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ソフトウェア開発で「強いチーム」に何ができるのか? ハイスキルなエンジニアたちを束ねるカケハシの挑戦

ソフトウェア開発に携わるエンジニアがキャリアを積むとマネージャーへの転身を余儀なくされた時代もありましたが、今ではIC(Individual Contributor)やスタッフエンジニアという働き方も周知となり、開発組織そのものをマネジメント対象とするEM(エンジニアリングマネージャー)を置く企業も増えてきました。

そんな状況を反映してか、株式会社カケハシの椎葉光行@bufferingsさん、小田中育生@dora_e_mさん、荻野淳也@ogijunさんの3人は、それぞれチームをリードできるシニアなエンジニアでありながら、現在は同じチームのメンバーとしてともに開発に取り組んでいます。

新たに採用するハイキャリアなエンジニアを既存の開発組織にどうフィットさせるかに課題感を持つ企業もありますが、このように複数のシニアを集めたスーパーチームで開発にあたることにどういった意義があるのでしょうか? スキルフルなメンバーだからこそ実現できる開発組織のあり方、チーム作りのメリットや再現性について3人に語っていただきました。

▲ 左から椎葉光行さん、小田中育生さん、荻野淳也さん、カケハシのオフィスにて

開発チームの名は体を表す

── 皆さんが所属しているチームの目的や社内での位置付けを教えてください。

小田中  カケハシには150人弱のエンジニアがいて、20弱のチームで構成されています。私たちのチームは新たな事業領域に踏み出す新規プロダクト開発を担当し、私がEMを務めていて、エンジニアは椎葉さんと荻野さんを含めた4人が所属しています。

このチーム編成には、そもそも強いチームを目指したところがあります。VPoE(取材時、現CTO)の湯前慶大@yunon_physさんには「ハイスキルなメンバーだけでチームを作ったらどんなことができるのか?」という実験的な意図があったそうで、椎葉さんや荻野さんのほか社内でもチームをリードできるようなエンジニアが集められています。

── シニアなエンジニアを中心に組織された「新規事業開発チーム」といったところですね。

小田中  カケハシでは、担当プロダクトとは別に開発チームそれぞれで特徴的な名前が付けられていて、私たちのチームは「yabusame」と言います。由来は流鏑馬(やぶさめ)で、「変化が速い中を駆け抜けて、的確にゴールを射抜く」という意味が込められています。

荻野  僕はこのネーミングがめちゃくちゃ気に入っています。ほかにもメインプロダクトを開発しているチームは「kaname(要)」だったり、個々の役割を想起させる名前を一生懸命考えて付けています。

小田中  入社当初は、何をやっているチームか分かりづらいと思っていたのですが、ネーミングの意図が理解できるとすごくしっくりくる。担当するプロダクトだけではなく、もっと広く会社のミッションのために「自分たちが何をやるのか?」という視点が持てるんです。

椎葉  一般的にチーム名は「何とか開発チーム」となることが多いのですが、それだとプロダクトのために集まったチームという感じが強いですね。チーム名が最初にあると「どういうチームでありたいのか? どうプロダクトを作っていくのか?」という考え方になるので、僕も気に入っています。

エンジニアリングしたいシニアとマネジメントするシニア

── 皆さん、どういった経緯で同じチームに集まってきたのでしょうか。

椎葉  僕が入社したのは2023年4月で、小田中さんや荻野さんより半年だけ早いタイミングです。前々職では組織作りやアジャイル開発の推進といった役回りを務め、前職は外資のグローバルな開発チームで自分の役割を模索する中でレイオフがあったので、やり切れなかったという思いが残りました。

そのため転職にあたっては、ど真ん中にいるプレイヤーとして自分がどこまでできるのか見てみたい気持ちが大きかったですね。チーム作りは誰かに任せて、自分が引っ張り上げてもらえるくらいスキルの高い人達と仕事ができる強いチームにしたい。入社後に湯前さんともそんな話をしました。

