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ライブコーディング視聴のすすめ in 2026【#も読】

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Deno Land Inc. / ソフトウェアエンジニア

maguro

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「あの人も読んでる」略して「も読」。さまざまな寄稿者が最近気になった情報や話題をシェアする企画です。他のテックな人たちがどんな情報を追っているのか、ちょっと覗いてみませんか?

また、読者のみなさんの声を執筆者にお届けするフォームを試験的に設置しています。記事最後のフォームより、読後のひと言をお寄せいただけると嬉しいです。


みなさんこんにちは。

「あの人も読んでる」、第16回目の投稿です。maguro (X @yusuktan)がお届けします。

第5回の「ライブコーディング視聴のすすめ」では、僕が普段見ているライブコーディング系のYouTubeチャンネルをいくつか紹介しました。あれから約1年が経ちましたが、最近特にライブコーディング系の配信・動画がさらに盛り上がってきているなと個人的には感じています。

その要因として考えられるのが、AIコーディングエージェントの台頭です。ここ数カ月でAIコーディングエージェントが優秀になった結果、もはや自分でエディタ上でコードを書くことのほうが珍しくなった、という人も多いのではないかと思います(僕自身もそうです)。

でも、自分でコードを書きながら何かを作り上げる体験も好きだった……そんな風に感じている人が、ライブコーディング動画に出会い、AIに一切頼らずにプログラムを作り上げる様子を見ることで、古き良きプログラミングの楽しさを追憶する――という状況になっているのでは、と思うのです。社会人になって時間と体力がなくなり、ゲームを能動的にプレイすることが少なくなってしまった人が、ゲームの実況動画を見て楽しむのと同じような構図かなと想像しています。

そこで今回は、前回の続編として、最近特にハマっているプログラミング系YouTubeチャンネルを改めて紹介できればと思います。ライブコーディング系だけでなく、プログラミングにまつわるトークを展開するチャンネルも含めて取り上げます。

Tsoding Daily

前回の記事でも紹介したTsoding Dailyですが、引き続き最推しです。相変わらずのハイペースで動画を投稿し続けており、チャンネル登録者数は約20万人、動画数は658本に達しています。

扱う題材の幅広さは健在で、C言語でのゲーム開発、Goでのスパムフィルター開発、定理証明支援系Leanを試した様子など、ジャンルを問わず面白いプロジェクトに取り組んでいます。動画の長さは1.5〜3.5時間ほどで、作業用BGMとしても最適です。

彼の一番の魅力は、話しながらコーディングするスキルの高さにあると思います。何をやっているのか逐一丁寧に説明しながらコードを書いてくれるので、視聴者は思考の過程を追体験できます。

言語は英語ですが、英語も聞き取りやすく、英語の勉強目的でもおすすめです。

Daniel Hirsch

ドイツ出身のソフトウェアエンジニアで、主にC言語を使ったプログラミング動画を投稿しています。

「ゼロからCで何かを作る」というスタイルが魅力です。QRコードジェネレーター、仮想カメラ、キーロガー、粒子シミュレーションなど、ビジュアル的にも面白いプロジェクトをCで実装していきます。

普段は高水準な言語を使っている人ほど、彼の動画を見ると新鮮な発見があるはずです。標準ライブラリやOSのAPIだけを使い、外部ライブラリに頼らずに実装していく過程で、普段は隠蔽されている低レイヤーの仕組みが見えてきます。

sphaerophoria

主にZigを使った開発を行っています。チャンネル登録者数は約3.2万人で、動画数はなんと861本(有料メンバー向けのもの含む)。非常にアクティブに配信を行っています。

チャンネルの説明文に掲げられた「Building square wheels to better appreciate the round ones」(丸い車輪のありがたみを知るために、あえて四角い車輪を作る)というフレーズが、このチャンネルの哲学をよく表しています。日常的に使っているツールのクローンをゼロから作ることで、その内部構造を深く理解しようというアプローチです。

配信ではゼロ依存のGIFリーダーを実装したり、HTTPクライアント/サーバーやWebSocketを自作したり、io_uringを試してみたり、非常に様々なトピックに取り組んでいます。

頭の回転、キーボードのタイピング、英語のスピード、すべてが速いです。ついていくのが大変だと感じることも多いですが、すごい人がプログラミングするとこんな感じで爆速で物事が処理されていくんだな、というのが分かって刺激になります。

Zigコミュニティの公式ページにもストリーマーとして掲載されており、Zigに興味がある方にはおすすめのチャンネルです。

Ben Dicken

DBaaS (Database as a Service)のPlanetScaleでDeveloper Educatorとして働いているBen Dickenさんのチャンネルです。

