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MonotaROの実践型・技術研修機関「DOJO」の門戸を叩いてみた -うちセミ-

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ファインディ編集部

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「うちのセミナー」略して「うちセミ」は、各社のエンジニア向け社内勉強会をのぞき見することで、開発組織文化やリアルな現場の雰囲気に迫っていく連載企画です。今回は株式会社MonotaROが行う実践型技術研修機関「DOJO」について取材しました!

20年運用を続けたシステムのモダナイゼーションに取り組む同社では、DOJOでスキルを習得することによって、その実効性を高めていました。技術・組織・人という3つの軸で改革を起こす、同社の今を伺います。


株式会社MonotaRO
設立:2000年
従業員数:2,854名(単体、アルバイト・派遣含む 2025年12月末時点)
事業内容:インターネット等を利用した、事業者向け工場・工事用、自動車整備用等の間接資材の通信販売

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「DOJO」
期間:2022年〜現在
頻度:不定期
対象:開発に携わる全エンジニア(ビジネスサイドを巻き込むことも)
目的:エンジニア組織の課題を解決するための実践的なスキルや知識を学ぶため
形式:各回のテーマや目的によって様々


「DOJO」運営事務局を務める、プラットフォームエンジニアリング部門長/VPoEの香川 和哉さんにお話を伺います。

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<プロフィール>
スタートアップ企業での開発経験を経て、2016年株式会社MonotaROに入社。マーケティングシステムの運用、データ基盤構築およびデータ活用の推進、基幹システム刷新にアーキテクトとして関わる。現在はプラットフォームエンジニアリング部門長として社内開発基盤・インフラ領域の統括と管理を行う。

― まずDOJOという枠組みをつくった意図を教えてください。

香川:きっかけは、2022年から始めたシステムのモダナイズプロジェクトです。創業25年を迎えた当社のシステムは、古いところでは20年前のレガシーコードや技術的な負債が残っていますが、この状況では事業が要求するスピード感に合わせた開発を行うことに限界がきていました。

アジリティの高い開発を実現するため、大きくなりすぎたモノリスなシステムを段階的にマイクロサービスアーキテクチャを指向したシステムへ移行することを決めましたが、それには当然、開発プロセスや組織体制の変更も伴いますし、エンジニア一人ひとりの技術的スキルの習得も必要です。

モダナイゼーションは、技術・組織・人の3つの軸が変わってこそ実現できます。DOJOは、エンジニア組織の課題を解決するために必要な実践的スキルや知識を学ぶ場として立ち上げました。当面の目標はモダナイゼーションですが、モダンな技術を学ぶ場ではなく、自分たちの課題に向き合うための力をつける場です。

DOJOの目的は明確。モダナイズに活かせる、実効性のある学び

― DOJOの運営で、特に大切にしていることはなんですか?

香川:モダナイゼーション推進における現場課題の解決につながる研修を目指しています。研修でよくある課題として、参加者の満足度は高く「勉強になりました」という声は上がるけれど、普段の業務や目の前の課題への向き合い方は変わらない—。いわば「へぇ」で終わってしまうことがあります。DOJOではそうならないよう、あくまで自分たちが今直面している具体的な課題に立ち向かうためのスキルを身につけることを重視しています。

当社ではDOJOのほかにも、半期に1度行う社内カンファレンス「ManabiCon」など学びの場が多くありますが、それらの勉強会とDOJOの大きな違いは、DOJOがあくまでモダナイゼーションをはじめ、エンジニア組織が今まさに取り組むべきテーマに対応するための施策の一環であるということです。

つまりここでの学びを各自が持ち帰り、本番環境に反映させていくことがDOJO最大のゴールになります。知識を習得するだけでなく、アウトプットに繋げやすくするために、実践を意識し、成果を計測してきました。

― DOJOの学びが実践につながった、印象的な研修はありますか?

香川:和田卓人さん(@t-wada)を招聘したワークショップは印象的です。座学のインプット形式ではなく、自社の基幹システムで実際に本番稼働しているコードの一部を題材として、テストとリファクタリングを行うワークショップ形式にしました。

ここで大事にしたのは、まさに先ほどお話しした「現場の課題に対してスキルを適用する」ということです。一般的なサンプルコードではなく、日々向き合っている本番のコードを使うことで、ソフトウェアエンジニアリングの知識やテクニックが今の仕事と地続きであるという感覚を持てるようになります。

この研修の内容を考え推進したのは、有志のエンジニアメンバーで、彼らが和田さんに直接相談しながら、実践に活かせる研修づくりを行ってくれました。研修実施後、その有志メンバーの1人は、自身が所属するチームで新しいアーキテクチャへの刷新を牽引する存在になっていました。

参加者はもちろんですが、一番勉強になったのは、研修プランを考え抜いた有志メンバーでしたね。

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和田さんのライブコーディングを視聴後、続きのリファクタリングを参加者が実践(https://tech-blog.monotaro.com/entry/2023/12/22/090000)

― モダナイズを推進する力になっていますね! DOJOが実践につながったかを判断する、振り返り指標は設けていますか?