── そういう強いチームのメンバーとして荻野さんにも声が掛かったんですね。

荻野  自分は、これまでほとんどの期間をフリーランスのエンジニアとして過ごしてきました。その合間に起業したり、大きな企業組織に属してみたりもしましたが、エンジニアとしての能力に疑問を持つようになり、生涯の仕事として2015年から喫茶店を経営しています。それが軌道に乗りかけたタイミングでコロナ禍に遭い、再びエンジニアとして働くことになったベンチャーでCTOをしていました。

ただ、マネジメントするのではなくひとりのエンジニアとして働きたいという思いがあり、というのも自分はキャリアこそ長いんですが、決してスーパープログラマーというわけでもなく、もっと技術を鍛えられる職場を求めていたんです。ですが転職しようにも、どうしてもマネジメント系のオファーばかりなのでどうしたものかと思っていたところ、以前から知り合いの湯前さんに声を掛けられました。

── 椎葉さんや荻野さんはマネジメントもできるキャリアですが、むしろICとして転職されたんですね。一方の小田中さんはそういう2人をマネジメントする立場になりますが。

小田中  私がジョインしたのは2023年10月で、荻野さんと同じタイミングです。前職では、研究開発からリーダーやマネージャも経験し、最終的にはVPoEも務めていました。勤続15年の節目で転職したのですが、その時点ですでに椎葉さんがいましたし、同時に荻野さんも入られるというので、湯前さんに「私が入る必要ありますか?」と尋ねたこともあります。

エンジニアリングもマネジメントもできる方ばかりで、私がいなくてもすごいチームができそうじゃないですか。だから葛藤もありました。ちゃんと役に立てるんだろうかって。

── 確かにそう考えてしまいそうです。ただ、皆さんのキャリアとタイミングが奇跡的に一致したからこそこのチームが誕生したということも言えそうですね。

後から参加したエンジニアがやるべきこと

── 小田中さんと荻野さんがジョインしたことで、チームにはどんな変化がもたらされたでしょうか。

椎葉  以前は私ともう1人のエンジニアのほかEMとプロダクトマネージャーだけでしたので、それぞれが自分なりの方法で前に進み、転びそうになりながら走り抜ける日々でした。それが半年くらい続き、最初のベータ版をリリースした頃に小田中さんと荻野さんがジョインして、チームも再編成されました。

それまで正直なところカオスな状況だったんですが、2人が入ったことで「ちゃんとチームになった」という感じがします。小田中さんはマネジメントやチームビルディングの引き出しをたくさん持っているので、チームの状況に応じていろいろなやり方を提案してくれて、チームにストレスが掛からないペースで少しずつ変化させてくれました。

── 小田中さんは、自分よりキャリアを重ねたメンバーがいるチームにEMとしてジョインされて、先ほども葛藤があったと話されていましたが、プレッシャーは感じませんでしたか。

小田中  すごくありました。それに、「マネージャー経験がある」という形で入社すると、受け入れる側も期待して「僕らの課題を解決できるか、お手並み拝見」みたいに見られてしまいがちじゃないですか。

── すごいメンバーが入ってくると聞くと、どうしても期待しがちですね。

小田中  でも実際には、経験者ばかりだからか「マネージャーだって知らないことがあるよね」という態度で接してくれました。それに、私が組織に慣れる具合をみながら仕事を振ってくれるので、親切なゲームのチュートリアルのようでした。適切な難易度の仕事をこなすことで自信を持つことができ、メンバーからの信頼も得られて、通常より短い期間で相互の信頼関係を築くことができたと思います。

椎葉  そんなに考えて仕事を振っていたわけじゃないんですけどね(笑)。小田中さんがオープンな姿勢で「何でも来い」なのでお願いしやすかっただけですし、にもかかわらず「いい仕事をありがとうございます」って感謝されるので、すごい人だなと思いました。

