エンジニアマネージャーはなりたくてなってない!「やりたいこと」を続けた先にある役割とは?

f:id:findy-lab:20210224170818j:plain

2021年2月4日(木)ファインディが主催するエンジニア向けイベント「【エンジニア職種徹底分析~EM入門編~】EMって実際なにしているの?」がオンライン上で開催されました。

昨今注目を浴びているにも関わらず、何をやっているのかイメージしづらいエンジニアマネージャー(以下、EM)という仕事。企業側では卓越したエンジニア組織を作るため、優秀なEMの需要が高くなっています。本イベントでは株式会社アンドパッドの土方さん、株式会社あしたのチームの堀之内さんをお呼びして、EMのキャリアについて語っていただきました。具体的な業務内容から、お二人の今後のキャリアまでをお届けします。

チームのパフォーマンスを最大化させる役割を担う

ー本日はよろしくお願いします。まずはお二人がEMになられた経緯からお伺いできればと思います。まずは土方さん、いかがでしょうか?

土方さん:初めてEMに就任したのは8年程前。前職のmediba時代に、上司とのキャリア面談で「技術を伸ばしながら、会社でやれることを増やしていきたい」と伝えました。エンジニア集団だからか、管理職になりたい人があまりいなくて、当時ポジションに空きがあったんです。

デザイナーとフロントエンドが両方いるような部署で、共にある程度分かる知識を持っていたので、EMに指名されました。自分は喋ることが好きですし、これまでの経験を活かして価値が出せそうということで始めました。

ーコーディングをしている方が楽しいと思う人も多いイメージなのですが、コードを書かなくなることへの抵抗はなかったんですか?

土方さん:私の場合はありませんでした。がっつり書きたいという欲求は以前もありましたが、画像を一括でダウンロードをしたい時にExcel関数を使ってJavascriptコードをまとめて書くような、ちょっとした自動化の作業も好きなんです。

コードを書く、ロジックを開発する分野では、もっと優秀な人は他にたくさんいますし、そんな優秀な人たちを活かす方が喜びで。価値も出せるし、自分に合っているなと感じたので、コーディングにこだわりはないですね。

ーメンバーをどのように活かすかについて、後程お話ぜひお伺いできればと思います。堀之内さんはいかがでしょうか?

堀之内さん:私は20代の時、徹夜するくらいの勢いでガンガン開発をしていたような人間でした(笑)。キャリアを重ねるにつれて、モダンなwebシステムや、ソフトウェアの開発を、一人で進めていくことの限界を感じるようになりました。

チームのパフォーマンスを最大させるために、自分は何ができるのだろうか。そんなことを思うようになり、社内外の人と開発チームを繋いだり、メンバーのモチベーションを上げるために密にコミュニケーションを取ったりしていくうちに、自然とEMというポジションの名前がつくようになりました。

自分自身で何かを成し遂げることよりも、チームや会社という単位で大きな価値を提供できる方がモチベーションが高まるので、「組織の中で自分は何ができるだろうか」と常に考えています。

ー堀之内さんは、いつ頃からEMをやり始めたのですか?

堀之内さん:35歳からだったので、今から8年前になります。 その前までに担当していたのはPdMに近いポジションで働いていました。実はもう一度、第一線で開発をやりたいなという思いを持っていました。

その後転職することになり、転職先ではチームで開発を進める話になりました。リーダー職を任せてもらえたことで、ピープルマネジメントが得意だなと思えるようになりましたし、今もスクラムマスターを兼務しています。

ーEMとして、実際どのようなお仕事をされているのでしょうか?

堀之内さん:育成や成長を促す観点でのピープルマネジメント、採用などを行っています。エンジニアの採用面で、ただ面接に出るだけでなく、ジョブディスクリプションを作り、アトラクトするための期待値調整も行っています。

スクラムマスターとして、開発体制を整えるためのチーム編成も考えています。チームで担っているタスク量が適切なのか把握し、問題が起きた時に、会社のルール上で解決するのか、個人間で動くのかを判断する。開発のプロセスで、スクラムのイベントをどのタイミングにやるのか、を見定めるのも重要ですね。

*サーバントリーダーシップが最近注目されていますよね。各々が何をやりたいのかを日頃からヒアリングをし、会社の業務でも個人単位でも、やりたいことを実現できるように背中を押すことを心がけています。

