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「小さな勉強会は、教える・教わるの壁を越える」うーたんさん |私がアウトプットを続ける理由

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ファインディ編集部

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Findyスキル偏差値や発信力レベルの上位者に、日々のアウトプットで得られた経験や継続のコツを尋ねる連載企画。今回のゲストは、スキル偏差値「TypeScript 73.1」「JavaScript 67.1」「Python 63.3」、発信力「レベル8」のうーたんさんです!

「YAPC::Hakodate 2024」をはじめとする数々の勉強会への参加・登壇に加え、アニメから得た学びを語り合う独自のコミュニティ「エンジニアニメ」を主催するなど、精力的に活動を行っているうーたんさん。技術コミュニティに飛び込んだ原体験から、ご自身で勉強会を運営するモチベーションの源泉まで、たっぷりお話を伺いました。

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恩師の導きで知った、フラットに意見交換できる場の心地よさ

― はじめに、うーたんさんが社外の勉強会や発信活動に関わるようになった「最初のきっかけ」を教えてください。

大学3年生の頃、先生の紹介で「ゆるWeb札幌」というオンライン勉強会に参加したことが最初のきっかけです。そこは大学の授業のように一方的に知識を教えられたり、間違いを指摘されたりする場ではなくて。「こういうやり方もあるよ」と対等に意見交換ができるような、上下関係のないアットホームな雰囲気でした。

その心地よさに触れ、自分もこうしたフラットに意見交換ができる場に積極的に関わってみたいと思うようになったんです。ちょうど大学4年生の時、私の研究室の先生が地域で主宰していた初学者向けの勉強会「Perl入学式」に参加したかったのですが、当時はコロナ禍で活動休止が続いていました。

そこで私から先生に開催予定を尋ねてみたところ、「じゃあ、一緒にやろうか」と応えてくださって。私自身、当時はPythonやPHPがメインでPerlは初心者。自分にできるか不安もありましたが、自ら学びながら後輩に教える形で、運営側としての第一歩を踏み出しました。

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「YAPC::Hakodate 2024」の発表資料

― 参加する側から、はじめて運営側に回ってみていかがでしたか?

先生が現役エンジニアの講師を招いてくださったこともあり、Perlに限らずPHPやAWSなど幅広い技術の話ができて、とにかく純粋に楽しかったですね。

10〜20人程度の小規模なコミュニティだったので、大勢に見られているようなプレッシャーもありませんでした。世代が離れていても説教じみた空気はなく、たとえ技術的に少しズレた発言をしても優しくフォローしてもらえる安心感があったんです。そこでの経験から、もっといろいろなコミュニティに参加して学びたいと思うようになりました。

そんな風に外の世界への興味が湧いていた頃、先生の勧めで「YAPC::Kyoto 2023」に学生支援制度を利用して参加することになりました。そこで同年代のエンジニアたちが堂々と登壇する姿に刺激を受けて、翌年の「YAPC::Hakodate 2024」では自らプロポーザルを出し、LT登壇を実現。さらにベストLT賞までいただきました。

函館の会場には恩師も登壇者として来ていて、懇親会で「いい発表だったよ」と声をかけてもらえたのは、今でも大切な思い出です。こうした経験の積み重ねで技術コミュニティへの心理的ハードルが下がり、今では自分が居心地いいと感じる場所を求めて、自然といろいろなイベントに足を運べるようになったのだと思います。

「学びの場」じゃなくて「つながる場」をつくりたかった

― その後、現在はアニメから得た学びを語り合う「エンジニアニメ」をご自身で運営されています。立ち上げにはどのような経緯があったのでしょうか?

2023年に、ことみんさん(@kotomin_m)に誘われて「若手ふんわり勉強部」の運営に携わったことが大きな転機でした。そこで一緒に運営を経験したことで、勉強会を主催することへの心理的なハードルがグッと下がったんですよね。

そこから、かつて参加して楽しかったサブカルとエンジニアリングを掛け合わせた勉強会を自分なりにアレンジし、2024年に「エンジニアニメ」を立ち上げました。

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アニメから得た学びやモチベーションをテーマに、IT業界の人たちがゆるく交流できるイベント。LTを聴きつつ、懇親会では仕事から推しアニメの話までワイワイ語り合える場を目指している。https://engineers-anime.connpass.com/

あえてアニメを切り口にしたのは、特定の技術を深掘りするよりも、共通の趣味を軸にした雑多で幅広く話せる場が好きだったからです。私自身、仕事で扱う技術が1つに固定されていないこともあり、今後自分のキャリアや技術の流行が変わってもOKな、技術に依存しすぎない余白をコミュニティの中につくりたかったんですよね。

技術的な学びの深さよりも、多様な領域の話に触れられること。そして「アニメ好き」という共通点を通じて、波長の合うIT系の人たちと緩やかに交流できる。そんな誰もが気負わずに話せる空間を目指しています。

― 初開催の際、不安はありませんでしたか?

人が集まるかどうかの不安よりも、むしろ期待や楽しみの方が大きくて、ずっとそわそわしていた気がします。

でも同時に、全員が初対面だとどうしても場が硬くなってしまうだろうな、という思いもありました。そこで、まずは自分が一番お話を聞きたい人をお呼びしようと考え、にしこりさぶろ〜さん(@subroh_0508)に登壇のオファーをしました。

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初回のKeynoteには、にしこりさぶろ〜さんが「二次元アイドルから得た代理体験で職業エンジニアとしてのマインドセットを育てる」というテーマで登壇。https://note.com/uutan1108/n/n3d0d95e0d55a

最初は身近な5人ほどに声をかけただけでしたが、SNSなどで徐々に輪が広がり、初開催には40人もの方が集まってくれました。にしこりさんの素晴らしい発表が最高の空気をつくってくれたおかげで、「この場なら自分も話せそう」と、普段は聞き専の方々も次々にマイクを握ってくれたのがうれしかったです。主催したことで一気に知り合いが増え、そこから技術同人誌の制作など、新しい挑戦のきっかけも生まれました。

― 参加者から「場をつくる側」へと回ってみて、視点の変化や新たな気づきはありましたか?