感謝の言葉だけじゃなくて、困っているなら「困っている」と言ってくれるので分かりやすい。小田中さんのよいところは、思っていることを素直に言葉にしてくれるところですね。

── 荻野さんはジョインしたときに意識したことはあるでしょうか。

荻野  それまで2人のエンジニアが密にコミュニケーションを取りながら作っていたので、後から参加した僕はそこに割り込んでいく必要があります。それもあって、椎葉さんともう1人が持っている暗黙知をなるべくいっぱい引き出さなきゃいけないなと思っていました。

椎葉  自分が当たり前に思っていたことでも、後から参加したメンバーにとってはそうじゃないことがありますよね。荻野さんが積極的に聞いてくれるのでそういった暗黙知を言葉にできて、形式知にしてくれました。あとはペアプロやモブプロも荻野さんが提案してくれることが多いよね。

荻野  開発しているプロダクトはエース級のエンジニアが組み上げたものなので、最初から隙がなかったんです。ぱっと見では、いじるところがなさそうだったけど、そこからもっと磨いていかないといけない。だから椎葉さんたちの考えを教えてもらいながら、コードを書くことにしたんです。

椎葉  待ちの姿勢でもなく、単に「教えて」でもなく「教えてほしいから、ペアプロしよう」と言ってくれるので、こちらも身構えず自然にできるんですね。荻野さんらしいと思います。

荻野  今でもほとんどのコードをペアプロやモブプロで書いていますね。

健全な対立を生むコミュニケーションの取り方

── 小田中さんも荻野さんもそれぞれ考えを言葉にしてチームに溶け込んだように思いますが、言葉は相互理解を深める一方で、対立や衝突によって険悪な雰囲気になることもありますよね。

荻野  対立はあるんですけど、険悪にはならないですね。異なる意見が出ることはあっても健全な対立になり、やがてアウフヘーベン1に向かうシーンが何度もありました。

小田中  アウフヘーベンという表現はしっくりきますね。議論を険悪にしない「アイメッセージ(I-message)2」という発言の手法があります。「それっておかしいですよね」ではなく、自分を主語にして「僕には気になるんですよね」みたいに自分がどう思うか・どう考えるのかを伝えるやり方です。

特に椎葉さんの影響が大きくて、常にアイメッセージで発言してくれるんです。だから私も「椎葉さんがそう思っているんなら」と素直に受け止められて、そこで全員が「じゃあ僕はこう思っています」と意見を持ち寄ると、チームとしての方向性がぼんやり見えてきて、議論が収束することが頻繁にある。

椎葉  気になったことがあると「それがどうしてなのか?」に興味が湧くんです。自分なりの考えがあるのは前提で、他の人の考えや議論の流れが「どういう経緯でそうなっているのかな?」と聞きたくなる。すると聞かれた方も反発せずに「自分はこう考えている」と話してくれる。

だから衝突にならず、意見を出し尽くしてから「じゃあこのチームにとってはどうするのがいいか?」を考えることが多いんです。

小田中  一時期はそういった議論が毎週のように発生していました。

── 毎週のように方向性について議論が起きていると、かなり変化が多いチーム運営になりますね。

小田中  誰も変化することを拒まないので、マネージャーとしてはやりやすいですね。試してみたいとか、こうやったら良くなるかもしれないと話すと、ほぼ「まずやってみようか」という反応が返ってくる。もちろん「いや、今の状態の方がいい」となることもありますが、それも現状維持が楽だからではなく「これはこの状態でステイした方がいいと思う」という明確な理由があるんです。

だから、どんどん変わっていけるし、ともすると急な変化によって瓦解してしまいそうなところでも、踏みとどまってチームとしてしっかり成熟できる。それも健全に対話しているからだと感じています。

椎葉  強いチームを作ったことが、変化し続けられる原動力のひとつかもしれません。このメンバーだからこそ、どんな状況でも「なんとかなる」と思えるところもありますね。