よくあるマネージャー像として、「いいからやれ」と一方的に上から言われる、なんてイメージされることも多いのではないでしょうか。そんな状態は全く想定していなくて、みんながやりたいことを、しっかりできるような環境を構築することが必要なのかなと考えています。

土方さん:堀之内さんの役割と近く、育成や採用を中心としたピープルマネジメントを私も担っています。エンジニアは、プログラムを書いて自動化し、仕組み化していく。まさに、自分がいなくてもいいものを作っていく仕事だと思っています。

*サーバントリーダーシップ:人間が本能的に持つ「奉仕したい」という感情を活かして、人から信頼を得て導くリーダーシップ

「この人に頼めばなんでも解決してもらえる」と言われる存在へ。チームのためにできることはなんでもやる

ーお仕事の中身が見えてきたところで、次にEMでの苦労話や失敗談などを教えてください。

堀之内さん:育成を自分が担当して、成長を促していかないといけないメンバーと、パーソナリティの相性が合わない時は苦労しますね。マネージャーをされている人であれば、誰しもが直面したことがあるのではないでしょうか。

技術的に「この人優秀だよね」と信頼がある人がマネージャーになると、エンジニアとして同じ言葉で分かり合えますし、指標も明確。そうではなく、メンバーからの認知がなく、いきなりマネージャーになる人が、いきなり信頼されることはまずありません。

マネージャーよりもメンバーの方がエンジニアとして優秀で、スペシャリストであるというシチュエーションも起こります。初めのうちは、丁寧にメンバーに伴走して寄り添うことが必要になるかもしれませんし、どのようにしてメンバーの「信頼貯金」を構築していくか、ということは常々考えています。

メンバーに対して、「いつでも相談してね」「課題を共有してほしい」と伝えても、信頼貯金が十分に溜まっていないと教えてくれることはまずありません。具体的には、メンバーとの1on1や悩み相談の時間を、マネージャーの方から提案して愚直に関わっていく。

マネージャーから主体的に課題を見つけて、どんどん解決していく姿を見てもらう。積み重ねていくと、ちらほら「堀之内さん、こういうところに私は課題を感じているんです」と相談してくれるケースが増えていきました。共有をもらった時は、全力で課題を解決しにいく。

「この人に課題を伝えると、解決してくれる!」と信頼貯金を積み重ね、社内的にもチーム的にも、ポジションを築いていくことが必要なのかなと思っています。エンジニアからすると、「定性的だな」というコメントが来そうですが(笑)。一朝一夕で決して構築できるものではないので、愚直に粛々とやっていくしかないですね。

ーまさに、人間だものという感じですね。ありがとうございます。土方さんはいかがでしょうか?

土方さん:マネジメントみたいな話になると、どうしても人間関係や相性の話は出てきますよね・・・。不満でもなんでもいいので、メンバーから「1on1お願いします」と言ってくれると助かりますね。

意思表示がないメンバーに対しての、接し方は苦労するポイントかな。きっかけはどこにあるか分からないので、手を変え品を変え、色んな話をしてみる。仕事の話だけじゃなくてもいいと思うんです。

趣味の話を振ってみることはよくしますね。何か挑戦していることがあれば、その挑戦への思いを聞いてみる。スポーツが好きな人がいれば、スポーツを例え話に、その人の悩みについて一緒に考えてみたり。話をどう展開させるかは、常に工夫しています。

触れてはいけない話をして、逆鱗に触れてしまって「失敗したな」と思う体験もしてきました。人間関係や、会社として成果を出すための方向性などを、示すことができなくて離職してしまうケースもありましたね。マネージャ―としての失敗体験、辛い思い出など誰しもあると思うのですが、堀之内さんいかがですか?

堀之内さん:振られましたのでお答えすると、実はメンバーが離職したことないんですよね。自慢みたいになっちゃうんですけど(笑)。

1on1やデイリースクラムではメンバーの表情や機微、口調などはよく見るようにしています。明らかに体調悪そうだなとか、違うこと考えて上の空だろうな、という様子に自分はどうやら気づきやすいみたいなんです。何か修行で身につけたわけではなく、元々そのようなスキルがあることに、ここ数年でやっと気づきました(笑)。個人に依存する話にはなりますが。

