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「管理職は向いてない」と決める前に。自分に合う役割の見つけ方

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フューチャーアーキテクト株式会社 / シニアアーキテクト

渋川よしき

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「今の会社でPM/PL路線に進んでいいのか」――。

SIerやITコンサルで経験を積んできた人々の中には、そんな悩みや迷いを感じる人も少なくないはずです。

本連載では、株式会社本田技術研究所や株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)を経て、現在はフューチャーアーキテクト株式会社でシニアアーキテクトを務める渋川 よしきさん(@shibu_jp)に、SE・ITコンサルタントが直面しやすいキャリアの悩みについて解説いただきます(全6回予定、第1回はこちら)。

第2回のテーマは「マネージャーとエキスパート、キャリアの選択軸」。「手を動かし続けたい」「管理職になるのは避けたい」と感じる人も一定数いるでしょう。一方で、“管理職”という役割を細かく整理していくと「この役割ならやってみたい」と思えるものが見えてくるかもしれません。


マネージャーかエキスパート、どちらを目指すのかによって、キャリアパスは大きく変わってきます。私自身も、キャリアの初期には同じ悩みを持っていました。新卒で入社した会社では、ランクが上がるとマネジメントに専念することになると言われており、コードを書き続けるキャリアが見えなかったため、転職を志しました。まだまだ技術を磨いていきたい、という思いが強かったからです。

本稿を読まれている方の中には、「管理職になるのは少し抵抗がある」「できれば現場で手を動かし続けたい」「自分にマネジメントができるだろうか」と迷われている方が多いのではないでしょうか。今回は、そういった「管理職に少しハードルを感じている」方に向けて、役割を分解して考えるヒントをお伝えします。

マネジメント経験が市場で求められる背景

IT業界全体、特にWeb系の事業会社において「マネジメント人材の不足」をよく耳にします。こうした課題が、組織の成長やビジネス拡大のボトルネックとなっているケースも少なくありません。

実際、採用面接でも大規模組織のマネジメント経験を持つ人はなかなか見かけず、希少価値が高いと感じます。また、年齢が上がるにつれて、「周囲を巻き込んで成果を出した経験があるか」「近い将来、組織を引っ張れる人材か」といった観点で評価されることも増えていきます。そのため、リーダーやマネージャーの経験があると、キャリアにおける選択肢が広がり、結果として高い給与につながりやすくなるのは間違いないでしょう。

周りの外資系の知人の話を聞いても、ランクが上がるにつれてマネジメントを求められるケースは増えていくようです。よほど尖った技術を持っていれば、組織マネジメントを主な役割としない個人貢献者(IC:Individual Contributor)として評価を高めていく道もありますが、そうしたキャリアは狭き門だと言われがちです。

ただ、ここで重要なのは「管理職」という言葉で一括りにしないことです。実際には、管理職といっても様々な役割があります。次節では、自分の経験を踏まえて、その違いを整理してみます。

マネージャーとリーダー、役割は大きく異なる

会社によって役職や役割の定義は異なりますが、ここではキャリアを考える際の整理軸として、私なりの見方を紹介します。「管理職」とひとまとめにせず、役割ごとに分けて考えてみると、自分に合うキャリアを考えるヒントになるはずです。

ここではまず、マネージャーを「物事が円滑に進むように支える役割」として考えてみます。タスクの抜け漏れがないように管理したり、必要なリソースを確保したりして、プロジェクトを前に進めます。ゲームやテレビ業界でいう「プロデューサー」も、リソースの確保という意味では近い役割でしょう。

一方、リーダーは「こちらに進むぞ」と方向性を決める役割として考えてみます。「Direction」(方向)が入った「ディレクター」という言葉も近いですね。方向性を決めるということは、「何をやらないか」を決めることでもあります。マネージャーが仕事を整理しながら進める役割だとすれば、リーダーは仕事の優先順位や範囲を決める役割といえます。

これらは同じ管理職でも、求められる役割は大きく異なります。片方だけでは、プロジェクトはうまく進みません。プロジェクトの方向性だけを決めても実行が回らなくなりますし、管理だけでは優先順位が整理されないまま進んでしまいます。どちらの役割も大切で、優劣はありません。

