「エンジニアとしての才能がなかった」私が選んだPdMの道 “好き”と“強み”で切り拓く新たなキャリア

こんにちは、こんばんは。武本光司(@yyji_ko)と申します。

現在は株式会社ダイニーで勤怠プロダクトのプロダクトマネージャー(PdM)をしています。

何も知らないところから、社内にも何のノウハウもない、1から、いや0から勤怠プロダクトを開発しています。

結論から――もともとエンジニアだった私が、PdMになった理由は、エンジニアとしての才能がなかったからです。

エンジニアキャリアの始まり

2018年4月にパーソルプロセス&テクノロジー株式会社にエンジニア職として新卒で入社しました。

新卒研修中にポスタス開発部署(後にポスタス株式会社)を志望し、そのままレジアプリを開発しているポスタス開発部に配属されました。レジアプリと言ってもポスタスは当時から飲食、小売、美容など複数種類のプロダクト開発をしていましたが、私は一番事業規模の大きい飲食のレジを志望していました。

理由は、大きくて売れてるほうがかっこいいからです。はい。

エンジニアとしてはiOSアプリ開発者として、レジアプリの開発に奮闘していました。エンジニアとして過ごした時間はとても濃く、何時まで働いたか覚えてもいませんでしたが、相当没頭してのめり込んで仕事をしていた記憶があります。

2019年ごろからは先輩と3人くらいでセルフオーダー(飲食店内でQRを読み込んで、お客様のスマホから注文するシステム)の開発を立ち上げることになり、私はPOSアプリ側の開発担当として参画しました。2020年の年始にローンチし、コロナ禍の影響で良くも悪くもセルフオーダーの需要はとても高くなっていきました。

マネージャー、そして PdM へ

エンジニアの仕事はとても楽しく没頭できていましたが、私には同期や先輩エンジニアと比べて

  • コードが美しくない
  • 問題発見まで時間がかかりすぎる
  • 新しい技術領域の勉強をしたり、取り込んだりする意欲はあまりない

ということがわかってきました。

ここら辺でおそらく私は「問題解決」が好きで、そのための手段としてエンジニアリングをしていただけで、技術そのものへの興味はあまりないことに3年くらいして気がつきました。

一方で、

  • 喋る言葉にちょっとだけ説得力がでやすい
  • 比較的前で話すことが苦じゃない
  • 親しみを持って人から話してもらいやすい

など、ソフト面で秀でていそうなこともわかってきたので、マネジメントの道の方を自然と選択していました。

また、「大きな問題を解決するためには、一人よりもみんなで行ったほうが解決が早くできる」ことに、新卒入社3年目あたりで気がつけたのも大きかったです。

その頃、セルフオーダーは軌道に乗り、2022年ではメンバー25名ほどを抱えるチームまで成長し、役職もアシスタントマネージャーというマネージャー職になっていました。

私がセルフオーダーを開発する中で、飲食店内の情報を一番把握できているのは「セルフオーダー」と「POS」企業だと思っていました。

誰が何時に入店して、誰が何をいつ頼んで、何時に提供して、何時間滞在して、会計にいくら、どの決済手段で払ったのか。これらの情報は他では取得はできなくて、飲食店というとても大きな市場の中で誰にも知られていない情報だと思っていました。

競合調査も兼ねていろいろなモバイルオーダーを使っている飲食店にいき、「ダイニー」のモバイルオーダーと出会いました。その頃、ダイニーはたまに営業中の競合として名前が挙がる企業としか認識していませんでした。ただ、実際に使ってみると明らかに顧客情報をモバイルオーダーで獲得して、店舗体験を向上させようとしてきていることが、UIからひしひしと伝わってきました。

初めての体験でしたし、ちょっとだけ興味が湧いたのでホームページなどで調べてみていたら、いつの間にかカジュアル面談をして、面接が進んでいっていました。

ポスタスに大きな不満もなかったですし、なんなら自分で顧客情報活用機能を作りたかったですが、ワクワクには抗えず、上長に相談し、退職を決意して2022年10月にダイニーへの転職をしました。