土方さんの話にもありましたが、プライベートの話もすべて拾うようにしていますね。スクラムマスターの文脈になりますが、*KPTをしていて、明らかにプライベートで課題が起きていて、パフォーマンスが落ちているメンバーがいたら、プランニングのタイミングで調整を行っています。

「このメンバー、辛そうなので2週間お休みを与えてもよろしいでしょうか?」などと、上司や人事部に掛け合うこともあります。先程の話にも繋がりますが、そういうことまでやるからこその信頼貯金なのかなと思っています。

*KPT 「Keep・Problem・Try」から構成される、振り返りのフレームワーク

ー参加者の方から、「サーバントリーダーとして、成長を促すいい手はありませんか?マネージャ―が引っ張っていくしかない、という考えから脱却したいです」と質問をいただきました。土方さん、いかがでしょうか?

土方さん:メンバーは皆、自分はこうしたいという方向性を、何かしら持っている。けれども、信頼値が足りないから話してくれない、もしくは持っているけれど、自分の中でも分からないから喋ることができないと思うんです。

私の師匠のような人が、「1年か半年に1度、過去のキャリアを全部遡り、転換点でどうしてどのような行動をしたのか、なぜ失敗をしたのかを、全部深堀りしている」という実践をしている話を聞きました。

整理して深堀りをすることで、自分のやりたいことや、先のキャリアのイメージが湧くようになるかもしれません。メンバーの選択肢を増やし、モチベーションが上がるような話し方を心がけてみることで、変化が生まれるのではないでしょうか。

堀之内さん:メンバーと、愚直に色々な話をするしかないと思いますね。先程の話と繋がりますが、「この人に話したら、問題を解決してくれそう」という信頼の延長線上に、真剣にキャリアについて相談できるような関係性ができていきます。

私は仕事の中だけの話をするつもりは全くないですし、タイミングに合わせてプライベートな話も当然する。メンバーのやりたいことが社内にないなら、「転職しようよ!」と提案することもあります。

人材登録系のサービスやセミナーを紹介して、キャリアの選択肢をきちんと提示することを大事にしています。本人が納得できる形で理解してもらった上で、「これだったらやってみたい」という意欲や成長軸を、尊重していきたいですね。

ーありがとうございます。ご質問の中で「EMの定義」に関するコメントをいくつかいただいています。改めて、EMに求められる役割はどんなものなのでしょうか?

堀之内さん:EMは単なるロールでしかないと思っています。ロールの中の機能を分解してみて、「ここはやるけど、ここはやらない」と権威主義的に決めるのが、あまり好きではなくて。自分がその作業をすることで、みんなが働きやすくなるならどんどんやっていこう、という気概でいつの間にか色々なことをやっています(笑)。

PdMと同じく、EMの定義も曖昧で、会社やチームによって求められることは違うと思います。私のスタンスとしては、「この仕事やりたい」と思ってくれるメンバーがいれば、どんどん任せることにしています。必要に応じて、スキル面のサポートなど伴走しますし、経験値がある人には仕事を丸投げしちゃいます。

ロールに固執することなく、技術面や組織の体制面など、見えている課題を解決していくことが好きなんです。様々な課題を見つけては解決し、完了したらどんどん他の人に仕事を任せていく。

私の役割として、マイナスな状態を0まで持っていき、0からプラスにするのが得意な人に任せる。そして、私はまたマイナス状態にあるチームに行く、という仕事ぶりを繰り返しています。

ーチームのパフォーマンスを最大化させる、ロールとして位置づけているのですね。育成や成長において課題を発見した際に、経営陣とコミュニケーションを取ることはあるのでしょうか?

堀之内さん:経営陣からの依頼があるパターンと、自ら提案しに行くパターン、両方ありますね。今のチームでこういう機能が開発する上で足りなくて、ここにフロントエンドエンジニアが入るとパフォーマンスが上がるので、予算いただけませんでしょうか、とプレゼンする感じです。

中途採用だけでなく、フリーランスのような業務委託にお願いした場合、外注した場合、などのあらゆるパターンを想定して、当社ではCTOと議論していきます。自分が動くことで、パフォーマンスが上がることはなんでもやる!という勢いでやってます(笑)。

ー土方さんが考える、EMに求められる役割とは、いかがでしょうか?