香川:研修の直後ではなく、約3カ月後にアンケートをとっています。直後のアンケートでは「わかりやすかった」「勉強になった」といった満足度は測れますが、それだけでは先ほどお話しした「へぇ」で終わっていないかがわかりません。

私たちが知りたいのは、研修で学んだことが実際の業務での行動変容につながったかどうかです。時間をおいてから「研修内容を生かして実務を改善できたか」「具体的にどう変わったか」を確認する設問構成にしています。

トップダウンで始まり、ボトムアップへと広がる

― DOJOの立ち上げから現在に至るまで、どのような進化がありましたか?

香川:DOJOはモダナイゼーションの一環で生まれた施策なので、CTOの普川や私が言い出した、いわばトップダウン施策です。しかし今では、ボトムアップで企画された研修も出てきています。

― ボトムアップで生まれた研修会の事例を教えてください。

香川:印象的なのはインフラエンジニアメンバーが企画した「アプリケーションエンジニア向けのやさしいインフラ研修」です。

25年の蓄積がある当社システムの特性上、インフラ領域とアプリケーション領域で連携が取れていない部分が、少なからず存在していました。しかし昨今のソフトウェア開発におけるベストプラクティスを実行するためには、互いの領域に関する技術的な知識と理解が欠かせません。プラットフォームエンジニアリングの実現のためにも、インフラエンジニア自身が、アプリエンジニアとのコミュニケーションの架け橋をつくるための学習の機会を提供したいとの申し出でした。

モダナイゼーションを進めると決めたのはCTOの判断ですが、現場の一人ひとりが変わっていくというマインドを持ち、行動に移してくれたこと。DOJOという仕組みに乗っかって、変革の流れを生み出してくれたことに大変感謝しています。

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DOJOで開催された研修会の一例

帯制度の導入で研修機関としての役割を定着させる

― これまでのDOJOが果たした成果を、どのようにお考えですか?

香川:正直なところ、DOJOによってモダナイゼーションが軌道に乗った、とまでは言えないですし、十分に役割を果たしたとも思っていません。ただ、エンジニアが「自分たちにはこのスキルや知識が必要だ」と感じた時に、それを身につけるための場と方法が明確にある。その仕組みをつくれたことには意味があったと思います。変革は今後も続いていきますので、変化の足を止めることなく、次のフェーズへ意識を向けていきたいです。

― 次のフェーズを迎えたなか、DOJOは今後どのような役割を担っていくのでしょうか?

香川:人事部主導の研修や、自発的な勉強会とは異なる位置づけで、エンジニアが技術を鍛錬するための場として定着していくと考えています。

最近では、DOJOの「道場」というコンセプトになぞらえて「帯制度」を導入しました。黄帯から始まり、最終的には黒帯を目指す段階的なスキルアップの仕組みです。

ここで大事なのは、帯制度で定めている知識やスキルは、一般的にソフトウェアエンジニアに求められるものを網羅的に並べたものではないということです。あくまでMonotaROのモダナイゼーションを進めるうえで押さえておきたいスキルを、当社の課題や状況に沿って定めたものです。

― 帯制度で定める知識やスキルについて詳しく教えてください。

香川:例えば黄帯では、コンテナ技術の基礎やCI/CDの考え方など、モダナイゼーションの共通基盤となるスキルを定めています。特に当社ではKubernetesやProtocol Buffersなど、これまで使っていなかった技術スタックを新たに採用しているため、それらを活用するために必要な知識も含まれます。

局所的だと思われるかもしれませんが、むしろそれを意図しています。現場の実情に直結するスキルを明確にすることが、実効性につながると考えているからです。

そしてその先に目指しているのは、エンジニア組織としての技術的な共通言語や共通認識の獲得です。モダナイゼーションをどう進めるか、ひいてはエンジニアリングをどう進めるかを議論するための土台が揃えば、組織として協力し合いながら課題に立ち向かっていけるはずだと考えています。

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2026年1月に開催されたAI-DLCの研修風景

歴史に敬意を払いつつ、Keep Youngな精神で前進あるのみ

― 様々な職種でエンジニア募集をされていますが、どのようなエンジニアがマッチしていると思いますか?

香川:お話してきたように、私たちは25年続くシステムを運用し続けています。当然、古くてイケてない部分もあるのですが、大事なのは、過去の技術的選択にはその時の背景や制約があったということを理解することです。

なぜこの設計になったのか、当時何を優先したのか。その文脈に敬意を持って読み解いたうえで、「では今の状況を踏まえてどう前に進むか」という意思決定をしていく。この時に大事なのは、技術的な側面だけでなく、組織的な課題や事業的な課題も含めて多面的に理解することです。こうした姿勢が、モダナイゼーションに限らずエンジニアリングにおいて重要だと考えています。

そして前に進むということは、柔軟であり続けなければなりません。そのために私たちは学び続ける姿勢を持ち続けたい。全社的には「Keep Young(※)」という合言葉で語られますが、今回のモダナイゼーションという変革はそれを象徴していました。

企業理念や行動指針はもちろん、私たちのこうした考え方に共感する方と、MonotaROの次の時代をつくっていきたいです。

※ Keep Young:年齢的なことを指す意味ではなく、常に学び続け、チャレンジを続ける精神と行動を意味しています

株式会社MonotaROはエンジニア採用中

以上、株式会社MonotaROの技術研修機関「DOJO」の取り組みをレポートしました。

同社では様々なポジションでエンジニアを募集しています。関心のある方は、以下の求人票をチェック&「いいかも」を押して、関心を伝えてみましょう。

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