用語は違いますが、スクラムのプロダクトオーナーは優先度を決め、プロダクトの方向性を示す役割なので、この枠組みでいえばリーダーに近いです。一方、スクラムマスターは日々の活動を円滑に進めたり、バックログ管理を支えたりする役割なので、マネージャーに近いといえるでしょう。

役割を分解すると、「これならやってみたい」が見えてくる

「管理職は避けたい」と感じている人でも、「自分よりもジュニアのメンバーの成長を支えるのは嫌いじゃない」「プロジェクトの方向性を考えるのは好きかもしれない」という人は多いと思います。「レビューを通じて後輩を支援する」「技術選定に関わる」「インフラの方向性を考える」など、自分が苦にならない役割はあるはずです。そこからさらに役割や領域を絞っていけば、自分に合う役割が見えてくるのではないかと思います。

小さいプロジェクトでは、リーダーとマネージャーの両方の役割を1人で担うこともありますが、大きいプロジェクトでは担当が分かれることもあります。また、実際の現場では役割を柔軟に補完し合うケースもあります。

例えば私は、チーム内にリーダー志向の人がいたらマネージャー寄りに動き、逆にマネージャー志向の人がいたら、リーダーの役割を補完するように心がけています。ただ、その場合でも、チーム内でどのような役割を期待されているのかは、あらかじめ認識を合わせておいたほうがいいでしょう。

エキスパートとしてキャリアを築ける会社も増えている。大事なのは「選べること」

フューチャーアーキテクトでは、新入社員は全員「コンサルタント」として始まり、途中でリーダー路線に進むか、スペシャリスト(エキスパート)へ進むかに分かれます。どちらも待遇には差がない、という制度です。

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出典:Future株式会社 公式サイト「Career」ページより
https://www.future.co.jp/recruit/career/workstyle/#Tabs

技術というのは、高度化すると、どんどん狭く深くなっていくものです。以前は、サーバーサイドエンジニアが兼務してHTMLテンプレートを使い、画面をつくっていたような時代もありましたが、今では専門のフロントエンドエンジニアが一般的になりました。このような業界の変化もあり、エキスパートとしてのキャリアパスを用意する会社は増えているようです。

フューチャーアーキテクトの場合は、いったんスペシャリストに進んだ後でも「やはりリーダーとして仕事がしたい」と希望すれば、キャリア転換できる場合もあります。

「管理職は嫌だ」と最初から決めつけるのではなく、会社の中で「ちょっとリーダーやってみようかな」などと、様々な役割を試しながら、自分に合うキャリアを探していくのもいいと思います。そのためには、「今の会社では柔軟にキャリアを設計できそうか」という視点が重要です。

私自身もスペシャリストではありますが、「自分がやりたい仕事が降ってくるのを待っていてもダメだ」と考え、提案書をつくってお客さまと契約を結ぶような、リーダー寄りの動きをここ数年はしています。手を動かし続けるにしても、どんなプロジェクトや技術に携わるかを自分で選べる余地があるほうが、よりキャリアを自由にデザインできるからです。

単純な二元論で考えるのではなく、自分の志向やスキルを生かしたキャリアを築いていくには、手綱を握ることが大切なのではないかと思います。

強みや関心を整理して、自分の「やってみたい」を見つけませんか

「マネージャーかエキスパートか」という二元論ではなく、役割を分解して考えてみると、自分に合う働き方が見えてくることもあります。自分が苦にならない役割や関心のある領域を整理していくことで、自分に合ったキャリアパスを描けるはずです。また、その役割に挑戦できる環境か、柔軟にキャリアを設計できそうかという視点も大切です。

Findyのコンサルタントとの面談では、一人ひとりの経験や今感じている悩みを整理しながら、「どんな経験を積みたいのか」「どんな環境で働きたいのか」を一緒に言語化していきます。今の会社で挑戦を続けるべきか、新しい環境を検討すべきかも含めて整理できます。転職するかどうかの結論を急ぐ必要はありません。まずは一度、自分に合った環境について整理してみませんか。