土方さん:当社はベンチャー企業として成長過程にあり、組織としてルールや約束事が増えていきます。ピープルマネジメントに加えて、EMが社内のルールを理解して、メンバーに分かりやすく伝える下支えをするのも、重要な役割だと考えています。

約束事が増えて、面倒くさいことが発生することは仕方のないことだと思うんです。Slack上で困っている人を発見したら、「こうしたら?」と提案することもありますし、「この人に相談してみて」と交通整備のように誘導することも。稟議書を代わりに書いてあげたりもしますね(笑)。

何年か前までは、「自分でコードを書きたいな」と思うこともあったのですが、ここ3~4年くらいでその欲求はなくなりましたね。煩わしいことで優秀なメンバーの貴重な時間を食わせたくないので、面倒な作業はできる限りEMがカバーする。価値を生み出すための開発に集中してほしいので、ちょっとしたマークアップやコーディング、スクリプトなどは積極的に巻き取るようにしています。

“感謝”こそがEMのやりがい。チームで成功体験を積んでいく

ーお二人の話から、EMとして取り組める業務の幅の広さを一層感じます。ちなみに、EMをやっていて良かったと感じる瞬間はどんな時でしょうか?

堀之内さん:一言で言うと、感謝されることですね。課題を解決してくれてありがとう、とメンバーから言ってもらえるのはもちろん、セールスやカスタマーサクセスなど、エンジニアではない別部署の方から「すごいやりやすくなった」という話を聞くと、自分のやっていることの意味を実感しますね。

我々はプロダクトを作っているということもあり、プロダクトによって課題を解決し、成長に貢献できた話を、お客さんから言ってもらえることもやりがいです。

私のことをすごいと言ってもらえるよりも、自分と一緒に仕事をしている人たちが、結果的にすごいことを成し遂げてくれることの方が嬉しいんです。例えば、以前一緒に仕事をしていた仲間が転職して、その先で活躍していつの間にかインタビュー記事に出ている。そういうのを見ると、「一緒に働けてよかったな」と誇らしくなります。

イメージは、星野仙一監督の「わしが育てた」みたいに。実際に言ったことはないですけど(笑)。考え方や行動によって、周りに影響を与えられるのが自分の成果であり、モチベーションになっていますね。

ーこれからインタビュー記事が公開になるたびに、堀之内さんが「わしが育てた」と言ってくれるのを楽しみにしています(笑)。土方さんはいかがでしょうか?

土方さん:EMとして、課題解決を行い、チーム全体の最適化を図ることは、まさにエンジニアリングそのもの。堀之内さんの話とも重なりますが、やはりチームとしての成功体験を積めることがやりがいですね。

EMになってから、企画職やビジネスサイドの方と話をする機会が増えました。エンジニアとしてのスキルを頼りにしてくれて、エンジニア観点からのドキュメントの作り方をアドバイスして、「うまく書けました」とスキルアップされた話を聞けるのは嬉しいですね。

逆に私は、企画の作り方や、分かりやすい伝えかたのアドバイスをもらって、上司への提案の仕方が変わりました。話し方が上手くなったおかげで、社内の人との関係性作りができるようになり、提案する企画も通りやすくなるという変化も生まれました。

ーこれらのエピソードだけで、お酒が飲めそうな話の数々ですね。ありがとうございます。お二人は、EMを続けた先のキャリアをどのようにお考えなのでしょうか?

土方さん:今の仕事は、自分がやりたいことやできることを、やり続けてきた結果でしかないと思うんです。目の前のことに取り組んでいたら、世の中に自然とEMという言葉ができて、自分がそのように呼ばれるようになり、未来でやりたいことやミッションがついてきた、という感じです。

求められることをやり続けていたら、名前は後からついてくると思うので。次のキャリアで、こういう名前の職業を目指したい、というものは今のところないですね。EMしつつ採用にも注力していくと、積んできたキャリアから結果的に*VPoEと呼ばれるようになるのかな、と考えています。

仕事をしていく中で、社内でやってみたいと思うことは自然と発生する。必要となる責任や発言権、役割がないと、やりたいことができないケースもあると思います。例えばそれが、VPoEじゃないとできない、ということであれば、そのロールを獲得できるように動きます。やりたいことをやるためのロール、という捉え方ですね。

*VPoE Vice President of Engineeringの略。エンジニアリング組織における、マネジメントの責任者

ー面白いですね。確かに、自然に溶け込んでその人のロールになっていく、というあり方が会社にとって一番いいのかもしれませんね。堀之内さんはいかがでしょうか?