その当時ダイニーでは、エンジニアリーダーという職種はなく、ポスタスで行っていた仕事でもプロダクトの仕様策定と、プロジェクト管理、メンバー管理だったので、転職のタイミングで改めてプロダクトマネージャーという職種になりました。

よって、2022年10月からプロダクトマネージャーとしてのキャリアが始まりました。

エンジニア経験を活かす PdM キャリア

とはいえ、最初はプロダクトマネージャーとしてのよく言われる三角形の話や、事業を伸ばすための意思決定など、全く知識はなかったです。

あったのはエンジニアとしての知識と、飲食POSドメインの知識だけでした。ただ、PdMにとってドメイン知識はとても大事で、意思決定に必要な材料はだいぶ揃っていました。

プロダクトマネジメントトライアングル(改案)
出典:「プロダクトマネジメントトライアングルと各社の PM の職責と JD」

企業、担当プロダクト、事業のステージ、社内の人材構成によって、プロダクトマネージャーに求められる能力は異なります。しかし、ダイニーでは一貫して「顧客にどれだけ価値を届けられるか」が最重要視されています。

私の場合、プロダクトマネジメントトライアングルの中でも開発者寄りのスキルが強かったため、CTOの大友さんと相談しながら、他の領域の知識を書籍などで補強していきました。ですが、人によってどこに注力するべきなのか、会社にとってどこを強化するべきなのか、ゲームみたいに自分のどの能力を伸ばすのか考えるはちょっと面白かったです。

またダイニーは顧客の声を拾う土壌が整っていて、優秀なエンジニア、デザイナーがいるので、顧客の声を拾って必要な仕様を策定し、社内調整をすれば、最適なプロダクトはチームで作成することができる状態でした。

新規機能を開発する際は、自身のエンジニア経験から具体的な工数見積もりの検討ができましたし、実際になにか問題が発生した場合も、エンジニアとプロダクトのどの部分でバグが起きているのかを直接対話ができるため、迅速な問題解決への指示が可能です。

山の登り方を1から考える面白さ

入社当初はPOS事業のPdMでしたが、現在は勤怠領域のPdMをしています。

ダイニー勤怠では、シフト作成、勤怠管理、給与計算、労務管理など、飲食店における人事プロダクトをAll in Oneでまとめられるプロダクトを作っています。もちろん、これらの領域について私はドメイン知識はなく1からの勉強になりましたし、社内にも有識者はいませんでした。

チームみんなで勉強しながら、専門家に顧問として入っていただき、顧客インタビューをさせていただき、事業の方向性や戦略から、プロダクトに落とし込み、実運用に即すように、顧客価値がある機能の策定、スクラム開発のスクラムオーナーとしても仕事をしています。

いままで頼っていたドメイン知識が使えずに、新しい複雑なドメイン知識を学ぶことはとても楽しいです。また、新規事業であるのでプロダクト戦略としての山の登り方を1から考えられる、経営やメンバーと相談しながら事業を作っていっている感覚があるのはとてもとても面白いです!

これからやりたいこと

現在は今のダイニー勤怠を大きく成長させたいですし、今後こんな大変な思いをして勤怠プロダクトを1から作る企業が日本からなくなるように、All in Oneなプロダクトを作りきりたいと思っています。

ですが、今後勤怠以外の道をとれるとしたら、より深い飲食バックオフィスプロダクトの開発か、POのようなレイヤーなどもやってみたいです。

自分が作りたいものを作るうえでより「実力」があるか、「立場」を上げるかで、どちらになるかは私にも未だにわかってはいないですが、より価値のあるプロダクトを早くお客様と社会に提供できるようになりたいです。

理由は、大きくて早いほうがかっこいいからです。はい。