2025年3月4日に開催されたオンラインイベント「LayerX 名村さんに聞く!2025年AIエージェント時代の可能性と実践」。LayerXの名村さんをお招きし、2025年のAIエージェント時代における可能性と実践について、プロダクトへの組み込み時の設計や開発の考え方、LayerXさんの取り組みなどをお話しいただきました。
当日は1,800名以上の申込みがあり、ご参加者からは「体系的に理解できた」「ソフトウェアエンジニア視点でのAIエージェントに対する取り組みを聞ける貴重な機会になった」と好評で、チャット欄・Xともに大変盛り上がりました。また、多くのご質問も寄せられ、イベント中に可能な限り回答いただきましたが、時間の関係で回答しきれない質問も残りました。
「未回答Q&A特集」では、通常そのまま終わってしまうことが多いこうした未回答の質問について、ご登壇者のご協力のもと、イベント後に回答いただいたものをお届けします。
イベント参加者の皆さまはもちろん、当日参加できなかった方も、ぜひ本編のアーカイブ動画と併せてご覧いただき、AIエージェント活用のさらなるヒントを見つけていただければ幸いです。
※質問文は内容に影響を与えない範囲で、一部表現を調整しています
Q&A
当日の質問
イベント当日、チャット欄に寄せられた質問
Q.モデルの進化が激しいので、LangGraph等でワークフローを作り込んでも大きな改修が発生することもありそうな印象ですが、LayerXさんはそのあたりの課題感はありますか?
ワークフローを作り込むとメンテナンスが大変になることが想定されるので、可能なツールリストからエージェントにワークフローを組んでもらう方の進化を期待して、指示書を洗練させることを優先しています。
Q.今後、技術選定を行う際にはLLMが得意な言語というのがひとつの選定ポイントになるかと思います。エンジニア業界として使用言語が統合されていくと考えられますか?また、長期的にはLLMと相性が良いという思想の言語が登場すると思われますか?
学習ソースが豊富という点で、現時点では TypeScript や Python が相性が良いと思います。この2つの牙城はしばらく崩れないのかな、という印象です。LLMの特性上、言語としての表現能力が重要だと思うので、より表現力が高い言語が登場するかもしれないですね。
Q.今後、SaaS系企業はどうなっていくとお考えでしょうか。AIエージェントや、その他AI周りの開発に侵食されてしまうと思いますか?
AIエージェントはツールを使いこなす、というのが最初のステップなので、そのツールを提供するSaaSは引き続き存在すると思いますが、AIエージェントの進化に伴って価値のなくなる機能は出てくると思います。
Q.Enabling チームがやっている例を挙げてくださったのですが、これは Google Workspace でいろいろなデータを入れておいて Gemini を使うだけでも多くが実現できますか?Enabling チームの皆さんがシステムを内製しているメリットは、データを外部に渡さなくて済むとかでしょうか?
Gemini によって達成できる部分もあるとは思いますが、 Google Workspace 内のデータを引き出すところは引き続き課題感があるので、RAG 等含めて、データに最適な保管方法や抽出方法、またはそれに伴った専用の UI はまだ必要という印象です。Gemini の進化に伴って、Gemini でも良いという方向になる可能性はありますが、LLM というよりはチャット UI の進化が必要かなと思います。
Q.インフラエンジニアです。貴社のプロダクトでAzureを選択したと巷で聞いたのですが、選定理由は何でしょうか。やはり画像認識のレベルが高いからでしょうか?
Azure は別の事業部で主に利用しているため、選定の理由は私からは話すことができません。私の事業部で利用している理由に AI の機能的な差異はなく、セキュリティやデータの学習への利用があるか、Azure の請求にまとめられる、などの利点の方が大きいと思っています。
Q.AIを活用したSalesportalって内製しているのですか?どのような機能を作っているのか知りたいです!
内製です。主に営業活動における様々なデータ(電話・商談の文字起こしや Salesforce のデータ)を活用し、営業支援機能を作っています。
事前質問
お申し込み時のアンケートに寄せられた質問
Q.AIの精度は一概に点数化しづらいと思いますが、LayerXさんではそのあたりどのように担保していますか?例えば、AIのみのアウトプットはせず、必ず人間にチェックさせる等。また、完全にAIだけのアウトプットで成り立っている事業/機能はありますでしょうか?
まだ精度を確実に点数化するような仕組みは導入していませんが、結果に対して軽量モデルを介して精度を測定する、といった手法が良さそうだなと検討しています。
Q.AIをプロダクトないしはビジネスに組み込む際に難しかったエピソードなどあればお伺いしたいです。
LLM の精度や結果の不安定なところをどう機能として安定させるか、というところは難しかったところです。
Q.AIエージェントを使ったほうがいい、不要であるといった線引きのコツを教えてください。
旧来のプログラミングでシステム化してしまったほうが楽なケースや、処理のレイテンシが求められるシーンでは AI エージェントは不向きかなと思います。
名村さんよりメッセージ
イベントにご参加いただきありがとうございました。ソフトウェアエンジニアの観点で、AI エージェントの台頭に対する認識と考えをお話させていただきました。長年ソフトウェアエンジニアをやってきた身としては、根本的なエンジニアリングの価値観を覆すような革命が起きていると感じています。皆でベクトルの気持ちがわかるスキルを身に着けていきましょう!
アーカイブ動画
イベント本編は、アーカイブ動画を公開しています。こちらもあわせてご覧ください。