一番大きな変化は、他のイベントに参加者として行く際も、周囲を見渡して「人と人をつなぐ動き」を意識するようになったことです。以前は自分が話したい相手とだけ話せればいいと思っていましたが、いつものメンバーとはまた別の機会でも会えますよね。

それよりも、初めて参加した方が次に別の現場で会ったときに、「あの時はどうも!」と再会できる方が、コミュニティとしてずっと面白いと思うようになったんです。初対面の人と常連さんが入り混じり、みんなが「お久しぶりです」と言い合える空間にしたい。運営を経験したことで、そんなふうに立ち回れる心の余裕と視点が身についたと感じています。

登壇者と参加者の壁をなくす。みんなでつくる小さな勉強会の面白さ

― 勉強会の開催や場つくりにおいて、特に大切にされていることは何ですか?

一番大事にしているのは、登壇者が教える側で参加者は教わる側といった、固定された上下関係をつくらないことです。

私が最初に参加した「ゆるWeb札幌」という勉強会が、まさに登壇者と参加者が自然に会話するようなフラットな輪だったんです。その心地よさが原体験としてあるので、一方的に教える・教わる関係ではなく、「なんでそう思ったんですか?」と気軽に聞き合えるようなコミュニケーションをつくりたいんですよね。

もちろん大規模なカンファレンスは、その領域の第一人者から深い知見を学べる素晴らしい場です。一方で、小さな勉強会は、予定になかった質問タイムが自然に始まってしまうような、誰もが新しい実験をしやすい場所であってほしい。

参加する側も過度なクオリティを求めすぎず、肩の力を抜いて参加するのがちょうどいいと考えています。みんなでその場の空気をつくれることが、小さな勉強会の面白さだとも思います。

― 「アウトプットすること」と「場を主催すること」の間に、相乗効果は感じますか?

そうですね。まず、コミュニティを運営していると他のイベントに誘っていただける機会が増え、それが自然と自分の考えを外に出す良いきっかけを運んできてくれます。

一方で、日頃からアウトプットをしていると、自分が主催する会や参加したイベントで「あの記事、読みましたよ!」「あの発表、良かったです!」と声をかけてもらいやすくなります。

自分の発信が名刺代わりになって共通点をつくってくれるので、初対面の方とも一気に距離が縮まるんですよね。このように、場づくりと発信が相互に作用して、人との繋がりがどんどん深まっていく。そこに一番の相乗効果を感じていますね。

権威性はいらない。泥臭く「何番煎じ」から踏み出すアウトプットの第一歩

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「【劇場版】アニメから得た学びを発表会2025」の懇親会にて。アニメ『SHIROBAKO』の聖地、武蔵野プレイスでの開催を祝して、作品に倣ってドーナツを掲げる1コマ

― 今後新たに取り組みたいテーマや挑戦したいことはありますか?

現在運営しているコミュニティをさらに盛り上げていくことと並行して、地元である栃木でのイベントも再開したいと模索しています。最近東京に引っ越してきたことで開催頻度が減ってしまったので。

それでも栃木でイベントをしたいのは、特に地元に還元したいというような使命感からではありません。わざわざ栃木まで足を運んでもらったり、昔馴染みの飲食店で集まったりすると、その場所だからこそ生まれる特別な空気感があるんです。

東京では味わえない面白さがあるので、またいろいろ仕掛けていきたいですね。やっぱり、純粋に人と交流するのが好きなんだと思います。

― これからアウトプットを始めたい人に向けて、アドバイスもお願いできますか。

まずはSNSで、環境構築が終わったことやその日の進捗などを、短文で流してみるのがおすすめです。進捗が遅いとか恥ずかしいといった感情は気にせず、まずは外に出してみる。

そして、その日々の記録を最終的にブログやスライドにまとめれば、立派な発表資料になります。また、発表の場に対しても最初から格式や権威を求めすぎない方がいいと思います。せっかく頑張ってつくったのだから大きなカンファレンスでしか喋りたくない、と発表の場を決めつけすぎず、まずは今週末の小さな勉強会で目の前の数人に向けて話してみる。

そこで参加者の反応を見て、内容をブラッシュアップしてから大きなカンファレンスに応募すればいいんです。もし落ちたらブログに書けばいいだけですし、泥臭く「何番煎じ」の内容になってもまったく問題ないと思います。

― 最後に、アウトプットやコミュニティに興味はあるものの、「どうしても人と関わるのが不安……」という方へ、何か伝えたいことはありますか?

人と関わるのが苦手なら、無理にイベントへ行く必要はありません。手元のメモ帳にバグの調査結果を自分なりに書いておくだけでも立派なアウトプットです。いつか公開してもいいなと思ったタイミングで、初めて外に出せばいいんです。

それでも、もし「少しだけ勇気を出してイベントに行ってみたい」と思うなら、自分がSNSでフォローしている人が参加する会に足を運んで「いつも投稿を見ています」と声をかけるのがおすすめです。

一人で心細ければ、誰か知人を連れて行くのもありですね。イベント参加も発信も、自分に合うかどうかの壁を越えるために、まずは1回だけ試してみてください。合わなければやめてもいいんです。自分にぴったりの方法を見つける「実験」だと思って、気軽に一歩を踏み出してもらえたらうれしいです。

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