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大石 貴則さん──「モノづくり」への憧れがアウトプットの原動力

「家の近くにあった工業団地で、工場の内部を見学させてもらったときに衝撃を受けました」

「製品を効率良く生産するための、計算し尽くされた工場の設計に大きな魅力を感じたんです」

あの日、工場で目を輝かせていた少年は、今はコードと向き合って、この日本でモノづくりを支えている。

現在、物流業界のDXに挑むベンチャー企業で、ソフトウェアエンジニアとして「2024年問題」を始めとした物流業界の課題解決に正面から向き合っている。子どもの頃の原体験からモノづくりの世界に憧れ、高専で機械工学を学んでいた。

「たとえば、作業員が歩くルートを1秒でも短くするような工夫。時間をわずかに短縮するだけで、その積み重ねがどれほど大きな効果につながるか。そんな工場の設計に魅了されたんです」

ではなぜ、機械工学の道からソフトウェアエンジニアへと転向を決めたのか。

「エンジニアだった父親が小学校の頃にパソコンを買い与えてくれて、ホームページ制作などからモノづくりの楽しさを学びました」

「それからずっと趣味としてブログ発信とWeb開発を続けていたんです」

「新卒で機械メーカーに入社したものの、インターネットが世の中を変えていくのを目の当たりにして。自分も世の中を変えたいと思い、エンジニアになる道を選びました」

幼い頃からWeb開発に勤しんでいたが、実務経験はなかった。受託開発の企業で経験を積みながら、OSS開発やコミュニティとの関わりも始めた。そんな中でも大事にしていたのが個人ブログでのアウトプットだ。

しかし、あるときを境にそのアウトプットが滞ってしまう。

「他人の記事がバズっているのを見て、自分がどれだけ発信してもどうせ誰も見てくれないし……と、モチベーションが下がってしまったんです」

しかし、そんな大石さんの考え方を変えたのは、音楽やアート、文筆家、YouTuberなどのWebで活躍するクリエイターたちの存在だった。

「今どれだけ有名なクリエイターだとしても、下積み時代があるんですよね。それでも腐らずに発信を続けていたからこそ、チャンスを得て今の活躍がある。そのことに感動しました」

他人と比較してもつらくなるだけ。あくまでも比較するのは過去の自分ーーそうマインドチェンジできたことで、アウトプットの数が増えた。すると、オフラインのイベントやカンファレンスで初対面の方から話しかけてもらえるようになった。さらに昨年、執筆した記事がはてなブックマークでホットエントリー総合1位を獲得した。

「自分にとって、アウトプットはモノづくりと同じ。つくらないと何も生まれないし、世の中に発信しないと何の意味もない」

今の目標は、自分がアウトプットから得た価値を世界に伝えること。世の中にアウトプットの素晴らしさを伝えるべく、今日も発信を続けている。

取材・執筆・文責:河原崎 亜矢
編集・制作:Findy Engineer Lab編集部