堀之内さん:3年程前に話題になった、Gunosyさんの記事をご存知でしょうか?この記事が好きで、何度も読み返して研究していました。何が書かれているかというと、スタートアップの会社はまずCTOが一人だけいて、色々な機能を担う。スケールすると、CTOから他の機能に分解されて、役割ができていくという話が書かれています。

一昔前まで、エンジニアの目指すべきゴールはCTOだ、という論調ありましたよね。自分としてはCTOになりたくてエンジニアをやっているわけではないですし、CTOを目指してもいなかったので、すごく違和感がありました(笑)。次第に、米国からPdMやVPoEという考え方が入ってきて、自分のやりたいことはVPoEに近いんだな、と実感しました。

VPoEと名乗りたいわけではないのですが、自分がやっているEMやスクラムマスターとして、チームのパフォーマンスを最大化させるというロールが、VPoEという名前に近いんだろうなという捉え方です。

プロダクト開発における色々な課題を解決するのが好きということは一貫して変わらず、今はEMという形でやらせてもらっているので、それを続けた先にVPoEのようなキャリアになるのが理想的かな。ただ分からないですけどね、これからVPoEから色んな名称に役割が分化していく可能性もあると思いますし。

50歳になったら何をしてるか?EMの先のキャリア

ーイベントの終了のお時間が近付いてきました。参加者からの質問にお答えしていこうと思います。チーム内での共有や、課題の発見に関するコメントをいくつかいただいていますね。チーム状態を保つために、お二人はどんな工夫をされていますか?

堀之内さん:チーム状態って定性的なものなので、数値化してデータを集めるのも難しいですし、何が課題でどんな問題が起こっているかは、状況によって変わります。経営陣などに、チームの状況を知ってもらうために、巻き込む形をよく取っています。

「現場に来てください」と意思表示し、ミーティングに参加してもらうことを提案する。あるいは、現場のみんなが疲弊して、疲れ切っている顔を見てもらうでもいいと思います。現場で何が起きているのか、実際に目で見てもらえるように形にすることを大事にしています。

そうすると、「プロダクトでこういう機能がほしい」とか「だから採用したい」という問題提起に説得力が増しますよね。それでも人手不足で、どうしても期日通りにタスクが完了しないこともあると思います。「クオリティを下げてまで、納期までに出すのは嫌です」と意思表示をするために、ステークホルダーとの信頼関係をちゃんと構築するのも、EMとして大事な役割だと考えています。

土方さん:先程も話に出ましたが、打合せをした際に、意見が出てくるかどうかは、チーム状態を測る一つの指標になると思います。コミュニケーションの場を開いた時に、何も発言が出てこないのはアラート。意外と組織の崩壊は、一人の不満やイラつきから始まると思うので。

当社のVPoEは、「打合せの時に必ず笑顔を入れるようにしている」とよく言っています。しかめっ面で発言も少ないと、メンバーの表情も固くなりますよね。ちょっとした冗談を入れながら、笑顔が出るような雰囲気にすることは、チーム状態を良く保つ上で必要なことなのではないでしょうか。

ー最後に、お二人は、50歳になったらどのようなお仕事をしていると思いますか?

堀之内さん:目的を持って活動をしてきたわけではないので、正直分からないですね…(笑)。ビジネスパーソンとして、山登り型と川下り型、2種類のキャリアパターンがあると言われているじゃないですか。自分はもちろん川下り型なので。

50歳になってみないと、分からないなと思いますね。自分の好きなのは課題を解決すること、というのは変わらないと思うので、50歳になっても色々と課題を解決しているんだろうな。技術的な内容なのか、組織的な内容なのか分からないですし、もしかすると会社全体の内容を扱っているかもしれませんね。

土方さん:堀之内さんと近くて、正直来年もなにやっているのか分かりませんね(笑)。自分のキャリアを思い返すと、ソーシャルゲーム作って、キャリアのサービスを作って、今はアンドパッドで現場のDX化を推進していて。段々とリアルに近づいている感じがするんです。

イメージは、町の商店街のPC周りのことを助けるおじさんみたいな(笑)。どんどんリアルの実地店舗に近付いて、技術の力を使って課題解決する、みたいなキャリアを夢見ています。技術を使うか否かを問わず、何かしらの問題解決に携わっていることは間違いないと思います。

ーお二人とも、本日はありがとうございました!