青写真、システムの骨格とかルール技術スタック、モジュール分割、データフロー、あるいは建築基準などをイメージされるんじゃないでしょうか?

実はアーキテクチャという言葉は元々建築用語でしたが、哲学的なところにまで広がり、人間の行動様式や社会関係を規定する重要な要素になっていると言えます。建築物が人の動きを決めてるように、社会制度やテクノロジーのアーキテクチャも私達の行動や権力関係に影響を与えているのです。

ローレンス・レッシグという法学者が人々の行動を規制する4つの力として、法律、社会規範、市場、アーキテクチャというものを挙げました。このアーキテクチャの定義としていたのは、「ある選択肢を選びやすく、また同時に選びにくくするという性質を環境に与えることで、人々の行動を自発的に促す仕組み」として説明されてきました。 デジタル空間ではソフトウェアやハードウェアの技術的構造(コード)が人間の行動を制御する力として機能していると解説しています。また、アーキテクチャが持つ力を利用してメリットを最大限に引き出す活動はアーキテクティングと呼ばれています。

アーキテクチャの持つ権力の発生源

この「何かを選びやすくし、選びにくくする力」が何によって生まれるのかを別の視点から見ていきましょう。少々複雑な話になりますが、アーキテクチャの持つ力の源泉は、依存性と交換可能性の関係によるものだと捉えています。

権力・依存・交換可能性の関係としてとらえる

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