「うちのセミナー」略して「うちセミ」は、各社のエンジニア向け社内勉強会をのぞき見することで、開発組織文化やリアルな現場の雰囲気に迫っていく連載企画です。今回は株式会社hacomonoが毎月開催している開発LT会&シャッフル懇親会をのぞいてきました!
元アスリートや経営経験者、子育て世代など、多様なキャリアと高い専門性を持つメンバーが集うhacomonoですが、定例のこの時間では肩の力を抜いて語り合い、お互いの理解を深めることで、持ち前の団結力をさらに強めているようでした。

株式会社hacomono
設立:2013年
従業員数:300名。プロダクト組織は135名(2025年11月現在)
事業内容:ウェルネス/運動施設向けオールインワン・マネジメントシステム「hacomono」の開発・提供
「hacomono開発LT会&シャッフル懇親会」
期間:2022年〜現在
頻度:毎月第2金曜日 15:00〜16:30(開発LT会)&16:40〜17:30(シャッフル懇親会)
対象:エンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャーなど、開発に関わるすべての人
目的:各チームによるプラクティスや課題の共有 / 重要事項の共有 / 気軽な交流
形式:5分間LT(Lightning Talk)+ 歓談 / オンライン限定 / ビアバッシュ / 任意参加
*ビアバッシュ:自由に飲食しながら、カジュアルに情報交換や雑談を行うイベントスタイル
「hacomono開発LT会 & シャッフル懇親会」を運営するEngineering Officeの中村りゅーほさんにお話を伺います。

10月の参加者は総勢88名!画面に映りきらないほど、まだまだいる!中村さんも映っていない(提供:株式会社hacomono)
OKRミーティングの形骸化...「もっと楽しくやろう!」
― 「hacomono開発LT会&シャッフル懇親会」が、この形式になった経緯を教えてください。
中村:この会の前身に当たるのは、OKRミーティングです。開発組織が全員集まり、各チームからOKRの進捗を報告する会議を週1ペースで行っていたのですが、週次だと進捗がない時もありますし、準備も大変で、徐々に形骸化していきました。
「せっかく全員で集まるなら、楽しくやろう!」ということで、OKRの確認はマネージャー陣で行うことにして、全員が集まる場としては月1度、飲食しながらカジュアルに話せる形式にリニューアルしたという経緯です。
― 始めてから3年ほど経ちますが、その間にどのような変化がありましたか?
中村:始めた頃は20名弱の開発組織でしたが、今では約130名まで拡大しました。部門数も3倍ほどに増加したため、発表トラックも増え、一時期はLT会だけで3時間にも及ぶ大会議になってしまいました!「さすがに集中力が持たない」ということで、今では発表トラックを減らした上で、タイムマネジメントを徹底しています。
LT会はトータル90分ですが、休憩を挟んだ前後半に分けていて、休憩時間には当社オリジナルのhacomono体操でリフレッシュしています。発表する部門は隔月の担当制とし、発表時間は5分間を徹底。ただし特別な発表がある人のために10分間のスペシャル枠を設け、こちらは公募を受け付けています。
LT会後の懇親会では人数が多過ぎて全員で話すことが難しくなったので、Google Meetのブレイクアウト ルームという機能を使って複数の小部屋に分かれるようにしました。
― とても大規模ですよね! 発表内容としてはどのようなものが多いですか?
中村:発表内容は各部門に任せているので、本当に様々。ごちゃ混ぜです。OKRの流れを汲んでいるのでその部門が扱う課題や取り組みの紹介だったり、ナレッジ共有やベストプラクティスの共有、また自己紹介を兼ねて自分の専門領域の知見を共有することもあります。

