みなさん、こんにちは。新しい連載「スクラムマスター往復書簡」へようこそ。この連載では、アジャイル開発の最前線で日々直面する課題や、業界の最新トレンドについて深く掘り下げていきます。実践者同士の率直な対話を通じて、みなさんのアジャイル実践に新たな視点と具体的なヒントを提供していきます。今回は、この企画の趣旨と、私自身について簡単にご紹介します。
スクラムマスター天野祐介の経歴
私は天野祐介 (@ama_ch) と申します。現在は週3日サイボウズでシニアスクラムマスター兼マネージャーとして働き、他の日は個人事業主のアジャイルコーチとして活動しています。二足の草鞋を履く1人の実践者として、日々アジャイルなチーム・組織を目指して試行錯誤しています。
エンジニアとしてキャリアを始め、2016年にスクラムマスターになり、2018年から個人事業主としても活動するようになりました。様々なご縁に恵まれ、これまで社内外の数十のチームをスクラムマスターとして支援してきました。
2021年に東京から仙台へ移住し、仙台でアジャイルコミュニティやカンファレンスを運営しています。
企画概要:往復書簡でじっくり考え、深く学ぶ
この度、「スクラムマスター往復書簡」という新しい連載企画をスタートすることになりました。この企画では、私と別のプロフェッショナルなスクラムマスター・アジャイル実践者との間で、メールを通じてさまざまなトピックについて意見交換を行います。
特徴的なのは、急ぎ足の対談ではなく、じっくりと考えを深めるための時間を取りながら進めていく点です。口頭での対談やチャットツールではなく、あえてメールでのやり取りを選んだのは、お互いが十分に考える時間を確保し、より深い洞察や新しいアイデアを生み出すためです。
各回のトピックは、アジャイル開発、スクラムマスターの成長、チームマネジメント、組織文化、リーダーシップ、技術的な課題など、スクラム・アジャイルに関する幅広いテーマを取り上げる予定です。私とプロフェッショナルとのメールのやり取りを、できる限りそのままの形で記事としてみなさんに共有していきます。
スクラムマスターになった日
みなさんは今の仕事やポジションになった日のことを覚えているでしょうか。私はスクラムマスターになった日のことをよく覚えています。それまではエンジニアだったのですが、当時の仕事の進め方に不満があり、現状を変えるために「スクラムをやりたい」と提案しました。
スクラムマスターになった日は、内心パニックでした。昨日までの仕事とまったく違う仕事になり、それまでエンジニアとして培ってきたスキルが一切通用しないのです。初日は見様見真似のファシリテーションでスクラムイベントを進行し乗り切りました。その後あの手この手で失敗のスプリントを繰り返し、予定していたリリースはできず、チームも疲弊させてしまいました。お手本のような失敗でした。
この経験から学んだ重要な教訓は以下の2点です:
- 変化は不快感を伴うもの:新しい役割やプロセスの導入は、一時的な生産性の低下や混乱を引き起こすことがあります。これは正常なプロセスの一部だと理解することが大切です。
- 失敗は学びの宝庫:各失敗から学び、次のスプリントで改善を試みることで、徐々にチームの状況が好転していきました。失敗を恐れずに、そこから学ぶ姿勢が重要です。
最初の頃は、スクラムマスターとしてうまくできるようになったらまたエンジニアに戻ろうと考えていました。しかし、理解が進むとそれまで理解できていなかったことを自覚するようになります。学べば学ぶほど読みたい本が積み上がります。
気がつけばスクラムマスターとしての学びの道を踏み出して8年になりました。この旅は今も続いています。
一緒に学びましょう
この連載を通じて、私自身も多くのことを学び、成長できると確信しています。同時に、読者のみなさんにとっても、自分の仕事や所属する組織について改めて考える機会になれば幸いです。
スクラムマスターとしての経験や知識を共有しつつ、新たな視点や気づきを得ることで、アジャイルの実践者の世界にさらなる価値を提供できればと考えています。
企画した通りには進まないかも知れません。全然面白くない記事を作ってしまうこともあるでしょう。しかし、スクラムマスターの我々は経験から学び、検査と適応を繰り返すことの価値を知っています。うまくいかないことこそが学びと成長の機会です。
この連載を通じて、みなさんと共に、より良いスクラムマスターのあり方を探求していきたいと思います。そのために重要なのが、みなさんからのフィードバックです。
どうぞ、この「スクラムマスター往復書簡」をお楽しみください。そしてぜひ積極的なフィードバックをください。X上で #スクラムマスター往復書簡 のハッシュタグを使ってご意見をお寄せください。みなさんの声が、この連載をより価値あるものにしていきます。
一緒に学び、成長していきましょう。次回の書簡もお楽しみに!