民間の非営利団体であるNPOは、行政だけでは対応しきれない社会課題に取り組み、多くの人をつなぐ役割を担っている。その活動は現代社会に欠かせないものだが、運営面に課題を抱えているNPOは少なくない。
フリーランスでNPO法人のためのIT支援事務所を運営する細谷 崇(ほそや たかし)さんは、そんなNPOの心強い味方だ。大学時代の友人と起業したのをきっかけに、17年以上にわたりNPO法人のIT支援に携わってきた。そのほか、「CoderDojo」の運営や、サイボウズ社のサービスの1つであるkintoneのエバンジェリストとしての活動も並行して行っている。
「人と関わるのは好きなのですが、大人数を相手に仕事をするのが苦手。NPOとの仕事が自分に最もフィットしています」
「対等な立場で向き合い、一対一で悩みを聞き取りながら開発できるのが楽しい」
NPO法人の多くは、ヒト・モノ・カネ、すべてにおいて厳しい状況にある。そこで細谷さんは、フリーランスの身軽さを活かして、手頃な価格で彼らのニーズに応えてきた。
「NPOにはIT化を支援する人材が必要ですが、まだまだ少ないのが現状。『細谷さんがあと2、3人いたらいいな』と言われることもあるんです」
まさに「孤軍奮闘」だ。
昨今、クラウドサービスの値上げが相次ぎ、NPO法人もコストの負担増に苦しんでいる。そんな現状を打破するために、考えていることがあるという。
「NPOの業務をサポートするパッケージやプラグインのようなものを開発したいです。資金面で苦しむNPOのIT化にもつながっていくし、自分も安定的な収益を得られるようになりますから」
さらに、自身の夢についても話してくれた。
「海外のクライアントから仕事をもらえるようになりたいですね。そのために英語の勉強もしています」
「オープンソースのコミュニティに関わっているので、海外の方々とのネットワークも広がってきています。そういった人とのつながりを大切にしていきたい」
NPOの課題と向き合い続けてきた細谷さんだからこそできること。その献身的な活動は、私たちの社会の発展に大きく寄与するものだ。NPOを支援する同志が一人でも増えることを願ってやまない。
取材・執筆・文責:河原崎 亜矢
編集・制作:Findy Engineer Lab編集部
細谷崇
NPO法人を設立し代表理事などを務めた経験を持ち、大阪、神戸、奈良、京都を中心にフリーランスのエンジニアとしてNPO法人のIT支援に携わる。また、一般社団法人CoderDojo Japan設立発起人であり、CoderDojo西宮 / 梅田の運営も行う。2015年よりkintoneエバンジェリスト。