Findyでは「エンジニアのプレミアム転職サービスFindy」を運営する中で、多くのエンジニアリングマネージャーや採用担当者、そしてエンジニアユーザーとお会いし、悩みを伺ってきました。その中で、エンジニアに求められる事は大きく組織のフェーズ/規模別に分類されることが見えてきました。
先日、エンジニアリング組織作りに携わる方向けには、下記のような記事も公開しております。 blog.findy.us
今回は視点を変えて、エンジニアはフェーズ/規模別に組織から何が求められているのか?を、上記の記事を参照しつつまとめていきたいと思います。
創業期
まずは創業期です。前出の記事によると、この時の組織の課題として以下の項目が挙げられています。
・創業期は、プロダクトのリリースおよび、プロダクトマーケットフィット(PMF)の検証を可能な限り早く実行することが大切な時期です。何よりも開発スピードが重要になってきます。
・開発スピードを上げていきたいものの、慢性的に人手が足りない状況になりがちです
この時期は、創業から1年未満で社員数が1-2名で、まだプロダクトのリリース前である可能性もあります。資金調達規模もシードラウンド(500万前後)〜シリーズA(1,000〜3,000万円程度)であることが多いです。
創業期に特に得られる経験
この時期にジョインするエンジニアが得られる経験としては、
・プロダクト開発全般に関わる経験
・創業経営者と近い距離での仕事
があります。
また経験とは別になりますが、ストックオプションの付与があるケースも少なくないです。給与水準はCEO含めて全社的に高いとは言えない段階ですが、小規模な会社に給与を下げて入るリスクを取る代わりに、事業が成功した際には大きなプロフィットを得られるような仕組みにしている企業が多い印象です。
創業期に求められる経験
そんな創業期の組織において求められるのは、とにかく即戦力レベルの技術力を持ったエンジニアです。
- バックエンドからフロントエンド、インフラまで幅広い領域に置いて自ら設計〜実装までできる
- 中長期的な視点を含めた技術選定ができる
こんなスキルを持ったエンジニアを募集している求人が過半数を占めます。
また、エンジニアリングだけでなく自分の専門外であっても積極的に介入し、議論をして事業を作っていくことが求められる場合が多いです。技術顧問が付いている場合は、顧問直下で密に連携を取りながら開発できる組織もあります。
創業期の企業の求人例
MNTSQ株式会社の求人情報 | エンジニア転職のFindy
HiCustomer株式会社の求人情報 | エンジニア転職のFindy
急成長期
プロダクト作りが進み、ローンチを経て売り上げが増加してきたら急成長期に入ります。数人でプロダクト作りを行なっていた状況から採用も進み、社員数も10〜50人程度に増えています。
この時期のエンジニア組織には、下記のような課題があります。
引き続き、即戦力クラスの人材を求めています。この時期は、ユーザーニーズをふまえたスピーディーな新機能追加や機能改善、ユーザー増に伴うインフラ環境整備といった今まで着手できていなかった領域へ手を伸ばすことになる
急成長期に特に得られる経験
急成長期の組織でエンジニアが得られる経験としては、主に
・プロダクト成長期の開発経験
・開発基盤の整備
・エンジニア採用
などが挙げられます。
引き続き採用活動を行なっているフェーズなので、エンジニアメンバーでも自ら組織づくりに携われるチャンスも。給与水準は創業期からは上がる傾向にあります。この企業規模でストックオプションを付与している企業もまだまだあります。
急成長期に求められる経験
この頃から、バックエンドエンジニアやフロントエンドエンジニアなど、明確に職種が分かれた形で求人を出す企業が増えてきます。
しかしまだまだカバー範囲は広く、主担当を持ちながらも他の領域にも染み出して仕事を進める場合が多いです。
・自分の専門領域に関する設計〜実装の経験がある
・専門領域以外のエンジニアリング全般に関する知識がある
・機能投入後の効果検証、機能改善の推進ができる
・UI/UXデザイン、ユーザビリティに関する知識と経験がある
・パフォーマンスチューニングに関する知識・経験がある
が主に求められてくるスキルになります。
急成長期の企業の求人例
ミューゼオ株式会社の求人情報 | エンジニア転職のFindy
株式会社LayerXの求人情報 | エンジニア転職のFindy
パレットクラウド株式会社の求人情報 | エンジニア転職のFindy
