2026年も、折り返し地点を迎えました。1月から6月にかけて、Findy Mediaにはエンジニアの学びや実践、そして「働き方そのもの」に踏み込んだ多様な記事が集まりました。編集部には日々、視点への“共感”、学びへの“納得”、実務に役立つ“気づき”など、数多くの感想が寄せられています。
本企画は、各月の記事ランキングのTOP2でたどる、2026年上半期の振り返りです。1月から6月まで、毎月2本ずつ、あわせて12本をご紹介します。月を追って読み進めるうちに、この半年でエンジニアの関心がどこへ向かっていったのかも、見えてくるはずです。
各記事は、読者の反響の大きさに加え、Findy Media編集部による複数の視点を総合的に判断して選んでいます。気になるテーマがあれば、ぜひこの機会に読み返してみてください。
1月|「やらないこと」と自宅サーバーで幕開け
nwiizoさんが問い直す、“やらないこと”という戦略
気づけば47個にふくれあがった「やりたいこと」リスト。「エンジニアたちの“やらないこと”リスト」にてnwiizoさんが、その多くは他人の影響で生まれた“薄い欲望”ではないかと問い直した記事です。『良い戦略、悪い戦略』を引きながら、戦略とは「やること」ではなく「やらないこと」を決めることだと説きます。年明けの「今年こそは」という焦りに、まっすぐ効く視点が詰まった1本として、多くの読者の共感を集めました。
やりたいことがたくさんあるあなたへ、人生の“やらないこと”リストを考える
ムツミックスさんが語る、現実とつながるIoTの“収穫”
「私は〇〇チョットワカル」にて、ムツミックスさんが自宅の一角で続ける水耕栽培の取り組みを紹介した記事です。Raspberry Piやセンサーを使った定点撮影、環境データの可視化、運用負荷を下げる工夫まで、実際に手を動かして得た知見が具体的に語られています。PCの中で完結していたプログラムが現実世界とつながる面白さが伝わり、「面白そう」「試してみたい」と、自分でも手を動かしたくなる読者が続出しました。
エンジニアが自宅野菜サーバーを運用して得られた、IoTの「収穫」
2月|AIとの距離を、はかり始める
鹿野 壮さんが明かす、AIを加速させる“推しツール”
「AIのさじ加減」にて、「Claude Codeにタスク丸投げおじさん」を自称するUbieの鹿野 壮さんに寄稿いただいた回です。AIエージェントを使った開発速度を最大化するために役立つ周辺ツールや設定の工夫を、惜しみなく紹介いただきました。すぐ試せるテクニックの数々に加え、「AIに速さで勝てない時代に、人間は何を担うのか」という問いにも踏み込んだ内容が、大きな反響を呼びました。
AIは速いのに、人間が遅い? Claude Codeをさらに加速させる私の「推しツール」
江島 健太郎さんが手放した、“手でコードを書くこと”
6歳からコードを書いてきたという、Admit AI / Gista創業者の江島 健太郎さん。あえて「やらない」と決めたのは、手でコードを書くことでした。実装の理解や設計を手放すのではなく、キーボードを人間が打つ前提をやめたという話です。YAGNIや断捨離の思想を下敷きに、AIの進化でエンジニアの役割がどう変わるのかを問いかける内容が話題となりました。
3月|技術の裏側を「わかる」に変える
馬場さんが案内する、低レイヤを“わかる”に変える読み方
「#も読」にて馬場(netmarkjp)さんが紹介した、インフラの話題に関する回です。Linuxカーネルの内部解説をはじめ、「なんとなく動いている」を「どう動いているかわかる」に変えていく面白さが語られます。難しい単語はAIに補ってもらいつつ一次情報で裏を取る、という付き合い方も示され、「こうした話題から離れていたので一周回って新鮮だった」「面白かった」と楽しむ声が集まりました。
Linuxカーネルの内部を知ると、エンジニアリングはもっと面白くなる── インフラ話題8選
藤井 雅雄さんが解き明かす、トランザクションの勘所
PostgreSQLのコミッターを務める、藤井 雅雄さんへの取材記事です。「なんとなく」使いがちなトランザクションやロックについて、アプリ開発者が押さえておくべき必須知識を解説いただきました。VACUUMとの関係から、ロングトランザクションが招く被害、安全弁となる設定まで。現場で迷いやすいポイントが具体的に整理されており、「実務で役立つノウハウが凝縮されている」「全バックエンドエンジニアが読むべき良記事」と、高い評価が寄せられました。
トランザクションを「本気で使いこなす」ための必須知識。PostgreSQLコミッターが教える活用術
4月|AI活用の最前線と、巨大OSSの憂鬱
広木 大地さんが描く、AIに“指示しない”働き方
月間150億トークンを使うという、広木 大地さんの寄稿です。「やらないこと」に挙げたのは、AIに直接指示すること。代わりに判断の方針をポリシーとして定義し、AIが自律的に動く状態をつくっているといいます。作業を削る引き算ではなく、人間がやるべきことと委ねることの境界線を引き直す設計だ、という視点に加え、その圧倒的なトークン使用量とAI活用ぶりにも、驚きの声が数多く寄せられました。
和田 裕介さんが語る、“OSS開発者の憂鬱”のその先
