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【#も読】マルチクラウドやオンプレ回帰は本当に正しい選択なのか──2025年10月のAWS障害を踏まえて(@isaoshimizu)

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株式会社MIXI / みてね事業本部 みてねプラットフォーム部 部長

清水 勲

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「あの人も読んでる」略して「も読」。さまざまな寄稿者が最近気になった情報や話題をシェアする企画です。他のテックな人たちがどんな情報を追っているのか、ちょっと覗いてみませんか?

はじめに

こんにちは。清水(@isaoshimizu)です。今回は、2025年10月27日に公開された記事
"Multi-Cloud" and "Return to On-Prem" Aren't your silver bullets: A reality check after the AWS outage (日本語訳:“マルチクラウド”や“オンプレ回帰”は銀の弾丸ではない――AWS障害後のリアリティチェック)を読みました。

日本時間の2025年10月20日、AWSで障害が発生しました。この障害は規模が大きく、影響範囲も広かったため、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。

今回の障害は、DynamoDBにおけるエンドポイントの名前解決に問題が発生したことをきっかけに、EC2やNLB、サポート窓口のAWS Supportなどにも影響が波及し、AWSを利用する多くの商用サービスに影響を及ぼしました。

こうした大規模なクラウド障害を経験すると、「マルチクラウドにしたほうがよいのでは」「オンプレを利用しておけばよかった」といった声を目にすることがあります。記事では、これらの選択肢が本当に解決策になり得るのか、“銀の弾丸”(万能の解決策)になり得るのかについて解説しています。今回の#も読では、この記事の内容と私の考えを紹介します。

マルチクラウドは多くの組織にとって解決策にはならない

記事では、以下の理由から「マルチクラウドは多くの組織にとって解決策にはならない」と説明しています。

クラウド各社の機能にはそれほど互換性がない

まず記事では、AWSのSQS、Azure Service Bus、Google CloudのPub/Subにおいて、API・保証・動作のいずれにも違いがあると指摘しています。他にも各社のKey-Value Store、サーバーレス、シークレットマネージャーなどのサービスについても言及しており、各社で違いがある中、併用して運用する難しさを挙げています。

確かに、クラウド各社はさまざまな機能を提供していますが、完全に同一のものは少なく、微妙な差異を埋めるにはアプリケーション側で追加の実装や抽象化が必要になります。

アプリケーションからクラウドの機能を使う場合、クラウドのライブラリを利用するケースが多く、クラウド各社のSDKをインポートし、それらの機能差を意識した実装はどうしても複雑になりがちです。結果として、メンテナンス性の高いコードを実装する難易度も上がるでしょう。

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