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豊岡拓さん──自分のコードがブラッシュアップされる経験

IoT機器向けLinux「EMLinux」の開発をマネージャとして率いている豊岡さんは、自らもずっとLinuxカーネル開発に関わってきた。

Linuxカーネルとの本格的な出会いは、大学生のとき。「OSや仮想マシンの裏側って、どうなっているんだろう?」という興味から選んだ研究室で、取り組むことになったテーマがそれだった。

「仮想マシンの高速化というテーマで、ファイルシステムを自前で作る必要があったんです」

「そのときは、一般教養レベルではOSというものを学んでいましたが、自分でOSを自作したり、何かのOSのソースコードを読んだりするような優秀な学生ではなかったんです」

「だから本当に、最初はもう、全然ちんぷんかんぷんで。ソースを読んでも『これは何だろう?』という状態で」

当時、Linuxカーネルを学ぶための定番書籍だった「詳解Linuxカーネル」で学びながらソースコードと格闘する日々。自ら研究室内で読書会を主催し、1000ページもある書籍を2回通読する努力を重ねた結果、進学した修士の期間も使って何とか形にできたという。そして就職先にも、Linuxカーネル開発に関わる仕事を選択。最初の転職でWeb開発を経験したが、2度目の転職で、またLinuxカーネルに関わる仕事に戻ってきた。

「昔は全然気づいてなかったのですが、Linuxカーネルのアップストリームで開発していると、大物開発者の人たちにコードをレビューしてもらえるんですよね」

「そういう人たちにレビューしてもらうと、最初はすごくたくさん指摘が来るんです。驚くぐらい。でも、レビューのたびに、どんどん自分のコードがブラッシュアップされて、すごく良い経験になりました」

「これが(Linuxカーネル開発を)続けられた、続けようと思った理由のひとつですね」

豊岡さんにとって、続けるために大事なことは?

「やることが、まだあると思えるかどうか」

「Linuxは、自分にとってはまだまだ難しくて、本当に全部を理解することは、なかなかできないものなので。まだ次があると思えるのが、大きいかもしれないですね」

(了)

取材・執筆・文責:Ko Kazaana
編集・制作:Findy Engineer Lab編集部

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