安定成長期(上場前後)
いよいよ上場がすぐそこまでやってくる、安定成長期に入ります。会社も100人規模が目の前まで迫っていて、「スタータアップさ」よりも徐々に「安定した企業」の印象の方が強くなってくるでしょう。
そんな上場前後の企業のエンジニア組織の課題は、より中長期的なものに移行していきます。
この時期までくると、目先のリソース補填よりも、将来に向けた基盤づくりに注力される企業が増えてきます。
安定成長期に特に得られる経験
このタイミングでは、
・機能別開発チーム立上げ経験
・エンジニア組織のカルチャーづくり
といった経験が詰めるようになってきます。
安定成長期に新たに求められるようになる経験
エンジニアメンバーの人数も増えてくるので、今度はエンジニアマネージャーやテックリードなど、開発組織の業務を最大化することにコミットする役割を採用する求人も増えてきます。
・設計やコードのレビュー
・開発、運用周りをより良くするためDevOps系知識経験
などといったスキルを求める求人も新たに見受けられるようになってきます。
安定成長期の企業の求人例
and factory株式会社の求人情報 | エンジニア転職のFindy
変革期
上場により安定的な成長が実現した後は、新規事業の立ち上げや組織の変革で、急成長を再度目指す時期です。 上場前の急成長期と大きく違う点は、社員数も100〜300名程度に拡大しており、より大きな規模で勝負に出られること。上場前後で得られた安定的な成長基盤を元に、既存事業を横展開した新しい事業の立ち上げに挑戦したり、今まで行ってきた業務効率やサービスの見直しなどに本格的に取り組む企業も少なくありません。また同時に、より長期的な投資として、エントリーレベルのエンジニアの採用・育成を行う企業も増えてきます。
変革期に特に得られる経験
このタイミングで得られる経験としては、下記のようなものが挙げられます。
・新規事業の参画
・エンジニアの育成・評価・社内活性化の取組み
安定成長期に新たに求められるようになる経験
この時期には、事業の成長速度をさらに加速するもしくは、大きくなったエンジニアリング組織の進むべき道を決め、その目標に向かって旗を振る下記の役割を新規に募集する企業も出てきます。
・エンジニア出身のプロダクトマネージャー
・VP of Engineer
また、この辺りから次のメガベンチャー期を意識した、下記のスキルを求める求人も増えてきます。
・高トラフィックな大規模システムの開発経験
・運用の負荷軽減に対する効率化、およびアップデートの作業軽減における効率化
・分散データ処理システムを利用した大規模データ分析、機能実装経験
変革期の企業の求人例
株式会社スタジアムの求人情報 | エンジニア転職のFindy
メガベンチャー期
そして、メガベンチャー期です。 この時期になると、組織の大規模化・多様化にどう対応していくかが、会社の課題になってきます。 高トラフィックなサービスを支えたり、複数サービスの共通基盤を開発する基盤技術を担うエンジニアや、OSSコミッターや技術研究者なども新たに求められるようになってきます。また、エンジニア出身の事業責任者は引き続き求められています。
メガベンチャー期に特に得られる経験
このフェーズでは、下記のような経験を積みたいエンジニアに特におすすめです。
・大規模組織のマネジメント経験
・特化した技術の研究
メガベンチャー期に新たに求められるようになる経験
メガベンチャー期になるとより担当領域が明確に線引きされ、それぞれの領域別にミドルエンジニア、スペシャリストの求人が公開されるようになります。新卒採用も活発に行われてくるのが特徴です。また、サービスのコア部分を担う技術を研究する部署も新設され、アカデミックな世界と連携できるような人材を求める企業も増えてきます。
メガベンチャー期の企業の求人例
PayPay株式会社の求人情報 | エンジニア転職のFindy
freee株式会社の求人情報 | エンジニア転職のFindy
最後に
ご自身がどのようなフェーズに向いているのか、またそのフェーズの会社が募集している求人を知りたい方は、Findyでも開発経験のあるアドバイザーが面談を行っています。 ぜひ下記からご登録いただけますと幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※必ずしも全ての企業・組織がこの変遷をたどるという訳ではないということは、ご承知おきいただけると幸いです