荻野  変に何かを固定化しないチームだし、そういう資質のメンバーが集まっていますね。

── キャリアを重ねてきたからこそ、新しい状況に対しても対処できるのでしょうね。

アカウンタビリティと情報の対称性を保つこと

── お話しを伺っていると、小田中さんのマネジメントスキルの高さも感じますね。

椎葉  それは大前提としてあります。僕らももちろん何でもOKというわけではなくて、自分たちがやりたいこととマネジメントの方向が揃っていて、小田中さんの施策によってやりたいことが加速されていると感じたから、変化に前向きだったと思います。

荻野  小田中さんは、考えていることのアウトプット量やコミュニケーション密度が半端ないですね。何を考えてこれをやろうとしているのかを、ものすごく高密度に説明してくれるから、すんなり納得して新しいことをやっていける。さらにチームだけでなく、社内に向けても、世界に向けても「全部説明していく」という姿勢なんです。

小田中  そういえば以前に『いちばんやさしいアジャイル開発の教本』という書籍を書いたときも、最初の50ページくらい「なぜアジャイルなのか?」を事細かに説明したんです。読者は「いいから早くプラクティスを教えてくれ」「結論から言ってくれ」と思ったでしょうが、背景を分かって納得した上で学んだ方が絶対にいい。そういう信念があるんです。

── そういったコミュニケーションは現在だとSlackが中心でしょうか?

椎葉  対面で話すこともありますが、基本的にはSlackが多いですね。

荻野  小田中さんと椎葉さんの会話の過去ログをSlackで読んで、すごいと思うことが多いですね。

── ログが残るのはSlackならではですね。

小田中  そういった会話だけでなく、メンバーとの1on1で話したことも全て記録して、チームに公開しています。もちろん「ここだけの話」もありますが、基本的にはメンバーに公開して、情報の対称性を保つことを心がけています。

荻野  会社としてもバリューのひとつに「情報対称性」を掲げて、とても大事にしています。Slackでもプライベートチャンネルをできるだけ使わないとか。トップがオープンであることを言い続けているから、皆も意識する。そこは大事なところですね。

椎葉  だから僕らも全然違うチームのチャンネルに入っているし、僕らのチャンネルにも全然違うチームの人が会話に入ってきますね。

荻野  僕らのチームメンバーは9人なのに、チャンネルには200人くらいいる(笑)

椎葉  小田中さんが社内で情報を発信しているから、気にしてくれている社員が多いこともありますね。

荻野  スクラムのふりかえり(レトロスペクティブ)でも毎回違う手法を使ったりしているのが社内で話題になって、見学ツアーが来ることもあります。

小田中  スクラムを手探りでやっているチームもあるので、見学は歓迎しています。せっかく良いチームだと言ってもらえているので、社内にも還元したいですし。

今の仕事は楽しいけれどいつかは次に進む

── あらためて現在のチームビルディングをどう考えますか。

小田中  転職先を探しているときは、社会貢献性やチャレンジできる環境かどうかに軸足を置いていて、誰と一緒に働くかはそれほど考えていなかったんです。だけどこのメンバーと一緒に働いてみて、すごく楽しいし刺激もあって、やりたいと考えている以上のことができる。かけがえのないチームです。青臭いことをいうと、週末になると月曜日が楽しみなんですよ。メンバーに会えるのが。

荻野さんも以前、椎葉さんが休みを取ると聞いて「明日は椎葉さんに会えないのか」って、初恋の少女みたいな発言をしていました(笑)。そのくらいチーム全体がよい空気ですね。

荻野  楽しいんですよ。このチームにとって、仕事そのものが報酬みたいな感じですね。RubyKaigiとかのカンファレンスで発表するときって、事前にものすごく張り切って準備をするじゃないですか。業務の合間に準備するので大変だけど、気分が高揚して楽しい。このチームで仕事をするのは、その状態がずっと続いているような感じなんです。