このチャンネルの特徴は、データベースの内部構造を図解を交えながらわかりやすく解説してくれるところにあります。O’Reillyの名著『データ指向アプリケーションデザイン[1] や『詳説 データベース』を章ごとに取り上げる輪読形式の配信もあり、本を読み進めながら配信のアーカイブを見ることでより学びが深まると思います。

取り上げるトピックも幅広く、B-tree、LSMツリー、スキップリスト、バッファプール、Write-Ahead Log(WAL)、ACID、OLTP vs OLAP、シャーディングなど、データベースの基礎から応用まで網羅しています。

Developer Educatorということもあり、語りも明瞭で説明も論理立てられていて、データベースの内部について興味のある方にはかなりおすすめです。

Gennady Korotkevich (tourist)

競技プログラミングの世界で「最強」と呼ばれるtouristこと、Gennady Korotkevichさんです。Codeforcesで史上初めてレーティング4000の壁を破り(最高4009)、IOI(国際情報オリンピック)6連続金メダル、ICPC(国際大学対抗プログラミングコンテスト)2度の優勝など、数え切れない実績を持つ世界最強の競技プログラマーです。現在はCognition社(Devinを開発している会社です)に所属しています。

そんなtouristが、約3年ぶりにYouTube配信を再開しました!2020〜2022年頃の「touristream」シリーズ以来、長らく更新が途絶えていたのですが、2025年5月には「Codeforces Blitz Cup 2025」、そしてつい最近、2026年2月27日には「Codeforces Blitz Cup 2026」の動画が公開されました。

ぜひ最強の競技プログラマーの思考の過程を見てみてください。そしてあまりにも速く迷いのない正確無比なコーディングに度肝を抜かれてみてください。まったく競技プログラミングに触れたことのない人でも、「何をやっているかまったく分からないが、とにかくすごいということだけは分かる」という感情になると思います。

JetBrains TV

最後に紹介するのは、JetBrainsの公式YouTubeチャンネル(登録者数22万人)です。RustのIDE RustRover を提供するJetBrainsは、Rustコミュニティの著名人を招いたライブストリームを定期的に配信しています。最近のRust関連コンテンツの中から、特に印象に残った2本を紹介します。

Jon Gjengset

前回の記事でも紹介したJon Gjengsetさんが、JetBrainsのインタビューに登場しています。『Rust for Rustaceans』の著者であり、現在はヨーロッパのAI防衛企業HelsingでPrincipal Engineerを務めるGjengsetさんが、Rustの現状と未来について幅広く語っています。

“Rust 2026: $400K Salaries, C++, AI & Why It's Not Everywhere (Yet) — Jon Gjengset Explains”

AIとRustの相性、Rustエンジニアの給与水準、AWS内部におけるJava/KotlinからRustへのシフトの背景、Rust vs Goについての率直なコメントなど、興味深い内容が盛りだくさんです。Rustの将来に興味がある方にはぜひ見ていただきたい内容です。

Carl Lerche

もう1本は、非同期ランタイムTokioの作者であるCarl Lercheさんとの対談です。2026年でTokioの発表から10年を迎えるということで、async Rustの歴史と未来を振り返る内容になっています。

“The Evolution of Async Rust: From Tokio to High-Level Applications”

興味深かったのは、async Rustの本質はパフォーマンスの最適化だけではなく、「多数の並行タスク、タイムアウト、キャンセルを管理するための手法」であるというLercheさんの視点です。また、Tokioがデファクトスタンダードなランタイムになった経緯として、Hyperなどの初期のフレームワークがTokio上に構築されたことでエコシステムの慣性が生まれた、という話も面白かったです。io_uringとの統合やデバッグの課題についても触れられており、async Rustの現在地と今後の方向性を把握するのにうってつけの動画です。

来月2026年4月には、アメリカのオレゴン州ポートランドにて、Tokio初のカンファレンスであるTokioConfが開催されます。今後のTokioエコシステムにも注目し続けたいと思います。

おわりに

前回に引き続き、プログラミング系YouTubeチャンネルを紹介してきました。前回はライブコーディングに絞っていましたが、今回はデータベースの解説、競プロ、インタビュー・トークと、もう少し幅を広げてみました。

プログラミングを動画で見ることの良さは、やはり「テキストだけでは伝わりにくいもの」が伝わるところにあると思います。コードを書く手つき、デバッグの試行錯誤、説明の仕方、ツールの使い方など、文字情報だけでは得にくい学びが、そこにはあります。

また次回、おすすめコンテンツを紹介していきます。お楽しみに!

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maguroさんの「も読」過去記事

脚注
  1. 英語で書かれた原著はつい最近、2026年の2月に2nd Editionが発売されました