のぞかせてもらった2025年10月前半の発表内容
LT会ではGoogleMeetのチャット欄やリアクションがとても活発で、1つの発表につき10〜20ほどコメントが付きます。なかでも「なぜ」に踏み込んだロジックを語るテーマは、多くの関心を集めているように思います。
例えば組織再編や、それに伴い取り入れた施策に関して、決定までの経緯や背景、理由を紹介するような発表です。組織が向かう方向性とその意図が理解できるので、日々の業務により納得感が高められるからだと思います。
部門を越境し理解しあうことで、団結力を高める

hacomono TECH BLOG(https://techblog.hacomono.jp/)
― この会を続けていて、よかったことはなんですか?
中村:メリットとしては大きく2点が考えられます。
1つ目は他チームの状況を知ることで、コミュニケーションの活性化につながる点です。組織が拡大する中で、他チームの状況が見えづらいという課題がありましたが、「LT会でチームの取り組みや人となりが見えるようになり、業務の相談やコミュニケーションがとりやすくなった」という声も上がっています。
またLT会の前半パートは、選考中の方や内定者もご招待しています。最近入社したメンバーからは「入社前に社内の雰囲気が感じられて安心感がありました」とうれしいコメントをいただきました。
メリットの2つ目は、社外発信の強化につながるということです。
技術広報も担当している私の目線でも、このLT会で個人のタレントを掴みやすくなったので、外部からの登壇やインタビュー依頼をいただいた時に、誰にオファーをするべきか企画しやすくなりました。
そして、このLT会を社外登壇の練習機会として利用することで、社外イベントやカンファレンスで登壇するメンバーも増えています。
それ以外にも、LT会で特に良い発表をした人には、他のメンバーが自然と「テックブログに書いてよ」と盛り立てているシーンをよく目にします。それをきっかけに発表者がブログを執筆し、それがバズったり、外部メディアから登壇や取材を申し込まれるような事例はいくつも生まれています。こういうポジティブな評価をもらえると、発表者も楽しいですよね!
― ポジティブループが回りやすいんですね! しかし、100名が見ていると思うと、発表が苦手な人にはハードルが高くないですか?
中村:チームを中心に発表者をサポートすることで、失敗しても大丈夫な環境づくりを大切にしています。社外のLT会でも制限時間5分というルールをよく目にしますが、個人的には5分間で起承転結をつけたスピーチをすることって難しいと思うんですよね。なので、まずは失敗しても良いこの環境で、チャレンジのハードルを下げることが大事だと思います。
約1年前に入社したあるエンジニアは、「登壇にもチャレンジしてみたいが、どうしたらいいかわからない」という状況だったのですが、部署を超えていろんなフィードバックをもらってブラッシュアップを重ねた結果、今年だけで4つの外部イベントで登壇したほか「YAPC::Fukuoka 2025」のプロポーザルにも通っていました!

外部イベントでの登壇の様子(提供:株式会社hacomono)
― 1年ですごい成長! チームで応援し支え合うのが、hacomonoさんらしいですね。他に、この会を通じた印象的な出来事はありましたか?
中村:それこそ、今回見てもらった「LT-3 前向きになれるきっかけ」という発表に関しては、私自身大きな感動がありました。
発表概要としては、仕事の成果が出せずとても苦しんでいたが、チームビルディングプログラムに参加したことで、チームで働く時に必要なことを再認識し、悪循環の突破口を見出せたという、実体験の共有でした。

「LT-3 前向きになれるきっかけ」登壇資料の一部(提供:株式会社hacomono)
キャリアを積んだ大人でもこんなに悩み苦しむんだという弱さを、赤裸々に曝け出した内容はまさに身に迫るところがありましたし、そんな逆境をチームで克服するためには、まずは自分自身の行動に反省があった、という学びを共有してくれた発表者へ、チャット欄は共感と励ましのコメントでいっぱいでした。
hacomonoが掲げるバリューの1つに「オープン&フェアネス」がありますが、これはまさにそれを体現しています。hacomonoはスポーツをしてきた人が多いので、チームが一丸となった時の力強さを知っているし、その成功体験を信じているからこそ強い結束感が生まれるのだと、改めて感じることができました。
AI時代にこそ広まる、ウェルネスの価値