椎葉  カンファレンスって、その場にいるからこその楽しさがありますよね。休憩時も廊下での話が盛り上がって、時間があっという間に過ぎていく。オンサイトで参加しないと廊下の良さは分からない。このチームも1日休むだけでいろんな話が一気に進んでいて、ほんとにそんな感じです。

荻野  こういうチームビルディングがなぜ以前の職場でできなかったのかを考えたんですが、やっぱりメンバーのキャラクターがうまく合致したことが大きいのかな。だからこそ「これがいつまでも続くわけじゃない」という意識もあるんですよ。

椎葉  確かに「次のステップ」については頭のどこかにあります。スキルの高いメンバーが集まっていて全員がチームリーダーもできるので、自然とチームを分解する方向の力が発生しますよね。会社全体を見ると、それぞれに別のチームをリードしてもらって開発チームを増やしたいと考えるのが自然でしょうから。永遠に続くわけじゃないからこそ、今この瞬間をちゃんとやっておかないともったいないですね。

荻野  チームにみんながとどまっている期間を十分楽しもうという意識はあります。

リーダークラスのエンジニアを集める普遍的なメソッド

── ハイキャリアなエンジニアによる強いチームを作ることで、プロダクト開発や会社の成長を牽引するメリットを伺ってきましたが、これはこのメンバーだから実現できていることでしょうか。それとも他の企業でも再現できる方法論としてメソッド化できるものでしょうか。

椎葉  10年前は難しかったけど、今ならできると思います。以前は一定の年齢になるとマネジメントを任されてコーディングしなくなることも多かったじゃないですか。でも今は、キャリアの考え方が多様になってきました。

だからこのチームのように、リーダークラスのエンジニアが集まってきちんとしたものをすごい速さで作るケースを示すことができれば、今後こういうチームが増えていくんじゃないかな。そうすれば、エンジニアのキャリアパスのひとつの形として考えうるものになるんじゃないかと思っています。

荻野  メソッドとして確立できるかどうかは正直なところ分かりませんが、このやり方を真似てくれる人が増えたらいいなという気持ちは常に持っています。さっき、いつ終わってもおかしくないと話しましたが、アウトプットで会社に大きな貢献ができればチームが存続する可能性もあります。

── これからやりたいことなどがあれば教えてください。

荻野  僕はカケハシに何年いるのか期限を決めているわけではないんだけど、少なくとも40代はプログラマーとして頑張ろうと決めています。49歳になったばかりなので、この1年間はチームのために全力疾走したいですね。

椎葉  新規事業なので高いスピードで開発したいのはもちろんですが、それを何カ月先でもずっとキープしたいですね。すごくいいプロダクトを作りました、でも引き継ぐ人がすごくしんどい思いをしました、ではイヤなんです。目の前のゴールを達成しつつ、ちゃんと運用可能で内部品質をキープした開発こそ、エンジニアリングスキルの高いチームにできることかなと思うので、チャレンジですね。

小田中  ちょっと青臭い考えですが「プロダクト開発チームの日本代表になる」ということを考えているんです。社内だけでなく、この取材のような機会を通して「このチームっていいよね」と多くのエンジニアに思ってもらい、「こういうチームになりたい」と目指してもらえるロールモデルになりたい。そうすれば日本全体のエンジニアリングがさらに良くなっていくように思います。

── この記事がそのきっかけになるとうれしいですね。本日はありがとうございました。

▶ 関連記事:椎葉さん、小田中さん、荻野さんはそれぞれFindyエンジニアラボにこれまでも登場いただいています。あわせてお読みください。

取材・構成:青山 祐輔
撮影:小野 奈那子
編集・制作:はてな編集部


  1. 本来は哲学の用語で、ヘーゲルが提唱した弁証法において矛盾・対立する概念をより高い次元で統一すること。止揚、揚棄とも。
  2. 臨床心理士のトーマス・ゴードンが1970年に提唱したP.E.T(Parent Effectiveness Training)で、建設的に話し合うために考案した、相手に命令や批判をするのではなく、自分の感情として伝える手法。