Webフレームワーク「Hono」の作者、和田 裕介さんへのインタビューです。多くのユーザーに届くOSSには、つくる楽しさだけでは済まない現実があります。レビューや説明責任、近年のしかかるAI生成の低品質なPR、いわゆるAI Slop問題。それでも開発を続ける理由まで、率直に語っていただきました。AI Slop問題の実情に反響は大きく、記事連動の「応援ボタン」には多くの応援が集まり、共感や励ましのコメントも数多く寄せられました。
「OSS開発者の憂鬱」のその先へ、AI時代にHono作者が見ている景色
5月|働き方を問い直し、つくる楽しさへ
そーだいさんが手放した、“誰かが決めるだろう”という期待
職種と職種のあいだに落ちて誰も拾わない仕事は、悪意ではなく担当の曖昧さによって放置される。そう捉えたそーだいさんが、他人への期待をやめ、やる気や頑張りに頼ることもやめたと語る記事です。代わりに、頑張らなくても成果が出る仕組みづくりに時間を使う。再現性のある仕組みこそチームの資産になるという主張が、マネジメント層を中心に共感を呼びました。
「誰かが決めるだろう」をやめた。仕事を前に進めるための“やらないこと”
成瀬 允宣さんがたどり着いた、AI疲れの先のOSS
成瀬 允宣(nrs)さんが、OSSとの関わりを振り返った「OSS応援 Code Side Chat」の記事です。効率や速さを追い求める日々に疲れたプログラマが、どうやってOSSにたどり着いたのか。つくる楽しさや人とのつながりを取り戻していく道のりが綴られます。AIが当たり前になった時代にOSSが果たす役割をあらためて問い直す内容に、OSSに関わるエンジニアを中心として、賛同の声が数多く寄せられました。
6月|自分を守り、人とつながる
鈴木 裕介さんが処方する、エンジニアのための“やらないこと”
心療内科医・産業医の鈴木 裕介さんが、エンジニアのストレスを個人の資質ではなく「構造」として読み解いた記事です。客先常駐での相談しづらさ、強い責任感ゆえの抱え込み、「繋がっているが孤独な関係性」。落ち込んでいるときは振り返りをやらない、といった具体的な処方が示されます。読んで休むことの大切さを再認識したという人や、一度立ち止まって自分の働き方を見直そうという声が多く、AI疲れと孤独感が語られた上半期を象徴する1本となりました。
AI疲れや孤独感から自分を守る。心療内科医が教える、エンジニアのための「やらないこと」リスト
ししかわさんが育てた、“かわいい”が動かすコミュニティ

手のひらサイズのコミュニケーションロボット「スタックチャン」の作者、ししかわさんの記事です。「組み立ては大変だけど、かわいいので頑張れた」という声から、感情がハードルを越える原動力になると気づいたといいます。使う、つくる、見せる、生活に入れる。OSSの入口はPRだけではないという、貢献のかたちの広がりを体現した1本に、温かい反響が寄せられました。
「かわいい」が沼をつくった。スタックチャンと自走するOSSコミュニティ
この半年を振り返って
ここまで12本を振り返ってきました。こうして月を追って並べてみると、上半期のFindy Mediaにはいくつかのはっきりした流れが見えてきます。
なかでも大きく変わったのが、AIとの向き合い方です。コーディングエージェントをはじめとするAIツールは、この1年で開発の現場へ一気に浸透しました。昨年の初め頃はまだ、AIを「どう取り入れるか」を探り、Findy Mediaの記事でもさまざまな実践が語られはじめた段階でした。
それが今年上半期には、2月の鹿野さんが語った「いかに速く使うか」から、月を追って「指示せずに方針を設計する」「AI Slopとどう向き合うか」、そして「AIに疲れた自分をどう守るか」へと、語られ方が移っていきました。AIをどう使うかよりも、どう付き合い、人間は何を担うのか。関心の重心そのものが、半年のあいだに動いたように感じます。
そして、半期を通して読まれ続けたのが、「やらないこと」を巡る記事です。戦略論、断捨離、AIへの方針設計、仕組み化、そしてメンタルヘルスと、語り手によって切り口はまったく違います。それでも「足し算ではなく引き算」という一本の軸が、多くの読者の実感に届き続けました。
OSSもまた、この半年の主役のひとつでした。AI生成の低品質なPRへの対応など、規模を広げたOSSだからこそ抱える憂鬱も突きつけられました。その一方で、つくる楽しさや人とのつながりが息づく場としての魅力も、あらためて見直されています。AIが当たり前になったからこそ、人と手を動かし、人とつながる営みに目が向いたのだと思います。
IoTやトランザクション、Linuxカーネルのように、技術の裏側を自分の手で理解する面白さも健在でした。「なんとなく動いている」を「どう動いているかわかる」に変える。AIに任せられる時代だからこそ、その価値はむしろ際立っているのかもしれません。
今回ご紹介した記事で、今年の前半を振り返るきっかけになればうれしいです。2026年後半はどんな変化が起こるのでしょうか。Findy Mediaでは引き続き、エンジニアのみなさんの挑戦に寄り添い、現場に根ざした情報を発信していきます。