― hacomonoではエンジニアを積極採用中とのことですが、どのような人がマッチすると思いますか?
中村:まずは「ウェルネス産業を、新次元へ。」というhacomonoのミッションに共感し、体現できる人がマッチすると思います。
福利厚生として、フィットネスジムやサウナなどのウェルネス領域の店舗利用料の補助や、コンディショニング・トレーニングセミナーの無料受講などがあり、まずは自分たちから心身ともに健康であろうと努めています。もともと運動が得意でなくても、入社後にフルマラソンを完走した人や、劇的なボディメイクに成功した人も少なくありません。
特にAI時代を迎えて、ますます広がるウェルネスの価値を大切にしてくれる人に、仲間になってほしいです。
*hacomonoが定義するウェルネスとは(以下、hacomono note より引用):「より良く生きるための前向きな健康づくり」と定義しています。暮らしの質や社会とのつながりが高まり、人がコミュニティの中でイキイキと生きる。それこそが、私たちの目指すウェルネスの姿です。
― みなさん健康意識が高いのですね。AI時代に、ウェルネスはどのような発展が見込まれるのでしょうか?
中村:AIの普及によって私たち人間は、これまで以上に、重要な意思決定を繰り返し行うことが求められます。多くの情報から取捨選択をし、正しい判断をし続けることは、思っている以上に負荷がかかることです。そんな時代にこそ、自分の心と身体に向き合う時間が大切になってくると思いますので、ウェルネス産業はますます発展していくと確信しています。
攻めの姿勢で、プラットフォームカンパニーを目指す
― 今後の展望について教えてください。
中村:hacomonoは今、大きな転換期にあります。これまでの「hacomono」の開発・提供に加え、新サービスとして、やりたいことを毎回選べるフィットネスマーケット「FitFits(フィットフィッツ)」というBtoCサービスを2026年初めに開始することを発表しました。さらに今後はウェルネス領域全体を包括するプラットフォームカンパニーになろうとしています。
新たなフェーズに足を踏み入れた今、私たちは組織全体でより貪欲にお客様への価値提供へ向き合う必要があると考えています。そのためにも、これまで以上にお客様の声を聞きに行くことや、それを実現するために最先端の技術に挑戦するなど、攻めの姿勢が重要になってきます。
会社としてはシリーズDを迎えましたが開発の手を緩めることなく、これまで以上に力を入れて事業を一段前に進めていく時だと感じています。
― 第二創業期に向かう覚悟を感じますが、新しく入社する方にはどのようなことを期待していますか?
中村:ポジションによって求めることが違うので一概には言えませんが、自ら情報を取りに行く能動的な動きは必要になるかと思います。と言うのも、私たちは職能別組織をとっていて、互いに越境しながらプロジェクトを推進することを重視しています。

エンジニアリング組織構成(提供:株式会社hacomono)
一般的にプロダクトエンジニアという名称は広まりつつありますが、その定義はまだはっきりしていません。そこでhacomonoでは「プロダクトの成長を軸に、オーナーシップを持って追求・越境していくエンジニア」と独自に定義し、その浸透に努めています。
― 他部署との関わりが重要とのことですが、入社直後は、まずは何に注力するとよいでしょうか?
中村:hacomonoでは2ヶ月ほどかけて入社オンボーディング研修を行っています。会社・プロダクト・業界・顧客理解のために、e-learning形式で学べるコンテンツを用意しているほか、部署を越えた1on1を実施しています。
オンボーディングや実際の業務を通して、抱いた疑問点を能動的に解消していく動きをとってもらえれば、すんなりと仲間の一員になっていただけると思います。成果を出しやすい環境を用意してお待ちしておりますので、興味のある方はぜひカジュアル面談でお話しましょう。
株式会社hacomonoはエンジニア採用中
以上、hacomonoの社内勉強会をレポートしました。
hacomonoではさまざまなポジションでエンジニアを募集しています。関心のある方は、以下の求人票をチェック&「いいかも」を押して、関心を伝えてみましょう。
